上位シードのマスターズの初戦という厳しさ(2016マドリード2R)
5/4 現地14:00~(日本時間翌日21:00~)
Masters1000 Madrid Mutua Madrid Open
2R
[6]Kei Nishikori 6-2 3-6 7-5 Fabio Fognini
なんか気になるなーと思ってこの試合記録のテンプレートをコピペするためにあるページに行ったら謎が少し解けました。
5/6 現地23:30~(日本時間翌日6:30~)
Masters1000 Madrid Mutua Madrid Open
2R
[4]Kei Nishikori 6-2 4-6 6-4 David Goffin
去年の初戦のスコアです。どうでしょう。すごく似ていると思いませんか。
そして次の数字、65、34、124、105(、157)、90、107、102、31です。
これはどういう数字か。今シーズン錦織が初戦で対戦した相手のランキングです。(カッコ書きはデ杯のため)
フォニーニは今週は31位ですが、トップ30以内の常連です。力はあります。31は誤差の範囲内で、バルセロナQFでナダルといい試合をしています。
だいたい、ATP250は40~50位くらいまでシードが付きます。ATP500は20~30位付近までシードが付きます。マスターズは16~20位くらいまで、GSは32~36位くらいまでシードが付きます。
この数字を見て気づきませんか。原理上、最も初戦が厳しくなる可能性があるのがマスターズです。
だからこそ、初戦でアンダーソン×モンフィスといったカードが実現するのです。
本来マスターズとは、GSで初戦負けするクラスの選手をすべて排除した状態で行う大会なので、どこで負けてもおかしくないのです。
その結果、相手が相手とはいえワウリンカはキリオスに初戦敗退しています。
バルセロナでは「ペース配分」とでもいうべきか、「ピーキング」とでもいうべきか、決勝に向けて力を蓄えながらプレーを上げていき決勝でいい試合ができました。
このマドリードをどう考えているかはわかりませんが、初戦でベストを出す必要はないと思いますし、実際ベストからほど遠いのに勝つことができました。
ある種この徐々に上げていくのとかみ合わなかったのがブリスベン、アカプルコであったりすると思っています。
そして先ほどワウリンカの敗戦にもありましたが、初戦でキリオスです。こんなことが簡単に起きます。
9~16シードの選手が似たランキングの選手に初戦負けすることも多いですが、1~8シードの選手は、初戦を免除され優勝が近くなる代わりに、40位以上の選手で、かつ初戦を勝ったこの大会にフィットしている選手と2回戦を戦わないといけません。
だからこそ毎年シードダウンが出ます。GSでは1回戦から戦うため絶対にありえない構図です。
全豪のコールシュライバーは得意のバックが不発。向こうにとっても初戦=調子不明だからこそこういったことも起こりますが、クレー苦手とはいえトミッチに6-2、6-4で勝っているフォニーニにそれは期待できません。
そういった意味でフォニーニは警戒していました。
なんとか勝つだろうと思っていて本当にそうなりましたがやはり初戦ということを考えれば危険な相手でした。
そして去年のレビュー記事を読みました。笑いました。
朝から胃が痛くなるような試合でした。メンフィスの胃が痛いウィークを思い出すような試合でした。
(中略)
第1セットはまだ見てないのですがリプレーを見てる限りではいいテニスをしていたのでしょう。
第2セットは第1セット4-0からオールキープが続いていたので早く抜け出したいところでなかなか抜け出せず、嫌な形で4-5になったところからある意味予想通りのブレークされてセットを落とす展開でした。
ブレークできなかった原因は主に二つだと思います。
・ゴフィンに先にバックDTLを打たれる
・セカンドサーブのリターンが効果的でない
はい、これを今日に書き換えるとこうなります。
朝から胃が痛くなるような試合でした。ブリスベンやアカプルコを思い出すような試合でした。
第1セットは見ましたがいいテニスをしていました。
