新しい勝利の方程式!価値ある残留がもたらす日本テニス界の明るい未来!
こんにちは。
やってくれました。デビスカップ日本代表、コロンビアに3-2で勝利してワールドグループ残留を決めました!!
今日は日本チームの活躍を含め、デ杯について書いていきたいと思います。
まずはそのほかのデ杯の結果からです。
ワールドグループ準決勝
イギリス3-2オーストラリア
イギリスはマレーで2勝、オーストラリアはイギリスの第2シングルスで2勝が濃厚であった中、焦点はお互いに選手を変えられるダブルスに集まりました。
初日のシングルスはマレーとトミッチがそれぞれ勝利。エースとして最低限の仕事をしました。
ダブルスをイギリスが捨てると第5ラバーにコキナキスにエバンズが勝つことは難しく、予想通りイギリスはマレー兄弟、オーストラリアはグロス/ヒューイットを起用してきました。
試合は一進一退の攻防となりますが、第3セットでオーストラリアが1ブレークアップから4ゲーム連取を許してしまい大事な第3セットを落とします。
第4セットでは厳しい場面から追いついてファイナルセットに持ち込み、最終セットも競る展開に。しかし最後はマレー兄弟に軍配。ヒューイットはがっくりと崩れ去り結果的に自身のデ杯最後の試合になってしまいました。最終日のトミッチを見守る悲しい表情には来るものがあったでしょう。結果的に第5ラバーでコキナキスが勝っているだけに(3セットマッチですが)自分がマレーを止めていれば優勝もあったでしょう。
第4ラバーではマレーがトミッチを圧倒。結果的にはマレー3連投で期待に応えたマレーの力で決勝に進出しました。
しかし忘れてはいけません。ダブルスでは兄ジェイミーの方がアンディを引っ張るようにプレーしていましたし、1Rでアメリカに勝ったのはまぎれもなくミスターデ杯、ジェームズ・ワードのおかげです。
実際マレーはケガの不安を抱えながらの試合だったようで、ダブルスではかなり精彩を欠くプレーもあったようです。
マレーの勝利ではなくイギリスの勝利です。決勝は近代化以降初の優勝が懸かります。
ベルギー3-2アルゼンチン
ホームに迎えたベルギーは初日ゴフィンがデルボニスに勝ち、マイヤーがダルシスに勝ちました。
ベルギーはゴフィンで勝てる可能性が高かったのでダブルスを取りたかったところですが、ここは3連投を視野にマイヤーを投入。ベルロクとのダブルスに勝利し、マイヤーは第4ラバー、そして第5ラバーは100位以下のダルシスに対してデルボニスを投入できるアルゼンチンが層の厚さで圧倒的有利、に見えました。
ところがここで落とし穴が待っていました。マイヤーは地元メディアの報道によると疲労の影響で第4ラバーを回避。シュワルツマンに相手が代わりさすがのシュワルツマンでもゴフィン相手には「捨てシングルス」になってしまい大敗。勝負は最終第5ラバーにもつれます。
ここでダルシスが目覚めました。2013年ウィンブルドンでナダルを破った時以来の会心のプレー。地元の大声援を前に5-5の勝負どころだった第3セットを取りあと1セットとします。
ここからが遠かった、SFMのマッチポイントを落としてしまい第4セットは勝負のタイブレーク。
5-2の1ミニブレークでダルシスは走りながらロブでデルボニスを抜き、大歓声に包まれます。
最後はスマッシュを決め、その場で大の字に寝たダルシスに決勝進出の立役者ゴフィンが真っ先に飛び出して倒れ込みます。
スイス、カナダ、アルゼンチンと相手の主力選手に欠場が続いたとはいえチームの総合力で勝ち上がったベルギーが初出場の1904年以来111年ぶりに決勝に進出しました。
インド1-3チェコ
インドは初戦のデバーマンが全米リタイア負けから復帰したベズリーに勝利。ベズリーはこの結果から見るにやや不安です。
勢いに乗りたかったところ、第3ラバーのインド伝統のダブルスでパブラセク/ステパネクに敗れたのが最大の誤算でした。
ここで勝っていれば形の上では王手をかけられていただけにもったいない敗戦になりました。
第4ラバーはベズリーがしっかり締めました。ただ相手はバンブリなのでベズリーとしてはまだ楽観はできないでしょう。
スイス4-1オランダ
スイスは初戦のワウリンカがデ杯でまたしてもやらかしかけましたが何とか5セットで勝利。デ・バッカーはここで勝っておきたかったところ。
第3ラバーでは不調のワウリンカのみを外しキウディネリ/フェデラーで臨みましたが結果的にフルセットで敗戦してしまい、この采配は正しかったのでしょうか。実はデ杯でダブルスにフェデラーを投入したときの勝率は低いです(12勝10敗)…
計らずとも3連投になってしまったフェデラー。全米で7試合戦っており疲労もある中精彩を欠くプレーが続きましたが要所は締めてしっかり自身3連勝。残留を決めました。
来シーズンはフェデラーとワウリンカをいつ起用するのか。シード国として迎える1回戦は注目です。(五輪出場規定で出ておかないといけない?)
