two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

ツォンガを退け、順調に勝ち進む(2019全仏1R2R)

※書いてる途中でこれは長くなると確信したので、試合ごとに区切って書きました。

 

 

 

29歳、勝負のグランドスラム第2戦、全仏です。

全仏は特定選手への勝利(or回避できるドロー運)とフィジカル面での耐久、さらに難攻不落のシャトリエ攻略が優勝へのカギとなります。

今回ドロー運では特定選手を回避できるドロー運はありませんでしたが*1、それ以外の面は達成してほしいところです。

ドロー解説書いていませんが、ここでの記事公開が示すようにやはり2回戦のツォンガ戦、これが1週目(3回戦までを指す)の山場でした。振り返っていきましょう。

 

まず1回戦を見ての感想ですが、錦織は盤石でした。

1,2セットは特に言うことなくきっちり押し切りました。時折アリスがサービスポイントを連発していましたが、それ以外の部分で圧倒していたので全く心配しませんでした。

3セット目でアリスがブレーク先行、ピンチらしいピンチを迎えます。

この時間帯の両者ですが、アリスの逆を突いたボールが決まっている時間帯でした。対して錦織は、アリスの逆を突こうとするのですがこれが裏目。オープンスペースに打てば決まっていたボールまでアリスのいるほうに打ってしまい、カウンターを食らいます。ラリーの組み立てが噛み合わなくなりブレークされます。その後なかなかアリスのストロ-クが落ちず苦しみましたが、ようやく第6ゲームで追いつきます。しかし第7ゲームは不用意でした。特にアリスが何かしたわけではなく自滅で落としてしまいました。

嫌な流れですが、テニスの流れは変わりませんでした。その後連続ブレークで試合を締めて2時間ゲーム。3セット目の序盤を除いては終始錦織が試合を支配して完勝でした。注文のない勝利と言っていいでしょう。

 

2回戦のツォンガ戦ですが正直に言い訳します。現在宗教上の理由によりWOWOWに入っていないため、映像を確保するまでに多大な時間を要し、2セット目終了まで映像を見れていません。

記録上を辿っていくと、1stセットで先にブレークして、4-3のプレー以降まずかったようです。

 

対ツォンガ戦のポイントですが、ツォンガのいい時間帯を受け入れることにあります。

この辺りはこちらで解説しています。

難敵ツォンガを最高のテニスで撃破(2016全豪4R) - two-set-down新章

 

ツォンガがうまい時間帯は錦織の実力をもってしてもどうしようもない以上、それが発生した時に有利なカウントで、ちょっと傷を負っても何とかリカバリーが可能な余裕を持っておくことがカギになります。

ライスコ上ではいきなり連続ブレークを食らったので、いきなり来てしまったのかとがっくり来ましたが、もっとまずかったようでDF絡みの自滅だったようです。だとすると、もしリアルタイムで見ていたら相当厳しい見方だったと思います。

それを取り返したのが第2セットでした。

看板直撃のあの4年前の試合では、自滅から立ち直れないままあれよあれよという間に2セットダウン。そこから2セット挽回しましたが、ファイナルセットでツォンガのサーブを崩しきれず。上位陣相手には2セットダウンは試合終了という、私の持論の元にもなる試合でした。

この日はここが修正されました。まず開幕のゲームでブレークを奪うと、キープを続けるツォンガにブレークを与えず虎の子の1ブレークをしのいでセットオール。ここで勝負を振り出しに戻しました。第2セットの重要性。その後の分水嶺となった第3セットや、猛攻をしのぎ切った第4セットもハイライトですが、やはり私はこの第2セットを勝利のポイントに挙げたいです。ここが2セットダウンなら3セット目も4セット目も展開が違っていたので、取れていたかどうかは怪しいです。

 

