【ドロー解説】2015全米OPの展望
こんにちは。
いよいよ4大大会最終戦、全米OPのドローが発表されました。
注目は4大大会日本人シングルス最高の第4シードに入った錦織圭でしょう。ついにGSで「錦織山」の実現です。
全豪からあと数百ポイントで4シードを取れない状態が続いていたので、今回は大きなチャンスを生かしてほしいです。
私は常々言っていますが、正直1~4シードは対戦の並びとしてほとんど同じなので、そしてどうせ第1第2シードは勝手に勝ち上がってくるし、第4シードまでくれば実質最高シード帯に入ったと言えるのではと考えています。ついにGSを本気で取るためのシード位置にやってきたということです。
いつも通り128ドローすべて掲載、各山の展望です。
実は今大会、個人的に異様に期待が高まっていたんですが、それに応えるように各所注目のドローになっています。
①ジョコビッチ山
[1]ジョコビッチ
ソウザ(ブラジル)
ポスピシル
ハイダー=マウラー
ガバシビリ
予選勝者
[25]セッピ
[23]バウティスタ=アグト
エルベール
カレノ=ブスタ
ソウザ(ポルトガル)
ベランキス
ボレリ
[14]ゴフィン
[10]ラオニッチ
スミチェク
ベルダスコ
T.ハース
Cecchinato
フィッシュ
予選勝者
[18]ロペス
[32]フォニーニ
ジョンソン
クエバス
セラ
予選勝者
シュワルツマン
コリッチ
[8]ナダル
優勝候補[1]ジョコビッチの初戦はブラジルのソウザと組みやすい相手です。次戦のポスピシルはやや厄介か。3回戦は[25]セッピならむしろ吉兆か。変にガバシビリと当たるともつれそうです。
4回戦は若手勢の[14]ゴフィンか[23]バウティスタ=アグト。ゴフィンはシンシナティでのリベンジを果たすチャンスです。ジョコビッチの調子が悪ければ、もつれるかもしれません。
一方シンシナティと似たドロ-の形になった[8]ナダルのブロックはきつくなりました。
ナダルの初戦はなんとコリッチ。コリッチは2014バーゼルで負けた相手。コリッチも勝ちびびりなくやってくるのでここは普通にまさかがありえます。
2回戦は余裕でしょうが3回戦は[32]フォニーニではなく北米ハードで結果を出しているジョンソンが有力か。ランクは低いですが全豪で面白い試合になったセラが来ても嫌なところです。
[10]ラオニッチもタフドローです。2回戦でベルダスコかT.ハースということで厳しい試合になりそうです。
さらにシンシナティで敗れた[18]ロペスもいて、フィッシュもいます。正直ラオニッチは今の状況だとどこで止まってもおかしくないです。
ナダルの呪いもあるので、ナダルがどこで止まるか、あるいは勝ち進んでしまうのか注目です。ジョコビッチが最有力でしょう。
②錦織山
[4]錦織圭
ペール
ステパネク
ドルゴポロフ
予選勝者
[26]ロブレド
[19]ツォンガ
ニエミネン
ラコ
グラノジェルス
スタコフスキー
ミルマン
予選勝者
[16]モンフィス
[9]チリッチ
予選勝者
プイユ
予選勝者
ルー
ククシュキン
予選勝者
[17]ディミトロフ
[27]シャルディー
Shane
マイヤー
クリザン
クライノビッチ
予選勝者
アルボット
[7]フェレール
錦織については詳細にあとでやります。
初戦のペールは何とか超えたい。やや初戦としてはきついが、それでも負けは許されない立場です。2回戦は組みやすいでしょう。3回戦はちょっとトリッキーですが、ドルゴポロフか[26]ロブレドが相手になりそう。簡単ではないですがここもなんとか超えてほしいです。
問題は4回戦でしょう。[16]モンフィスと[19]ツォンガが待ち構えています。
モンフィスについては4分の1ですしまあ当たらなければあっさり負けるのでいいんですが、最近のツォンガを見ているとツォンガ濃厚な気がします。ノーシードのメンバーを見ても番狂わせは期待できず、99%この二人のどちらかの対戦になると思います。ここが一つ鬼門になりそうです。
