two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

楽天ジャパンオープン・非公式ガイドブック⑤Day6プレビュー・アンダーソントップ10入り!

こんにちは。

いよいよ12時から準決勝開始です。試合前プレビューです。

QFについてはすいません、1秒も見れませんでした。とりあえず後半の2試合はすごい試合だったという風に聞いています。

チリッチも状態がいい中、錦織が少ない活路を見出して気が付けば試合の流れをひっくり返していたというような典型的な錦織らしい試合だったという風に聞いています(それも強豪相手に)。

心配なのはファイナルセットで肩の治療を受けたことです。今シーズン前半戦錦織がMTOを一切取らなかったことを考えると相当深刻な問題と捉えています。

そのあとサービスエースなどを取っていることから楽観論も出ていますが、最終戦までの長いスケジュールを考えると一切いい予兆とは言えません。ワシントンの腰のMTO→カナダSFでのガス欠に近い状況からのシンシナティ欠場と、今シーズン明確に体の不調を訴えてMTOしたわずか1回の時はそのまま離脱につながっています。

ペール戦についてはもう一度やればまあ何とかはしてくれるだろうという見方をしていますが(あとでまじめに分析します)、基本は錦織の状態によるところが大きいのではないでしょうか。

SFプレビューです。

センターコートのみ 12:00~

[1]ワウリンカ×ミュラー

ワウリンカはステパネク→伊藤→クライチェクと、250と間違うようなイージードローで特に何もなくSFに進出。一方ミュラーは[5]アンダーソン、[3]シモンとシードを二人破っての準決勝進出です。

基本的にはミュラーが昨日シモン相手に見せたようにストロークでも上回るテニスができないと相当厳しいでしょう。逆にうまくワウリンカのメンタルをそぐことができればまさかもあると思います。

リターナーのシモン相手に1ブレークに抑え込んだサービスゲームミュラーはカギになってきます。

ペール×[2]錦織圭

2014全米のリベンジの次は2015全米のリベンジです。

ただあの時と条件は違います。

錦織は初戦という難しい状況だったのに対してペールは押せ押せモード。自分のやりたいテニスもはまったうえにあの日はサーブがよかった。5セットのGSで試合を通して錦織がリターンゲームから継続してチャンスを作れないまま終わるのはそうないことです。

しかも敗戦という事実が重くなりがちですがMPまで錦織は行きました。かれこれ3年ぶりのMPからの敗戦で、何かが違えば全く結果は違っていた試合だと思います。

この試合のポイントはまず錦織のサービスゲームです。

1回戦、コリッチ戦では壊滅的な1stの入りを見せてしまい第1セットコリッチにあっさり2ブレークを許しました。

2回戦はクエリー相手に修正したプレーを見せてオールキープ。さらにQFのチリッチ戦もチリッチ相手ということを考えれば上出来のわずか1ブレークに止めました。

といった状況から、肩の状態が著しく悪く、サービスゲームが壊滅的に戻らなければ結果は目に見えていると考えています。

そしてリターンゲームですが、錦織の今大会のリターンは結構いいと考えています(聞いている限りですが)。

2012年の優勝の時の勝因はリターンにあると考えています。QFのベルディヒ戦でスーパーリターンを披露し、決勝でもラオニッチ相手にベーグルするなどあの年のリターンは錦織史上でもキャリアハイではないかというようなリターンゲームでした。

同じ有明サーフェス、ややスピードは変わっているらしいですが慣れ親しんだこのコートで今年もリターンの調子がいいというのは好材料です。

奇しくも2012年とは似た勝ち上がり方です。

2012

1R添田 なんとなく(同胞の対戦なので)トリッキーな相手

2Rロブレド 力のある選手

QFベルディヒ 大一番、相性はいいが実力者

SFバグダディス 前回対戦で負けていて相性悪そう

2015

1Rコリッチ 若手で力もありトリッキーな相手

2Rクエリー 負けたこともあるし力のある選手

QFチリッチ 相性はいいが実力者

SFペール 前回対戦で敗戦、テニスも噛みあってない感じ

しっかりここで勝ちきってほしいです。

ちなみに錦織のATP500のSFは、2011バーゼル、2012東京、2013メンフィス、2014バルセロナ、2014東京、2015アカプルコ、2015バルセロナ、2015ハレ、2015ワシントンと過去9回あり、8勝1敗です。

