デ杯決勝ラウンド組み分け決定、生き残り条件は?
こんばんは。
日本時間昨日早朝、今年のデ杯決勝ラウンドの組み合わせ抽選がありました。
まずはその組み分けと成立過程についてです。
今回の記事作成に当たっては、英語版ルールブックを熟読し、再三の確認をしてから投稿していますが、万が一ミスがあれば早急に教えてください。日本でここまで掘り下げてやってるのはここのブログだけの可能性があるので。
デ杯予選ラウンド総括記事で示したように、決勝ラウンドでは18チームを3チームずつ6つの組に分けて、グループステージを戦います。
シード付けはデ杯チームランキングに基づくというのは旧デ杯と変わらないため、様々な計算から日本は暫定13番手で、ぎりぎり3番目のグループに入ってしまうという速報をお伝えしました。が、今回のレギュレーション改定を機にデ杯のポイント計算も少々変わったようで(こういうのをパブリックに前々からアナウンスせずに突然変えるのはなんなんですかね…やっぱり好きになれない)、日本は14番手で第3シード帯となりました。
シード帯はそれぞれランキング順に
シード帯1…フランス、クロアチア、アルゼンチン、ベルギー、イギリス、アメリカ
シード帯2…スペイン、セルビア、オーストラリア、イタリア、ドイツ、カザフスタン
シード帯3…カナダ、日本、コロンビア、オランダ、ロシア、チリ
となりました。シード帯3ですら結構すごい組み合わせですね…カナダ日本ロシアって上位国から見ても楽じゃない…
今後も変わらない細かなルールとして、1シードはA組、2シードはB組…以下6シードはF組まで自動的に入ります。※1,2シードは昨年決勝進出国で固定
そして、QF以降のトーナメントドローは
A組1位
7番手or8番手国
C組1位orD組1位
E組1位orF組1位
E組1位orF組1位
C組1位orD組1位
7番手or8番手国
B組1位
となります。A組1位とB組1位、すなわち昨年の決勝進出国は1位ならばグループ2位通過国との対戦なので、必ず優遇されるようです。
サッカーW杯でも開催国のA組が日程や会場など若干有利な組み合わせになりますが、いかにもサッカー選手のピケが考えたようなルールです
すいません、しばらく言い続けると思います。Numberじゃなくてブログだからいいよね。許して。
先にQFからのドローを示しますがこのレギュレーション通りになっています。
A組1位
7番手or8番手国
D組1位
F組1位
E組1位
C組1位
7番手or8番手国
B組1位
ちなみに、A組かB組から7番手or8番手国が出た場合、決勝トーナメントはグループステージで当たらなかった方に自動的に入るようです(ルールブック確認済み)。要するに今回で言えば日本はA組2位通過なら、決勝トーナメントの初戦はA組1位のフランスやセルビアではなく、必ずB組1位国(クロアチアかな?いやそんなこともないな)になるというものです。
それではグループステージの組み分けです。
A組 | B組 | C組 | D組 | E組 | F組 | |
シード帯1 | フランス | クロアチア | アルゼンチン | ベルギー | イギリス | アメリカ |
シード帯2 | セルビア | スペイン | ドイツ | オーストラリア | カザフスタン | イタリア |
シード帯3 | 日本 | ロシア | チリ | コロンビア | オランダ |
カナダ |
こういうの表で貼れるようになったの本当に助かる…
文字が改行されちゃってるようですがうまい直し方が分からなかった…
まあ最低限の見栄えとしては十分でしょう。
グループ間の厳しさとしてはB組>>F組>A組>>D組>>>C組=E組といったところでしょうか。
メンバーがまだわからないので、短評程度に留めます。すでに出ないことを宣言している選手がいる場合、それを前提として書きます。
A組
フランスは安定して強い。単複3試合ルールになってもどこからでも取れる。課題は絶対に勝ち切れるラバーがないことで、現状のシングルス勢を考えると相手エース格が来た場合対応できない。今回で言うと錦織とジョコビッチ。ただ2ラバー落とす=負けることは考えにくいか。