第3セットはしびれました。
第2ゲームではフォアミスの連発で40-15からブレークを許します。クレーシーズン通じてですが、固まってミスが出るシーンが続いています。これによって簡単にブレークを許し、試合を長くしてしまっている印象を受けます。

嫌な展開でしたが第3ゲーム、ラッキーがありました。BP時のタイムバイオレーションでいきなりセカンドサーブに。会場がざわつく中リターン一閃。あれは狙うだろうと錦織ファンの多くが思ったでしょうが、ここ一番で会心のリターンを決めてブレークバック。

どちらに転んでもおかしくない展開でしたが、徐々に錦織が押し込んでいき、ツォンガは抑えきれないミスが増えていきます。第9ゲームでBPを一発で仕留めセット2-1に。大きな第3セットでした。

 

第4セットはセット終盤の勢いそのままに錦織が攻め立てます。しかしブレークポイントでツォンガの粘りにあい、痛恨のキープを許します。ここをブレークできていたら試合が決まっていだけに残念なシーンでした。

そしてここで来ました。ツォンガ、オンファイアー。ブレークポイントをしのいで吠えたところでツォンガのスイッチが入りました。

錦織のプレーは悪くなかったのですが、何をしてもウィナーを決められる展開で、ブレークを許し、そのまま一気に3-0に。フルセットを覚悟しました。これが先ほど言った「ツォンガのいい時間帯を受け入れる」にあたります。

しかし、ここで押し切れなかったのが今のツォンガと言えそうです。全盛期であればこうなれば30分くらいはずっと突っ走るので、1-6くらいでセットを落としてファイナルイン。私もそれを想定していたのですが、ツォンガはあっさりとブレークを許し3-3に追いつかれます。

 

原因は色々考えられそうですが、やはりトップ選手としての実績からかなり長い年月離れてしまっているということで持続性がなくなってきているという風に思います。

ツォンガももう34歳。ナダルジョコビッチより上の年齢で、一昔前であれば引退しているような年齢。少し前のベルダスコにも見られた傾向ですが、トップ選手のプレーをできる瞬間もあるけど、持続しなかったり、後は体力面で厳しくなったりしてベストパフォーマンスを出せなくなってくる。昨日のツォンガも、3セット目中盤あたりから踏ん張りがきかなくなってきていた印象があり、オンファイアーをそれらのファクターが上回ってしまった結果がこの即ブレークバックにつながったように思います。

そのあとは錦織ペース。最後はオンラインのドライブボレーなどありSFMでヒヤッとしましたが勝利。3時間で何とかまとめきりました。

 

この試合はシャトリエでツォンガに勝ったというだけでも十分に評価できますが、展開次第でフルセットもあっただけに、QF付近までに進んだときにじわじわと再評価されそうな試合でした。とまとめたのが2回戦の試合終了直後。その通りにやってくれましたね。

 

次戦はジェレです。レースランキングは10位台と調子がいいですが、リオ優勝によるもの。リオではティームに勝ったものの、SFで棄権勝ちなど運も向いていました。それ以外の成績は60位付近の選手という印象です。ラモスにストレート勝ちが気になりますが、この小山のドローは比較的楽なので、あまり過剰に評価はできないです。3回戦としては受け入れなければいけない相手かなという印象です。

この後の4回戦は4時間ゲームを制したペールか、あの全豪での死闘があったカレノ=ブスタ。しかしこれもメドベデフ、デミノーが倒れた以上4回戦の相手としては受け入れなければいけない相手です。

ここで360pを取れれば本当に大きい。他の選手次第では今後全米第4シードも見えてくるだけに、重要な試合が続きます。

QFからはもう運です。ただ、その運をつかむためには1週目の下準備が必要。ぼろぼろになってたどり着いた全豪と違って、全力でクレーキングに立ち向かってほしい。あとはもう実力で普通に負けることもありえますが、ベストの状態で戦ったという納得感は残したい。その下準備には、十分すぎる2回戦でした。

*1:もちろん、ナダルのことです