調子は上向きではあるが、まだ足りなかった(2019マドリード2R、3R)(途中原稿)
※これは途中の原稿ですが、ローマの試合前にアップしておくべきであろうという判断により、特別に公開しています。逆に普段こんな感じで書いてるんだなあという雰囲気も感じ取っていただければと思います。
なるほどなあ、という試合後の感覚でした。
まずは2回戦から順に試合を振り返っていきましょう。勝ち試合ですが、この試合に今回のワウリンカ戦、ないし全体俯瞰として重要なヒントが隠れていました。
初戦のデリエン戦ですが、試合序盤はデリエンが対応できていませんでした。一方的に錦織が攻撃を行い、特に問題ないので自由自在に決まりました。錦織にとっては大会初戦ということもあって、たまに入ったデリエンの強打は追わずにスルー。余力を残しながらプレーを行い、色々と試した結果のミスが少々目立ちましたが問題なく5-1まで進み、25分ほどであっという間にセットポイントを迎えました。ここまでは、よくある展開でした。
しかし一つ問題が起きたのがセットポイントでした。2本凌いだところでデリエンに勢いが出ました。続くゲームをブレークすると、さらに2度目のSFSまでもブレーク。この頃には、デリエンは別人のようになっていました。強打を次々と通し、錦織に攻撃させません。
ただデリエンにも色気が出ました。完全に流れはデリエンといった感じの5-5で迎えた第11ゲームは少し意識が入ったのかミスが出ました。錦織が良くなったというよりは、デリエンが悪くなったことでブレークが転がり込んできました。そのあとのSFSはきっちり決めて1stセット先取。見た目以上にデリエンにとっては痛い1stセットとなりました。
2セット目も錦織の耐え時が続きました。序盤はデリエンの方がペースを掴み、錦織の方がキープに苦しみます。
この試合はデリエンの猛攻によって色々とかき消されがちですが、スタッツを見ると何が起きたのかがよくわかります。
写真スクショ
7-5,7-5というスコアだと接戦なのでそこまでスタッツ差がはっきりすることはないのですが、表のように錦織のサービスポイントwonが60%なのに対して、デリエンのサービスポイントwonは52%と、デリエンはほぼ半分しか取れていません。サービスポイントの獲得率が8%も違っていたのです。
じゃあなぜ接戦になったのか?ここまで溜める必要もないのですが、錦織のBP5/24に集約されます。
錦織のリターンポイントwonは引き算して48%ですから、いかにこのコンバージョンが悪かったかは言うまでもありません。つまり、この試合を簡単に総括すると、確かにデリエンがすごかったが、実はスコアの見た目や体感よりは錦織のゲーム支配度は本来高いはずだった。大事なポイントでの精度、これに尽きる、となります。
では大事なポイントの精度はそんなにまずかったのか?という話ですが、実はまずかったのです。
普通はこんなにBPが多くなることがないので、逆にそれを活かして内訳をまとめてみました。
内訳(ポイント全部巻き戻して追うのがつらかった…まだやってないですが、要旨は下の通りです)
はい、もう言いたいことは出てるわけですが、リターンミスです。デリエンが1stサーブ確率重視だったのも相まって、このリターンミスは終始なくならなかったです。
実はこの症状に近いものが別の大会で出ていました。モンテカルロのエルベール戦です。
あの試合はちょうど今回とほぼ逆の4-6,5-7で敗れた試合でしたが、あの試合は勝てる試合だったと思っています。その証拠に、0-40を2回迎えていて、それを逃した理由がセカンドサーブのリターンミスにありました(それ以外にもサービスラインより前からのチャンスボールのミスもありました)。ブレークされたゲーム以外ではほぼ錦織の方が試合を有利に進めていました。あの試合も大事なポイントで攻守とも取り切れず接戦を落としたゲームでした。
そこで試合途中に思い返したのがこのチャートでした。
Tennistvで見ていたのですが、おそらく全ての放送媒体に載ったものと思われます。
クレーシーズンに入ってから、錦織のBPコンバージョンがかなり悪くなっているよ、という数字です。
2018年の標本数は16試合。クレーでジョコビッチと2回、ズベレフ、ティームと1回やるなど相手も結構厳しいものだった結果、この数字になっています。
それに対して、今年はまだ上位ランカーはメドベデフくらいにしか当たってなかったところのこの数字です。たかが10%、されど10%。そして、驚くべきはこれが発表された瞬間の画面。まだ試合の序盤。これから幾度となくBPを逃す前の瞬間の数字です。つまり、今現在の数字はこれより悪くなっています。この画像は、これから起こることの暗示だったのです。*1
簡単な話、昨日のあのワウリンカから1ブレークしかされなかったというのはものすごくポジティブな数字です。ブレークしやすいしされやすいクレーですからね。かつワウリンカは2ndサーブでは極端に下がってリターンし、ストローク戦に持ち込んで勝負することで有名な選手です。そして何度もストローク戦に持ち込まれながらここまで錦織が凌いでいるということは、2セット1ブレークは全く問題ない数字と言っていいでしょう。
ではどこに問題があったのか?と振り返ると、やはりここになってきます。ブレークポイントです。
そこで本人のコメントを聞きました。すると、納得のいくコメントをしていました。
ここにGAORA
自分を信じられればよくなってくる(原文ママ)
はい、そういうことです。
これ、少し前に不振の原因を探った記事で少し近いことを書いていたのを覚えているでしょうか?
