two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

大逆転の錦織圭、久しぶりに降臨(2015ワシントンSF)

8/8 現地14:30~(日本時間翌日3:30~)

ATP500 Washington Citi Open

SF

[2]Kei Nishikori 3-6 6-1 6-4 [3]Marin Cilic

今日は途中から応援しかできなかった。久しぶりに一体となって戦えたと感じた試合でした。

どうしてもブログのことがあるし実際見ていてここはどうするかみたいなのを考えながら見るのが習慣になってしまったのですが、第2セットのあのMTO。あそこから応援しようという気持ちになりました。

大逆転と言える勝利も気が付けばメンフィスクエリー戦以来。トップ10に限定すればファイナルフェレール戦以来でしょうか。

忘れていた勝利への渇望と押し切られる不安のせめぎ合い。そんなものを思い出させてくれるゲームでした。

第1セット、チリッチは気合が入っていました。

私の基準ですが第5ゲームに入るまでUEは1本もなかったのではないでしょうか。それほどに充実したプレーに対し錦織は精彩を欠いたスタートを切ります。

少しずつチリッチの速い展開には合わせていきますが、第1セットは冒頭のブレークを取り返せず3-6で落としてしまいます。

チリッチもやや落ちては来ているものの、全米同様とにかく高い打点から打ち込んでいく。錦織も速いラリーで打たせないように工夫はしますがこの1セットの間はチリッチの方が一枚上手でした。

惜しかったのは第5ゲーム。2度のBPでセカンドサーブ、しかもストレートに打ち込むことに成功したもののどちらもわずかにアウト。ここが違えば展開は全く別だったのではなかったでしょうか。このゲームでは2ndが続いていただけに唯一のチャンスでした。

第2セットに入ってこの悪い流れをどうするか。私も少し困っていたところでしたが錦織は見事な解答を示してくれました。

GAORA解説の辻野さんがすかさず指摘した「あえて遅くするペースチェンジ」がうまくはまりました。

第1セットのチリッチはとにかく高速ラリーで先に主導権を取り、お互いにラリーはしながらも錦織にフリーで打たせないような工夫をしていました。

チリッチは速いテンポで小気味よくストロークを決めていたので、錦織はここでループボールを多用し、チリッチにあえて待たせて打たせるボールを増やしました。

待って打つのであれば自由に打ててよりチリッチ有利ではと思いがちですがペースが変わったのと調子がいいだけに逆に力んでしまってこういうところは逆にミスが出やすくなってしまいます。考える時間が与えられるとかえっておかしくなるものです。

結果第1セットにはなかった凡ミスが増え始め、あっという間に錦織がブレークに成功、3-0とします。

このプレー変更がなければ一気にチリッチに押し込まれていたかもしれません。

3-0としたところで嫌なMTO。腰か左足か、そのあたりを入念にマッサージしてもらいました。

地面に寝そべってマッサージを受けるのはあのマドリードの時以来です。嫌な記憶がよみがえりました。

再開後はやや追わないボールが増えたものの完全に足を止めるわけではなく、足の負担がかかるリスクを避けるようなプレーに変更したという感じでした。

チリッチは中断したあと錦織がけがをしていることが分かって逆にやりづらくなったのか、次の第4ゲームも平易なミスで落としてしまいます。この地点で4-0。しかし次のゲームはターニングポイントでした。

2ブレークダウンのチリッチはリスクを取った攻めをしてきました。錦織がやや足の影響で集中を欠いているのか1stの入りが悪くなり、五分の勝負に戻りました。

この状況では錦織の足がどうなっているかが不透明な時間帯だったのでここを落とすと4-0とはいえかなり危険な印象を受けていました。

結果複数のBPをしのいでしっかりとキープ。このゲームが地味に大きかったように思います。

5-0でベーグルのチャンスもあったのですが結果6-1で第2セットを取り、ファイナルセットに入ります。チリッチサーブからになってしまい、少し嫌な予感がしました。

第6ゲームで結局キープされ、少しチリッチも戻してきたこの時間帯、錦織はセット間でトイレットブレークを取りました。

このトイレットブレーク、毎回疑問なんですがチリッチが落ちている時間帯で早くブレークしたほうがいいのではと思ってしまうのですが…チリッチに考える時間を与え、切り替えさせてしまうような気がします。