ロシア1-4イタリア
ロシアはガバシビリがボレリを圧倒。幸先のいいスタートを切りましたが立ちはだかったのは婚約者が全米を制したばかりのフォニーニです。第2ラバーの期待の若手ルブレフには第1セットSPを握られながらしのぎ切るとその後は地力の差で圧倒。ダブルスではボレリと組んでの黄金ペアで勝利、さらに第4ラバーでもガバシビリを下して3連勝。フォニーニの大車輪の活躍でイタリアは残留です。
ウズベキスタン1-3アメリカ
ブライアン兄弟、イズナーを派遣しなかったアメリカでしたが、イストミンが一人で頑張らなければいけないウズベキスタンに対して初戦ジョンソンで敗れたもののその後は力の差を見せて圧倒。アメリカが確実に残留を決めています。
ドミニカ共和国1-4ドイツ
エストレラ=ブルゴスの活躍で初昇格の舞台に上がってきたドミニカですが2番手以降が試合にならず、初戦エストレラ=ブルゴスがブラウンに勝った以降は力の差を見せつけられ地元の声援むなしく敗戦。ドイツも残留を決めました。
ブラジル1-3クロアチア
初日はブラジル、クロアチアともエースが勝って1勝1敗に。コリッチは敵地クレーの中ソウザ相手によく勝ちました。
第3ラバーで計算できるブラジルのダブルスをなんとクロアチアのドディグ/スクゴールが破る大波乱。メロ/スアレスで勝てなかったブラジルは一気に追い込まれます。
迎えたエース決戦、ここに勝てばブラジルは最終ラバーはデリッチ相手なので勝てる…というところでしたが、なんとベルッチが無念の棄権負け。クロアチアがワールドグループ同士の一戦を制し残留。ブラジルはゾーン1に降格となります。
実力伯仲の東欧決戦は初日エースのヤノヴィッツとクリザンが勝利。ダブルスではクボット/マトコウスキーの強力ペアが実力通りスロバキアを破って2-1に。
最終日はクリザンがヤノヴィッツに勝ち大逆転か?と思われましたがゴンボスではやや力不足だったか。プリーシズニーが確実に勝ってポーランドが史上初めてのワールドグループ昇格を決めました。
日本3-2コロンビア
久しぶりに私の予想が的中しました。キーマンとしていたダニエルの活躍が光りました。
第1ラバーではダニエル太郎がヒラルドに大健闘。2セットダウンから追いつき最後は敗れたものの、大きな爪痕を残しました。
ダニエルは2014年QFチェコ戦でも同じことをやっていて、これはエースのヒラルドに対して大きな価値があるプレーだったと思います。クレー巧者のヒラルドに対して2セットダウンから挽回するのは至難の業。ダニエルも自信を得たのではないでしょうか。
最終セット取れていれば…というところですが、ヒラルドは5セットの時うまい切り替えをしてくる選手です。
2013年デ杯入れ替え戦第2ラバーでは添田がいいテニスをして第4セット追いつき、一方ヒラルドはやけ打ちが見え始めて自滅気味のところでした。
ところがファイナルセットに入ってヒラルドが集中を取り戻し、このやけ打ちを確実に入れてくるようになり、添田は防戦一方、ノーチャンスと言ってもいいファイナルセットでした。
今回も多くの方の実況を見ている限りそんな感じがします。ヒラルドは2セットの貯金をうまく使い立て直したというところでしょうか。
ただこの結果を見て(試合は見てませんが)私は第5ラバーダニエルでいいだろうと思っていました。唯一心配なのは体力の消耗だけでした。
第2ラバーでは錦織が全米以来の初戦。ファリャ相手にもたつく場面も多く決していい内容ではなかったようですが、やるべき仕事はきっちりとして3セットで片づけました。
このファリャを見て第5ラバーどうするかというところでした。内容で見るとヒラルドよりもいいのでは?西岡に代えるべきでは?という意見もたくさん目にしました。
ただ錦織はどん底から再起をかけた復帰戦、本人も精彩を欠いていたプレーがあっただけにそのファリャが1セットも取れていないというあたりに可能性を感じていました。正直クレーでは何を言ってもヒラルドの方が怖いですよやっぱり。実績、土の上でのプレーが違いますから。