セルビアはジョコビッチ次第。今のところ出る出ないがあまり明言されていないが、NAF後に出る気があるかどうか。出ないと最下位の可能性が高まってしまう。
日本も最下位候補。錦織が出なかった場合は濃厚である上に、出たとしてもセルビアに勝ち切れるかどうか。ハードでラジョビッチ相手ならなんとかダニエル西岡でもいけるか。シングルスのカードが錦織が出る場合他に1つしか切れないので、だれを使うかのメンバー選択も大事。
ダブルスではフランス>>>>>日本>>セルビア。ただ中国戦で露呈したようにもし日本ペアの調整が遅れると危ない。
後述するように、仮に日本はグループ3位になっても、自動降格になる総合17位、18位にはなりたくない。そうなれば、デ杯優勝に最短でも2年かかるため錦織のキャリアを考えるとおそらく不可能になる。エース錦織が自分のラバーだけでもきっちり勝ち切り、降格を回避したい。
B組
今回「死の組」を挙げるならここだろう。現在トップ10級を二人抱え、ディフェンディングチャンピオンのクロアチア。現有メンバーにデ杯優勝経験があり、例年上位進出、開催国で地の利もあるスペイン、シード帯3で最も勢いがあり、シングルス2勝を簡単にうかがえるロシア。
今週のランキングでトップ20が6人、しかも最上位のナダルは出場を表明し、11月のPVに出演しています。必ず出てくるでしょう。
ロシアはダブルスにスペシャリストが不在、シングルスも2勝がうかがえるとはいえ、絶対的エース不足。また若手で経験が浅いことも影響します。やや出遅れか。
とはいえ、予選ラウンド3試合すべてがどうなってもおかしくないです。チリッチチョリッチの出場がなければクロアチアも劣勢に立たされるし、この後解説する「3すくみグループ」になりやすいグループ。ここを2位通過したチームが決勝トーナメントに残ればA組1位との対戦になりますが、フランス(想定)にとっても楽な相手ではなさそう。
C組
ここはズベレフが欠場を表明。ドイツはコールシュライバーを筆頭に戦いますが、シードのアルゼンチンが力を出し切れば順当か。
ただポイントはクレーではなくハードであること。また、デルポトロが欠場するようだと一気にそれも怪しくなります。
チリは厳しいか。2連敗の内容次第では降格圏に入りますが果たして…
D組
グループ抜けはベルギーとオーストラリアのどちらか。コロンビアは欧州ハードでこの相手ではきつい。ダブルスをきっちり取り切って降格を回避することが最優先事項。
ベルギーとオーストラリアの対戦は注目。ベルギーはゴファンの出場が決定的(11月のPVに出演)。オーストラリアは引き続きヒューイットが監督。彼らの場合はデ杯改革に大きく反対していた勢力だけにやる気が出るかどうかもポイントの一つ。
E組
決め手に欠くグループ。
イギリスはマレーの当該時期までの復帰が不透明なうえに、エドムンドが伸びきれない。もし欠場ということになれば、一転して最下位候補になってしまいます。
カザフスタンはホームでなくなったことがどう影響するか。世界的には相手として楽観視されていますが、引き続きデ杯のモチベーションが高いようなら一発あります。
オランダは注目。組み分けに恵まれており、シード帯3から1位抜けする可能性は最も高いグループです。個の力というより総合力での戦いになります。
F組
ここも厳しいブロックです。
メンバーを揃えられる総合力で勝るアメリカがシードですが、安定してベスト8に入ってくる試合巧者の揃ったイタリア、さらにシード帯3からはラオニッチ、シャポバロフ、アリアシム擁するカナダが来ます。ここも1位が読みづらい。
ダブルスでブライアン兄弟が出るかどうかが注目です。シングルスでもつれてダブルス決着も容易に想像できます。
結構組み分けで命運分かれましたね。
ただこれも今段階での評価で、大会が11月なのでこれから1年で何とでもなります。
私としては、西岡にはそのころトップ50近辺にいてほしいですね。2月はダニエルが救いましたが、インドアハードなら西岡に任せたいのが正直なところ。
フランスも層が厚いですが、プイユが伸びきれず、ツォンガが復帰に伸び悩みシモンも微妙(そもそもデ杯苦手)なんてことになると、意外と強くないチームになっているかもしれません。