その1敗もセッピ相手に棄権負けした2015ハレのみなので、まともに戦えれば無敗です。

あくまでデータですが、実際試合の見立てを考えてもまずは錦織の体調がキーになってきます。

少し対ペール作戦について考えてみましょう。

・相手のペースを作らせない

試合中にいろいろするのはもはやどうしようもないので、少なくともプレーで乗せないようにすることは大事です。

まずは先行されないことが大事です。先にブレークできれば一気に勢いを持って行けるでしょう。

・ドロップの対処

昨日の錦織は下がり気味だったと試合後の解説を耳にしました。

今日はペール相手にしっかり打っていくテニスでいいと思います。

ペールのばくち打ちカウンターは怖いですが、全米でも常に決まっていたわけではないですし50%を切っていた感覚なので、BPとかを作らなければOKかと思います。

それよりも厄介なのはドロップです。

足のけがではないのであまり影響はないと思うのですが、初戦からずっとハードな試合が続いているだけにここでいろいろ使われると決勝に向けて温存できなくなります。

下がってしまうとペールのドロップの餌食です。錦織のラリー中での位置取りには注目したいです。

・ラリーの展開方法

錦織は苦しくなるとバックハンドに集め、バックのクロスラリーを多用する傾向があると考えています。

基本ほとんどの選手がバックの方が相対的に悪いので、普通効果的なのですがペールはそういうわけにはいかないのでフォアでガンガン振り回す方がよほど効果的だと思います。

また最近ずっと疑問符に思っている回り込みフォアも今回は同様の観点で有効になりそうです。回り込んでいいフォアをストレートに打つことができればいいくさびになります。そこで変に逆クロスをつなげるようだとまずいですね。切り返しのバックDTLなんかを打たれてしまいます。

こんなところでしょうか。サーブが前回よりいいことはおそらくないでしょう。あったらとっくにこのランキングは卒業してるはず…

[3]クラーセン/メロ×クレシ/シモン

シングルスでは敗れてしまったシモンですが、ダブルスはまだ勝ち残っています。

今日のダブルスはシングルスの試合直後から行われるので、SF2試合の余韻のまま見ることをお勧めします。シモン楽しみにしてた人も昨日は残念でしたがよかったですね。

メロは今年の全仏OPでドディグと組んで初優勝。悲願のGS初優勝を決めたばかりです。

今年のGSダブルス優勝者が5人も出場していた今大会ですが残すはあと一人になりました。メロの奮起に注目です。

ダブルスのSFもう1試合は昨日錦織戦の裏でひっそりと行われ(これはまあ仕方ないですね)、カバル/ファラーが決勝に駒を進め、ファイナルの望みをつないでいます。

さて最後にランキングです。実はとんでもないことが起きていました。今日SF開始前の暫定ランキングです。

今週は上海失効という厄介な週で、以前お伝えした4-8-6制から4-7-7制に移行する週です。

そのため例えば今週欠場のモンフィスが4つ順位を上げるなど複雑な計算がありました。

その結果大きな恩恵を得た選手がいます。ケビン・アンダーソンです。

楽天OPに出場したアンダーソンは初戦敗退と振るいませんでした。当ブログでも「トップ10挑戦が厳しくなった」と評していました。

しかし10位周りの選手がすべて早期に敗退してしまい、さらに10位だったシモンが上海Fの600pを失効、そして何より4-7-7制になったことでいわゆる「ドサ周り」をしていたアンダーソンの7番目の大会が最後の一押しをした結果、暫定10位、そして今週これ上回る選手は誰もいないため、今シーズンATPツアー初の新規トップ10入りを果たすことになりました!!!!

今年のトップ10の入れ替えはチリッチとディミトロフ、チリッチとシモンのみでしたが、ついにアンダーソンが個人でも初めてのトップ10入りを決めました。キャリアハイ更新です。

本人の最終目標の一つと語っていたトップ10入り、アンダーソンは相当喜んでいるでしょう。月曜日の公式発表が楽しみです。

レースランキングでは錦織がさらに加点を続け、99%が99.5%になったと言っていいでしょう。あとは肩のけがだけが心配…

さあ、いよいよ準決勝が始まります。もう祈るしかありません。