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さて長々と語ってきましたが、要するに今の錦織の不調原因はここです。 適切なプレー選択ができない状況にある。その結果、いつもなら取れている接戦のゲームを簡単に落とす。 これを不調という2文字で片付けることは簡単ですが、もう少し踏み込んでみたいことがあります。
(中略)
しかし、ストレスなくテニスをすること、というのが実は錦織圭が勝つために最も必要なことなのではないか?というのが最近の私の持論です。 そして、それができない。手首の問題が残り続ければ気になってしまいます。
2度の大けがをして復帰してきている錦織にとって、そして30歳手前のキャリアを考えると最大の敵が長期離脱であることは言うまでもないですし、それを無視してプレーをしてほしいと願うことは無理な願いです。大けがをすることがどれだけ恐怖なことかは本人にしかわかりません。ですから、そこまで求めることはできません。 だからこそ、この悪循環を抜けるためには手首の改善、これしかないと思っています。
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どうやら手首が原因ではなさそうですが、こういった何か煮え切らない感情、全ての感情を正のベクトルに持っていけない状態を脱却できていないことが不調の原因である、そしてそれがプレーにつながり、結果として負けてしまうということは、あの当時から一貫しています。
テニス観戦とはとても難しいもので、一打一打から1つのポイントが形成され、そのプレーは時々刻々と変化し、その過程でゲーム、セット、試合が積み重なり、さらに試合ごとに対戦相手やサーフェス、環境が変わります。
本格的にツアーを追い始めて7年、私もいまだ毎回正しい答えを出せている自信がありません。しかし一方で、特に近年必ず守るルールを決めています。それは「木も見つつ、森も見る。そんな分析でありたい」というものです。
これはどういうことなのかというと、例えば試合が終わった後に「ミスが多かった」という感想を見たとします。そのミスの原因はどこにあるのか?というのを試合のプレー選択やカウントの状況などから探っていくことが「木を見る分析」になります。要するに細部を考えて判断するというものです。一方で、ミスの割合を試合間で照らし合わせたり、数か月間のプレーに共通する項を探したりすることが「森を見る分析」になります。
今回のケースで言うとプレー単品の問題点を探る、試合を掘っている部分が「木を見る分析」であるのに対し、BPコンバージョンに関する最近の傾向を広く見ることが「森を見る分析」です。
どちらに寄りすぎてもいけないのです。どっちも見ないと、その真実は見えてこないのがテニスです。
長々と書きましたが、復調気味であるというのは事実です。復調気味でなければ、バルセロナ以降の結果にはなっていません、昨日のような試合やメドベデフ戦のような試合すらできないはずですから。あのプレーができているなら大丈夫だと思います。
あとは本人談にあるように、いつ自信が持てるようになるのかだと思います。
そう思って2018年を振り返ると、ちょっと気になることがありました。年度末にあった各種インタビューなどで「本当に自信が持てたのは全米でベスト4に入ってから」という趣旨の発言をしていることです。
確かに全米ベスト4以降、一度もベスト8を外さずに勝ち上がり続け怒涛のまくり上げでファイナル進出。あの時の錦織は神がかっていました。
しかし裏を返せば、チリッチ、ズベレフを連続で倒したあのモンテカルロの頃はまだそうではなかったということです。そんな中勝ち上がり、少し自信が持てたようです。
いよいよウィンブルドン 錦織圭選手 単独インタビュー | SPORTS STORY | NHK
今も同様に、テニスのレベルは戻ってきています。去年のモンテカルロのように結果さえ出れば、必ずプラスに向かっていくと信じています。ラッキーがあっても構わないのです。あとはそのワンパンチがどの大会で出るかだと思っています。手首が問題でないのならば、少しずつトンネルの出口は見えてきているのではないでしょうか。
*1:言うまでもないですが、tennistvは客観的な事実を示しただけです。なんなら当時私は実況でそこに触れて、今回は一発でブレークしたからよかったですねと言った後からあんな展開に…
【week preview】2019ローママスターズドロー解説
こんばんは。
水曜になってしまいましたが…更新します。
早速ドローを見ていきましょう。
[1]ジョコビッチ
[16]チェッキナート
[12]メドベデフ
[7]デルポトロ
[4]ズベレフ
[15]モンフィス
[9]チリッチ
[6]錦織圭
[8]チチパス
[10]フォニーニ
[13]チョリッチ
[3]フェデラー
[5]ティーム
[11]ハチャノフ
[14]バシラシビリ
[2]ナダル
①ジョコビッチ山
全豪以来となる優勝をマドリードで達成。2週連続優勝へ[1]ジョコビッチが挑みます。
序盤からタフなブロックです。初戦はクレー巧者のカレノ=ブスタかシャポバロフ。相手次第では苦労しそうです。さらに次戦も締まったドローに。デミノー、ベテランのコールシュライバーにシモンと層が厚く、[16]チェッキナート以外もタフです。
復帰戦であと一歩で勝利を逃した[7]デルポトロは仕切り直しの一戦。しかし厳しいマッチアップになりました。ゴファンとワウリンカは1回戦の中でも注目カードです。ワウリンカの好調ぶりは言うまでもないですが、ゴファンもかつてベルディヒをダブルベーグルにしたのがこの大会でした。面白い一戦になりそうです。[12]メドベデフはキリオスとの初戦に注目。結局クレー適性があるのかないのかよくわからない感じですが、この大会ではどうなるか。
②ズベレフ山