QFは[7]フェレールではなく[9]チリッチが濃厚そうです。フェレールの序盤の対戦相手は正直いつものフェレールならまず間違いなく抜けてきますが、状況が今回は全く違います。初戦を無事戦い抜けるかも微妙な状況です。
一発があるとはいえ早期敗退もある[27]シャルディーと不調が続いている[17]ディミトロフ。こういう時は消極的ですがチリッチが確実に勝ってきそうな予想です。
チリッチをワシントンの結果で軽視する声も聞こえますが、そんなに簡単ではないと思います。
プレビューでも書いたように全米での錦織×チリッチはチリッチの2勝0敗です。
チリッチのフォアで叩いてくるようなストロークは速いサーフェスの全米にあっていると考えています。似たようなタイプのデルポトロが全米を取っていることからも明らかです。当たってしまえば危険な相手になります。
ワシントンのようにいい状況が持続しなければ大丈夫ですが、そうならないと去年のリプレイを見ることになってしまいます。
個人的には非常に警戒したい相手です。
なお私の中ではフェレールが欠場しなかった場合結局チリッチが第8シードだったのでまあ同じことが起きていたんだなと思って切り替えています。
フェレールは展望での通り今回は錦織がQFでフェレールに負けるイメージがないので、一旦考えないことにします。
③マレー山
[5]ワウリンカ
ラモス
チュン
ダックワース
ベメルマンス
エストレラ=ブルゴス
[28]ソック
[22]トロイツキ
ティアフォー
ラム
ハリソン
ガルビス
ベデネ
ヤング
[11]シモン
[15]アンダーソン
予選勝者
クライチェク
ヒラルド
ベッカー
イストミン
ヒメノ=トラベル
[20]ティエム
[30]ベルッチ
ワード
予選勝者
予選勝者
予選勝者
マナリノ
キリオス
[3]マレー
優勝候補の一角、[3]マレー。初戦でキリオスを引いてしまいました。
しかしその代わりなのかその初戦さえ抜けてしまえばしばらくは電車道になりそうです。[30]ベルッチは下降気味ですし[20]ティエムもハードでは今のところ勢いなし。唯一[15]アンダーソンですがGSでは最近大きな勝利はありません。予選勝者も多いブロックなので大丈夫でしょう。
一方[5]ワウリンカは3回戦の[28]ソックがやや注目。ソックは初戦昨年ラオニッチといい勝負をしたエストレラ=ブルゴス、ここをしっかり超えたいです。
不調の[11]シモンと[22]トロイツキが固まりました。ここはもしかするとガルビスが来るかもしれません。ワウリンカとしてはシモンが上がってこなければミス量産がなければしっかり勝ち上がれるドローでしょうか。
ワウリンカとマレーはほぼ五分の対戦成績で直近の対戦は2年前の全米。ワウリンカが圧倒しています。
このQFが実現すればものすごいカードになりそうです。ただワウリンカは年に1回くらい今まではGS早期敗退してるんですが、今年はどうでしょうか。
④フェデラー山
[6]ベルディヒ
フラタンジェロ
クドラ
予選勝者
クエリー
マユ
ティプサレビッチ
[31]ガルシア=ロペス
[24]トミッチ
ズムホール
ネドベジョフ
ヒューイット
R.ハース
ブラウン
コキナキス
[12]ガスケ
[13]イズナー
ジャズーリ
予選勝者
ユージニー
ベズリー
ロレンツィ
デルボニス
[21]カルロビッチ
[29]コールシュライバー
予選勝者
ドナルドソン
ロソル
バグダディス
ダルシス
マイヤー
[2]フェデラー
[2]フェデラーの初戦はマイヤー。シード次点の選手。マイヤーは昨年の上海でフェデラーからマッチポイントを握ったものの敗戦しました。今回はどうか。
その後は比較的悪くないドローです。[13]イズナーと[21]カルロビッチの3回戦はおもしろそうですが、二人ともフェデラーは苦にしないのでしっかりビッグサーバー退治をすれば8強です。
[6]ベルディヒは3回戦からが山場。[31]ガルシア=ロペスよりもクエリーやティプサレビッチの方が嫌そうです。
そして注目は[12]ガスケ。初戦はシンシナティに続いてコキナキスとの対戦です。
