two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

吹き荒れた風は、向かい風だった そして緑の季節へ(2015全仏QF)

こんにちは。

スコアリングから始まらない試合レビューはいつぶりでしょうか(私の書きもらしを除く)。

これからは試合が見れなかったときはこうしたいと思います。見た時は必ずスコアリングを書くようにします。

見れるはずだったその試合、私の不注意によって見れなくなってしまったので本当につらい気持ちです。

少しでもテレビ画面から声援を送りたかった、そんな試合だと多くのコメントから理解しています。

もちろん私が声援を送ったからといって届くはずのない声援が試合結果を変えることはありません。

バタフライ効果というものもありますが私が違う行動をしていたからといってフランスの試合結果が変わることがあるわけもなく…

ただ私が悔しいだけです。ファンというのはそういうものです。勝とうが負けようが応援することに全力でありたい。それができなかったことが本当に悔しい。

試合については見られていた方の詳細な分析を待つことにして、昨日の敗戦について試合を見ずに分かることなどを少し書いていこうと思います。

正直この大会、私は錦織が優勝してもおかしくはないと思っていました。この表現がミソです。

優勝してもおかしくはないという表現には「どこで負けても不思議ではない」という意味が入っています。

今回のドローは確かにボトムハーフに入ったところでラッキー、取れる、決勝までは行けるといったようなコメントも多くみられました。

それ自体は何ら間違ってはいません。

ただそれは確率の高いことを議論しているに過ぎないということです。

今シーズン「strong 9」にほぼ取りこぼしはありません。そのためにマヒしていますがここまでトップ10が負けないということは他選手のレベルが低いというよりも単に「strong 9」が強すぎる、BIG4時代のツォンガやベルディヒフェレールの時代よりもトップ10のレベルが高いという風に私は考えています。

そんな通常と少し違う状態なので思うのですが、例えばトップハーフでジョコビッチナダルが負けている可能性だって0ではないはずです。

何が言いたいかというと結局は結果がすべて。あくまでいつもよりは勝てるかもしれないことしか試合前には言い切れないのです。

今大会、ツォンガ×バブリンカのSFが想定できた人が大会前にどれくらいいたでしょうか?そういうことです。やってみないとわからないのがテニスでありスポーツです。

少し話がそれてきましたが確かに3Rの棄権勝ちといい妙な追い風はありました。

ただそれは途中過程にしかすぎません。ふと思い出されるのが今年のマイアミ、マドリードの時です。

あの時もマイアミでは最高のテニスで4Rまでいきラオニッチが敗戦。しかし私はイズナー対策記事を上げるほどに警戒していました。何か嫌な予感がしました。

マドリードもいいテニスで勝ち上がりフェレールを一蹴。優勝あるかとしましたがマレーの戦略にはまりました。

この2大会、大会が進むにつれて優勝あるかと盛り上がりましたが結果はベスト8とベスト4。今回の全仏にも似た景色を感じました。

これは大会前から私がずっと言っていることですがテニスとは相手より上回れるかのスポーツ。どんなに内容が悪くても勝てる日があればどんなに自分が最高のテニスをしても相手がよければ負ける日もある。

アーリーラウンドで相手に大勝したからといって次の試合に勝てる保証は本来一切ありません。いつもより勝てると思っているのはあくまでその確率が通常より高いということしか言えないからであり、私たちがそれ以上のことを知ることができないからです。

ちなみにベルディヒ戦を見て私はマイアミイズナー戦並にツォンガを警戒してました。時間があれば対策記事を上げる予定だった、それくらいに警戒してました。

4RではツォンガがSFMを落としてタイブレークに入りベルディヒがなんとかタイブレーク0-3からまくって第3セットを取り、第4セットも先にブレーク。正直トップ10内弁慶のベルディヒがTSD勝ち。これを確信していました。