ギリギリ今年ですが、ほとんど「来年のことを語ると鬼が笑う」に等しいくらい先の話なので…
では次に気になるのは特殊な通過条件についてです。
デ杯ルールブック2019を読むとこのように書いています(p23、p57からが該当部分)
・QF進出チームは各組1位+残ったチームの中で比較し、成績の良かった2チーム
・成績順に並べて、QF敗退国も含めた5~16位が2月の予選ラウンドに回り、17位と18位は2020年ゾーングループに降格(予選ラウンドを戦えない)
という厳しいルールになっています。要するに、決勝トーナメントに「目無し」の状態になっても、降格があり得るので最後まで戦う必要がある、そんなルールになっています。
では7位、8位と17位、18位を決める条件は?ということですが、これはNAFのラウンドロビンを想像すると非常にわかりやすいです。
ルールブック59.2.3に基づくと、順位を決める条件は上から順に
①タイの勝利数
(①と②の間にもう一つ条件があるが、どこかのタイが完結しないという特殊条件?のため割愛)
②ラバーの勝率
③セットの勝率
④ゲームの勝率
⑤それでも並んだ場合、チームランキングが上の国
となっています。
NAFルールでは3すくみで並び、1人(1ペア)が外れて2人(2ペア)が並んだ場合、当該間の対戦成績で決めることがあります。
しかし、このデ杯グループステージは3チームでの争いとなるため
①2勝0敗、1勝1敗、0勝2敗の3チーム
②1勝1敗で3チーム並ぶ
しかないため、当該間対戦成績が決定事項にないみたいです。あと、グループ間で総合順位を決めるときに、対戦してないから参考にできないというのもありそうです。
さて、ここまでをまとめると、2勝0敗のチームがグループで2つ以上発生しないため、2勝すればグループ1位(当たり前ですね)、1勝した場合7位8位で拾われる可能性が出てきます。
では17位と18位は?というと、6つのグループで②のパターン、これを「3すくみグループ」と呼ぶことにしますが、3すくみグループが5つも発生するとは思えません。
したがって、タイ1勝さえすれば降格は逃れて、タイ0勝の国の中で17位、18位を押し付けあう形になると思われます。
で、あくまで想定ですが、コロンビア、チリ、ジョコビッチのいないセルビア、錦織のいない日本、あまりにも機能しなかった時のイギリスあたりが候補に挙がってきます。
コロンビア、チリは相手関係が厳しく、クレーではない、かつダブルスが不安定(カバル/ファラーはデ杯に弱い)なので、ラバーすらも取り切れないと0勝勢の中で後手を踏みます。
日本はこういった状況からも、仮に敗れてもエース錦織が自分のラバーだけ取っておけば、ラバー勝率を2-4にできるので助かる可能性が上がります。ダブルスで一泡吹かせるのも◎です。
日本にとって最悪の状況は
・C組、D組が予想以上にもつれる
・錦織のシングルスにジョコビッチが当たってしまう
・棄権負けが発生する
といったものです。
これはNAFでも同じですが、試合途中棄権になると、そのセットないし試合がすべて0-6の扱いになってしまい、セット率、ゲーム率で大きく後手となります。まあこのルール自体はすべての国に平等に可能性出るので意外な国がやらかしてしまう可能性も否定できませんが。
あと、2番目ですが、タイはシングルス1→シングルス2→ダブルスの順で進行することが決まっているのですが、肝心のシングルス1,2の起用方法(ATPランキング順なのか?監督の手腕次第?)が明記されていません。
確実にジョコビッチを避けられるなら日本対セルビアの錦織ラバーは取れると思うんですが、逆にジョコビッチを当てられると負ける可能性が高まり、0-3でタイを落とす可能性があります。
だからさあそういうところだよピケさん
失礼しました。愚痴が出てしまいました。
ということで情報量が多くなってしまい、まとまってませんが締めたいと思います。
相変わらずの日本のドロー運ですが、降格すると2020年中に決勝ラウンドに復帰できず、大変厳しくなります。
ルールが変わったことで日本優勝の可能性もぐっと上がりました。総力戦で偉業を成し遂げられるよう、チーム全体のレベルアップを祈るばかりです。