[6]錦織圭は初戦がカギ。クレーで一度倒しているフリッツよりもここはペリャでしょう。2月シリーズで活躍後も好調を維持。クレーでは怖いノーシードの一人です。ビッグサーブタイプというよりは典型的なクレーコータータイプなので、錦織としてはやりやすいか。今の状態を推し量るのにはちょうど適した相手と言えそうです。難なく勝てるなら復調、負けるようだとやはり2月以降のスランプを抜けきっていないと言えるのではないでしょうか。
その次は[9]チリッチのブロックということで難しい評価。相変わらず成績が微妙とはいえ一応マドリードベスト8まで来ていますから、調子がいいのかもしれません(負け理由が病気なので、テニスでは負けてないですからね)。ノーシードにはあまり怖い選手はいません。ペリャを抜けられるなら大丈夫だと思います。錦織としてはまずは今季初のMSベスト8をここで決めたい。視界は悪く無いドローです。
[4]ズベレフはこちらもマドリードベスト8と復調気味。失効が続きますが、なんとか調子を取り戻したいところです。[15]モンフィスも不気味です。西岡は今年3度目のシュワルツマン戦。2試合はフルセット、今度こそ勝利なるか。
③フェデラー山
結局[3]フェデラーはこの大会も出ることになりました。以前はクレーに出ると選手寿命を縮めるという発言もあったはずなのに、急遽大会を追加。そのモチベーションはいったいどこから来るのでしょうか…初戦はティアフォーとソウザの勝者です。
何気にけがの影響で成績が落ちているミルマンは予選勝者のノーリーと。ここは勝っておきたい…
チョリッチはアリアシムとの一戦。nextgen勢の好カードです。
先週準優勝の[8]チチパスは疲労との闘いか。クレーでは並の選手からは一段抜けています。ただモンテカルロから連続5週目に突入していることもあり、思わぬ早期敗退も考えられます。
ドローは恵まれている印象ですが、[10]フォニーニとツォンガの勝者と当たる3回戦は注目です。
全体的にフェデラーを苦しめたことがある選手が並んでいます。アリアシムがフェデラーと初対戦することになれば面白そう。
④ナダル山
厳しいブロックになりました。[2]ナダルと[5]ティームがQFで激突する確率は極めて高いでしょう。
ナダルの初戦はガスケかシャルディーですが、ガスケは過去全勝中と相性のいい相手。問題なくいけそうです。そのあとの3回戦も怖そうな選手はいません。
一方ティームは初戦のベルダスコだけが気がかりですが、現在不調の[11]ハチャノフが対抗シードということでここも問題なさそうです。
対戦が実現すればナダルとしては全仏前最大の予行演習になりそうです。
初めて全仏優勝した2005年以降、ナダルは毎年全仏前までにクレーの大会で必ず1つ以上優勝していました。逆にいくつ優勝できるか(≒大会を落としたか)がクローズアップされるほどナダルのクレーは圧倒的でした。今年はそういう意味で相当深刻であると言わざるを得ません。
膝周りの問題も残っているようで、今大会どこまでやれるかによっては全仏の大会全体に影響が出そうです(2016年のような途中棄権もありうる?)
マドリード準決勝でチチパスに敗退のナダル。膝の状態について「クレーを3大会プレーしてベストとは言えないが体調さえしっかりしていれば高レベルでプレーは可能と思う。全仏が照準だがコンディション次第ではそこでプレー出来なくなっても受け入れる準備は出来ているよ」🤔https://t.co/h7ITsoHmii
— naruto (@narto2017) 2019年5月13日
ナダルの勝ち上がりにはいつも以上に注目です。
優勝予想
優勝 ティーム
準優勝 ジョコビッチ
ベスト4 ズベレフ ティーム
ベスト8 ワウリンカ 錦織 フェデラー ナダル
今週こそティームがあらゆる方面に雪辱を果たして優勝!という予想です。
錦織は調子が上がってきたズベレフに完敗。全仏前に感触は掴むも…という予想にしました。
QF第4クォーターは今のお互いの状況だとティームだと思います。ナダルがここまで優勝できないとは正直思わなかった…
もう敗れている選手もいますが、私はいつも正直に予想しています(ドロチャレに実際に入力したものと同じものにしています)。
いよいよ今晩は錦織の初戦ですね。フリッツも成績見るとちょっと怖い相手か(マドリードはジョコビッチに負けただけ)。油断は禁物です。
GRACIAS FERRU
おそらく、グランドスラムで一度も勝てなかった選手の中で、史上最高の選手の一人だろう。通算700勝、最終戦7回出場、デ杯3回優勝、10大会連続GSベスト8以上。長期離脱も少なく、長期にわたって上位に君臨した。
BIG4がいなければ、当然グランドスラムで複数回勝っていたような実力の持ち主だった。GS無冠、マスターズ1勝という選手は他にもたくさんいるが、彼は唯一無二の存在だ。
錦織と戦った14試合は、未だに全て試合内容まで詳細に思い出すことができる。詳細に思い出せる選手は他にはBIG4くらいだろうか。そんな選手は、もう今後出てくることはないだろう。
錦織のキャリア初期から、重要な場面での対戦が多く、私も様々なブログを載せている。この機会にまとめておく。
私としても、会心の出来と言える記事はフェレール戦に多かったと思う。
試合の分析をするにあたっても、ストローカー同士、そしてお互いの特徴をよく熟知しているからこそいい文章が書けたためだと思っている。
彼のプレーは、フェデラーのような鮮やかさ、ナダルのような圧倒的な支配力、ジョコビッチのような正確無比さ、マレーのようなインテリジェンス、そんな卓越した才能に裏打ちされたものではない。天授の才能たちの前に、鍛錬を積んで立ち向かった。あえて天才という言葉を使うなら、努力の天才だった。だからこそ、人の心を打ったのだと思う。
そういう意味で、引退興行で再三使われたGraciasという言葉は彼らしい。よくやった、お疲れさまでしたとは違って「ありがとう」で締められている。
私たちテニスファン、そしてフェレールを取り巻く現場の関係者からの彼への感謝の気持ち。それを集約したものがこの「Gracias」に他ならない。
5年前に突如ツアーに現れた新星、アレキサンダー・ズベレフをハンブルグ準決勝で倒したのがフェレールだった。それから5年、フェレールは最終戦争いの常連から脱落。ズベレフは押しも押されもせぬATPの看板選手になった。立場は逆転した。このズベレフが引退試合のカードになったのは、何の偶然だろうか。
