デ杯チームランキングの計算方法について
こんばんは。
今日の記事は(確認している限りでは)世界で私しかしていない超マニアックな内容です。
しかしこういう記事を常に書きたいというのが本心です。
Number著者デビューという華々しい幕開けとなった今年ですが、複数の仕事を並行しながらの作業が続きなかなかこちらのブログに時間を割くことができませんでした。忸怩たる思いでした。
ですが、今日の記事は自信をもって提供する「twosetdownらしい」記事です。
内容はランキング試算ですが、ATPでもWTAでもなく、ITFのランキング試算です。そう、長らく誰も手を付けていなかったデ杯チームランキング試算です。
というわけで早速試算に移る前に、意外と知られていないデ杯チームランキングについてのフォーマットについてここで説明します。
デ杯チームランキングは過去4年間のデ杯での成績に基づいて作成され、デビスカップのシード付けに使われます。
各タイ(タイは試合のこと)が行われるごとにランキングは更新されています。
サッカーの国際親善試合週のように、デ杯は基本一斉開催のため、それに合わせて年4回大きくランキングが動きます。
デ杯のシード付けですが、原則ドロー抽選時のランキングを使うため
・翌年のWG/ゾーングループの抽選
・WG入れ替え戦の抽選
時のランキングが使われます。具体的に、前者は9月のタイ(WG準決勝、入れ替え戦)終了後のランキング、後者は4月のタイ(WGQF、ゾーングループ2回戦)終了時のランキングが使われます。
※4月のタイはATPのカレンダー次第ではウィンブルドンのあとになることもあります
各タイごとに勝利した場合のみ、その勝利したラウンドに応じたポイントが入ります。これを「基礎点」とします。
たとえ第5ラバーのファイナルセットまで行っても、敗れればその時点で基礎点0ポイントとなります。
各ラウンドごとの基礎点ですが、一部を抜粋すると
ワールドグループ決勝 8000p
ワールドグループ準決勝 6000p
ワールドグループ準々決勝 4000p
ワールドグループ1回戦 2000p
ワールドグループ入れ替え戦 1000p
となります。
後述しますが、この基礎点にボーナスポイントを加えたものがそのタイで獲得したポイントになります。獲得したポイントは、1年ごとに25%ずつ失効していきます。4年間で0ポイントとなります。
1年ごとにと書いていますが、ATPランキングのように正確に52週間ではなく、同じグレードの試合が行われたときに失効します。
例えば、今年の4月に行われたQFのポイントは、もし来年QFが7月に行われるなら15か月間維持されるということを意味しています。
そこで、ここから分かりやすいようにデ杯を4つのタイに分類します。
1st tie (ワールドグループ1回戦、ゾーングループ1回戦)
2nd tie(ワールドグループ準々決勝、ゾーングループ2回戦)
3rd tie(ワールドグループ準決勝、ワールドグループ入れ替え戦、ゾーングループ3回戦、プレーオフ)
4th tie(ワールドグループ決勝、ゾーングループプレーオフ)
2018年2月の1st tieが終わった後のポイントは
2018 1st、2017 4th,3rd,2nd…獲得したポイントの100%
2017 1st、2016 4th,3rd,2nd…獲得したポイントの75%
2016 1st、2015 4th,3rd,2nd…獲得したポイントの50%
2015 1st、2014 4th,3rd,2nd…獲得したポイントの25%
が加算対象になります。
さらにここからがITFチームランキングの難しいところです。
ITFチームランキングがこちらになりますが、謎の小数点以下のポイントがあります。
これは、ボーナスポイントの加算+毎年25%ごとの失効により、割り切れずに小数点以下のポイントが発生するケースがあるからです。
ボーナスポイントには2つの種類があります。
①ランキングボーナス
ゾーングループ2以上のグレードで勝ったタイの相手のランキングが自分を上回る場合、相手のランキングに応じてボーナスポイントが発生するというものです。
1~2位 100p
3~4位 90p
5~8位 75p
9~16位 50p
17~32位 40p
33~64位 20p
例えば64位の国が63位の国に勝ったら20ポイントもらえるのに、2位の国が3位に勝っても0ポイントというなんともがばがばなルールです…
②アウェーボーナス
グレードに関わらず、勝ったタイの開催地が敵国であれば、アウェーという難しい環境で勝利した特典としてボーナスポイントが付きます。
これは、基礎点と①を加えたポイントの25%となります。
つまり、各タイで獲得するポイントは
ホーム…基礎点+①
アウェー…(基礎点+①)×1.25
となります。これを「最終基礎点」と呼びます。この最終基礎点が1年ごとに25%失効していき、それを合算したものが最終的なポイントになります。
分からなさすぎるので例えば日本の例を見てみましょう。現在の日本は2375pです。
勝ったタイを列挙すると
2017 3rd 入れ替え戦 ブラジル ホーム
2016 3rd 入れ替え戦 ウクライナ ホーム
2015 3rd 入れ替え戦 コロンビア アウェー
なんとたったの3つです。
まずブラジル戦はランキングボーナスなし、ホーム、100%加算なので (1000+0)×1×1=1000p
次にウクライナ戦はランキングボーナスなし、ホーム、75%加算なので (1000+0)×1×0.75=750p
最後にコロンビア戦はランキングボーナスなし、アウェー、50%加算なので (1000+0)×1.25×0.5=625p
したがって1000+750+625=2375pとなります。
簡単ですね
簡単じゃないから困るんですよね…
これにランキングボーナスが加わり、そしてそれを検証する方法がない(チームランキングはATPランキングのようにバックナンバーで遡れず、いつ何ポイント入ったかを厳密に確認する方法は一切ない、ITF許さない)ため、この作業は困難を極めました。
この場を借りて再度お詫びしますが、チリのポイントの件が二転三転したのはこの複雑怪奇なシステムのせいで計算をたびたび間違えたからです。大変お騒がせしました。プログラムを作ったのでもう再発はないと思いますが、今後も情報の発表には十分に気を付けます。
次の記事では実際に試算をしていきたいと思います。