デ杯QF終了、準決勝以降と入れ替え戦を考察
こんにちは。
すっかり長い時間を空けてしまいました。
あと1年くらいはずっとこんな感じです。もう少し時間をうまく使っていきたいのですが、どうしてもブログが最も後回しになってしまいます。
振り返らないといけないことはいろいろありますが、記事を分けて書いていきたいと思います。
まずは先ほどすべて終わったばかりのデ杯QFと大陸予選の結果です。
今年のデ杯ワールドグループはATPポイント獲得がなくなり、さらにBIG4全員がタイトルを獲得したこともあり、モチベーションを高く持っている選手は少ないというのが現状です。
しかし五輪の出場要件にデ杯出場があるため、1回戦出場→そのあとは上位選手適当に出るという流れもありました。
3月の1回戦にはマレー、ジョコビッチが出場した一方、今回BIG4の出場はなし。またベルディヒ、ガスケなども出場していない状態で、さらにツアーと同時開催になっていることもあり盛り上がりに欠ける3日間となりました。
一方ゾーン1の2回戦は重要です。この勝者は入れ替え戦に進むことができます。日本チームにとってはどの国が勝ち上がってくるのかということは大きな意味があります。
西岡、ダニエルと役者は揃ってきています。デ杯出場要件をどう満たしていくかはわかりませんが、ジュニアではアキラ・サンティランが上がってきています。数年後に日本代表になっていてもなんらおかしくありません。
ここ数年は日本チームにとってオープン化以降のベスト成績を出せる可能性がある年です(オープン化以降としたのは初出場の1921年に準優勝があるため)。そのためにはワールドグループに残り続けることが必要条件です。
それでは簡易的ですが(試合は全く追えていない)、結果を振り返っていきたいと思います。
左がホーム、第4、第5ラバーを行っていない試合もある
セルビア2-3イギリス
セルビアはジョコビッチ、イギリスはマレーを欠く試合となりました。
今回イギリスのシングルス1番手として参戦したエドムンドが結果を残しました。ティプサレビッチ、ラジョビッチに連続ストレート勝ち。
ダブルスではイングロット/J.マレーのペアが実力を発揮して王手をかけ、第4ラバーで勝利を決めました。
イギリスはWG3年目。しかし昨年優勝、今年4強でチームランキングは次の発表でも1位になる見通しです。
イタリア1-3アルゼンチン
今回の目玉はデルポトロ。国の協会とうまくいかなかったためにキャリア2度目のピークを迎えていた2013年のデ杯を欠場することになりました。
4年ぶりの参戦となった今回は復帰中ということでなのかダブルスでの参加。
イタリアはGS優勝ペア、ボレリ/フォニーニを使いたいところでしたがボレリが欠場。代わりにロレンツィが入ったこのダブルスが死闘でした。
アルゼンチンが2セットアップとしたものの、そこからイタリアが反撃。フルセットにもつれましたがアルゼンチンが激闘を制しました。
さらに第4ラバーではデルボニスがフォニーニに勝利する快挙。2年連続の4強です。
チェコ1-3フランス
フランスはガスケ、モンフィス、シモンが出場せず、ツォンガとプイユがシングルスメンバーとなりました。
一方チェコはベルディヒこそ欠くもののベズリー、ロソルとメンバーを揃えてきました。好カードの予感がしていました。
試合はなんとロソルがツォンガに勝利する驚きの結果でスタート。一気にフランスに暗雲が立ち込めます。
2番手シングルスとして登場したプイユでしたが、チェコ1番手のベズリーに勝利。珍しい各国ナンバー2同士の勝利で1日目が終わりました。
ダブルスではデ杯優勝経験のあるステパネクとエルベール/マウーの対決。前日勝利したばかりのロソルも加わって激しい戦いとなりフルセットにもつれましたが、フランスが勝利。
第4ラバーではツォンガがしっかり調子を戻してベズリーに勝利。フランスが逆転勝ちで準決勝に進みます。
アメリカ2-3クロアチア
クロアチアはチリッチとコリッチを投入。ニューポートに行ったカルロビッチこそ欠きましたが、ほぼ万全のメンバーです。
一方アメリカもイズナーがニューポートに出ずにデ杯に参加するなど、こちらもベストメンバーに近い形。
試合は衝撃の展開に。ソックがTSD勝ちでチリッチに勝利しました。
第2ラバーはイズナーがコリッチを難なく退け初日を終えました。
あとはダブルスのブライアン兄弟がしっかり勝ってシャットアウトという第3ラバーでしたが、そこに待ったをかけたのが初日にチームを厳しい状況に追い込んでしまったチリッチでした。
ドディグと組んだダブルスでブライアン兄弟に勝利。ものすごい気迫だったと聞いています。
これで流れを引き戻したクロアチア。最終日はチリッチがイズナーに勝利し最終ラバーへ。