またWC参戦のヒューイットは最後の全米。1回戦を突破して同胞の[24]トミッチとの対戦を実現させたい。
ベルディヒはこの4回戦の対戦がタフです。4回戦…全仏…ウィンブルドン…うっ頭が…
錦織のドロー
ペール→イルハンorステパネク→[26]ロブレドorドルゴポロフ→[16]モンフィスor[19]ツォンガ→[7]フェレールor[9]チリッチ→[1]ジョコビッチ→[2]フェデラーor[3]マレーor[5]ワウリンカ
結果的にはドロープレビューで当てたくないといった[5]ワウリンカ、[13]イズナーの直接対決は避ける形になりました。
しかし次には避けておきたかった[9]チリッチ、[19]ツォンガが入ってきました。
今シーズンの錦織はケガで棄権負けしたセッピ以外では24位のイズナーに負けたのが最も低いランクの相手です。なんとか16強までは乗り切ってもらいたいです。
初戦のペールは嫌ですがクレー寄りの選手なのでもつれずに感覚を掴んでほしいです。
2回戦は2回戦で当たる相手としては相当楽です。ステパネクはもう全盛期からは程遠くなっていますしイルハンは80位付近の普通の選手で番狂わせを起こしたこともありません。3回戦はややトリッキーですが実力差でしっかり勝ちきりたい。
問題は4回戦でしょう。モンフィスは何とかできると思うのですが、ツォンガが来た場合厄介です。
2013年上海で潜在的なケガを抱えた状態で戦った試合以外はすべて勝っても負けてもフルセット。削られないことが上位進出へのカギになると考えています。
私は皆さんが思っているよりも4回戦鬼門だと考えています。
ただ4回戦(8がけ)が鬼門になったり好ゲームになる時はその後うまくいっていることが多いので2週目の転換点、ここでうまくギアを上げられるといいですね。
QFもGSのQFであることを考えれば悩みとしては小さいのかもしれませんが、こういう場合のチリッチは本当に嫌な感じを受けます。こういうフラグは折れていいのよ。ほんとに。
万一チリッチ、フェレールが敗れれば一転してラッキードローになりますね。その場合は確実に4強に行きたいところですし、そうでなくてもなんとか狙ってほしいです。
総じて悪いドローではないですが、鬼門はあります。普通から若干いいくらいのドローという印象です。
ちなみに錦織がマレーの位置に入っていたらと考えると難しいですね。初戦が厄介な代わりに2~4Rは楽になります。ただしQFがワウリンカになります。
万一ワシントンとカナダの成績が悪くてワウリンカの位置だったら、これもQFマレーで絶望ですね。
なんだかんだ第4シードの恩恵はある感じでしょうか。5割以上負けることはないという相手が続いている代わりに負けのリスクが各所に散った感じでしょうか。難しいですね。何を是ととらえるかでこのドローの解釈は大きく変わってきそうですし、シードの敗戦で話が大きく変わります。
話を優勝争いに転じましょう。
マレーはそういう意味でQFワウリンカがきつい。1Rのキリオスもたぶん超えますが嫌な感じです。QFで削られた後にSFフェデラー戦というのがまずいですね。
一方フェデラーはQFの相手がだれになるかですね。ベルディヒ以外の場合労せずSFまで行って体力十分でマレージョコビッチと行けば18度目のGS制覇も見えてくるでしょう。
ナダルの場合全仏の二の舞になりそうです。幸運にもSFは錦織かチリッチですが、QFで上げきった結果決勝でベストパフォーマンスから遠ざかるかが心配です。
結構各選手嫌なところがありますし、展開次第では多くの選手に優勝のチャンスがありそうです。
その中でもやはりジョコビッチ、フェデラー、マレーは有力ですが、錦織、ワウリンカ、チリッチあたりにはシードダウン次第では可能性が出てきます。
全米は08年までフェデラーが連続優勝して以降
09デルポトロ
10ナダル
11ジョコビッチ
12マレー
13ナダル
14チリッチ
と優勝者が安定していません。今大会も嵐が起きるか。しっかり追っていきたいと思います。