two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

【過去アーカイブ】テニスの歴史が変わった日(2014全米OP準決勝)

※きのう書いたようにこれは過去の保存していた文章です。ファイナル決勝戦に関する最新の情報は記事の後半で書きます。別記事立てする予定でしたが、まさかあんな結末になるなんて…

9/6 現地12:00~(日本時間翌日1:00~)

Grand Slam 2000 US Open

SF

[10]Kei Nishikori 6-4 1-6 7-6(4) 6-3 [1]Novak Djokovic

試合後2時間後

SF

[14]Marin Cilic 6-3 6-4 6-4 [2]Roger Federer

今日、テニス界の歴史が一つ変わりました。

2014年冒頭から当ブログを見られている方は私が何度も「4強時代の終焉」という言葉を使ってきたように思われるでしょう。

私自身も新たな時代が作られることを喜ぶ半面、やはり異質な存在であった4強が主役を譲る姿は想像できず、またその後の時代がつまらないものになることも予想されました。だからこそ私自身が4強時代に固執していたように思います。

バブリンカの優勝という結末に終わった2014年全豪では4強時代が終わったと言いつつも、展望記事もやはり4強寄り。

だからこそ今日思いました。大丈夫だと。この先の未来は大丈夫だと。

2014年がテニスの歴史において重要な年になっていることはこれまでの多くの番狂わせから分かる通りです。若手の躍進・ベテランの復活優勝・フェデラーの復活もそれにあたるでしょう。

しかしどれだけ驚きを巻き起こそうとも、一度を除いて全く開かれなかった扉があります。

それがグランドスラムの決勝への4強以外の侵入。

2014年冒頭はバブリンカの全豪決勝進出でついにその扉が開かれました。このまま行くか?と思われたところでの全仏とウィンブルドン

全仏では完璧な内容でフェデラーベルディヒを打ち破ったガルビスがジョコビッチに完敗。

ウィンブルドンではビッグサーバー、芝でその力を発揮するラオニッチが錦織、キルギオスを破るもフェデラーに赤子の手をひねられるように力なく敗戦。

前哨戦のクイーンズで優勝し勢いをつけて乗り込んだディミトロフもマレーに勝利、ジョコビッチに善戦するもまたもや届かず。

グランドスラムの2週目は一つ一つが試される場所ですが、若手世代は「頂を見る」ことはできても、決勝の舞台、頂に立つことは許されてきませんでした。

これまで若手世代の挑戦は、デルポトロ以下の年齢では、デルポトロ(09全米優勝)、チリッチ(10全豪4強)、ヤノヴィッツ(13全英4強)、ガルビス(14全仏4強)、ラオニッチ(14全英4強)、ディミトロフ(14全英4強)、でした。

一気に駒を進めたデルポトロ以外はSFで全滅です。それほどにSFは大きな壁と化していました。

それが1日で2人も扉を開いた。特に最初の第1試合で初めに扉を開いた錦織圭の偉業はもっと評価されるべきです。

第2試合のチリッチも立派ですが、直前に同世代の錦織が扉を開いた影響は少なからずあると思います。

ジョコビッチ戦を少し振り返りましょう。ジョコビッチ戦の見どころは書けませんでしたが(笑)錦織は「next Djokovic」と称されるほどジョコビッチと同じフットワーク、ディフェンスがいい選手で長期戦、質の高いラリーが想像されました。ある種自分の上位互換に戦うわけですから簡単ではありません。

勝負を分けたのは第3セットでしょう。やや体力的にも厳し環境だった試合でしたが、ジョコビッチが第3ゲームのデュース合戦を取れず、落ちてきたところをタイブレークで見逃しませんでした。一旦突き放したリードを追い付かれるものの、最後はリターンからの強烈な攻めで第3セットをものにしました。

第4セットは第1ゲームでブレークに成功、そして第2ゲームでは0-40からキープ。ここで勝負は決まったように思います。

簡単にまとめてしまいましたが世界1位相手の試合です。それを逆にやられるのが定石です。

勢いのある若手を簡単にひねりつぶしてしまう4強。幾度となく見てきた光景です。錦織のゲーム感が光った試合でした。

スコアリングといい、総得点がほぼ同じだったことも含めて2013マドリードフェデラー戦を思い出します。テニスを知っている人の勝ち方です。

第2試合のチリッチ戦も見ました。チリッチ、生涯最高のテニスだったと語っているようにもしこのプレーが来たら簡単にはいかないでしょう。効果的なサーブにハードヒットが炸裂。