チリッチに勝ったソックでしたが、コリッチに勝つことができず。これがデ杯の難しいところです。クロアチアが大逆転勝ちです。
もともと試合前はクロアチアが優勢だった試合ではありますが、ソックの勝利でアメリカにもチャンスが出ただけにもったいない試合でした。
この結果、9月に行われる準決勝のカードは、イギリス×アルゼンチン、クロアチア×フランスとなりました(左がホーム)。
モチベーションが高そうなのはフランスでしょうか。2001年以降優勝がなく、今の代表選手は全員優勝経験がありません。
層が厚く、いつ優勝してもおかしくないと言われているフランスですがここ最近はあと一歩で優勝を逃し続けています。悲願の優勝なるか。
アルゼンチンもデルポトロの復帰、デ杯チーム復帰を祝う優勝となればドラマチックです。
イギリスがマレーを途中で欠きながら優勝すれば去年とは違ったものになるでしょうし、クロアチアもチリッチなど厚い選手層ながら最近優勝がありません。
個人的には今年の優勝は全く読めないだけに、非常に面白い準決勝になったなという感じです。
不安なのは全米直後ということ。後述の記事で示すように今シーズンは特に全米後選手が疲弊している状態。上位選手の大量欠場も可能性としてありえます。
各大陸のゾーン1は結果のみ示します。
ブラジル3-1エクアドル
チリ3-1コロンビア
インド4-1韓国
ウズベキスタン3-2中国
ルーマニア1-4スペイン
ロシア4-1オランダ
大きな波乱があったのはチリ×コロンビアでしょうか。
ホームのチリはクレーコートを用意したのですが、このクレーコートの整備があまりよくなかったようで、コロンビアは対応に苦しみます。
要のダブルス、カバル/ファラーが試合を落としてしまったのが象徴的で、なんと第4ラバーではヒラルドがコートコンディションが良くならなかったという理由で棄権を選択。状況から判断するにコロンビアチームが試合をボイコットしたような形で幕切れとなりました。
チリは2011年以来のWG復帰を目指します。マスー、フェルナンド・ゴンザレスがいた頃の黄金時代の復活なるか。
そして昨年まさかの入れ替え戦出場を逃したスペインはついに入れ替え戦進出です。
ティエムを擁するオーストリアですが、今週はもともとハンブルグに参戦する予定でした(結果的には体調不良により欠場)。出れば2勝が計算できるオーストリアだけに残念です。
さて、ここからは9月の入れ替え戦についてです。
入れ替え戦は今年のワールドグループ1回戦敗戦国と、上に示した各大陸ゾーン1を勝ち上がってきた16ヶ国の対戦です。
なお注意したいのは「入れ替え戦」と日本語では表記されますが、必ずしもWG敗戦国×大陸勝ち上がり国とならないことです。
昨年もこの時期に「スペインが勝ち上がったら日本は対戦するのか」といった話が上がりましたが、結論から言えば去年今年ともにノーです。
入れ替え戦では直前のチームランキングの上位8ヶ国がシードとなります。
このチームランキングは過去4年間のデ杯成績で決まり、上位ラウンドに勝ち進めば進むほど、また直近の年度であるほど多くのポイントがもらえます(正確にはポイントが1年ごとに25%失効し、4年間残る)。
入れ替え戦に参加するチームは3月発表のチームランキングで並べると次の16ヶ国です。太字はワールドグループ1回戦敗戦国です。
3.スイス
4.ベルギー
9.オーストラリア
12.カナダ
13.スペイン
14.カザフスタン
15.日本
16.ドイツ
17.スロバキア
19.ブラジル
20.ロシア
21.インド
22.ウクライナ
24.ウズベキスタン
32.チリ
36.ポーランド(ポイントペナルティーを食らっているためこの位置)
しかしここに今回の結果が加わったもので決まります。この計算については非常に煩雑で、1ポイント単位まで正確にやろうとすると
・ちょこちょこ変わってるっぽいポイントルール
・そのチームが当時ランキング何位にいたか
など、もう調べるのが億劫になる要素がたくさんあるのでいつもやってません。
いつかはデータベース化しようと思っていますが、しばらくお待ちください。
ただ今回は「要するに8番目より上もしくは9番目より下を確定させる」ことをすればいいので、幾分簡単です。
まず、今回のゾーン1の2回戦で勝ったチームは600p入ります。
今回のボーダーラインである8番手相当の16位ドイツが3045p、9番手相当の17位スロバキアが1990pです。
ですので、現状9番手以下のチームは最大でも2590pにしかなりません。
一方、上位勢はスペインを除いて今年WGにいたため、獲得ポイントが多く3000p以上持っている国ばかりです。
