two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

ATPランキング試算(2016カナダマスターズ後)

こんばんは。

いろいろとテニス関係のニュースが絶えない状況でいろいろ書きたいことはありますが順番に行きたいと思います。

フェデラーが今シーズンの残りすべてを欠場することを発表しました。もちろん五輪も欠場です。

13年に一度成績が下降したフェデラー、当時から「今後現役をどこまで続けるか」という質問に対して「リオ五輪まではやると思う」という趣旨の回答をしていました。おそらく断腸の思いだったと思いますが、13年以降の腰・背中の故障に加えて16年全豪後の膝の故障もあり、十分に時間を置くことを医師から勧められたということです。

幸いここから全欠場しても来年の頭には2000p以上持っているので、WC取得やプロテクトランキングを使う必要はないと思います。

しかし、かつて閑話球題シリーズで説明したように、2000p以下の選手は時期に関わらずだいたいポイントに見合った順位にいるというATPランキングポイントの統計から、おそらく復帰地点でフェデラーは15位か、やや下付近になると思われます。

これはかなりきつい。GSで4回戦で上位4シードと当たるような位置です。

逆に上位側から見てもきついことには変わりないですが、17年のフェデラーの復帰の道はかなり厳しいです。

またフェデラーの欠場により、以下のことが確定しました。

・2002年10月14日以降続いていたトップ10在位記録がストップ(現在720週、コナーズの788週に届かずストップが確実に)

・連続年度末トップ10が14でストップ(最高はコナーズの16)

・連続最終戦出場が14でストップ(最高はフェデラー

・連続年度優勝記録が15でストップ(最高はフェデラー、ただしナダル13、ジョコビッチとマレー11で継続中)

バーゼル連続決勝記録が10でストップ

・ラオニッチ、錦織、ティエムがキャリアで初めてフェデラーより上のランキングになる

他にもたくさんの記録がストップすることとなりました。

またフェデラーの欠場によって、08年から続いていたBIG4が全員通過ライン突破という状況もなくなり、今シーズンのフェレールの成績不振もあって、BIG4+ベルディヒフェレールでここのところ構成されていたファイナル出場メンバーが大きく変わる可能性もあります。これについてはレースランキングで。

エントリーランキングです。今週はかなり複雑です。

まずは月曜発表の最新の世界ランキングから。

7月シーズンは例年の4週間から2週間に短縮。一部大会は8月に回されました。

今年の7月はハンブルグでクリザンがまさかのATP500を2勝目。さらにワシントンではモンフィスが悲願のATP500初優勝。そのほかにもラモス=ビノラスが初タイトル、ロペス、フォニーニが久しぶりに優勝、カルロビッチが2週連続決勝進出、ティエムがまさかの初戦敗退など話題に事欠かない2週間でした。

モンフィス、カルロビッチなどがこの2週間で伸ばしています。

さて、昨年のこの時期でも説明した通り、ランキングポイントはGS4-MS8-その他6といういわゆる「4-8-6制」が普通ですが、時期によってはそうならない時期というのがあり、たまに方式が変わります。

今年と去年の日程を比較すると

week30 カナダ    ハンブルグなど

week31 アトランタ  ワシントンなど

week32 五輪など   カナダ

week33 シンシナティ シンシナティ

と、week30~week31の間は、2015年カナダも2016年カナダもランキングポイントに加算されるような状況が出ます。

つまり、2015カナダ~2016カナダまでのMS9大会が強制加算される、いわゆる「4-9-5制」へとシステムが移行します。

これはカナダ後の8月1日付と、アトランタ後の8月8日付のランキングに適用されます。五輪後の8月15日付はまた4-8-6制になります(多分その時もアナウンスします)。

この結果、失効の計算は複雑を極めます。昨年のハンブルグなどのポイントが失効し、かつ見た目上500以下の大会の6番目のポイントがカナダMSに強制的に押し出される形となります。

