【ドロー解説】2017マドリードMSの展望
こんにちは。
ブログに帰ってきました、twosetdownです。
私の現状については、これの一つ前の記事にまとめましたので、さっそく本題に行きましょう。
私があまり更新しなくなってからテニス界は大きな変化を遂げました。
その最たるところは、マレー、ジョコビッチの信じられない成績低迷です。
そして、おとといとんでもない発表がありました。ベッカーに続いて、長年ジョコビッチを指導していた精神的支柱、バイダコーチ他3人のチームスタッフが離れることになりました。これはマドリードMSからの適用ということで、ジョコビッチは目立ったコーチなしで大会を迎えます。
現状ジョコビッチは成績だけでなく、こういった内外の事情を抱えていることは疑いないのですが、残念ながらその真相は分かりません。ただ言えることは、あまりいい状態ではない、ということです。
そのジョコビッチに加えて、今週(エストリルなどの週)から復帰しているラオニッチとモンフィス、さらに、錦織はバルセロナを欠場した後の復帰戦。
様々な面から注目の集まる大会となりました。
マドリードマスターズは56ドロー、クレーの大会です。
ボールガールにモデルを起用するなど、最近できた大会ということもあり、斬新な取り組みを行っている大会です。
マスターズとしては4戦目、さらに全員出場義務の大会としてはシーズン初の56ドローの大会になっています。
このあとの解説を見てもわかりますが、序盤から好カードが目白押し。1戦必勝の度合いが強くなります。
特に上位8シードは初戦免除となり、勝つといきなり90p。絶対に初戦敗退だけは避けたい大会です(が、だいたい毎年誰か負けています)。
①マレー山
[1]マレー
bye
(WC)ガルシア=ロペス
(WC)コピル
M.ズベレフ
ガスケ
予選勝者
[13]プイユ
[12]ディミトロフ
コールシュライバー
カルロビッチ
バウティスタ=アグー
ダルシス
予選勝者
bye
[8]ティエム
[1]マレーはそろそろ主要大会での上位進出がほしい。すでにフェデラーナダルとはレースランキングで3000p近く差を開けられており、これ以上の独走を許すわけにはいかない状況です。
初戦はWCの勝者と対戦。この時期ガルシア=ロペスは一発当てることがありますが、以前に比べてテニスのレベルが落ちてきているので難しいか。コピルはビッグサーバーで、クレーでは厳しい。
マレーの最初のポイントは3回戦。[13]プイユとはこの1年に4回も対戦があり、すべてマレーが圧倒しているカードですが、プイユはブダペストで優勝。クレーのタイトルを手にしてやってきます。さらにガスケは杉田に敗れるなど復帰後不調のため、全豪で敗れたM・ズベレフが上がってくる可能性もあります。この難しい3回戦をどう乗り切るかが肝心です。
一方クレーシーズンに入っても好調、依然レース上位を走る[8]ティエムは昨年同様、ここからは主要大会でのゲインが必要不可欠。大事な大会になります。
幸い初戦の相手は比較的恵まれており、激戦ブロックを勝ち上がってきた3回戦がこちらも山になります。
[12]ディミトロフはかつて、当時1位だった王者ジョコビッチを破った大会ではありますが、それ以上にソフィア優勝の後一直線に下降している調子のほうが心配。
特に初戦のコールシュライバーはクレーで手堅く勝ち上がる選手。十分に番狂わせの起きそうなカードです。
さらにカルロビッチと、こちらもクレーでは手堅いバウティスタ=アグー。ディミトロフにとってはタフドローです。
ただ、初のファイナル出場に向けて、2014年同様ここでもしっかり食らいついていく必要があります。
ティエムが調子を維持し続けていれば、状態の不透明なマレーにまた勝つことも十分に考えられます。
②ワウリンカ山
[3]ワウリンカ
bye
ペール
カレノ=ブスタ
予選勝者
クエバス
マウー
[14]ソック
[11]ベルディヒ
予選勝者
R.ハース
エバンズ
A.ズベレフ
ベルダスコ
bye
[7]チリッチ
状況の読みにくいブロックです。
[3]ワウリンカは、IWで決勝に進み、今シーズンはこれまでとは少し違った戦い方をしてきています。かつてマスターズ決勝に進んだ大会でもある一方、14年は当時無名だったティエムに敗れるなど予測不可能。