最後のポイントの前、ズベレフは観客を鼓舞した。地鳴りのような大声援がフェレールを後押しし、そしてあっけなく試合は終わった。あんなに粘り強かった男が、最後は押し寄せるネクストジェネレーションの波の前に散った。時代は、先に進もうとしている。
これから先、BIG4とそれを取り巻く世代の選手たちは、一気に引退ラッシュになるだろう。ピークを過ぎつつある選手たちはたくさんいる。高齢化の影響があるとはいえ、避けられないことだ。これから5年は大変革の時期になるだろう。フェレールの引退が、その皮切りとなることは間違いない。
ありがとう、ダビド・フェレール。
またコートで、レジェンドとして会う日まで、しばしのさよならを。
【week preview】2019マドリードマスターズドロー解説
こんにちは。
あんまり体調がよくならないですね…GWは久しぶりに休める時期だったので長期休養してました。
さて、あっという間にマドリードが週明けからスタートです。
このマドリードでの最大の話題はこれでしょう。ダビド・フェレール、現役最後の大会です。
フェレールは錦織などと練習し、準備は万端。
途中棄権も多く心配された時期もありましたが、ここのところはきっちり最後まで大会を続けられています。最後の一球まであきらめないフェレールがどんな結末を迎えるのか。実況できれば実況する予定です。
それではドローを見ていきましょう。
[1]ジョコビッチ
[16]チェッキナート
[9]チリッチ
[7]デルポトロ
[4]フェデラー
[15]モンフィス
[10]フォニーニ
[5]ティーム
[8]チチパス
[11]ハチャノフ
[13]チョリッチ
[3]ズベレフ
[6]錦織圭
[12]メドベデフ
[14]バシラシビリ
[2]ナダル
①ジョコビッチ山
全豪後、優勝がなくなかなか波に乗れない[1]ジョコビッチですが悪くないドローです。
ただ見た目以上に印象深い負けをした相手が続くドローとなっています。
初戦の候補となっているディミトロフは2013年にこの大会で対戦。敗れています。人気先行だったディミトロフの実力を裏付けた試合になりました。
3回戦のチェッキナートは言わずもがな、昨年の全仏QFで敗れた相手です。その後一度返り討ちにしたとはいえ、全仏以来のクレーでの対戦。シュワルツマンも不気味です。
QFでは復帰戦となる[7]デルポトロが不気味。昨シーズンもクレーはきっちりこなしていましたし、ひざの問題がなければ怖い存在になってきます。まずは始動戦、けがなく大会が終わることを祈りたいです。
このブロックはキリオス、ラジョビッチ、ジェレなど怖いノーシード選手がごろごろ。ジョコビッチ次第では、かなり荒れ模様の展開になりそうです。
②フェデラー山
ついにクレーシーズンにこの人が帰ってきました、[4]フェデラー、実に3年ぶりのクレーコートの公式戦です。
元々は長くキャリアを続けるためという目的のフェデラーがクレーへ。さまざまな意図が考えられますが、とにかく最近のフェデラーのプレースタイルで、クレーコートでどんなテニスをするのかは未知数。あっと驚くような新戦法もあるか?
さらにそのフェデラーの初戦候補は手術明けのガスケよりもこの人になりそうです。先週一気に話題をさらった超新星、ダビドビッチです。ベルディヒの欠場により大会から緊急WCを獲得しました。
対戦したフリッツが「ジョコビッチや錦織の様なボールを打つ」と評したウィンブルドンジュニアチャンピオン、先週エストリルを予選からベスト4まで勝ち上がりました。体力面が心配ですが、フェデラーとの対戦が実現すれば相当面白いカードになります。
ここはその他も厳しいクォーターです。復調気配のゴファン、プレー出来ればやはり力がある[15]モンフィス、さらに今期マスターズ優勝者、[5]ティームに[10]フォニーニとタフなドローになっています。
フェデラーはこの大会をどう位置付けているかわかりませんが、優勝のためには相当厳しい道のりと言えそうです。
③ズベレフ山
なんとシード選手全員がnextgen世代という今を象徴するようなクォーターになりました。
ここの最有力はエストリルで決勝に進んでいる[8]チチパスか。体力面に問題なければ一つ抜けているか。[11]ハチャノフはIWでQF進出後4連敗。今期クレー勝ちなし。まず1勝が欲しい。
そして引退大会となるフェレールの初戦の相手は後輩バウティスタ=アグーに。慕っている先輩なだけにアグーは相当やりづらいです。いろいろな思惑が作用しているような気がします…
ただアグーはやりづらかったマレーとの全豪初戦でも驚異的なカムバックを見せてそのままベスト8へ。モチベーションは非常に高いマッチアップになります。
そしてその勝者を待つのは大不振の[3]ズベレフ。仮にフェレール、アグーのどちらが勝ち上がってきてもやる気十分。地元の大声援もあり圧倒的なアウェー環境でやることになるズベレフ。メンタル面が試される試合になります。
逆に言えば、ズベレフはここを勝てれば大きく成長できるのではないでしょうか。復調のためにも大事な試合になりそうです。
④ナダル山
15年ぶりに(!)開幕から4月までに優勝がなかった[2]ナダル。バルセロナに続いて母国スペインで負けるわけにはいきません。優勝が至上命題です。
しかし初戦はかなり怖い相手。カナダの若手、シャポバロフとアリアシムの勝者が上がってきます。初戦から全力でかかる必要がありそうです。次の試合はやや楽か。
[6]錦織はついにバルセロナで復調。初戦のシモンor予選勝者はバルセロナのプレーレベルなら切り抜けられそう。問題はそこからです。[12]メドベデフ、ペリャ、ワウリンカが待ち構える3Rが鬼門です。IW以降、MSでまだベスト8には入れていません。8シードの恩恵を活かし、最低限のポイントを稼いでいくことが今後の課題です。
まずは3Rを突破し180pを、その後は相手次第といった感じです。
優勝予想
優勝 ナダル
準優勝 ジョコビッチ
ベスト4 ティーム チチパス
