two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

二重人格?突如戻ったストロークの錦織圭!!(2015全豪3R)

1/24 現地17:30~(日本時間15:30~)

Grand Slam 2000 Australian Open

3R

[5]Kei Nishikori 6(7)-7 6-1 6-2 6-3 Steve Johnson

第1セットは誰だったんだろう…

びっくりでした。いろいろな意味で私も観戦の肥やしになる面白いゲームでした。

1セット目は錦織圭の形をした別人だったように思います。

とにかくサーブが軒並みエースになる。しかしストロークはてんでだめ。さながらビッグサーバーのようなプレーで、正直サーブが少し入らなくなっただけでピンチになるようなケースもありました。

序盤は普通だったような気がします。しかしブレークを一発で決めて先行したにもかかわらず、サービスゲームですべて平凡なミスのみで落としてしまいイーブンに。嫌な流れはありました。

ジョンソンは多くの戦力分析であったように、バックハンドがウィークポイントでした。

錦織のバックハンドに集める配球が冴え、ミスを量産させる一方で強力なフォアハンドには苦しみました。

特に1セット目はジョンソンにラリーの主導権を預ける様子見のようなショットがあり、フリーで打たせてしまう場面が多かったように思います。

この戦略がジョンソンを勢いづかせ、ブレークバックも相まってやがて五分かジョンソンが押していく展開になっていきました。

タイブレークで1-4から追いつき、セットポイントを迎えたところで行けるかと思いましたが、ジョンソンがサービスエースでしのぐと、1つセットポイントをしのいだ後ダブルフォルトと平易なフレームショットで落としてしまいます。

サーブがもう少し悪くてもいいから、ミス減らしてくれ…

正直このままの状態が「あと2セット続くなら」危ないと思っていました。

1セット目はジョンソンはエラーのほうがウィナーよりも多かったのですが、錦織はウィナー>エラーだったものの、エースの分を抜くと(エースもウィナーに含まれます)ミスのほうが多くなっています。

しかしここで錦織が目覚めます。

圧巻だったのは第2ゲーム。ジョンソンのダブルフォルトを見逃さずブレークに成功すると、ここから錦織得意の「展開するテニス」がお目見えします。

ジョンソンを前後左右に走らせ、ウィナーを取りつつジョンソンのミスも誘い、一気に6-1で第2セットを取ります。

第3セットで仕切り直しの流れもあった中、ジョンソンがリズムを取り戻せなかったところをさらに畳み掛けて4-0とリードします。

ここからはジョンソンも勢いを戻してきたのと、錦織の何でも入る時間帯を抜けてきたことで拮抗、錦織がブレークポイントを背負う場面もありましたが、結局オールキープが続いて6-2で第3セットを取ります。

第4セット、個人的には嫌でした。

セット終盤の流れは五分。もしジョンソンが第1ゲームをキープすると全く展開はわからなくなる場面だと思っていましたが、事実その通りでした。

第2ゲーム、ついに錦織に平易なミスが続いて0-40。一転して大ピンチです。

しかし錦織は落ち着いていた。

3本目のポイントはジョンソンのギャンブルプレーだったとはいえ、ジョンソンが急ぎすぎたか逆プレッシャーを感じたかミスを続けてしまい、キープに成功。

この辺りがトップ選手とそうでない選手の違いですね。さすがの世界5位です。

そして巡ってきた第4セット初めてのブレークチャンスをリターンを合わせてきっちり決め、試合はほぼ決まりました。

第9ゲームはジョンソンのキープでよかったのに素晴らしい錦織劇場でしたね。ハイセンスアリーナのお客様も満足したでしょう。

1セット目を抜くと完勝というところですが、なぜ1セット目が出てしまったのかは謎です。本当に謎でした。

ただ一つ言えることはこの試合、最初の2試合に比べフットワークや反応時間面において1段階ギアを上げてきているなあという印象がありました。飛びつくようなリターンなどはクーヨンや全豪の序盤では見ない場面でしたし、コート外に出されても「Ninja」と称される個人的に名前を付けている「すすすっとフットワーク」(ネーミングセンス0)でしっかり戻ってきてバックハンドを決めるなど、いい要素は特に後半に垣間見られ、しっかりと1週目を乗り切っただけでなく2週目に向けてアイドリングを高める様子が見られていい試合でした。

まあ、1セット目からは想像できない結果でした。あの瞬間はいろんなことを覚悟してました。

さて喜ぶべきことですが、何と4年連続の4回戦進出です。

私は以前グランドスラムを山の頂上までの戦いにたとえ、3回戦が終わり16人がそろったこの地点を「山のふもと」と称しました。

2週目からは全く別次元の戦いが始まります。所詮1週目はふるい落とし。ここからが本番です。

ですがフェデラーの例を見ても分かる通り、全部のグランドスラムで2週目に行くなんて結構難しいことです。

それを錦織は4年連続この全豪で達成しており、また全体に広げるとウィンブルドンから3大会連続2週目に進んでいます。

着実にトッププレイヤーの道を歩み始めている確固たる証拠です。

また全豪でこうして毎年上位ラウンドまで進むことで、得意なグランドスラムを確保できたことも大きな意味を持ちます。

ジョンソンへの勝利は特に大きな意味はありませんが、注目されるこの舞台できっちり勝つこと、これがトップ10プレイヤーの証です。そしてこのような大きな意味を持つ勝利となりました。

またジョンソン戦の最後はそういった意味でも「まだ隠し持っているよ、まさか1,2回戦のまま突入なんてありえないよ」というメッセージにも見えました。それほどに会心の内容でしたし、今後はフルスロットルで臨んでくれるものだと期待しています。

そう、これを書いていたらフェレール戦が終わると思っていた、それは間違いだった…

シモンがサービング・フォー・ザ・マッチの土壇場でブレークに成功し、第3セットはまだ分からなくなりました。

戦前の予想通り相変わらずのストローク戦が展開されているようで、今後の内容次第じゃわかりませんね。シモンは5セットまで行くこと多いですし勝率も高いですし。またあとで追記します。