このうち、ベルギーは昨年決勝に進出するまでの過程のポイントが来週付けでも10000p以上、スイスは2年前に優勝した時のポイントが13500p程度残っているので確実にシードです。
オーストラリアも昨年準決勝に進出するまでの過程のポイントが4500p程度、カナダは2013年に準決勝に進出するまでのポイントが1500p+2015年日本に勝利したときのポイントが1500pあるので、3000pを超えて確実にシードです。
すると残るのは、13~16位の、スペイン、カザフスタン、日本、ドイツとなります。
この計算はさすがに自力でここ4年の全部の結果を見てやりました。
スペインはおそらく2900p程度あるようです。
カザフスタンはおそらく3306.25pです(増加する理由も減少する理由もなさそうなので)
日本は2900p以上はありそうです(なぜか2通りの計算でやったら合わなかったので、低い方の2900pを数字として出しておきます)。
ドイツはおそらく3045pです(増加する理由も減少する理由もなさそうなので)
以上より、上位8チームは来週のチームランキングでも2900p以上、下位8チームは2590p以下にしかならないので、シード国はスイス、ベルギー、オーストラリア、カナダ、スペイン、カザフスタン、日本、ドイツとなります。
一方、ノーシード国はブラジル、チリ、インド、ウズベキスタン、ポーランド、ウクライナ、ロシア、スロバキアです。
ホーム&アウェーについてですが、インド、ウズベキスタン、ロシアだと日本はアウェー(前回日本で対戦済み)、チリだとホーム、それ以外は抽選です。
チェコスロバキアと1932年に対戦済みですが、ホーム&アウェールールは1970年以降の試合に適用されるので、今回当たった場合くじで決めます。
なお日本で開かれる場合、大阪の靭公園で開かれるようです。
関西にATPツアークラスの選手が来ることは現状ほとんどないので、西にお住まいの方はチャンスです。
日本チーム的に考えると、
・錦織の2勝が計算できない
・日本のシングルスナンバー2が勝ちにくい
・ダブルスのスペシャリストがいる
この3点が当たりたくない国の条件と言えます。
今回当たるノーシードの8ヶ国で考えると
錦織の2勝が計算できない→ウクライナ(ドルゴポロフ)、ロシア(クズネツォフ)、スロバキア(クリザン)、ポーランド(ヤノヴィッツ)くらいでしょうか。どっちかというとここはあまり重要ではないと思います。トップ30以上の選手で当たる可能性のある選手はほとんどいませんから。
日本のナンバー2が勝ちにくい
→現状2番手選手のランキングで比較すると
ブラジル96
チリ245
インド149
ウズベキスタン220
ポーランド311
ウクライナ83
ロシア64
スロバキア100
と、やはり欧州のレベルの高さが際立ちます。
ダブルスのスペシャリストがいる
→該当8ヶ国で気になる選手は
メロ、スアレス(ブラジル)
ボパンナ、パエス(インド)
でしょうか。
以上の観点から、ホーム&アウェーも考慮して8ヶ国の当たりたくない順番は(日本フルメンバーを想定)
ロシア>>スロバキア≧ウクライナ≧ポーランド>>ブラジルアウェー>>>ブラジルホーム>>インド>ウズベキスタン>>チリ
となりました。
ロシアは言うまでもなく単複とも選手層が厚く、今回ワールドグループ昇格の可能性が最も高い国だと思います。
スロバキアも総合力高めです。ランキング中位のダブルス選手もいますし、日本のシングルス2番手がほとんど計算できません。
ウクライナもシングルス2番手が強い。ドルゴポロフ、スタコフスキー、マルチェンコといます。一人欠けても2番手が勝ちにくいことを考えればこの位置か。あと錦織はスタコフスキーに負けたことがあります。今は大丈夫だとは思いますが。
ポーランドは評価が難しい。ヤノヴィッツの一発はありますが、いかんせん2番手のシングルス選手が不在のため、日本は第5ラバーが計算しやすい。1or2、4、5ラバーを取って勝つパターンが見えているのでこの位置。
ブラジルはアウェーだとクレーを選択されそう。ダニエルがコロンビアで勝っているもののもう一度繰り返すのは至難の業。逆に日本開催でハードを選択できれば一気に弱体化する。
チリはおそらく今回の中で最も楽な相手です。
インドはシングルスがパッとしない。1番手のバンブリですら100位付近なので、日本の二番手が計算しやすい。アウェーなのはややマイナス。
ウズベキスタンは2番手が不足していて、錦織の2勝が固く、3勝目もどこからでも狙いやすく楽な方。
こんな感じです。1チームの前後関係くらいは意見が割れると思いますが、欧州は引くとつらいというのはほぼ全体の総意だと思います。
私の中ではブラジルホームより右側なら勝利が見込める感じですかね。
抽選は火曜日18時に行われます。