錦織にとって第2ラバーで大事だったのはマレー、ペールと続いた3連敗の可能性を止めることです。
こういう時は内容より結果が薬になります。野球でスランプの選手がどん詰まりでもヒットを打てばいいのと同じ論理です。
あっさり初日が出たことで錦織の第4ラバーは99%勝つだろうという認識でした。
そうなってくると問題はその99%を下げてまで第3ラバーを取りに行くかどうか、でしたが日本の戦略は私の事前解説通りでした。ダニエルを見て第5ラバーに賭けたのです。
これで第4ラバーの勝率は99%のまま、第3ラバーの勝率は限りなく0に近づきました。
2013年同様、1ブレークもできずに力なく日本ペアは敗れました。仕方のないことです。相手はロンドン行きを争う強豪ペアですから。
むしろ第1セットよく取れたと思います。内山には本当にダブルスの可能性を感じさせるので今すぐにでもダブルス専門になって、強豪ペアから漏れたような選手とでもいいから本気で1年間正規ペアでツアーを回ってみてほしいです。
西岡は初出場となりました。今回は勝つのにはノーチャンスすぎましたが、この経験は今後生きてくるはずです。
そして最終日。第4ラバーは錦織が初日からテニスの内容を上げヒラルドに快勝。この2勝で確実に錦織は窮地を脱したと思います。アジアシリーズ、サーフェス変更がやや不安ですが楽しみにして間違いないと思います。ファイナル行きも再度確信しました。
迎えた第5ラバー。雨が落ちる中ダニエルは前時代のクレーコーターらしく下がって確実にプレーしていきました。
またサーブが好調だったのもよかったです。1stが70%も入り、第1セット序盤のぐだぐだを抜けた後は快調にサービスゲームをキープしました。
一方のファリャは第1セットダニエルが自滅気味だったのにお付き合いしてしまいブレークを許すと、先に第1セットのタイブレークを取って抜け出したダニエルに対して自分は上げきれず、どんどん差がついていきます。
ベテランのファリャとはいえデ杯WG初昇格のプレッシャーは相当なものだったでしょう。ウィンブルドンでフェデラーを追い詰めたことがある選手でも国を背負うという重みはまた違ったものです。
最後まで自分のテニスを貫けたダニエルは最後ボレーを叩きつけて勝利。応援席の策を乗り出してコートに駆け寄る日本陣営。デ杯敵地で見られる「一部だけ喜ぶ光景」というのを日本チームで初めて見ました。
今回の勝利は
・ワールドグループ残留をかけた入れ替え戦で初勝利
・錦織をダブルスで使わず勝利(前例はあり)
・添田以外の選手が入れ替え戦以上のグレードの2-2で迎えた第5ラバーで勝つのは初
・ダニエルのシングルス初勝利、入れ替え戦以上のグレードでは日本史上6人目(福井、鈴木、錦織、杉田、添田、福井は相手の棄権勝ち1勝のみ)
・入れ替え戦以上のグレードのアウェーでの初勝利
・入れ替え戦以上のグレードのクレーでの初勝利
という大きな勝利になりました。
日本チームは2014年から3年連続ワールドグループとなり、いよいよ常連国に仲間入りしようとしています。
次なる日本チームの目標は大きく4強と言っていいのではないでしょうか。
ベルギーの例もあります。相手に恵まれれば錦織2勝+ダブルスor第5ラバーで1勝という勝ちパターンを掴みました。
西岡、ダニエルが成長すればハード/クレーでは相手国の2番手次第では相当な勝率が見込めそうになってきました。
そして今回の勝利の立役者となったダニエルですが、デ杯で勝つか善戦するとその後の活躍に大きなプラスとなることが多いです。
錦織もデ杯を経ることに強くなっていきましたし、他国の例だとポスピシルがその典型例です。
