two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

【過去アーカイブ】決勝という異次元の場所で見た「完敗」?(2014全米OP決勝)

9/8 現地17:00~(日本時間翌日6:00~)

Grand Slam 2000 US Open

Final

[10]Kei Nishikori 3-6 3-6 3-6 [14]Marin Cilic

スコア上完敗でした。

またスコア以上の差も感じられる試合内容でした。

しかし私たちはもう知っているはずです、錦織圭はこんなレベルの選手ではないはずだと。

ではなぜここまでの大差になってしまったのか、それはここが「グランドスラムの決勝」だからです。

ここ数年のグランドスラム決勝はずっとこんな感じです。

正直今年の全豪、全仏、全英、すべて私の予想の逆を行ってます。

記事が残っていないので書きますと全豪はまあナダルが一蹴するだろうと。

全仏は勝ち上がりが圧倒的にジョコビッチ。前年のSFもあったしそろそろ勝つだろうと。

ウィンブルドンも明らかにフェデラーの方がよかったはず。ジョコビッチはディミトロフにフルセットだったのに、決勝では違った。

今回の全米もまさに同じです。錦織に期待する人は多かったし、世界的に見ても6:4くらいの印象でした。

聖域での勝負はそして何かしらの「意味」を私たちに与えてくれます。

全豪では2014年のこの先の波乱のほんの序章を私たちに見せてくれました。

全仏では前哨戦の不安を打ち消す全仏ナダル帝国の健在を示しました。

全英ではジョコビッチのQFからの執念と世界1位の維持を見せてくれました。

今回はどうでしょうか。チリッチには「イワニセビッチの影」があったように思います。

チリッチがドーピングから復活してきた選手というのは多くの方がご存知と思います。

今シーズン2月はチリッチの月でした。ところがその後目立った成績が出ず一発で終わったかと思っていました。

その評価を変えたのがウィンブルドン。8強進出。ジョコビッチにも善戦。私はこの時から「チリッチは危険」と言い続けてきました。

そして夏のマスターズ。敗れた2試合とも熱戦。勝ち残った結果よりも怖さを感じていました。それこそカナダ4強のディミトロフよりもです。

結果全米では比較的楽なドローになったこともあり、フェレールとの対戦を避けられたのも大きかったですね。

この一見ノーマークから勝ち上がってきたのが、まさに2001年、チリッチのコーチのイワニセビッチの優勝に酷似するのです。

そう考えるとこの全米は「チリッチの物語」だったのかもしれませんね。

さてグランドスラムの決勝は勝者だけではありません、敗者にも大きな物語があります。

2012年ウィンブルドン決勝のマレーの物語はご存知でしょう。その後1か月後の五輪で優勝、さらに2012全米を制して臨んだ翌年のウィンブルドン。この話の流れは小説を超えています。そんなプロット私でも書けません。

2013全仏決勝のフェレールは今回の錦織戦以上の大差でしたが、フェレールはしぶとく勝ち残り、いまだトップ10をキープし続けています。その年のパリでの準優勝、シンシナティでの準優勝などは記憶に新しいところ。鉄人はまだその刃を研いで、しっかり次の勝利に向け突き進んでいます。

だとすれば今回の錦織は何でしょうか。今の段階で思いつくのは「次のグランドスラムの布石」です。

間違いありません。決勝でこのスコアで敗れてもなお確信します。錦織圭はあと3年以内に必ずグランドスラムを取れます。

あのクレーでの快進撃から、私はウィンブルドン以外ならどのタイトルを取ってもおかしくないと思います。

今回ケガ明けで体力不足が不安視されながら、ケガなく250ゲーム以上を戦ったということは今後の優勝に向けての体のマネージメントとして非常に自信が持てる要素です。

決勝に進んだという事実もまた彼を強くします。チリッチ、デルポトロという1年上の選手が優勝しましたが、錦織以下の年齢の選手はいまだグランドスラム決勝に届いていません。錦織が世代の最も先を走っているのです。

チリッチには失礼ですが、突如の覚醒ということもあるので、まずはアジアシリーズをどう戦っていくかが注目です。一発で終わるのか、本格的にハードヒットに開花して「第2のデルポトロ」となれるかが私の注目するポイントです。

最後に試合を軽く振り返っておきましょう。

錦織にはないミスが多かったように思います。突き刺さるようなショットも鳴りを潜め、むしろよくあのスコアで持ったというような内容でした。

一方のチリッチはフェデラー戦の「生涯最高のテニス」を続けてきました。

ベスト錦織からほど遠く、チリッチは生涯ベスト。これでは勝ち目はありません。

やはり第10シードからだときついドローでしたね。錦織は今回で浮上したランキングをとにかく生かすことです。

8位以上をキープしていけば格上対戦はQFからです。そうするとまた決勝にピークを持ってきやすいですしね。

ランキングについては一旦考えるのはやめましょう。とにかくアジア人最高位の8位になったことは大快挙です。チリッチがすぐ下に来ましたし、ディミトロフも近いです。

それから一つ付け加えておきましょう。マレーがトップ10から落ちるかもしれません。8年ぶりです。来週発表のランキングです。でもデ杯準決勝で勝ったらぎりぎり残れるのかな?

レースランキングは今週5位で、来週はチリッチの下で6位です。

といっても11位マレーまでは全員チャンスがありますので、気を引き締めてアジアシリーズ・欧州インドアを抜けてほしい。ツアーファイナルズはもう目の前です。

また整理して全米のいろんなことを書きたいと思います。それでは。(終わり)

さてアーカイブはあと1回、楽天OP決勝です。

それが終わるとオフシーズンの企画に入りたいと思います。

題して「閑話球題」 漢字を変えているのはもちろん意図的です。

この企画では今シーズン中盤~終盤からツアーを見始めた人に、来シーズン100倍楽しんでもらえるようにいろんな目線から現在のプロツアーを見ていきたいと思います。古参の方でも驚くような内容も用意しています。

こんなことについて書いてほしいとかあればコメント欄までお願いします。

現在のところ17回分の構成は確保したので、十分な気もしますが。これでブリスベンまで乗り切れるか…?