今日は足を休める効果もあったのでもしかすると意味はあったかもしれませんが。

私の不安は的中しませんでした。チリッチはうまく切り替えられず第3セットを迎え、冒頭ジャッジミスやDFなど精彩を欠いて錦織が先制します。

その後はお互いにキープが続くものの、お互いに微妙な時間帯もありどこで動いてもおかしくない感じがしました。

そして第8ゲーム。チリッチのギャンブルプレーがうまくはまってカウント先行すると最後は錦織のDF。試合は振り出しの4-4に戻ります。

正直かなりこれできつい印象を受けました。がここで勝負を分けた2つのチャレンジが来ます。

第9ゲーム。15-15からチリッチがフォアクロスを打ってライン上に決まったかに見えたボール。錦織はとりあえずチャレンジをした感じでしたがこのチャレンジが成功。判定覆って15-30。

プレッシャーを感じたチリッチは次のポイントでセカンドサーブを入れに行き錦織に完璧なリターンをクロスに決められ返球できず15-40。そして次のポイント。1stを沈めたもののふらっと上がったリターンはベースラインに吸い込まれチリッチが処理をミス。すかさずチャレンジするも判定はイン。2つのチャレンジが錦織に有利に働きすかさずブレークバックします。

15-30からのポイントは錦織のうまさとしても15-15のチャレンジはその流れを作ったポイント。ここが勝負の分かれ目でした。

最後はもらったチャンスをしっかりサービスキープで締め、錦織が今年4回目のツアー決勝進出です。

後半は本当に一体となって応援できました。字面で書くとそこまででもないですが精神的にも削られるしスコア以上にタイトなゲームでした。

これによってシンシナティ第4シードと4位復帰が確定しました。かなり大半の人がこの情報を知らないようですが、私は4位k確定を断言しますし、一部の海外ジャーナリストも4位復帰を示唆するツイートをしています。

Kei Nishikori beats Marin Cilic in 3 sets to reach @CitiOpen Finals in DC. Nishikori will match career-high ATP ranking of No.4 on Monday.— Ben Raby (@BenRaby31) 2015, 8月 8

明日勝って~という条件がありません。またMTFスレッドでも同様の反応が見られています。4位復帰は間違いないと言っていいでしょう。

さて次戦はイズナーになりました。ジョンソンとファイナルセットタイブレークの死闘。タイブレーク4-6から3本MPをしのいでの大逆転。しかし錦織にとってはよい相手かもしれません。

というのも今日のジョンソン、かなりいいプレーだったと聞いています。本当は試合を見て書きたかったのですが、まだ見れてません…

一方イズナーはひざを痛めているようで、ややフットワークに不安があるようです。次戦カナダは最遅でも火曜日に1回戦が入るので欠場も視野に入れているようです(地元シンシナティに照準を合わせたいようです)。

というわけでイズナーとの対戦、決してランクが上だから、ビッグサーバーが嫌だからということを出さずに決して悪くはない相手ではというのが正直な感想です。

この辺りはもしこのあと試合を見れたら補足しようとは思います。しかしカナダのドロー解説を書くのと満足な睡眠を考えると無理か…?

イズナー対策についてはいつもと変わりありません。以前書いた記事をご覧ください。

とにかくセカンドサーブへの対処がイズナーのサービスを破る起点になります。ただそういう意味ではキックサーブ主体のチリッチと当たれたのは大きな予習になります。高速1stサーブもグロスのサーブがいい練習になっています。

錦織はカルロビッチとやった時も最初はボロボロでしたが、メンフィス決勝でタイブレーク7-0を達成するなど慣れるとなんとかしてくれます。

前回はセカンドサーブのリターンを叩かれ、リターンに糸口を見いだせなかった完敗でしたが、今回は慣れも加わって、イズナーの状態も変わってまた違った様相になるのではないでしょうか。

もちろん負けられない一戦ですし、試合前棄権がない限り(錦織側が棄権する確率は相当少ないと見ている)勝っても負けても明日は試合。なら勝ってもらうのがポイント的に先を見据えてもいいことなのは明らかです。

逆にここで頑張ればカナダは最低限の8強でよくなってきます。大事なゲーム、試合は明朝4時です。確実にライブで見ようと思います。それでは。