ベスト8 ジェレ モンフィス アグー 錦織
たまにはこういう安定した大会を見たい…今回こそはナダルでしょう。
というわけで終わります。
2019NHKマイルカップ 予想
こんにちは。
皐月賞、予想はほぼ完璧だったんじゃないだろうか…
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いかに怪物サートゥルナーリアとはいえ、このデータに逆らえるのか。もし逆らえるならたぶん3冠馬です。その時は諦めます。
ちなみに今回が逆らう最後のレースになる可能性は高いです。ダービーは出走すればたぶん◎打ちます。ダービーがメイチっぽいので。強いのは間違いないので、付け入る隙があるとすれば今走です。
あと、ルメールですが皐月賞は最高3着。上位人気を何度も飛ばしている苦手なレースです。
G1ではデムルメ買っておけばいいんだなんて話もよく見ますが、このレースではまだデムルメが同時に馬券に入ったことがありません。この有力2頭(2人)のどちらかが飛ぶと読み切った大胆な予想もありかもしれません。
逆に言えば、4コーナーまでに3番手くらいに上げられていたら私の馬券は間違いなくはずれです。これを遺言として残しておきます。
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びしばし当たってますね。
飛んだのはデムーロの方だったけど日本人ジョッキーの意地を見ました。そしてサートゥル4コーナーで前が見える上位だったので私はもう諦めてました。逆らえる最後のチャンスというのも間違ってなかったですね。ダービーは◎です。馬券的に一切面白くないけど。次走は逆らえないでしょう。叩きで80%のパフォーマンスであの位置から上がり最速を出されては、直線長い府中で勝てる馬が見当たらない。距離も産駒の牝馬がオークス勝ってるし問題ないでしょう。
ここまで読めてて馬券収支がマイナスなの納得いかない…
天皇賞は忙しかったので見でした。なお◎メイショウテッコンだったので、多分取れてなかった模様…
昨日京都新聞杯で久しぶりに大きいのが当たったので、この調子で行きたいです。
というわけで切り替えてNHKマイルの予想です。
ここまで2分け3敗(皐月賞の時数字間違えてました、ごめんなさい)の私ですが、今回のNHKマイルは一番自信ないです。
今回は印を打ったのは一頭です。
◎グランアレグリア
はい、強いの一言ですね。特に逆らう理由がありません。土曜の昼までは、ね…
すべてマイルを使ってダノンファンタジーなどを圧倒。タイムも桜花賞レコード。調教も走っていて、3歳マイルでは勝てそうな馬を探すのは難しい。ましてや案の定G1連勝街道に入ったルメール。素直に本命のつもりでした、が、土曜の昼に大事件が発生しました。
午後に入って天候が悪化し、雹が降って開催中止。令和初の開催日で大事件が発生しました。これによって、当日の馬場が稍重程度になるのでは?と見られています。※朝の発表では重
今週も午前中はタイムが出ていたので、1分32秒台の決着になれば影も踏ませずに圧勝もあると思っていましたが、渋った馬場で展開が変わる可能性があります。
またオカルト気味ですが1番人気が5.0.0.5という極端なデータなのもあり、とにかく馬券が買いづらい。正直見でも仕方ないかなというようなレースです。
なので、今回は2着3着探し、しかもグランアレグリアが飛んだ場合複勝配当が倍くらいになるので、複勝だけで穴勝負にしようと思います。
今回は前走重賞の馬しかいないので、その辺のデータを見ていきます。
前走で多いのは皐月賞、桜花賞、NZT、毎日杯、アーリントンカップ、ファルコンSなどですが、ここでまず切るのはファルコンステークス組。ファルコンステークスは1400mですが、なんと1回しか馬券内なし。1400mのその他のレースまで含めても厳しい成績で、ここで6,14を消し。まさかの4番人気消しです。大敗なし、好調レーンと買い要素たっぷりですが私は消します。
で、ここからの絞り方ですが、意外なポイントで絞っていきます。それはヴィクトリアマイルです。
何を言い出すんだという話ですが、根拠があります。
ヴィクトリアマイルでは近年阪神牝馬Sからの好走馬が続いており、阪神の急坂→東京マイルに好走パターンがあるのでは?という推測ができます。
昨年からアーリントンカップがNHKマイルのトライアルレースとなり、このアーリントンカップからはタワーオブロンドン、パクスアメリカーナ、インディチャンプ、ダノンスマッシュが出ている将来の出世レースとなっています。馬券上もここで3着のレッドヴェイロンが次走NHKマイル9人気3着と穴をあけました。
今後、このレースの重要度が増す可能性に先行投資し、アーリントンカップ出走馬である4,8,10,11,16の複勝を均等買いで今回の予想とします。
個人的にその中でも推したいのは新馬戦を重馬場で勝ち、野路菊Sで皐月2着のヴェロックスを倒した10カテドラルです。
ただし輸送に対応できているかが怪しいのが不安材料です…
他には16トオヤリトセイトも気になっています。アーリントンは着差なし。展開次第ではこっちでしょう。
印を打たなかったところでは桜花賞6着ながらこちらも過小評価気味の2プールヴィル、巻き返すならこの条件しかなさそうな1クリノガウディーあたりも気がかり。思い切って人気薄ワイドBOXも手か。
上位人気は信頼できません。16アドマイヤマーズは力では上ですが、鞍上デムーロが大不振。今期重賞では(特にG1で)5番人気以上の上位人気を掲示板外に飛ばすこと多数。リーディングでは気づきにくいですが、今G1では買いたくない一人です。
ダノンチェイサーも力がありますが、ダービーに向けての試走の印象。ここがメイチかと言われると微妙。
グランアレグリアも単勝買えるオッズじゃないですね…良馬場なら諦めて買いますけど土曜日で一変しました。なら思い切って人気薄から行きたい。
そろそろTSDやるな、という流れになりたいよ!大荒れに期待です
~今週のサイン馬券~
今週は令和最初のG1ということで、やはり元号関係で行きたいですね。
