two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

ATPランキング試算(2015パリマスターズ後)

こんにちは。

みなさん「パリマスターズ始まってるよ!!」

…はい、その通りです。

実は初戦とガスケ戦になるであろう木曜日はすでに見れないことが確定しています。

久しぶりの試合、失意からの復活のための大事な大会なのに全くTSDのモチベーションが上がっていません。

ガスケ戦は録画で見ようかなと思っています。バーゼルではSF敗退だし、水曜スタートで中4日になるのでたぶん上がってくるでしょう。

もしマイヤーになったら初戦を勝った錦織がさすがにマイヤーには負けない(明らかにテニスが噛みあってる)ので、8強は確実ですし見ないと思います。

こけるとすれば初戦も結構厳しそう。個人的にシャルディー警戒しすぎですかね。ロペス、シャルディー、クエリーあたりを警戒するのは12~13年に入ったファンの特徴と思ってます。負けた試合が嫌な思い出すぎて…

さてよそでこんな内容の事を見つけたので触れておきます。

「なぜ錦織圭のファイナル通過順は8番目という扱いになっているのか」

という話題です。

ウィーンで優勝したことで、錦織とフェレールのレースポイントは並び、3945pになりました。

実は今週錦織とフェレールが同じポイントを稼いでレギュラーシーズンが終了した場合、錦織は7位、フェレールは8位になります。

ですが日本以外のメディア、特にATP公式ではフェレールが7番目、錦織が8番目の通過をしているという発表をしています。この二人が通過したことを書いている記事では必ずフェレールと錦織が通過と、フェレール先、錦織後での記述が書かれています。

なぜ本来同じポイントとはいえ錦織の方が後に書かれなければいけないのか?もしかしてアジア人蔑視ではないのか?ATPのミスなのか?など某所で様々な憶測が出ていました。

ご安心ください。ATPは確実にルールにのっとってこの通過順を発表しています。何らミスはありません。

それではその根拠を説明していきます。複雑な説明なので流し半分に呼んでもらった方がいいと思います。細かいルールが気になる方はしっかりと読んでついてきてください。

まずはATPのルールブックの該当部分をご覧ください。

ルールブックは公式のRankings FAQ→What is the ranking structure and formula for 2015?のところにリンクが張ってあります。各自でご確認ください。

そこの193ページ、Emirates ATP Rankings のEにはこう書かれています。

E. Ties. When two or more players have the same total number of points, ties shall be

broken as follows:

1) the most total points from the Grand Slams, ATP World Tour Masters 1000 mandatory

tournaments and Barclays ATP World Tour Finals main draws, and if still

tied, then,

2) the fewest events played, counting all missed Grand Slams, ATP World Tour

Masters 1000 tournaments and Barclays ATP World Tour Finals they could have

played (as described under A. above) as if played, and if still tied, then,

3) the highest number of points from one single tournament, then, if needed, the

second highest, and so on.

原文ママ

これをすべて日本語に訳すとこうなります。

E.同点の場合 2人もしくはそれ以上の選手が全く同じポイントだった場合、次のように順位付けする。

(1)グランドスラムATPマスターズ1000の義務大会(つまりモンテカルロは除く)、ツアーファイナルズのメインドローでのポイント(去年のフェレールのような補欠出場は除くのか?限定例過ぎて確認できていません)の合計が大きいほうから並べる。もしそれでも同点の場合、その場合は

(2)欠場したGS、マスターズ、ファイナルズの大会数をカウントしたうえで最も少ない大会に出場したほうから並べる、カウントについてはAで記載されている。もしそれも同じなら、その場合は

(3)1大会で稼いだポイントのうち最も大きなポイントを比べて、それでも同じなら2番目、3番目…としていく

となっています。(2)はわかりにくいですが、ランキングの公式ページの「Tourn played」の数字のことです。要するに加算対象になりうる大会数という日本語が近いでしょうか。逆にややこしいですかね。

現在錦織圭は、全豪360+全仏360+ウィンブルドン45+全米10+IW90+マイアミ180+マドリード360+ローマ180+カナダ360+シンシナティ0+上海90=2035pです。

フェレールは、全豪180+全仏360+ウィンブルドン0+全米90+IW45+マイアミ180+マドリード180+ローマ360+カナダ0+シンシナティ0+上海10=1405pです。

ですので、(1)で、錦織>フェレールとなり、エントリーランキング上では来週錦織とフェレールが同じラウンドまで行った場合、錦織7位、フェレール8位が確定します。

ではなぜレースはタイ表示なのか?ということですが、レースは同点の場合はタイで表示するみたいです。

元々このランキングは、年末付近にロンドン争いを楽しむだけのランキングなので、エントリーやシード付けに直結する通常のランキングと違ってたぶんそこまで重みがついてないんだと思います(このルールブックにはレースランキングついての記載は確認する限りではまったくありませんでした)。

