two-set-down新章

two-set-down新章

スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

ドロップが敗着?じゃ、ないだろう(2015全豪QF)

1/28 現地15:15~(日本時間13:15~)

Grand Slam 2000 Australian Open

QF

[5]Kei Nishikori 3-6 4-6 6(6)-7 [4]Stan Wawrinka

様々なメディア等を見ても昨日の敗戦はタイブレーク6-6からのドロップのミスにあると言っているものが多かったです。

確かにあの場面では普通に逆クロスを叩き込んでおけばよかったのかもしれません。

やっと錦織が好調だったバブリンカに対して戦える状況を作り出した第3セット、確かにあそこからの逆転はあり得ました。

ですがちょっと待ってほしい。あのドロップのミスにすべてを投げることはそれこそ思考停止に陥っているに等しいのです。

あのドロップショット、たった5センチの差でもし入っていればもしかすると第3セットどころか試合の行く末を変えていたかもしれないというのは事実です。

つまり結果論なのです。それ以上のものとドロップを扱うことはできない。

むしろ錦織はあの場面だからこそドロップを打ってきた、そういう選手なのです。

このプレーオプションの幅こそが彼のプレーの魅力。ナンバー1になるためには不要なのかもしれませんが、私はこの場面での選択を批判したくありません。

だからこそ恨むべきはこの追い込まれた状況を作り出してしまったこと、それこそに問題があると考えます。

テニスは、ポイントの積み重ね。目の前の1ポイントもこれまでの1ポイントも、すべて等価。

流れを変える1ポイントも存在するので全部が全部そうだとは言いませんが、要するに今回の敗戦は2セットダウンに追い込まれるまでに錦織が何もできなかった、その部分に大きな課題がある試合だと思いました。

昨日の試合で一番残念だったのは、錦織のウィナー数が最悪クラスだったということです。

振り回して取れないボールを最終的に打って主導権を握るのが錦織のテニス。しかし昨日は有効打が打てないばかりか先に攻められる展開に。

フェレール戦も振り回していたとはいえミス連発だった錦織。やはりストロークがまだ100%ではないのだろうと思います。

特にフレームショットに近い当たりそこないのショットが10本近くあり、それはすべてバブリンカに叩かれて決められていたように思います。

ストロークでは勝負にならないと考えたのか、サーブ&ボレーをふんだんに織り交ぜたプレーに変更し、第3セットで接戦に持ち込んだのはさすがでしたが、付け焼刃の戦法が仇になったのがタイブレークの1本目でした。

プレーオプションの幅がある選手と錦織を評しますが、第3セットのサーブ&ボレーにしても、本当に器用な選手です。

ですが逆に言うと第2セットでもう少し変化のあるプレーをしてほしかった。

片手バックハンドの選手が苦手なのでは?という指摘をよく受ける錦織ですが、フェデラーに2勝、ディミトロフに全勝、今回の全豪で言えばアルマグロにも勝ったわけですし、全部が全部そうではないと思います。

ただバックハンドが特段に得意な選手、たとえばガスケやバブリンカといった選手にはほとんど勝てていないのが現実で、錦織得意のバックハンドのクロスラリーで劣勢に持ち込まれるだけでなく、切り返しのDTLを打たれたりとまずい展開を作ってしまうことが多いです。

この日はバブリンカのバックハンドと真っ向から対決する構図を取りました。調子の悪いバブリンカだとミスを誘って自信を失わせることはできたのでしょうが、昨日のいい状態のバブリンカからすればバックハンドに打ってきてくれることは思うつぼだと思っていたのではないでしょうか。

昨日はストローク勝負では厳しいということをもう少し早く見切っていれば勝負は違ったものになっていたのではないでしょうか。

あとは無理な攻めからのミスが多かったのも気になるところです。ウィナーが取れないと見るやミスを減らすディフェンシブなプレーに切り替えてほしかったです。

持ち味が出せずに敗れてしまった、非常に残念です。

バブリンカの錦織対策としての強打、アグレッシブなプレーとピンチ時の高速サーブには脱帽でしたが、もっとやりようがあったのでは?という悔しさは残ります。

さてみなさん、全豪は昨日で終わりではないですからね?

日曜日まであります。最近テニスを知ったそこのあなた、だからこそ決勝まで見てほしい。

頂点の景色を知っておくことは今後の観戦において必ず肥やしになります。GSの準決勝、決勝の重みは1度でも多く味わっておくべきものです。

とはいっても、ミーハーな人は昨日を境に見なくなっちゃうんだろうなあ…

一応改めて全豪8強が大変な偉業だということは再確認しておきましょう。

また錦織としても3度目のGS8強以上、しかし今回はシードキープという重みがつきます。

よくやってくれました。優勝を急かすような報道も目立ちますが、チャンスはいつかやってきます。「今」ではないのです。

あと何気に棄権がないままこの年初を終えたのは個人的には大きな収穫だと思っています。痛みはあるとは言ってましたが。

すでにランキング試算については他の方も書かれてると思うのでそっちを参考にしてもらうとして、とりあえずこの辺で。