第2セットは第1セット3-0からオールキープが続いていたので早く抜け出したいところでなかなか抜け出せず、嫌な形である意味予想通りのブレークされてセットを落とす展開でした。
ブレークできなかった原因は主に二つだと思います。
・フォニーニに先にフォアから仕掛けられる
・1st/セカンドサーブのリターンが効果的でない
実はまとめるとこれだけです。第2セット、糸口をつかめないままずるずると行ってしまった。
さらにファイナルセットもブレークされ絶体絶命でしたが、フォニーニのミスに助けられ戻すことができました。
第1セットはいい展開を作れました。
先に仕掛け、フォニーニのバックを意識させながらフォアにも展開。ミスさせる形を作り優位に試合を進めていきます。
この日の錦織はサーブが好調。終盤でもですがサーブでポイントを取ることができたため勝つことができました。
ただセット終盤からフォニーニがプレーを取り戻します。
先に仕掛けられる展開に対しやや下がりました。
これがうまくはまりました。フォニーニ得意の待って強打するパターンに持ち込むことができ、少しずつラリーの主導権を手繰り寄せていきます。
1セット目はその後オールキープが続き錦織がセットを取りました。
しかし第2セットに入るころには瞬間的な形勢は逆転。錦織はとにかく打たれて守備をする形が増え、全く自分のテニスができなくなります。
失点パターンとして多かったのはどっちつかずのボールを打つ→フォニーニフォアで錦織のバック側へ→スライスカットするがそんなにいいボールではない→ボレーで決める
というものです。
そのほかカウンターとしていきなり強打を返すといったことも錦織は選択せず、淡々とプレーを続けていきます。
それでもフォニーニにはミスも出ていました。仕掛けるチャンスはいくらでもあったのですが錦織はリターンが不発。サービスポイントで相手にポイントを献上するためリターンゲームでなかなかチャンスを作れません。
ファイナルセットに入るとフォニーニのミスも減り止められない状態に。毎ゲーム不利なカウントが続く状態で正直負けを覚悟しました。いや普通に負けると思っていました。当時錦織にいいゲームどころかいいポイント1つを探すのも難しいくらいに主導権はフォニーニにありました。
ポイントとなったのは第3ゲームのスマッシュミスを含むBP3本を取れなかったこと。
1ポイント目は自分の形でしたが、2ポイント目は単なるアプローチミス。3本目のスマッシュミスは言うまでもない凡ミスです。あれだけオープンコートはありましたしネット際でしたから…
BP取れない病とは、正直これくらいのことを言うのだと思っています。
話は変わりますが、第1セット錦織のBPwonは2/8でした。
しかし結果は6-2。最終的にしっかりブレークしているから問題ないのです。
フォニーニは取るべきゲームを取れなかった。こういったほうがよっぽど深刻です。しかもアプローチを入れているかスマッシュ決めているだけでブレークでしたから。
フォニーニはこういうことがよくあります。
単純なハードヒットは上位でもしのぎ切れないことがありますが、こういった総合的な部分で何か一つ足りない。
テニスセンスがあることは明らかで、それは全豪ダブルスの優勝などでも証明されています。
勝ち切れる力の不足というのはフォニーニの課題です。
錦織はこれに救われた、とも言えますし、何とかこういった相手にゲームをマネージメントできたとも言えるでしょう。
そういった意味で第7ゲームはまずかった。15-40からDFでのブレーク献上。思わず顔を覆いました。ブレーク以上に内容の問題。コートの状況が見えていないと感じました。
負けを覚悟した第9ゲームはなんとラブゲームキープ。だったのですが、なんとなく逆転の目が見えたゲームでした。
というのもそれまで全く簡単なミスのなかったフォニーニがあまりにも雑なリターンをしたからです。
ハードヒットでリターンをすることはリターンエース狙いだしそれ自体は意図がある行為なのですが、言葉で説明しにくいのですが意図とかそういう次元ではない単純なイージーミスのように見えました。
イージーミスというよりは集中が落ちたというか、少し散漫なプレーというか。
