two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

楽天ジャパンオープン・非公式ガイドブック③ダブルスの奥深さに触れよう!!

こんばんは。

いよいよ明日から楽天ジャパンオープンが開幕です。待ちきれません。

通常だと錦織は火曜登場が多いのですが、今年は下位シードが軒並みアジアシリーズに出ているためか、初日のスタートになります。万一初戦敗退したら客席が空いちゃうのでしょうか…いらなかったらください…もったいないです…

世界レベルのテニスはこの機会にしか見れません。お目当ての選手じゃなくてもいろいろな発見があるはずです。

あんまり書きすぎると変なフラグ建築になるのでこのへんで。

さてそんなわけで今日はダブルスの話題です。

今年は楽天OP史上でも最もダブルスが面白い年ではないかと思います。ひいき目抜きにです。

早速ドローを見て見ましょう。

[1]ブライアン/ブライアン

カバル/ファラー

ゴンザレス/ペール

ガスケ/ベルダスコ

[4]ペヤ/スアレス

(PR)ラム/ステパネク

ロペス/ミルニ

(Q)ジョンソン/クエリー

フーイ/コンティネン

アンダーソン/シャルディー

ドルゴポロフ/トミッチ

[3]クラーセン/メロ

(WC)松井俊英/ニエミネン

クレシ/シモン

(WC)クライチェク/内山靖崇

[2]エルベール/マユ

さて当ブログでは初めてに近いダブルスを取り上げた記事です。

そもそもダブルスは今どんな感じで行われているのか?という話からしましょう。

やはりシングルスが注目されるのは今も昔も変わらず、ATPはダブルスのルールを大幅に変えるようにしました。

その最大の目的は「シングルス選手のダブルスへの参加」です。結局ダブルスのスターを生み出すわけではなく、シングルス選手に出場してもらうために試合時間の読みやすいルールに改正しました。

具体的には

①ノーアドバンテージ制

②マッチタイブレーク

の2つが採用されています。ここがシングルスと異なる点です。

まずノーアドバンテージ制はなじみがあるのではないでしょうか。アマチュアでテニスをされる方は結構試合ルールにも取り入れられていると思います。

デュース(40-40)になった時に、次のポイントでそのゲームを決めるというルールです。アドバンテージのカウントがなくなるのでノーアドバンテージ制です。

そのポイントは1ポイントで決まるので、リターン側が好きなサイドを選ぶことができます。

サーバー側が選べないあたりがうまいルールです。ダブルスはキープすることがシングルス以上に大事になるので、このルールによってより緊迫感が増すルールになっています。

またこれによって、1ゲームの最大ポイントは7に固定されるので、試合時間が計算しやすくなります。

そしてマッチタイブレーク制は第3セットを10ポイント先取のタイブレークにすることです。

なおチェンジコートは6ポイント毎と普通のタイブレークと変わらないので、9-9でチェンジコートというなかなか厄介なルールです。

これも試合時間が計算しやすくなります。3セットマッチの場合2セットor3セットというのは結構試合時間が変わりますが、マッチタイブレーク制にすることで2セット+約20ポイントとなるのであまり試合時間が変わりありません。

ただ勝っている側からすると6-4、6-6で迎えたタイブレークから15分ほど調子を落とせば第2セットタイブレーク、マッチタイブレークを連続で落とすので勝っている側も油断ならないスリル感のあるルールです。波乱もよく起きます。

この10年間以上ダブルスはブライアン兄弟が席巻してきました。04年から05年、08年を除いてすべての年で年間1位です。ダブルスにはブライアン兄弟がいる、というのがダブルス人気にもつながっていた側面があります。

しかしそろそろニューヒーローが欲しいところです。いくら動きがシングルスに比べて少ないとはいえ、ここ10年固定のメンバーがペアを組みかえながらダブルスのトップ層に居座り、気が付けば主力選手のほとんどは30歳を超える選手になってしまいました。

最近停滞が続いていたダブルスでしたが、結果的にこの「シングルス選手の呼び込み」が新たな潤滑油を生み出しているのがここ2年のダブルス界です。

2014年にはベネトー/ロジャー=ベスリン、ポスピシル/ソックの2組がGSで優勝。それぞれシングルスを主戦にした選手がダブルスに出場し(ただしGSはデュースあり、マッチタイブレークなし)優勝したことで「シングルス・ダブルス」という新しいダブルスの形を作りました。