この頃にはシャトリエの観客も静まり返りお通夜モード。ところが何気なくベルディヒサービスゲームで30-30としたところで流れが変わりました。ツォンガのいいプレーに観客も応え、第3セット途中までの地鳴りのような歓声が帰りツォンガが5ゲーム連取。

地元の大声援、ツォンガが賭けてきたものを感じるシーンでした。

そして昨日、ツォンガは錦織撃破に燃えていたはず。なぜなら2年前、地元のパリMSでファイナル進出を絶たれた相手が錦織だからです。昨年も苦杯を舐めました。

ツォンガは終始攻撃・守備ともによかったと聞いています。攻撃がいいのは好調ツォンガならあることですが、守備もいいというのはなかなか聞きません。

まずは勝ったツォンガを褒めるべきです。TSD勝ちも十分あった中で第5セットで自分を見つめ直しいいプレーをした。勝者にふさわしい選手です。

結局ずるずると第2セット中断前まで自滅してしまった地点で勝負はほぼ決まっていたように思います。もちろんTSD勝ちできるようないい中断、流れを明確に変えた中断でしたが(そういえば、けがされた方が大事には至らなくて本当によかったです…)少し反撃が遅すぎました。昨日のツォンガからTSD勝ちするのは至難の業。できたらそれこそそのまま全仏とってもおかしくないくらい難しいことだったと思います。

惜しむらくは第2セット4-5でブレークできる可能性もあったゲームだと聞いていますのでそこで追いつき早々とセットオールにできていれば結果は違ったかなと。

一応突如中断前まで崩れた原因を2つ考えてみました。

・風の影響

・4Rが変なピーキングになってしまった?

風は相当すごかったと聞いています。タイトルにしましたが、これが錦織にとって今大会初めての向かい風になった可能性はあります。

全米SFの時も風は強かった、そのためジョコビッチがペースを崩したという指摘もあるので一概に風が苦手とは断定しません。

風向きとかの試合データは一切ATPに残らないのでよほど興味のある人じゃないとデータを持っていないのでこれは要検証です。

4Rが変なピーキングになってしまったというのは、ピークが4Rになったというよりもラウンドが進み強敵になっていくことで徐々にプレーレベルが上がっていくのが普通なのに対して、いきなりガバシビリから絶好調ツォンガになったことでうまく試合に入っていけなかった可能性があるこということです。

こればかりは推測でしかないのでさらに要検証なのですが、簡単な対戦相手ばかりが続いて必ずしもラッキーではないというのは事実です。こういったことがあるので。

なんだかまとまりのない文章になってますがもう少しお付き合いください(とかいって、今まで書いた分くらい書くんだろうなあ…(執筆地点の私の心の声))

これでシーズンの半分が終了しました。ちょうどGS2大会、MS5大会、500も250もほぼ半分を消化し、ツアーカレンダーの週数でもほぼ半分のこの時期を私は前半戦終了としています。

人によっては芝シーズンを入れる人もいますが当ブログではここまでを前半戦とします。

半分を終えて2015年前半戦の錦織圭を振り返るとほぼ全員が行き当たるのが次の2つの感想だと思います。

・けがに強くなった

・なぜかQF付近で止まり、大爆発がない

けがに強くなったのは最高です。正直もう40試合に到達しようというのに手のマメかささくれのためにMTOを一度取ったのみ。こんな姿を去年想像できたでしょうか。

ただ一方で蓄積的な疲労と戦っているシーズンでもあると思います。なにせ試合消化量が未知の領域。2011年ジョコビッチも夏に入ったあたりから苦しみました。オフの少ないテニスはこのマネージメントが大変です。

そしてこれが錦織の全体的なパフォーマンスの減少につながっているのでは?というのが私の考えです。

以前ならケガ明け後にものすごいパフォーマンスを見せることがありましたが、今シーズンは下限が高くなった割に(ツォンガ戦は除く)、上限も低くなった印象を受けます。

チーム錦織はおそらく今シーズンは我慢の年にしていると思いますし、何より95%健康な体でツアーに出続けることが目標とチャンコーチもシーズン前に語っています。そういった意味では完璧な前半戦でした。