さらにもっと言うと、今回のカナダMSは欠場者多数。MSの強制加算は免除することができるルールもあるため、計算はさらに困難になります。

ざっといろんなサイトを見てきましたが、ばらばらでした。

当サイトではできる限りミスなしでいきたいと思いますが、計算が複雑ですので疑問に思った方は質問していただけると助かります。

それでは大会ドロー直後のランキングです。昨日とおとといの結果はまだ含んでいません。

まず、「run」は以前にも説明しましたが今週の勝ち残り状態。〇は勝ちあがり中、×は敗退済み、―は出場せずです。

―が多いのが目立ちます。マスターズでここまで欠場があったのはいつ以来でしょうか。

今回からプログラムをアップグレードしたので、自動でいろいろ計算できるような仕組みを作りました。this week~positionまでがそれです。今週の出場大会とその立ち位置です。sはシードで1回戦免除の選手、nはノーシードです。9~16シードは1回戦もやるのでノーシードと同じ扱いとして計算処理しています。

さらに今週は、今週の大会の入力部分まで示しました。

ちょっとわかりにくいのですが、黄色で囲ってある選手はマスターズの義務免除を今回使った選手です。

マスターズの義務免除についてはいつものわかりやすいTENNIS LOVERSさんの記事をご覧ください。

BIG4やフェレールなど要件を満たしている選手は黄色になっています。

一方若手のアグーは要件を満たしていないので、ドロー前欠場であるにもかかわらず強制0pを入れています。

今大会、ドロー前に欠場して要件を満たした選手は、マレー、フェデラーナダル、ツォンガ、フェレール、ガスケ、ロペス、クエバス、コールシュライバー、シモンで、満たせなかったので強制0pが入った選手はアグー、クリザンです。

はい、これくらい複雑なので、各サイトで数字が違ってくる=正しく計算できていないというのは仕方ないです。

多くの人が閲覧しているであろうlive atp rankingsさんなどとも私の数字は違っていますが、こちらが合っていることを確信しています。

特に今週錦織がラオニッチより低い基礎点でスタートしていることは重要です。なおこの状況で錦織はまだワシントン、カナダを失効していないので、実質2週間以内にラオニッチに抜かれるのはほぼ確実です。

フェデラーが今シーズン欠場することにより、5位までに入ることがトップ4シードになる条件です。

ワウリンカ、ナダルも含めて競っています。QFでジョコビッチ、マレーとの対戦を避けるためにもこの上位争いは注目です。

トップ10の整理です。

・1位ジョコビッチ、2位マレー、3位フェデラーは変わりません。ただし今後フェデラーは徐々にランキングを落とします。

・4位ナダルの4940pは、4位としては異例の低いポイントです。暫定7位の錦織までに4位浮上の可能性があります。ワウリンカがSF進出、ラオニッチと錦織が優勝でナダルを超えます。したがって、4~6位です。

・5位ワウリンカはラオニッチか錦織に決勝に行かれなければ5位キープです。

・ラオニッチと錦織のポイント差はわずか40p。ラオニッチと錦織が同一ラウンドかラオニッチのほうがいい成績の場合ラオニッチが上、錦織がラオニッチより1つでも上のラウンドに行けば錦織が上になります。

ベルディヒは優勝しないとラオニッチ、錦織に届きません。

・10位付近の選手は欠場が多く、今週トップ10の可能性があるのは10位までの選手以外ではチリッチ、ゴフィン(4強以上)、モンフィス(決勝以上)のみです。

レースランキングです。

現在のボーダーである8位ベルディヒが2260p。残りの大会と点差、過去の傾向を考えると広めにとってもキリオスまでかなという印象です。キリオスまで入れたのは今週加点がありうるからです(しかし結果は初戦敗退)。

現実的には、11位ゴフィンまでに絞られた印象があります。クエバスは義務大会で結果が出ていないですし、アグーは年初からの勢いが止まってしまいました。キリオスがどこかで500pくらい一気に取るのが少ない可能性としてあるでしょうか。

「strong 9」ほどの安定感はないですが、上位勢は今年も納得のメンバーになりつつあるという印象です。

少なくとも上位14位まででファイナル経験者はBIG4、ラオニッチ、錦織、ワウリンカ、ベルディヒのみ。初のファイナル進出選手が出ることはほぼ決定的です。

レースランキング全体としては、年間1位争いに向けてジョコビッチは今大会マレーを引き離しておきたい。

ウィンブルドン準優勝で一気に差のついた3位に上がったラオニッチ。今大会も4強までは視界がよく、さらに突き放したい。

錦織、ティエム、ワウリンカはボトムハーフの決勝進出有力候補。600pを取って混戦から抜け出したいところです。

今回はしっかりデータをまとめたのでちゃんと更新…できるはずです。それでは。