そのワウリンカは親友ペールか、今期絶好調のカレノ=ブスタとの初戦になりました。
カレノ=ブスタは勢いが止まりません。モンテカルロではジョコビッチに、バルセロナでは杉田に敗れたものの、今週もエストリルで決勝進出。移動の疲れがなければ今週も勝ち進むかもしれません。
さらに[14]ソックも好調を維持しています。現在出場したマスターズでは昨年上海から4大会連続ベスト8以上。ただモンテカルロを外して出場したヒューストンでは4強。クレーシーズンに入って勢いが止まってしまうのかどうか、注目です。
また、もともと超がつくほどのクレーコーターだったクエバスもモンテカルロ8強と調子はよさげ。難しいブロックです。
さらに、[7]チリッチはイスタンブール決勝進出中。状態は上向きですが初戦がタフ。ズベレフかベルダスコ。今もっとも当たりたくないノーシ-ド選手上位の2名のうち、さらに調子がいいほうとの対戦となります。
チリッチとしては、まずはイスタンブールの決勝で勝ちたいでしょう。初戦敗退はよくないですが、なんとかイスタンブールで稼いで万が一負けた時の被害を最小限に抑えたいところ。[11]ベルディヒは、2回戦まではいいドロー。3回戦以降は出来次第というところでしょうか。
ここのベスト4は読みにくく、あらゆる有力選手に可能性があると思います。
③ナダル山
[5]ラオニッチ
bye
(PR)T.ハース
グラノジェルス
F.マイヤー
ハチャノフ
[9]ゴフィン
[16]キリオス
バグダディス
ハリソン
ソウザ
フォニーニ
bye
[4]ナダル
優勝候補筆頭でしょう、[4]ナダルはフェデラーの欠場もあって第4シード。クレー3連勝に向けて追い風が吹いています。なんとアカプルコでクエリーに敗れて以降はフェデラーにしか敗れていない状態。そのフェデラーがいない今、ナダルを止められる選手は数えるほどでしょう。
そのナダルは15年に苦しめられたフォニーニか、クレーコーターのソウザとの一戦。昨年この大会で錦織をあと一歩まで追い詰めたフォニーニがやはり危険でしょう。当たった大会では上位を食う力があります。フォニーニの1回戦に注目です。
マイアミ4強、デ杯ではイズナーを撃破し、年度末でのトップ10入りを狙っていく[16]キリオスはクレー初戦。祖父が亡くなった影響でエストリルを欠場しましたが、しっかりと切り替えて大会に臨めるかどうか。きっちり照準を合わせたゲームではマイアミ準決勝のような高いプレーができることは証明されています。またこのマドリードではフェデラー、ワウリンカを撃破しており、錦織と死闘を繰り広げています。相性もよさそうです。今のクレーナダルに対抗できる選手の一人かもしれません。こちらも序盤にトリッキーな相手が続きます。3回戦でこの二人が激突すれば面白いカードになりそうです。
イスタンブール決勝進出と復調気味の[5]ラオニッチは厳しいドローになりました。初戦はハースかミュラーと計算しやすいですが、今期絶好調の[9]ゴフィンが待つ3回戦はタフ。さらにQFにはナダルかキリオスがいます。
またラオニッチは全仏前週のリヨンにも出場するため、今週から5週連続(全仏を2週間と思えば6週連続)の出場になります。
もともと足回りでのけがが多く、今回の離脱も足のけがだっただけに、このハードスケジュールをどう乗り切るかが復調のカギになります。
ゴフィンは比較的いいドローですが、グラノジェルスのクレーの試合がロングマッチになりやすい(2年前にモンフィスと3時間20分の試合をしている)ので、そこは注意が必要です。
④ジョコビッチ山
[6]錦織圭
bye
ラモス=ビノラス
シュワルツマン
予選勝者
予選勝者
[10]ツォンガ
[15]モンフィス
シモン
予選勝者
ロペス
(WC)ロブレド
(WC)アルマグロ
bye
[2]ジョコビッチ
[6]錦織圭は復帰戦。心配は尽きませんが、本来バルセロナに到着していたのを直前取りやめでの欠場。テニスはすぐに再開しているので過度な心配は禁物です。
手首の状態についての考察は初戦を終えた時にと思っています。今地点ではわからないというのが正直なところで、あらゆる可能性を考慮する必要があります。
正直大きな大会の初戦でここまでの悲観的な状況になっているのは、16年全豪1回戦以来ではないかなと思っています。