今年は後半戦もこんな感じになってしまうのかもしれないと思っています。しっかり出続けるが、未知の疲労との戦いでなかなか爆発できない。

基礎力向上を掲げ錦織をトップ10に押し上げたチャンコーチですが、今年もまた違ったアプローチで基礎力向上を図っているのだと前向きにとらえています。チャンコーチ、あと5年はコーチやってくれないかな…というくらいに信頼しています。もちろんダンテコーチもです。

1年間戦い抜くことができれば、きっとそれが自信になり、まだ今年は見せていない大爆発を出すタイミングを正しく見極めることができると信じています。

ただ一方でこの敗戦を重く受け止めたいとも思っています。

私は一貫して「負けたら切り替える」と言っていますが、今回は「strong 9」がみな勝ち残る中でランキング、レース争いから少し後退する形になりました。

実はバブリンカの今シーズン成績は昨日までで27勝8敗、錦織の成績は棄権勝ちは含めなかったはずなので34勝8敗ですが、なんとレースランキングではバブリンカの方が200p上です。

どうしてでしょうか?答えは簡単、GSの結果です。

バブリンカは4強2回で1440p、錦織は8強2回で720p。この差が効いています。

同様にドバイを含め3勝しているフェデラーが3RとQFで止まってしまったためにバブリンカと錦織の間にいます。

彼らは微差ですが、結局GSでがっぽりと稼ぐのが一番ポイント的には楽で、試合数とのコスパを考えるとQF止まりあたりは一番コスパが悪いのです。

ラオニッチは去年ほとんどのGS、MSをQF付近かそれ以上まで勝ち上がりましたが、結果欠場の多かった錦織よりもポイントは下です。

今のATPランキングシステムはとにかくラウンドの1勝増加を重んじるルールなので、こういったことが起きます。なんとこれだけ勝っているのに錦織のレースランキングは7位で、今日ナダルが勝てば8位転落です。

かなり勝っているのに数字がついてこないので焦りではないのですが「これでいいのか?」と思ったりします。ランキングシステムもそうですし錦織の結果にしても。

まあ4位バブリンカまで200p差なので今いろいろ言っても仕方ないのですが、ラオニッチ次第では(あるいは全仏でツォンガが勝ちGS優勝特権で1枠使ってしまえば)一気にファイナルも危うくなってきます。

今大会で決勝まで行けば逆にファイナル当確ではとしていただけにもったいないなあというのは正直な本音です。

長々と書いてきましたが私の言いたいことは変わっていません。

・とにかくいつでも全力で応援する、チームも基本的には信用し、やっていくことを信じる

・しかし負けたら引きずらないで切り替える

・負けたらよほどの理由でない限り相手を称える

・1敗が選手の実力や評価を決定的に決めることはない

・優勝しない限りどこかで必ず負ける

結局長々と書きましたが今日言いたかったことはこの数行でまとまっています。

心配するな、いつか錦織圭はやってくれる!

これは変わりません。GS取ることも疑っていないし、ナンバー1は本当に50-50です(けがに強くなったので最近少しずつ私の中で上がってきています)。

そんな選手を心から応援する気持ちは昨日の悔しい敗戦を経ても一切変わりません。

悔しいからこそ次の応援の原動力になるんです。まだまだ先は長いですが、戦い続ける限り、応援し続けないといけないですね。

そして幸か不幸かプレッシャーからは解放されたので今日からは全仏オープンテニスを堪能したいと思います。

今日は2試合ともビッグマッチですが、なんといってもジョコビッチ×ナダルでしょう。

キャリアグランドスラムの夢が今年は断たれるか、それとも6年ぶりにナダルに2度目の土がつくか。本当に楽しみです。

見れたら試合レビュー上げますよ。見れたらね…(笑)

もうすぐ緑の季節もすぐそこ。また息つく間もなく次の試合が始まるのです…