two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

ナンバー1が最後に与えた宿題(2014ツアーファイナルズSF)

11/15 現地20:00~(日本時間翌日5:00~)

Barclays ATP World Tour Finals

SF

[4]Kei Nishikori 1-6 6-3 0-6 [1]Novak Djokovic

今シーズン、錦織が「これは負ける」という負け試合はいくつかあっても、「これは勝てただろうに…」という試合は数えるほどしかありませんでした。

最後の試合、フルセットで負けたこと、誰もが途中で「勝てる可能性がある」と思ったこと、そのめったにないパターンで負けたことこそがナンバー1ジョコビッチから錦織に与えられた「宿題」のような気がしてなりません。

試合内容はいたって単純です。

序盤からジョコビッチは攻撃的でした。それにミスも少なく、あれだけの攻めを展開されてはいくら守備のいい錦織といってもどうしようもありません。

当時の実況コメントにもある通り錦織は決して悪くはありませんでしたが、ジョコビッチが良すぎました。

第1セットを力なく1-6で落としたものの、私の中では第2セット、キープをしっかりすることができればわからないと思っていました。

しかしそのオープニングゲームもブレークされ、正直終わったと思いました。

私はすでに何十試合、何百試合とプロテニスの試合を見ています。

私が諦めたというのは、いわゆる普通の選手ならここから逆転することは不可能ということです。経験が実証済みです。

その流れを止める最後の可能性と思った第1ゲームを取られ、ジョコビッチはもうこのまま行ってしまうと思いました。

が、ここでジョコビッチのプレーがほんのわずか、ほんのわずか雑になったところを錦織は逃さなかったのです。ブレークポイントを一本で決め、第2セットをイーブンに戻します。

これは2014年の錦織らしい場面でした。挽回力です。しかも一般的な想像をはるかに上回る展開での挽回です。

するとジョコビッチの歯車が狂い始めます。

テニスを始めて見た方であれば奇妙だったでしょう、なぜあれだけ完璧なプレーをしていたジョコビッチがミスを量産し、錦織に振り回されるのか。

テニス自体がそういう微差でひっくり返るスポーツなのですが(また詳しく話します)、なによりこれがテニスがメンタルスポーツと言われる所以です。

この地点で錦織側もセットを落とし一時は絶体絶命まで行ったことで気持ちをリセットし、攻撃的なプレーが戻ってきました。ジョコビッチを翻弄する場面が出てきます。

加えてサーブです。やはり1stが入ってくると最近の錦織はほとんどポイントを落としません。キープが楽になり、いい流れを掴み始めていました。

ジョコビッチもサーブを中心にキープしますが「いつかは錦織にもう一度チャンスが来るのでは」とはうすうす思っていました(実況参照、3-3でのコメントなど)。

あのジョコビッチ相手に、ファイナル2連覇中、インドア30連勝中のジョコビッチに対して押しているのです。最近のテニス界において非常に難しい勝利は

フェデラーの芝(以前よりは勝ちやすくなってきてるが…)

ナダルの全仏(66勝1敗)

ジョコビッチの全豪(バブリンカに負けるまでに3連覇していた)

ジョコビッチのインドア(年末シーズンの強さは異常、現在錦織戦含めて31連勝中)

の4つです。

ですからもうこの地点で錦織がすごすぎるというか…「勝てない相手はもういない」んだなあと思いました。

そしてもう多くの方が指摘されている第3セット第1ゲーム。

あそこがブレークできていればかなりの確率で勝っていたでしょう。

本人のコメントや修造さんの解説通り「攻めにバランスを置きすぎた」のが原因です。

ジョコビッチはこの地点では防戦一方だったので、第2セットの後半のプレーをそのまま続けていたほうがよかったと思います。

ですがここでさらに攻めに比重を上げたプレーになったことでミスが出始め、ジョコビッチに余裕を与えてしまったことがよくなかったです。

あとは珍しく「勝ちビビり」のようなものもあったような気がします。

私ですら思ってしまいましたからね。ほんとにジョコビッチに勝っていいのかと。

あの場面、試合を決定づけるようなポイント。錦織はメンタルが強く、こういう場面でも幾度となくブレークを決めてきた選手ですが、少し今回は状況が違いました。経験を知っているジョコビッチが一枚上手だったということです。

心配することはありません。むしろ昨日の試合で錦織がトップ選手としての実力を十分に発揮しただけでなく、ここがゴールではないこともはっきりと証明しました。

あのジョコビッチにここまで戦えたのです。ですからもう主要大会の頂点に立つのは時間の問題だと思います。仮にそれが2か月後の全豪になったとしても驚きません。

そしてこの試合の意味をもう少し探ってみましょう。

さっきも書きましたが、錦織がファイナルセットで負けたのは今年2回。といってもその一つはマドリードナダル戦なので、戦って負けたのは1月のブリスベン、ヒューイット戦以来10か月ぶりなんです。

そしてその負け方もヒューイットの時以上に一時は勝ちを確信できた試合でした。

だからこそ、悔しかったでしょう。今期の負けはほぼ疲れ負けか大差で実力を見せられ負けた試合のみ。そりゃそうですか、接戦は全部勝ってるんですから。

しかしこれはジョコビッチからのナンバー1になるための宿題のように思えました。

ジョコビッチは調子が悪くても挽回できた。ではなぜあのままジョコビッチを打ち破れなかったのだろうか?

この答えは、来シーズン見せてもらいましょう。

ランキング中位やトップ10の下の層には劇的な勝利を収めても、やっぱりビッグ4には、3勝したもののその代わりに4敗しています。

何が足りなかったのか。それを分析すれば来年の目標は決まったも同然です。世界の頂点に行く。それができる選手です。間違いありません。

当ブログも来シーズンの具体的な応援目標として「錦織圭、世界1位を目指すために」と銘打ちたいと思います。

それを証明するのに十分なのはこの表でしょう。ランキングです。

結局フェデラージョコビッチの勝ちあがりで、今シーズンのすべての上位選手の年末ランキングが確定しました。

1 ジョコビッチ    11010 A 3-0 F 

2 フェデラー       9700 B 3-0 F

3 ナダル       6835

4 バブリンカ       5295 A 2-1 SF

5 錦織圭       5025 B 2-1 2位 SF

6 マレー       4675 B 1-2

7 ベルディヒ       4665 A 1-2

8 ラオニッチ       4440 B 0-2

9 チリッチ       4150 A 0-3

10 フェレール       4045 alt 0-1

5位です、5位。誰がこの最終結果を想像したか。夏ののう胞手術のころに言ってたらアメリカンジョークとか言われてたでしょうね(笑)

錦織チームは主要メンバーの5人そろって手をパーにして5位で終わったと喜びの写真を上げていました(リンクは自分で探してください)。申し分ない活躍でした。本当にチームのみなさんお疲れ様でした。まずはエキシビションはありますがゆっくり休んでください。

いろいろ言いたいんですが今日はこの辺で。

数日ほど私用によりレギュラー記事の更新を止めます。しかし、私はネタを温めておいたので、それを代わりに更新します。

そうです、休んでいた当時の記事を書き溜めていました!!

というわけで明日は全米オープンの感動をもう一度。お楽しみに。