two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

WUGファイナルカウントダウン ②開けた世界と、行き詰まった世界

~前回までのあらすじ~

TSD、ハナヤマタ難民
WUGさん、そんなんできるならはよ(ry
TSD、WUGにはまる の3本です

 

早くも初回記事からワグナーの皆様を中心に反響が大きく、喜んでおります

まあこんな差し迫ってからじゃなくて早くから書いておけよという話ですが時間なかったんです。あとやる気が出なくて。残り日数もないので尻に火がついています。

 

 

 

2015年8月。学生の身分だった私はみにゃみの写真集が出るために、他のすべてのイベントを見送って一点集中。翌9月に初めてお話しする。

その後もちょくちょくとイベントに参加していたのですが、WUGシリーズの方は大きな転換点を迎えていくことに。

ここからは初見の人向けにそもそもWUGってなんですかという話をします。知っている人は流し読みで大丈夫です。

 

WUGとは

Wake Up, Girls! という声優ユニット、およびアニメ作品を指す。文脈によって意味が異なるので、どっちのことを指しているかは文脈で判断してください。

2013年4月にユニット結成。ユニット結成にあたっては、アニメ監督などの実績を誇る山本寛氏、山本氏と友人だった音楽作曲家集団MONACAアイマスアイカツなどの多数オタクコンテンツの名曲を作曲してきた実績あり)、声優事務所の81プロデュース、音楽レーベルのエイベックスピクチャーズなどが一体となり、オーディションを敢行。
そこで選ばれた7人を山本氏が監督となるアニメ作品に主役待遇で出演させ、声優だけの幅にとどまらない優れた人材を生み出すというプロジェクトでした。

 

2013年夏にお披露目(①で紹介した動画は、そのイベントでした)。2014年1月から劇場版公開。同時にアニメ放送開始。3月までの1クール。

舞台は仙台。山本監督が描きたかった東北震災をサブテーマに、アイドルと東北の街を描いた作品。また他の作品同様、山本監督の描く人間臭さ、大人の汚さなど、きらきらしたものがイメージとして描かれる他のアイドルアニメとは一線を画した内容になっている。

 

このアニメでは、実際の声優の成長とアニメ作品での時間軸の進行を一致させることで、現実と作品の融合現象を生み出そうとしました。これを公式的には「ハイパーリンク」と呼んでいます。 

 

 

 

さて、軽く紹介も終わったところで考えていきたいことがある。2015年夏現在での状況は以下の通り。

・2014年1~3月にアニメ1期放送(および劇場版放送)
・2014年4月に初の単独イベントを実施
・2014年8月、1stツアー開始、3都市6公演
・2014年12月、幕張メッセで合同イベント
・2015年7月、2ndツアー開始、4都市8公演
・2015年9月、映画前編公開予定(アニメ1期の続編に相当)
・2015年12月、映画後編公開予定(前編の続き)

 

あまりにもざっくり飛ばしているので苦情が来そうだが、ハイライトをまとめるとこんな感じになるのではないだろうか。

言いたいことは一つ。2014年3月から2015年9月までの期間、アニメ作品の進展は一つもなかった。
これが単なる漫画などの原作であれば、1期から2期まで1年程度空くのは自然で、むしろ短いくらいのスパンであるが、ハイパーリンクをうたい、現実の進行と並行する存在としてアニメ作品が存在する以上、この間隔は長すぎる。

アニメ作品には、アニメ作品だけの価値ではなく、その中に登場してくる楽曲、ストーリー、聖地などの要素までもが含まれている。

2014年3月以降、その時計は止まり続けた。言い換えると、コンテンツの両輪のうちの一つの歯車が全く動かなくなってしまった。

 

実際この当時のファンは、楽曲にアニメ作品としての思い入れをある程度投影する人が多かった(これは当時のオタクと話していた記憶をもとに証言しているものであり、すべての人がそう思っていたわけではないことは補足しておく)。2ndツアーで新曲は発表されたが、ツアー限定曲というのは単なる楽曲であって、そこに付加価値は存在しない。*1

 

実際に2ndツアー当時に会ったオタクに言われた一言を記しておく。

「今田君ね、WUGのCDがね、2014年の2月から出てないのよ。これがね、声優アーティストとしてどれくらい致命的かわかるよね?」

ハイパーリンクという縛りがあるために1年半シングルが出ないアーティスト(派生ユニットやキャラソンなどのCDは出ている)。まだビジネスやオタク知識の浅い私にも、その事実は重く伝わった。

 

そして私はいろいろな知識を得て、リアルタイムでコンテンツの進行を眺めて、一つの疑念が浮かんできていた。

 

WUG、このままうちの推しは続けていていいのか?