ちょっとフォニーニ雑じゃないかまあリターンゲームだからこんなもんかな— twosetdown (@twosetdown) 2016年5月4日
当時の私です。さすがに逆転できるとは言いにくかったので言ってませんが、かなり匂いは感じていました。
次のゲーム。1本目は決めに行こうとして錦織がミス。これは本当によくなかったのですが、その後フォニーニが3つ続けてミス。そしてBPからは錦織のリターンミスと形を作られて錦織がミス。デュースとなります。
次のポイント。フォニーニがフォアの逆クロスのアプローチをミスしBP。次のポイントも単純なストロークミスで失点し5-5となります。
5-5の地点で7-5まで見えていましたが、まさか本当にそうなるとは…
ここからは錦織も強打を入れていき、フォニーニはミスが急に出始めます。
最終ゲームは様々なラッキーがありました。
1ポイント目はセカンドサーブのリターンがネットイン。実はこのボディーへのリターンはずっと合っていなかったので、かなり両者に大きく影響したポイントなのではないかと思います。
そして次のセカンドサーブをDF。ボールを客席に打ち上げたフォニーニに警告でもう1失点。言葉の発端となった14全米ワウリンカ戦以上のQMKが発生。次のセカンドサーブを隅にリターンエースであっけなく試合は終わりました。
書いてみても勝った気がしないですね。第1セットも含めて総合的にフォニーニが上回ったにもかかわらず、終盤に見せたわずかな隙から錦織が勝利を手繰り寄せました。ナイスゲーム?なんですかね。まあこういうときは勝てば官軍という言葉を使っておけばなんとかなる。まさにそんな勝利でした。
まあ去年のゴフィン戦もここまでとは言わずともかなり手こずってから4強に行ったので、生き残ったと思ってしっかりと勝ち上がってほしいです。
ただ、今日の内容ならガスケに負けると思います。プレーレベルの向上が必要です。
サーブはそんなに悪くなかったと思っているのでそれ以外ですね。挙げればきりはないですがストロークの修正です。
疲労がたまっているのか動きが散漫な場面も目立ちました。
バルセロナでの激闘から1週間。それまでの勝ち上がりはそんなに疲れてないと思うのですが、ナダル戦は出し切った感があるので結構負担はあったと思います。
そんな中試運転でいきたかったんだと思います。
本人の試合後談話で「守備的になりすぎた」とのコメントがありました。
試合がもつれた原因は第2セットで展開が変わって以降ノーアイデアで試合が進んでしまったことだと思います。
フォニーニはミスも出る選手なので、むしろそれがよくなかったのかもしれません。打たせてミスすればいいやと思っていたのかもしれません。
そしてそれがなかなか実現できなかった。落ちてくる時間帯も普通はある中最後までフォニーニのプレーがよかったですよね。
守備的になった結果どうしてもつなぐ思考になって、動きが散漫になったというのなら納得がいきます。
この辺は今日ガスケ相手にどんなプレーをするかでわかると思います。疲れてたら正直厳しいとは思います。
対ガスケですが、バックハンドを封じ込むことです。
フォアハンドは序盤きっちり機能していましたし、展開で打ったフォアクロスもいいところに決まっていたので、フォニーニ戦の逆をやればいいということです。フォアにくぎ付けにし、時折バックに展開する。
ガスケとはクレーで初対戦になります。ガスケのバックハンドから打ち分けたボールの処理がいつも問題になるのですが、これがどうなるか。読みが合わなくて反応が遅れウィナーになることが多いです。まずはフリーに打たせないことも重要ですが、クレーなのでどうしてもフリーで打つ場面が増えます。ここはマイナスポイントですが、強打が減速するので錦織が拾う確率も上がると思います。この辺がどっちに作用するかはやってみないとわかりませんね。
あとはリターンです。ガスケのサーブのフォーム、軌道は少し癖があります。このあたりをどう攻略するか。フォニーニ戦のようなリターンではチャンスは作れません。
禊をペール戦で済ませたと言いました。
ガスケも禊を済ませる必要のある相手です。
非常にタフな試合になると思いますが、そろそろ負の連鎖を断ち切る時間です。