two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

ATPランキング試算(2015マイアミマスターズ後)③3回戦終了時(錦織戦レビューあり)

こんばんは。

今朝いきなり「年度末だから今日中に仕事を終わらせてくれ」という通達が来てずっと作業してました。いや詰んだと思いましたほんと。

無事終わったので、いろいろなのを含めてもこれからはもう少しまともに更新できると思います。

さてまずは錦織戦の総評ですが、強い。この2文字(句点入れたら3文字)で終わってしまったので別記事立てするほどでもなかったのでまとめました。

試合を見ていて途中「相手レースランキング13位のトロイツキだよね…?」と私も訳が分からなくなりました。

一応勝因を探ってみるとトロイツキの体調が万全でなかったこと、その結果1stサーブの入りが悪かったことが挙げられます。

ただそれはあくまで理由の一つで、じゃあ70%以上1stが入っていたら負けていたのかというと絶対にありえないと私は答えると思います。あくまで快勝に至った理由の一つにすぎません。

昨日の錦織はまずリターンがよかった。2ndでの強襲もよく決まっていましたが、1stに対するブロックリターンのようなディフェンシブなリターンがかなりいいところに入っていました。事実トロイツキの1stサーブwonは58%。普通は70%を超えてきますからいかにリターンが効果的に返っていたかが分かります。

そして最もよかったのはバックハンドです。ほとんどミスがなく、加えてキレもよかった。バックハンドのクロスラリーでは全くポイントを落とさないような、一切ミスしないような印象さえ受けました。

サーブも1stの確率は悪かったものの安定はしており、エースも飛び出しています。

つまり、どの要素を取っても錦織が負けるビジョンが見えなかったのです。

オープニングでブレークしてからブレークバックされたところはいけなかったですが、あれはフォアの安定感がよくなかったためにミス連発して落としてしまったゲームでした。その後BPを一度も与えず、フォアで振り回す場面も見られていたので試合の中でフォアを修正し、しっかりアジャストできていました。もう少しミスが減ってくるといいですが、この辺は押し込む(球威、球速を上げる)のとスピンをかけることの天秤ですので、今後の試合でさらにうまく合わせてくれると信じています。

こっちがいちいち試合を評価するのがおこがましいくらい出来がよかったのでもうこの辺にします。

唯一課題を挙げるとすれば1stサーブの確率、それくらいです。

次の対戦相手はゴフィンに決まりました。多彩な攻めを見せれるストローカータイプという選手です。

2012年に初出場の全仏で4回戦まで進みフェデラーと熱戦を繰り広げましたが、けがでランクを落とすなどしてその後低迷期に。

昨シーズンチャレンジャーで3週連続優勝と覚醒し、その翌週のキッツビュール(ATP250)でも優勝。ツアーレベルでも勝ち続けバーゼルでは決勝に進みフェデラーの再び対戦しました。

今シーズンは自己最高位からのスタートでしたが特に目立った成績は挙げていません。今私も注目している「Young Guns」の一人です。

もちろん油断は禁物ですが、たとえばシモンやモンフィスといった怖い選手が4Rの下位シードで残っていることを考えれば組みやすい相手だと思います。

またビッグサーブのない選手なので錦織としては少し課題になっているフォアのストロークを試すいい機会になりそうです。

バックハンドは申し分ないのでもうその調子を維持してくれるだけでいい気がします。

ストローク戦でどう戦っていくか。ブレークは他のサーブが強い選手に比べて容易ですので、自身のサービスゲームをしっかりキープしていくことが重要です。

さてベスト16が出揃いました。トップハーフを中心に3回戦を少し振り返っておきましょう。

結局「strong 9」の8人のうち現在6人が勝ち残っています。ジョコビッチ、錦織、ラオニッチ、フェレールとトップハーフは4人全員が勝ち残りました。

ただジョコビッチはまたしてもダルシス相手にSFSまで行かれるなど不安定な内容です。まあギアを上げたからSFSでブレークバックしてそのままストレートで勝ってるんですが、少し今大会はIWに比べると安定感に欠ける印象です。

フェレールは順調です。フェレールの状態は今日のシモン戦で明らかになるでしょう。

ラオニッチはSFMをシャルディーにブレークされ、さらにその次のサービスゲームも落としてファイナルセットタイブレークまでもつれる戦いを演じてしまいました。

まだ映像が見れていないので分からないのですが、IWでSFまで勝ち残っているので体力的にも痛い落とし方をしています。

錦織戦(?)のQFまでは1日空きますが状態を考えると今回は錦織も大きなチャンスかもしれません。

そしてこの話題に触れておきましょう。ディミトロフがイズナーに敗れました。

しかしもうこの敗戦はあまり波乱ではなくなってきました。ディミトロフは全豪でシードキープの16強をした以外は特に大きな勝利がありません。全豪以降ではシードキープすら1度もありません。

特に内容が悪すぎます。どんな流れだったのかはわかりませんが、今シーズンのブレーク率10%を切るイズナーが7-6(2)、6-2と第2セットで2ブレークもして勝っているのです。これがいかに異常かは計算すればすぐにわかります。

どうしたディミトロフ、このままだと完全に錦織ラオニッチに水を空けられる形になります。ローマ360→クイーンズ250→ウィンブルドン720の失効地獄はもうすぐそこです。

