two-set-down新章

two-set-down新章

スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

【緊急寄稿】こんな日が来るなんて思ってなかった(ラグビー2015W杯)

こんにちは。

ラグビーファンのみなさん初めまして。

普段はテニスのブログを書いている者です。よくランキングで見る名前かと思いますが今回は緊急投稿です。

私は今でこそ男子プロテニス、ATPツアーを必死に追っている人間ですが、もともとスポーツ観戦については雑食で何でも見る人です。もちろんラグビーもその中に入っています。

今回は初心者向けに今回の勝利を伝えたいと思います。私が試合を見てないのもあるのですが技術的なことは他の方の方が詳しいと思います。

予兆はあったと思います。

2019年W杯招致に成功し、日本はかつてないほどの強化策を取りました。そしてその目玉がエディー・ジョーンズのヘッドコーチ就任でした。日本のラグビーをよく知り、何をすれば変えられるのかを最も知っている人物。彼が就任して以降日本ラグビーの成績は上がっていきました。

2014年にはテストマッチ11連勝。もちろん11連勝の相手は同格かやや格下の相手でしたが、それすらも奇跡と呼べるほどにこれまでではありえないことでした。

そして個人的に(静かに)衝撃を受けていたのが11月のマオリオールブラックス戦。※ニュージーランド正規代表とは違いますが並のチームではありません

初戦は大差で敗れるものの2戦目は終盤までリードする展開。最後は振り切られてしまったものの、18-20というスコアはそれだけで歴史的快挙でした。

負けて歴史的快挙とはなんだと言われそうですが、私は様々なスポーツを見ている身として、ラグビーはすべての団体スポーツの中でも最も番狂わせの起きにくいスポーツであるということを実感しています。

その理由は簡単で、まずはスクラムを組んだ時の体格差。これはどうしても埋められません。スクラムで押されてしまうようなチームはなかなか勝つことができません。ラグビーとは「陣取り合戦」の要素を占めているので。

そして一番の難しさは、相手が得点すると自陣のキックオフから開始し、そのリターンを行うのは相手チームであるということです。

取った側が有利に見えますが違います。先ほども言ったようにラグビーは陣取り合戦。キックオフして相手陣の奥までボールを送るので一応「これでいい」のです。

ただ実力差があれば結局自陣奥深くからでもトライに持って行けるので結局弱いチームはほとんどボールを触ることができず負けてしまうのです。

またボールを落とした場合もすぐに相手ボールになります。これも厳しいルールで、ハンドリングを自陣で間違えると一気に逆襲のトライを食らってしまうスポーツです。

こういった側面からランキングは絶対的な指標と言われるくらいその重みは大きく、今回のエディージャパンの期待度を以てしても「それでも南アフリカはちょっと…」となっていた方がほとんどなのではないでしょうか。

正直私も現状のラグビーの状況を理解したうえで「今回は2勝2敗でグループ3位に入って、自己最高成績で終えて4年後に向けて何か掴んでくれればOK」と思っていました。

それほどまでに上位の壁は厚く、同格のサモア、アメリカに2勝で大健闘、そんな風に思っていました。

ただマオリオールブラックスに善戦できるチームです。何かやってくれるのでは、そんな期待があったのもまた事実です。

試合に関しては論評できるほど詳しくないし見ていないので書きませんが、日本のミスの少なさと終盤での引き分けを選べるにもかかわらず逆転のトライを狙いに行った姿勢、これだけで勝利に値するものだったと思います。

29-29から先に南アフリカがキック(普通は決まる、3点)かスクラム(トライの5点か、失敗すれば0点、トライが決まる保証はない)という場面でキックを選択。この地点で会場には少しブーイングに近い声援が上がりました。勝負しないのかと。

それほどに南アフリカは追い込まれ、その結果確実性を選択したのです。南アフリカは守りに入ってしまった。残り10分、凌げばいいんだ、そういう考えになったのです。

29-32、80分を超えた場面で日本に同じ場面がやってきました。

ラグビーは80分の試合時間を超えた場合、それを最終プレーとして有効な攻撃ができなくなる(相手に渡した場合すぐに外に出すのでそれも同義)か得点が入るかした地点でノーサイド(試合終了)になります。日本はこの地点で自らの反則、ボールを落とす、こういったことは一切できなくなります※相手の反則の場合はプレーが止まるが続行可能

ゴール手前での最終プレー、かなりの確率で入るキックさえ決めれば歴史的引き分けに持ち込むことができるこの場面、日本はスクラムを選択しました。

簡単にできる判断ではありません。この後のリーグ戦も考えれば引き分けにして勝ち点2(勝った場合勝ち点4)を取ることも一つの選択。ここを取るか取らないかで決勝トーナメントに行けるか変わるかもしれない場面での選択。

結果が分かっていてもしびれる場面です。そして最終プレー。

日本はボール一つもこぼせないこの場面で完璧なプレーを続け何度もトライゾーンに襲い掛かります。

そして最後、10分間の退場を出していた南アフリカは一人足りず、左に伸びていった攻撃で日本が数的優位を作り、トライ。

この瞬間に勝負は実質決し、一応五郎丸がコンバージョンキックをして失敗し、ここでノーサイドの笛。日本ラグビーは8大会目で通算2勝目、一方南アフリカは過去5大会で2度優勝。誰も予想しなかったラグビー史最高のジャイアントキリングが起きました。

日本からですとなかなかその快挙が分からないところですが、ラグビー文化圏の国では騒然となっています。

・会場の警備員が最後のトライシーンで仕事を放棄して喜ぶ

・試合に関係ないアイルランドウェールズのファンがパブリックビューイングで狂喜乱舞

・J.K.ローリング氏(ハリーポッターの作者)が感激し、「こんな話は書けない」と絶賛

#RSAvJPN #RugbyWorldCup You couldn't write this...— J.K. Rowling (@jk_rowling) 2015, 9月 19

日本スポーツ史に残る歴史的な勝利であったことは間違いないでしょう。

しかしこの日本チームに唯一不安があるとしたらこの南アフリカ戦が初戦だったということです。

山王戦後の湘北というワードは当ブログでも何回か取り上げていますが、まだエディージャパンは道半ば。今回史上初の1大会2勝目、ベスト8進出というのが現実味を帯びてきているだけに今一度集中し直し、次のスコットランド戦に臨んでほしいです。

スコットランドも格上、南アフリカに勝利したのもあって日本を研究してくるでしょう。

逆にもし日本がスコットランドに勝つようなことがあればベスト8は堅くなってきます。

試合間隔も短く難しい調整になってきますが、時間が合えばテニスのツアーも厳しくない週だし私もフルマッチを見る予定です。

それにしても男子バレーの躍進といい日本スポーツが全体的に明るくなってきてますね。

今日のデ杯入れ替え戦も現在1-2ですが、錦織の勝利は当然として、ダニエルには頑張ってほしい。

ヒラルド戦のダニエルを見ると可能性は十分。心配なのは第5ラバーのプレッシャーと中1日で5セットを戦う体力です。

コロンビアにとっても4度目の正直。2年前同じ日本に2-1のリードから錦織添田にやられているだけに期するものはあります。

逆に日本にとっても

・敵地

・クレー

添田以外の第5ラバー

で勝つことができれば日本テニス界にとって歴史的な勝利になります。また錦織、添田鈴木貴男に次いで史上4人目の現行制度での入れ替え戦以上のグレードのシングルスでの勝利になります。

と煽りながら深夜なので試合見ません、すいません…