シングルスの選手はダブルス選手が持っているボレー力には劣るものの、オープンスペースに打つうまさやストロークの威力ではダブルス選手を上回ることもあるので、新しい形を生み出そうとしています。

2015年にはボレリ/フォニーニ、ダブルス巧者とはいえシングルスでも戦っているエルベール/マユといったペアがGS制覇。少しずつ流れは変わり、今年のチームランキング(ダブルスのレースランキングに相当)は、ブライアンズが1位ではあるものの、わずか515p差の2位にロジャー/テカウ組、3位も1145p差でドディグ/メロと、ブライアンズの年間1位はまだまだ確定とは言えないほど今年は荒れています。

さてそんな中行われるダブルスですが、有力選手がたくさん集まっています。

まずはトップシードの[1]ブライアンズ。よくどっちかボブでどっちがマイク?と聞かれますが、簡単です。ボブは左利き、マイクは右利きです。

ダブルスにおいては(諸説ありますが)利き腕が逆の2人が組むとよいということが言われています。まさにダブルスをするためにコンビネーション、利き腕まで完璧なのがブライアンズです。

ツアー100勝という前人未到の数字を達成、ダブルス界におけるレジェンドです。

なぜか楽天OPは3年連続の出場ながら過去2年初戦敗退。縁起の悪いこの大会で看板選手として初優勝できるか注目です。

そしてそのブライアンズに初戦立ち向かうのはデ杯で日本を苦しめたあのカバル/ファラーです。

2014年についに才能が開花しファイナル争いに食い込むようになりました。昨シーズンはパリまで可能性を残したもののあと一歩届かずロンドンへは行けませんでした。

今年も暫定レース11位につけており、8位との1000p以上のポイント差を考えるとすべての大会が正念場です。

初戦からダブルスレース1位と11位の好カード、正直シングルスのカードがしょぼかったら私は確実にこっちを見に行きます。

そして昨年ダブルス初優勝を決めたエルベールがマユと組んだ正規ダブルスで帰ってきました。

昨年はプリーシズニーといわば「その場にいた者同士」で組んだダブルスでしたが、強豪ペアを次々と破り優勝。エルベールのキャリアはこの大会から始まったと言っても過言ではありません。

あれから1年。GSタイトルホルダーとなり、また20代前半の選手としてこれからのダブルスを引っ張っていく選手となりました。シングルス本戦には進めませんでしたが、彼の活躍には期待です。

さらに注目はこちらもシングルスで本戦を逃したニエミネン、松井俊英と組んでワイルドカードでの出場、最後のジャパンオープンになります。

10年以上毎年のように日本に来てくれた選手です。最後の花道を大勢のお客さんで送りたいものです。

初戦の相手はクレシ/シモンと急造ペアながら強敵。いい試合になりそうです。

そして今年の全仏王者、ドディグ/メロの一人が参戦、[3]クラーセン/メロは注目です。クラーセンもダブルスのスペシャリスト。初戦はシングルスタイプのドルゴポロフ/トミッチとの対戦。ダブルス専門として負けるわけにはいきません。

実力者[4]ペヤ/スアレスは今期苦しんでおり、レース9位です。逆転でのファイナル滑り込みのためにはいい成績が必要です。

そのほかシングルス・ダブルスではガスケ/ベルダスコ、アンダーソン/シャルディー、ジョンソン/クエリーがいます。こういった選手を2回見れるのは素晴らしいですね。

シングルスでいい試合がない!!という時はちょっと足を延ばしてダブルスの試合を見るといいと思います。ダブルポーチ(前衛)とダブル後衛の攻防は見ものです。アマチュアテニスだと後衛のじり貧ラリーになりがちですが、プロのスピードボールであってもうまく打球をコントロールしてボレーで1球で決めてしまう彼らのプレーはまさに「やるか、やられるか」です。息つく間もなく時には一人が外に出されてももう一人がカバーするコンビネーション。あるいはスマッシュから切り返しのパッシングショット。そんな一瞬のせめぎ合いを楽しめるチャンスはこの1週間しかありません。ぜひ楽天OPに足を運ばれたら一度はダブルスの試合を見てみるといいと思います。