それでは試算表です。かなりわかりやすい表になってきました。

いつも通りトップ10の整理です。

1位2位は変わりありません。

3位マレーは優勝で自力3位です。準優勝で錦織優勝の場合は4位になります。ラオニッチは優勝しないとマレーに届きませんし、その場合はマレー準優勝で3位になります。

4位ナダルは今日の錦織戦の結果次第でまず5位に転落し、2013年ウィンブルドン前以来約2年ぶりの低いランキングとなります。

もしラオニッチが4強に進めば、あるいはフェレールが優勝すれば…2005年5月2日以来約10年ぶりの6位転落となります。

2012~2013年は半年休んだもののほぼクレーの無双ポイントだけでビッグ4とフェレール以外には抜かれず5位を死守、すぐにランキングを取り戻し年間1位になっています。いかに現状がやばいか、前の記事でも書きましたが歴史的な1週間になるかもしれません。

5位錦織は今日勝つことで一旦4位に上がりますが、それはラオニッチとのデスマッチが終わってからでないと確定しません。

6位ラオニッチは現在キャリアハイ。SFで4位、悪くても5位が確定します。

7位フェレールはラオニッチに追いつくために決勝、それ以上には優勝が必要です。QFのジョコビッチ戦が山場です。

ベルディヒはベスト4で8位返り咲きです。下位選手との対戦が続くのでおそらく達成できるでしょう。

ちなみにゴフィンは今日勝つとほぼキャリアハイ確定です。

もう一度錦織周りについて整理します。

錦織今日勝ち→錦織がナダルを抜くことが確定、ラオニッチフェレールともに負けの場合のみ4位確定

錦織今日負け→ラオニッチ4強以上、フェレール優勝で抜かされる

錦織がナダルを抜くことが確定…ナダルの不調あってのこの状況ですが、しかしとんでもないところに来てしまったのだという印象です。ちょうど去年の今頃、あの快進撃が始まったばかりでしたから…

最後に今日の4回戦8試合を軽くプレビュー。

[1]ジョコビッチ×ドルゴポロフ

ジョコビッチが不安定なだけに、ドルゴポロフのトリッキーなテニスがはまれば昨年IWでナダルに勝った時のような奇跡が起こせるはず。番狂わせ0ではないだけに注目。

[6]フェレール×[12]シモン

大注目カード。結果は別として粘り強いストローカー同士の対戦で見応え抜群。また今年全豪でも死闘を繰り広げており、この試合でフェレールは足の爪から出血してしまった。因縁のカード。

[4]錦織圭×[18]ゴフィン

プレビュー済み。ここはしっかり勝ってとりあえずナダルを超えてほしい。

[5]ラオニッチ×[22]イズナー

ディミトロフが事故ってしまったとはいえ2ブレークしたイズナーには番狂わせの期待もかかる。しかも驚くべきことにこのビッグサーバー対決、イズナーの2勝0敗。しかもスコアも同じ7-6、6-4。3度目の今日はどうなるのか。

[28]マナリノ×ティエム

ティエムにとっては躍進の大チャンス。バブリンカを破った昨年のマドリードで届かなかった初めての8強に挑む。マナリノも初の8強に向け気合十分。どちらが大きな180pを入手できるのか。

[3]マレー×[15]アンダーソン

ボトムハーフで残っている選手の中では1番目と3番目のランキング同士の対決。昨年はマレーが2勝しており通算3勝1敗。決勝までかなりオープンになっており大チャンスのマレーは是が非でも勝ちたいところ。アンダーソンはここのところ微妙な結果が続いているのでここで大きな勝利を挙げたいところ。

[8]ベルディヒ×[17]モンフィス

2013年に復帰途中のモンフィスと全仏1回戦で当たりフルセットで敗れた以外は圧勝していて、ベルディヒとしては得意な相手。

しかしモンフィスも復帰途中とはいえツォンガにストレート勝ち。昨日はジャンピングスマッシュを見せるなど(ただしフレームショット)パフォーマンスも忘れず充実している。ひょっとするとひょっとするかもしれない。ベルディヒはケガ気味の足が不安材料。

モナコ×[29]ベルダスコ

ナダル×モナコの親友対決は実現しなかったものの、すでに11度目の対戦とクレーコーターらしく数々のクレーの大会で戦っている元トップ10プレイヤーの両者。ベルダスコはナダル戦で見せたフォアハンドが持続できるか。100位近くまで落ちたものの現在40位台までカムバックしてきたモナコは侮れない。

トップハーフは面白いカードが揃いました(ボトムハーフがどうかは言っていない)。王者にトリッキーテニスでチャレンジするドルゴポロフ。熱い泥沼ラリーが展開されるフェレール×シモン、何気にATPの中では低身長な180cm以下同士の錦織×ゴフィンの対戦、ビッグサーバー対決のラオニッチ×イズナーと見どころ満載です。

今日は4回戦8試合が行われベスト8が出揃います。QFはボトムハーフが明日(現地4/1)、トップハーフは明後日(現地4/2)です。

そのあとSFは4/3に、決勝は4/5に行われます。

日程的にもゆとりがあり、SFが最大の山場ですが錦織にも優勝のチャンスがあります。まずは明日朝6時のゴフィン戦、期待しましょう。

ただし6時開始ですが、その前の試合がフェレール×シモン戦なので押しそうな気はします…少々寝過ごすくらいの方がいいかもしれません。それでは。ちなみに私もそれを見越して6時15分に起きる予定です。