まずは令和は248代目の元号ということで、2-4-8の連系…はちょっと穴すぎるので、枠連BOXの2-4-8も買っておきたいですね。
あとサイン馬券とはちょっと違うオカルトデータなのですが、近年のNHKマイルカップはレース初優勝騎手が勝つというところと、レイワということでレーン、岩田康誠の馬連ワイドあたりを攻めてみたいところです。
錦織、不振の原因を考える(2019年4月)
ここ2ヶ月間のスランプぶりには衝撃を覚えている方も多いと思います。
ではその原因は何なのか?ということですが、その前に、ここ最近の負け方を振り返ってみましょう。
錦織は安定感のある選手と言われています。これは空想ではなく、2014年上海のソック戦から2017年ブエノスアイレスのドルゴポロフ戦まで、28ヶ月間トップ50以下の選手に負けていなかったことから明らかです。
その後ベルッチにも連敗した後は、あの不振だった2017年ですら、けがをするまでトップ50以下には負けなし。
そんな錦織がフルカシュに連敗。トップ30以下の選手にわずか3ヶ月で5敗。
最近のATPは戦国時代なので、もちろんランキングは以前よりあてにならなくなってきていますが、それにしても納得できる数字ではありません。
そして負け方をもう少し詳しく見ていきます。
フルカシュの連敗はともにフルセット負け。接戦を落としています。
エルベール戦もストレート負けですが、次の記事でまとめるように内容自体は競っていましたが、敗戦。
とにかく最近の負けは、競った場面で力を出し切れずに敗れていることが特徴だと思っています。
そして競った場面で勝っていく、それはトップ10の資質です。
今の錦織には、それがありません。
なぜ錦織はトップ10なのか?という質問をよくされます。状況によっていろいろ答えは変わってきますが、その中の一つに「接戦をものにできる力がトップ10、いやそれ以上」と答える時があります。
では接戦をものにできる力とは?となります。
競った場面ではどちらも勝利へのポイント数、距離が同じ。本来であれば勝率は5割に近くなってくるはずです。
しかし実際の数字を見ると、錦織のディサイディングセットの勝率は言うまでもないですし、もっと極端に競った場面(ファイナルタイブレとか)の勝率も皆さんの知っている通りです。
そしてこれは、BIG4なんかにも言えることです。強い選手は軒並みこの傾向があります。
何が他の人と違うのか?こういった場面ではよくメンタルが語られます。
メンタルも一因でしょう。大舞台で、普段通りのプレーをすることは大事です。
しかしそれだけではないと思っています。私の考えは、プレー選択です。
試合の終盤戦は試合を戦ってきてのサーブ、ラリーの傾向が出揃ってきている状態です。要するにデータがたまった状態。
データ云々を試合前から語り、対策することもできますが、コートに立てばもう誰の助力も得られない。その状況で信じられるのは自分が試合で受けてきた相手のボールです。その時に適切な選択ができるか。
例えばこんな事例を知っています。去年の全米QFのチリッチ戦、MPでの完璧なリターン。それに対して錦織は「あそこに来ると思った」とコメントしています。
山を張っていたわけではないと思います。錦織は、理由不明ですがワイドサーブを読み、完璧にリターンをした。これはメンタルではなく、れっきとしたプレー選択です。
これはビッグマッチでの例えですが、相手のランキングに関わらず錦織はこれを出しているのだと思います。
ただ、そういったプレーは我々には認識しづらい。なんかよく分からないけど接戦を勝った。そう片付けられてしまうのです。ファンはこれを「劇場」と呼んだりしますが、劇場が起きすぎなんです。普通は同じだけ負ける。そうならない理由がどこかにある。
私はブログ活動で、できる限りポイントプレーを解説するようにしてきました。これは私の信条である「原因は、プレーに還元されるべき」というものに基づいています。
今回のエルベール戦でも0-40でそれが出ました。まずかったプレーについて次の記事で解説する予定です。
そして五輪のモンフィス戦では、なぜモンフィスがDFし、錦織が逆転できたのかを解説しました。全ての試合でできているわけではありませんが、このように勝つ理由/負ける理由がどこかに隠れているはずなのです。あとは観戦者がそれを発見できるかどうか。
残念なことに、日本のテニスファンにはその力がまだ足りていないと思います。スポーツを本気で解析し、考えていくということをアマチュアのファンからやっていかなければいけない。そうでないと、メディアが作り上げた競技と関係のない部分での人気取り。一過性のブームを超えてスポーツ観戦の成熟した文化が定着していくことはないと思います(この辺は話の脱線です)
さて長々と語ってきましたが、要するに今の錦織の不調原因はここです。
適切なプレー選択ができない状況にある。その結果、いつもなら取れている接戦のゲームを簡単に落とす。
これを不調という2文字で片付けることは簡単ですが、もう少し踏み込んでみたいことがあります。
似たような不調で片付けられつつあった時期がありました。それが2017年2月です。
南米クレー遠征、結果は失敗に終わり、荒れたコートに対応できず150Pしか加算できずにシリーズを終えました。これが2014年以降けがで離脱するまで唯一トップ50に負けた時期でした(ドルゴポロフはランキングに見合ってなかったとはいえ)。
この時錦織としては珍しいことが起きていました。それが「wooden spoon」です。
wooden spoonとは「決勝で負けた選手に、準決勝で負けた選手に、準々決勝で負けた選手に…」という風に、トーナメントの負けた方を追っていったときに最後にたどり着く選手(チーム)のことです。
2017年リオの錦織は、これに当てはまっていました。
元来錦織はこの「wooden spoon」になりにくい性質を持っています。
なりにくい性質ってどんなんやねんというツッコミが来そうですが、2つ理由があります。