2013年夏にカナダ4強でブレークするまでは無名に等しい選手でしたが、カナダデ杯チームをワールドグループに押し上げた立役者であり、大先輩のネスターとダブルスを組んだことが2014年ウィンブルドン優勝へとつながっています。
ダニエルもその可能性が十分にあると思っています。ハードのテニスにはやや苦しんでいますが、クレーでは相当いいところに行ける可能性を感じています。
錦織で感覚がマヒしがちですが、250の決勝、50位付近を考えています。
なんだそれと言われそうですが、クレー主体の選手が日本から誕生したことはなく、現状突然変異の錦織以外クレーでは日本勢はからっきしなので相当高い目標設定です。
というわけでダニエルです。さっそくこの歓喜の勝利の後移動し、今週はチャレンジャーに出場するようです。恐ろしい世界です…
内山、西岡も何かを掴んでくれるといいですね。錦織は2勝で自信を取り戻したと思うので次は楽天、頑張ってもらいましょう。
ラグビーに続き快挙が続いていて本当に明るい話題ですね。
さてそんな日本チームですがさっそく今晩(明朝?)チリで来年度の組み合わせ抽選があります。
デ杯の対戦カードは基本的にITF国別ランキングの上位8か国がシードになります。ただし前年の(つまり今年の)決勝進出国は第1、第2シードになるのがルールです。
というわけで2016年のシード国は
1.イギリス
2.ベルギー
3.チェコ
4.スイス
5.フランス
6.アルゼンチン
7.セルビア
8.オーストラリア
となります。
一応ホーム/アウェイは過去に対戦があった場合ホームとアウェイを交互に戦うのが決まっていて、近年対戦がなければくじでホーム/アウェイを決めます。
日本は来年度は
ホーム…フランス、オーストラリア
アウェイ…イギリス、スイス
となっていて、50%でホーム、50%でアウェーです。
ホームでやってくれたら見に行きたい順
オーストラリア(主力来る)→フランス(主力来る)→セルビア(ジョコビッチ来る)→アルゼンチン(主力来る)→チェコ→ベルギー
オーストラリアはおそらくヒューイットが監督になるし、若手の有望株が揃ってるから見たいですね。でも若手はお騒がせばっかりだから代表に選ばれるのか…
フランスは見たい。IPTLにも来てくれる人が多いですがもし実現すれば歓迎したいですね。
セルビアはジョコビッチが来年も優勝狙って本気で来たら楽しみですけどね。
組みやすい順
飛車角落ちのスイス→ゴフィン抜きのベルギー→マレー抜きのイギリス→ベルディヒ抜きのチェコ→ジョコビッチ抜きのセルビア→アルゼンチン→オーストラリア→フランス→フルメンバーベルギー→フルメンバーチェコ→フルメンバーイギリス→フルメンバースイス
まあスイスはもはやフェデラーワウリンカが出るかどうか。フェデラーが五輪要件を満たすために出てきたらもう終了ですね。
ベルギーはゴフィンがいなかったらダブルスも強くないし勝ちやすいのでは。
イギリスもマレーが抜けると第2シングルスが相当弱体化するのでどこかで1勝は拾えるでしょう。
チェコも1番手が一気に格落ちするので来年は勝てそう。
逆にメンバー落ちがなさそうなのはアルゼンチン、オーストラリア、フランスといった国。錦織が2勝出来てもそのあとが相当厳しい。2番手シングルスがレベル高い国は日本は苦戦しますね。3連投やむなしになってしまうのか。それでもフランス、オーストラリアといったダブルスの強い国は厳しい。
そしてフルメンバーで臨んでくると錦織でも2勝が厳しいトップ10輩出国。結局メンバー発表があるまでどの国を引いたらよかったという議論は意味がなさそうな気がします。
さてテニスはそんなに話題もないので更新しないと思います。今日はラグビーがあるので見ようかと思います。
そういえばテニスで話題がありました。ATP公式のレースランキングの選手紹介、ベルディヒはメスに出場することになってますが正しくはサンクトペテルブルクに出場です…
最近公式もベルディヒをネタキャラにしてませんか。まあ面白いんですけど。