良薬(辛勝)は口に苦し(2018マイアミ2R)
3/23 現地15:00~(日本時間翌日4:00~)
Masters 1000 Miami Open
2R
[26]Kei Nishikori 7-6(4) 4-6 6-3 John Millman
負けていてもおかしくない。
わずかな差をものにしました。
この大会が始まるまでの復帰からの結果を見ると
ニューポートCH…ノビコフに初戦負け
ダラスCH…ノビコフに雪辱を果たし、尻上がりに調子を上げて優勝
ニューヨーク…アンダーソンに惜敗ベスト4
ここまでは順調でした。内容もよくなっていき、私も楽観的なコメントを出していました。
しかし問題はアカプルコでした。ここで体調を崩しシャポバロフに敗れ、IWを欠場。そして迎えたマイアミ。
錦織のテニスはどうなっているのか?この流れだけ見るとまた勝って行けそうですが、まだトップ100との対戦は4回。72位のドンスコイ、91位のアルボットに勝ち、11位のアンダーソンと45位のシャポバロフに敗れています。
ちょうど50位がラインになっており、ここより下の選手には最初のノビコフ戦以外すべて勝利、それより上は2戦2敗となっています。
今後は一つこのラインをターゲットにしていきたいと思っていた矢先のこのマイアミでした。
実は初戦はGojowczykが上がってくると思っていたのですが、このGojowczykがちょうど50位。一つの試金石になるゲームかなと思っていましたが上がってきたのはミルマン。
ミルマン、京都CHで優勝し、全豪でも2回戦進出。今期ここまで好調です。Gojowczykに勝ったのも納得でそのプレーが序盤から出ました。
ミルマン好調の要因はサーブのようです。1stサーブを次々と決め、錦織はなかなかリターンからチャンスをものにできません。
一方リターンゲームでは鋭い攻めが光りました。五輪でも見せたような思い切りのよいフォアハンドが火を噴き、またリターンでミスをしなかったことから多くのチャンスを掴み5-2としました。
しかしここからミルマンが崩れます。まず5-2リターンゲームでのSPを逃すと、SFSで大崩れ。SPを迎えるも落とすと6-5のリターンゲームでもSPを2本逃してタイブレークに行きます。
惜しいポイントも多数ありましたが象徴的だったのは第9ゲーム。それまで80%以上入っていた1stサーブが入らなくなりセカンドサーブへ。DFも絡み、あまりにももったいない落とし方になりました。
実はこれ、リオ五輪の時と全く同じような展開です。
あの時も5-2リードから崩れ、タイブレークも4-0リードからセットを落としました。
そしてタイブレークの展開は違えど、今回も同じ道に進みました。
この段階で錦織のプレーがよくなったわけではありませんでしたが、ミルマンのミスが早くなったことでタイブレークに入った時点で互角。迎えたタイブレークは錦織がいいラリーで3-0とリードします。
痛かったのはミルマンが3ポイント目でチャレンジしなかったこと。チャレンジしていれば錦織のボールはアウトで1-2、ミニキープ数で並んでいました。
その後もプレッシャーをかけ続けた錦織がセット先取。ここまで五輪と同じ展開でした。
2セット目もミルマンの猛攻が続き、第1ゲームをいきなりブレークすると、第4ゲームでブレークバックされたもののすぐさま第5ゲームでブレーク。このリードを守り切り第2セットを取ります。
ミルマン視点で書くとこうですが、錦織にとっては痛いミスが続きました。
少しずつプレーのレベルが上がっていたにもかかわらず、先サーブを活かすことができない展開が続きました。第5ゲームもキープしていれば先サーブの恩恵を得てブレークできていたかもしれません。
ファイナルセットじりじりする展開でしたが、2セット目中盤以降動きが散漫だった錦織が気合を入れなおしました。我慢比べの様相でしたが振り回しているポイントが多かった錦織に分があったか、ミルマンが耐え切れなくなります。腰に手を抑えるシーンも多く、厳しかったのでしょう。
特筆すべきは第6ゲームのBP。それまでなかなか決まらなかった錦織のフォアで一閃。ミルマンは追うこともできず大事なポイントで錦織に最高のプレーが出ました。
結果としては辛勝です。3時間近いゲーム、UEは60本を超え、動きが散漫になったり簡単なミスもたくさん出ました。
ただ負けなかった。ミルマンもいいとは言えませんでしたがこれで50~100位の選手に3連勝。錦織の体調もまだ万全ではないようで、そんな中勝ったということは、もう錦織はATPツアーレベルまでは十分に戻ってきたことを印象付けたのではないかなと思います。
ただ500以上のカテゴリーでもっと勝っていくために今日のようなプレーでは厳しい。上に行けば行くほどミスが命取りになります。
まだ対戦が決まったわけではないですが、次の対戦相手はおそらくデルポトロでしょう。
アカプルコ、IWとハードヒットできるサーフェスで2連勝中。そして錦織が初勝利を挙げるまで何度も悔しい思いをしてきたライバルです。
実績ではやや先行されていますが、年も近く、私はラオニッチやディミトロフよりよっぽどデルポトロのほうがライバルだと思っています(あとチリッチも)。
デルポトロに勝った時は手首のけがから復帰中だったため、バック攻めが効きました。しかし今のデルポトロは違います。完全体です。簡単には崩れず、あのフェデラーに実力で土を付けた力を持っています。
勝つことは一般的には非常に難しいでしょうが、アンダーソン戦同様何かを思い出すきっかけになるかもしれないし、多くのことを学べるはずです。
負けて当たり前、こういう試合も2016年のBIG4との対戦以来ではないでしょうか(17全豪はフェデラーが復帰途中だったのでチャンスはあると思っていた)。結果がどう転んでも楽しみです。
だからマイアミ運営さん、出勤時間にぶつけないで…