まず最初に、錦織の初戦負けが少ないということです。これはご存知の通り、先ほどまで示してきた「安定感の錦織」にあります。初戦で当たる相手はランキングが低いため、負けることがほとんどありません。
さらに二つ目として、その「安定感の錦織」に勝てる選手は、軒並み調子がいいことが多いです。錦織に勝った選手(特に若手)がその後ブレイクしたりしばらく活躍するというのもよく知られていますが、これはこのためです。錦織を倒すには、それ相応の力がないといけないのです。
逆に言えば、初戦で錦織に勝った選手が次戦負けて、その次の選手も…となるということは、相手ではなく、その基準となる錦織を疑うべきなのです。
要するに、錦織のプレーレベルが著しく下がっているために、なんということはない相手になんということはなく負けてしまい、なのでその選手が次を勝ち上がれない、ということが起きているのです。
普段であればなんとなく劇場で終わっていた試合が、そうならない。だから並の相手に立て続けに負ける。
分かっていると思いますが、私は対戦相手をリスペクトしています。ただあくまでこれまで戦ってきた相手と比較して「並の相手」という言葉を使っています。それぞれの相手を軽視しているわけではありません。よく相手をリスペクトしている言葉として「相手がうまかった」「相手の日だった」と評することがありますが、さすがにそれの連発では済まされないほど負けています。なので、そこは正直に書きました。
そしてマイアミ。ラジョビッチに力なく負けた錦織。その結果、リオの時以来2年ぶりに「wooden spoon」になってしまったのです。(この辺はモンテカルロの中盤で書いたので、ラジョビッチが決勝に行ってあまり説得力がなくなってしまった…)
あの時と同じだ。そう思いました。これはまずい。
ここまでの長い説明を要約したのが、モンテカルロドロー発表後の私のこのツイートでした。
記事にも書きましたが。
— twosetdown/今田望未 (@twosetdown) 2019年4月14日
錦織はまず自分のプレー。自分のプレーが戻っているかどうかが勝ち負けの条件と言っても言い過ぎではない。まず自分のプレーです
さすがに今回のブログは解説が長すぎですが、端的にまとめる時はこういう前提があったことを省略していることがあります。
まずは自分次第。自分のプレーが上がらないと話にならない。私は大会前からそう思っていました。そして、モンテカルロ、悪い予感が的中しました。
そして、あの時と同じだと思った理由がもう一つあります。それが手首の違和感です。
今年の手首の問題はドバイから目に見えるようになってきました。試合前に突然テーピングを治すためにトレーナーを呼びました。
2017年は正確にいつから問題が起きたかはわかりませんが、少なくともマイアミでは違和感を出していました。
この原因が南米クレーまでさかのぼるかは微妙なので、ここからは私の推測が入りますが、南米クレーのバウンドが不規則だったために、対応するプレーを強いられた結果手首に負担がかかり、その後悪化していったのでは?という仮説を立てています。
ハイバウンドのサーフェスがあまり向いていないことはこれまでも指摘されていますが、アカプルコ、IWと続くハイバウンドスローハードのサーフェスが手首の面で大幅にマイナスである可能性があるのに加え、南米クレーの選択で一気に悪くしてしまったのではと思っています。
そして今回も手首の問題は続いています。確かに今日練習を再開したとはいえ、モンテカルロに入って練習をあまりしていなかったなど、手首の問題を軸に考えると納得のいく点が多くあります。
さらに私はこんな仮説を立てています。
現在の錦織は、手首の負担により集中を欠き、本来全く別次元の問題であるフットワーク、判断能力などに影響が出て、重要な場面で本来のプレーができていない、それが現在の不調の原因である
普段から勝負強い錦織がwooden spoonになり、明らかに調子を落としている。これに理由がないわけがない。手持ちの情報とこれまでの結果とを照らし合わせていった結果、こんな仮説を立てました。
だからこそ、これまでと同じようなテーピングだったとはいえ私はいきなりツイートをしました。
2,3月のもろもろかつ今週あまり練習してないという全てが一直線に繋がる手首のテーピング…
— twosetdown/今田望未 (@twosetdown) 2019年4月17日
手首の問題が根本的に解決しない限り、すっきりした勝利は来ない。
こう思っていた私に、この事実は重かった。そして結果はその通りになりました。
じゃあ今後錦織陣営はどうすればいいのか?という話ですが、はっきり言うとかなり先は暗いです。
というのも、本質的に手首の問題が解決しないと、この悪循環は脱出できないと思っているからです。
正直手首の問題とフットワークが落ちることは何の因果関係もないですし、判断が鈍ることも本来関係ないはずです。
しかし、ストレスなくテニスをすること、というのが実は錦織圭が勝つために最も必要なことなのではないか?というのが最近の私の持論です。
そして、それができない。手首の問題が残り続ければ気になってしまいます。
2度の大けがをして復帰してきている錦織にとって、そして30歳手前のキャリアを考えると最大の敵が長期離脱であることは言うまでもないですし、それを無視してプレーをしてほしいと願うことは無理な願いです。大けがをすることがどれだけ恐怖なことかは本人にしかわかりません。ですから、そこまで求めることはできません。
だからこそ、この悪循環を抜けるためには手首の改善、これしかないと思っています。
とはいえそんな簡単に手首が治るわけではありません。むしろ長く付き合わなければいけないのが手首のけがです。デルポトロの例を見ても分かると思います。
だからこそ正直に言いますが、先が見えないし、とても暗い気持ちなのです。
ものすごく正直に書きました。が、これまでの結果から分かることで私は意見をまとめたつもりなので意見や批判は受け入れます。ただ本当に、今は先が見えません。2015年後半のような、いつかトンネルを抜けるだろうということも宣言できません。