ただあの全豪もツォンガを圧倒。ジョコビッチには敗れましたが、本当にふたを開けるまで何が起きるかわかりません。初戦がノビコフだったとはいえ、カナダMSの決勝進出もほとんどの人が予想していなかったと思います。何が起きるかわかりません。
今回のポイントはやはり初戦でしょう。モンテカルロ準優勝のラモス=ビノラスか、ブエノスアイレスで対戦したシュワルツマンとの対戦です。
シュワルツマンはいいテニスをしますがまだ上位選手に大番狂わせを起こしたことはありません。典型的なクレーコーターで、あまり怖くないというのが正直な感想です。ラモスも基本的にはそのタイプだったのですが、ここ数か月の活躍については疑いようがありません。モンテカルロ決勝は少し見ましたが、ディフェンスがいいという印象です。
南米クレーシリーズの錦織はフォアハンドの威力が出ず、相手を追い込む展開を作ることができませんでした。こうなるとラモスの戦術に捕まってしまいます。先に錦織のUEが出る展開だとしんどいです。
14年のようにしっかり追い込んでポイントを取る形か、16年のように守備から転じて得点するパターン、とにかく取れる形を作ることが重要です。
次戦は[12]ツォンガかフェレールの二択でしょう。フェレールは昨年序盤から信じられない成績下降に陥っていましたが、ついに今週エストリルで4強。復調の気配があります。
一方のツォンガは全豪8強のあとロッテルダム優勝と序盤戦を上々の滑り出しで抜けましたが、ここにきてIW初戦敗退、マイアミ欠場、モンテカルロ初戦敗退と、勢いが落ちてきています。
ここはフェレールが来ても驚きはありません。最後の対戦からちょうど2年。そろそろ再戦を見たいです。
一方先述の通りコーチなし状態の「ショック療法」と本人が銘打った[2]ジョコビッチは視界の開けたドロー。初戦はWC同士の勝者となりました。
ロブレドもアルマグロも実力者ですが、以前ほど大番狂わせを起こせる状態ではありません。さすがにここは切り抜けると思います。
次戦は[15]モンフィスかシモンでしょうか。実力者ですがモンフィスは復帰戦チュンに敗れておりまだ本調子には遠いか。シモンもジョコビッチともつれる試合はするものの、なかなか勝つことができません。
ジョコビッチとしては、不調の錦織も含めてSFまではかなりいいドローです。
優勝予想
ナダルが本命です。しかし、実はクレー全盛期のナダルでも前哨戦は1~2大会落としていることがほとんどです。
クレー前哨戦がマスターズ3大会になって以降では、ほとんどのケースでマドリードorハンブルグorローマ(マドリードが5月クレーに移行するまではその時期にハンブルグマスターズがあった)のどれかを落としています。
さすがのナダルも、2週連続のこのマスターズを連勝するのは難しいということでもあり、ジョコビッチマレーの不調、ナダルが落とし、フェデラーがいないとなると、BIG4以外にマスターズタイトル獲得のチャンスが一気に広がります。
形としてはBIG4を大きく突き破ってのタイトルにはならないのですが、それでも意味があります。
特にその初戴冠が若い選手であればあるほど、この戦国時代の今のテニス界に大きなインパクトを与える結果になります。
そして、私の予想もそれを反映しました。
予想
優勝 ティエム
準優勝 キリオス
ベスト4 ズベレフ ジョコビッチ
ベスト8 マレー カレノ=ブスタ ゴフィン ツォンガ
どうでしょう。今までの私からは考えらえない予想だと思います。
どうせ安全に行っても今のATPツアーでは全く当たらないので、調子のいいティエムの初優勝を予想しました。
マレーは手堅く勝ち上がりますがティエムにバルセロナ同様敗れる。第2クォーターはカレノ=ブスタ本命ですが、今週の疲れの分を考慮しました。ズベレフ、いいと思います。疲れのたまったチリッチに勝つ予想です。
ラオニッチーゴフィンのカードはゴフィンが勝利。錦織は、今はあんまり期待できないですね。8強予想にはできなかったです。比較的楽なドローをジョコビッチが勝ち上がるも、ナダル、ゴフィンと連勝して波に乗ったキリオスが決勝進出。決勝は迷いましたが、BIG4に2勝した分の代償としてガス欠かなと。
今回は予想しながら見てみるとかなり面白そうです(そして当たらない)
この2週間で、大変なことが起きそうな予感がぷんぷんしています。