フェデラーとしては2日前にモンフィスに2セットダウンしている状態。このような状況で巻き返せる力はありませんでした。

ただ逆にこれ以上のチリッチが来ることはないでしょうし、やってくることはサーブとハードヒット、分かっているわけですから戦略チームがなんとかしてくれると思います。

また倒してきた相手を見てください。3回戦から錦織はマイヤー、ラオニッチ、バブリンカ、ジョコビッチ

チリッチはアンダーソン、シモン、ベルディヒフェデラーです。どうでしょう、若干ではありますが錦織の方がすごい勝ち上がりですね。

自信を持ち、とにかくやれることをやる。それが優勝への最短コースだと思います。

対戦成績の情報などもありますがこの決勝においては全く意味を持ちません。

グランドスラムの決勝だけは見えない力が働いています。というか、今大会に限って言えば第2週はずっとそんな感じがしますが。

錦織とチリッチは2008年に颯爽と登場して以来、4強の次の時代を作る選手と言われてきました。その選手が結局初めての壁を破り、決勝で戦うことは意味のありすぎることだと思います。

さてランキングの方は大変なことになってきました。

(割愛)

錦織は優勝すれば4670pで5位です。夢のトップ5に一気に登り詰めます。

またチリッチは優勝で9位です。

それにしても12位で3000越えとか…8位がほぼ4000とか…こんなことあり得ませんよ普通。

ちなみにジョコビッチ5月まで無敗だった2011年の年末ランキングは9位のティプサレビッチが3000点を割っていました。

ランキングのポイントは毎年同じなので、このデータからも分かる通りいかに今年が戦国時代かということが分かります。

つまり4強が独占していた1大会で1000p近い得点が下位者に分配され、こういうことが起きているのです。

顕著なのはレースランキングです。こちらです。

(割愛)

錦織はついに5位に踊り出ましたが、下位との差は近いですし、チリッチが勝てば逆転されます。今後の大会で必死に勝っていくことを考えれば、この1勝の勝ちは大きいです。

勝てばツアーファイナルズ出場は決定的でしょう。日本人初です。

私はかつて言ったと思います。4000pないと今年は厳しいと。まさにその言葉が現実になろうとしている戦国時代です。

ジョコビッチ戦の地点でいくつの記録を塗り替えたでしょうか。私も細かい記録まで調べ切れていないので分かりませんが、とにかく今の錦織は優勝してもおかしくないですし、気持ちで負けてほしくない。

明らかに今大会をより劇的に勝ち上がっているのは錦織です。間違いありません。彼には今大会を優勝で締めるそんな力が働いても全くおかしくありません。24時間後、センターコートで勝者として立っているのが一人の若きサムライであることを期待して。(終わり)

このアーカイブを移してて思ったんですが、なんと全米優勝したら4600p台でひーとか言ってたのに、現実では勝てなかったのにパリ終了で4600pまで追いつき、ファイナルで5000超えたんですよね…いかに成長曲線がおかしかったかですよ。

あと何気にレースボーダーの4000pを予言してますね。まあ実際4000越えのフェレールが落ちてるんでから怖い怖い。

さてファイナルの決勝ですが残念なことにフェデラーの試合前棄権で幕を閉じました。

これは非常にショックでした。

フェデラーは棄権をめったにしない選手です。それでいて試合中棄権はいまだゼロ。体のマネージメントに長けた素晴らしい選手です。

そのフェデラーが棄権を選択したことはショックです。

つまりこのまま試合を見せても意味はない、これだけ高額のチケットを買ったお客様に対してこの発表をしたということは相当体が悪かったようです。

実は今シーズン、省エネで高ポイントを得続けたジョコビッチに対して、フェデラーは80試合以上の試合をこなし、今年の最多試合数を記録していました。

ですから33歳のフェデラーにはきつかったのでしょう。しかしそれでも、王者は試合に出続けていた…

来年34歳になるフェデラーリオ五輪まではやってくれると信じていますが、「その時」は着実に近づいているんだなあ…と思わされました。

そしてこの緊急事態に対応してくれたマレーには大感謝です。BS朝日ではどうやらその流れが分かっていなかったとも聞いていますが、なんとか最終日を盛り上げようと色々企画が行われたようです。

激動の2014年は幕を閉じました。本当に今年はいろんなことがありましたが、それはこれからオフシーズンに解説していきましょう。

とりあえず今はフェデラー、ラオニッチの回復、そしてナダル、デルポトロの復帰を待ちましょう。来シーズンはまたとんでもなく面白いシーズンになりそうですね。

明日は全米決勝のアーカイブです。それでは。