 

2015年から2016年前半はみにゃみにとって前進の連続だった。
まず2015年8月に個人の写真集発売。WUGメンバーでは初だった。
2015年4月には現在でも続く冠ラジオ、A&G NEXT BREAKS 田中美海FIVE STARSが始まる。これは一流女性声優を生み出したLADY GO(上坂すみれ小松未可子などがパーソナリティ)の後進番組で、確実に売れるという確信があった。
2015年6月にはNHK教育テレビの番組に役者として出演。
2016年1月からのクールはシュヴァルツェスマーケンで女性役の中で主演。

 

一方、WUGの活動はこの頃(というか現在でもそうだが)いわゆるエイベ縛り、WUG縛りと私が呼んでいるスケジュール拘束が顕著になっていた。

先ほど言ったようにWUGには81プロデュース、エイベックスピクチャーズなどの組織が絡んでいるため、そちらの拘束力が優先されるし、それによって他のイベントに出にくい、そもそも配役が取りにくいといった制限が出てくる。

もちろん裏を返せばエイベックスの息がかかったアニメ(ハナヤマタは実はこれに該当する)には出演しやすくなるのだが、自由に活動するという意味では障壁になっているのでは?と思っていた。

もうこの段階で、みにゃみは独り立ちできる力と実績を作りつつあった。
そのみにゃみにWUGは必要なのか?
そんな疑念が一度発生すると、コンテンツを斜めからしか見れなくなってしまう。

 

2016年7月、3rdツアー。
ハイパーリンクを失ったWUGは迷走していたように感じた。
この時のオープニングでは航海に出るような設定があったが、いまいち活かしきれていなかった。そしてセットリストは2ndツアーと比較してほとんど増えていなかったため、曲順はリリースされた順番から逆に演じていき、始まりの曲タチアガレ!で終わる通称「逆行セトリ」と呼ばれる内容だった。

私は思った。未来が見えない。逆行セトリは、今のWUGが少し前の過去を超えられていない、ハイパーリンクありきで楽曲が構成され、その楽曲たち、コンテンツの深みを更新できていないことを証明してしまった。このコンテンツは、このグループは、どこへ向かうのだろう。

2016年、アニメコンテンツの進展は一つもなかった。のちに「三次(三次元のWUGちゃん)が引っ張った年」と語られるほどだった。

 

 

一方の私は充実期を迎えていた。

サイン会、イベントなどを経て私は新人からただのオタクになり、その過程で友達がたくさんできた。
日本中に知り合いができ、どこに行っても仲間がいた。

少しずつ遠征に行く回数も増えて、旅の楽しさも分かるようになってきた。

私はこの空間に居心地の良さを感じていた。
実際ワグナー(ファンの総称)は総じて情に厚く、深い付き合いができる人たちだ。

この現場を何とかしたい、7人とみんなで頂点を目指したいという思いと、今すぐに推しに独り立ちしてほしいという思いが交錯し、交わることがなかった。

まっすぐに推すことができない自分を恨んだ。どうしたらいいのだろうか。

 

 

あとがき

第2回は書きながら重たい内容だなと思って書きました。
今の結果を知っているワグナーは思うでしょうけど、この頃から変わった転換点があったわけですよね、転換点。それをどこに設定するかはそれぞれのオタクの感受性に委ねられているところがあって。人によって意見違うでしょうが、次回で私なりの見解をまとめようと思っています。

あと、誰推しかにもよって違いますよね。悲しくもみにゃみ推しだったからこそ、こういうちょっと斜め上からの視点で見てました。他のオタク悪く思わないでね。

*1:実際、そのツアー用楽曲である地下鉄ラビリンスが真にライブで完成したのは、今回のファイナルツアーであるという説もあるくらいだ。新しいオタクたちによって再評価されたところはあると思う