だったらエントリーランキングと同じように仮にタイだとしても錦織、フェレールの序列でよくないか?となるのですが、あまりにも簡単な答えがそこにはありました。

レースランキングでタイの場合は、ファミリーネームのアルファベットが早い順に記載する

実はこれがすべてでした。錦織だけなぜか順番が反転していたら文句も出るところですが、今週付の公式でもっと下位の選手の同点での事例を見ると

39位タイ クエバス  (1)295p+その他760p=1055p

39位タイ ポスピシル (1)680p+その他375p=1055p

クエバスはCuevas、ポスピシルはPospisilですので、CがPの前に来ます。なのでFerrerがNishikoriの前に来るのと全く同じことが起きています。

このことからも、ATPのレースランキングはあくまで飾りであって、同点の場合はファミリーネームのアルファベットが早い順に記載するという裏付けになっています。他の理由も考えましたが、たぶんないでしょう。

ですのでルールに従ってフェレール、錦織の順に記載され、ファイナルが決まった地点でのレースランキングの「序列」はフェレールが先だったのでフェレールが7番目の通過、錦織が8番目の通過として扱われているようです。

ATP、ミスはほとんどないですから。たまにやらかしますけど、だいたいこちらの日本語解釈のミスの場合が大半です。

今回も複雑なランキングシステムを理解することでミスでないことが分かりました。

ちなみにATPランキング試算(2015上海マスターズ後)②2回戦終了時にて、私の英文解釈のミスから、なんと(1)では同じ865p同士だったため、(2)までもつれてしまったディミトロフとバウティスタ=アグトのエントリーランキングの順位の序列を取り違えてしまいました。ファンの皆様には本当に申し訳ないことをしました。

以下英文解釈のミスについて釈明してもいいのですが、もうこの辺になると誰も読んでいないことが想定されるので(笑)そして細かすぎるのでやめておきます。

こういう具体例から自分で英文解釈をミスしていたことが発覚してルールをさらに理解することもあります。

というかATPは日本語用ルールブックを作ってください…もうしんどいです…

話がわき道にそれてきましたが

・錦織の通過順が8番目なのは妥当

・レースランキングは同点の場合タイ表示になって、それはファミリーネームのアルファベットが早い順に記載する

この2つを押さえておきましょう。

ちなみにコメント欄で一応バウティスタ=アグトとディミトロフの順位を取り違えた過程は残しておきます。気になる方はどうぞ。

というわけでやっといつもの試算です。

今週はエントリーランキングとレースランキングが一致します。ファイナルの一部のチャレンジャーのポイントが失効し、パリが加わることで4-8-6制に戻る週で複雑です。

失効後のランキングです。

先ほどからの長い説明により、同点ですが錦織は7位スタートです。

バーゼルナダルが準優勝したことで、錦織はエントリーランキングでも7位に落ちました。

今週はファイナルの400pが失効し、だいぶ5位6位と差が開きました(既定路線でしたが)。

ファイナルの組み分けに向けてのトップ10の整理です。

1位ジョコビッチは1位在位週数の記録が史上5位になりました。

1位在位週数史上7番以内に3人、5番以内に2人の現役選手がいる今の時代…恐るべしです。

しばらくはジョコビッチ1位が続きます。

2位マレーはフェデラーのファイナル1000p失効で再び2位スタート。ジョコビッチとの対戦は避けたいところで、自力での2位は決勝進出が条件です。SFでフェデラーに敗れ、フェデラーが優勝するとわずか20pフェデラーが上回ります。

3位フェデラーは優勝が2位への条件で、その場合自動的に2位です(マレーはドローの組み合わせ上4強以下確定なので)

ワウリンカは4位確定です。

5位と6位は競っていますが、ファイナルの組み分けという面では大きな変更はありません。

ベルディヒナダルより1つ多く勝てばベルディヒ5位キープで、同一ラウンドかナダルの方が勝てばナダルは5位になります。

7位錦織8位フェレールフェレールが錦織より1つ多く勝てば順位交代で、同一ラウンドか錦織の方が勝てば錦織7位、フェレール8位と変わりません。

彼らが5位6位に追いつくためには決勝進出が必要です。

なので、実はほとんどファイナルの組み分けパターンはもう決まったも同然ですね。

ファイナルの組み分けは1位か2位、3位か4位、5位か6位、7位か8位が一人ずつ2つのグループに入ります。

4⇔5の交代はなく、2⇔3、6⇔7も条件が難しいので交代はおそらくないでしょうが、フェデラーが優勝すればいいバランスになるかなあと思います(マレーがファイナルにどこまで本気かは相当グレーなので)

9位以下は年末トップ10に向けての争いです。

11位チリッチ以下は最低8強が必要で、バーゼルで4強に入ったガスケはほぼトップ10フィニッシュを手中にしました。

あとは9位をキープし、補欠1番手でファイナルに入ることが焦点になってきました。

そして毎年ひそかに注目しているコミットメントプレイヤー(年末30位)争いですが、今年は30位付近の選手が軒並み欠場しており、ほとんど盛り上がりはありません。

シャルディーは錦織を破ればトップ30フィニッシュです。

マイヤー以下は8強が必要で、相当厳しいです。

シャルディーが16強に入れなければ、キリオスが20歳で最年少コミットメントプレイヤーになります(外れた場合ティエムが最年少)

試合は全く追えてません。QFあたりから本気出せ…ません。たぶん今週は無理です。

ガスケとの対戦が実現すれば試合だけは何とか見るようにします。それでは。