バルセロナはすぐやってきます。生実況で、ブログで、引き続き今の問題点を解説していきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
ATP最終戦を日本が誘致する可能性について
こんなニュースが飛び込んできました。
Tokyo strong contender to receive the ATP Finals in 2021. A Japanese played 4 of the last 5 ATP WTF. https://t.co/IeJQl0cRrE
— José Morgado (@josemorgado) 2019年4月17日
年間最終戦、現日東ATPファイナルズの開催地について、ロンドンからの変更が濃厚になるそうです。
といっても、歴史的には年間最終戦はすぐに開催地を変えていくものでした。現在のATPの商業主義を反映して、演出や売り上げに貢献できるような場所ということでロンドンでの開催が非常にフィットしていました。これが10年以上にわたって開催できた理由ですが、ぼちぼち変えた方がいいというのも本音でしょう。
バークレイズがスポンサーから降りて、日東電工がスポンサーになったことで日本開催もあるのでは?と思っていましたが、どうやらその可能性があるようです。
さて、日本でやる場合どうなるのか?という不安点もいくつか挙げられると思いますが、私としては日本開催は賛成です。それは以下のような根拠があるからです。
1.五輪レガシーを生かす
もはや厄介事として語られることが多くなった東京五輪ですが、実際どこの国でも五輪開催には一悶着あるのが常。ロンドン五輪ですら都市街のスラムなど様々な問題が起きていました。自国で何かあると問題点から探すのが日本の風潮ですが、必ず開催されるメリットがあるはずです。
ちょうど先日の記事で、日本に本当の意味でのスポーツ観戦文化をという話がありましたが、そのためにはまず箱からです。箱とは競技場のことですね。
五輪によって有明コロシアムの再整備が行われていることは確実に今後プラスになります。
これまで楽天ジャパンオープンの問題点を挙げると、必ずと言っていいほど出てきた施設の老朽化問題。これが五輪開催によってクリアされました。施設が新しくなったことで、大会中の様々なアクセス面などの課題が同時に達成されます。実際暫定的な開催地である武蔵野森でも結構いいなと思うところあります。それは施設が新しいからです。
で、五輪開催後はそのレガシーとなった各競技場の維持が課題になります。国立競技場が結局今五輪まで立て替えられなかったように、その施設を使い続けていく必要があります。その先鋒としてNAFを開催することは大きな意味があります。
2.スポーツ観戦文化の成熟への寄与
錦織が出場するか否かは置いておいて、さすがに世界のトップ8が参戦するとなると、メディアなどでも取り上げられると思います(と、思いたい…)
ちょうど開催が予定されている2021年は錦織もキャリア終盤に差し掛かり、楽天ジャパンオープンともども日本テニス界にとっての大きな分岐点を迎える時期です。
理想としてはサッカーのように世界各国の選手のファンが普通にいて、普通に認められるような状態になっているといいのですが…
そうしてミーハーな人だけでなく様々な日本人がNAFを見に来て、なんなら隣に座った外国人の方とおしゃべりしてみんなで楽しむような空間になるといいと思います。
3.MS昇格へ!
お金さえクリアすれば楽天ジャパンオープンはATP500でも上位の大会だと思っています。賞金だけなんですよ本当に。これだけのお客さんの埋まり方はどこの大会見てもありません。なのに賞金上がらないってことはスポンサーなんです。
上海が最終戦開催後MS新設されたように、東京も開催実績を作り、テニスにスポンサーが集まるようになれば夢の東京MS開催も現実味を帯びてきます。ATP、アジアにお金を出したいとは思っているのであとは思惑さえ一致すればだと思うんですよね、本当に。
その他、様々な問題点についてです。
・演出面での不安
ロンドンのように派手にやるのが当たり前のようになっていますが、あまりこだわる必要はないかなと思います。
上海の時に同じようにできていたか?と言われると、はてなです。
ロンドンは継続して開催できたからこそ慣例化したところもあると思うので、あまり前例にとらわれずに日本式でやったらいいと思います。
・お金の問題
たぶん足りなかったら選考の段階で弾かれると思います。開催されるならそこはクリアしているから大丈夫と思いましょう。
・スポンサーは?
これが一番心配かもしれません。ただロンドン開催でも日東電工さんが手を挙げたように、日本開催までくればスポンサーになる企業様も出るかもしれません。
・パリからの移動が負担ではないか?
さすがに最終週から1週間空く日程にはなると思います。
それでも問題があるなら、欧州インドアとアジアシリーズの順番を入れ替えればいいと思っています。ツアーカレンダーを刷新するいい機会ではと思います。何度も言ってますがメスとサンクトペテルブルグが謎の開催週なんで…もはや欧州インドアを9~10月、アジアを最後にして、アジアに遠征したくない選手は早めにシーズンを終えるでいいと思います。ATP働きすぎ。休もう。
あとすっごいどうでもいいことだけど、毎年F1の鈴鹿決勝と楽天決勝が同日同時間帯だからいい加減ずらしてほしいという願いも込み
というわけでなんとかなる予想です。
2021年となるとBIG4が引退している可能性もあるので難しいところですが、それでも楽天ジャパンオープンのあの入りに加え、熱心な海外ファンも来るでしょうからなんやかんやで席は埋まってくれると思います。
会場は新有明を想定していますが、SSAなんかもあり得るんですかね(IPTLの開催実績あり、国内最大キャパ級)
近いうちに発表されるということで待ちたいですね。
あとトリノでやるという話も出ていますが、それならミラノでやってるネクストジェネレーションファイナルを東京でもいいのよ。FITさん、そこんとこよろしく