two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

2019ATPファイナルズ 感想

こんばんは。

NAF決勝と大会を振り返って記事を書くぞ!Numberwebに寄稿だ!と思って書いたんですけど、既に他の方が書かれていたので、テーマ被りということでボツとになってしまいました…

 

でも結構いい感じに書けたので、どこにも公開しないのはもったいないなということで、ここに公開します。

普段のブログだと、とりあえず書きなぐって最低限のミスだけなくしてから公開という風にしているんですが(時間取ってられないから)、Numberwebではそうはいかないので、推敲に推敲を重ねてから出しています。普段と同じブログ形式の画面で見ると、差がそこだけになるので、その辺の違いも感じ取ってもらえたらなと思います。

 

 

 

 

あっという間のビッグタイトルだった。

今年の年間最終戦、日東ATPファイナルズを制したのは、21歳のステファノス・チチパス(ギリシャ)。昨年のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)に続いて「ネクストジェネレーション」が優勝カップを持ち帰ることになった。

 

高年齢化が続いていた男子テニス界だが、ここ数年は一気に若返りが進んできた。以前は20歳前後の選手でもトップ10に入ることは当たり前だった。事実、2000年から2009年までは、10年中9年で21歳以下の選手がトップ10でシーズンを終えている。しかし2010年から2016年までの7年間は、1人もトップ10に入らなかった。若手不作の時代と言えるかもしれない。

その流れが変わったのが2017年。ズベレフがマスターズを優勝し、20歳でトップ10に入った。今年に入ってチチパスが20歳でトップ10入り。

最近の高年齢化には様々な要因があるだろうが、傑出した才能があれば本来早い年齢から活躍できてもおかしくないのだ。ようやく通常のサイクルに戻ったと言っていいだろう。

 

 

3年前、チチパスは今回と同じロンドンの会場にいた。

ATPファイナルズでは毎年、ジュニアの有望株をトップ8の練習相手として招待している。先日の決勝で戦ったドミニク・ティーム(オーストリア)と、実はこの時練習していたのだ。

2年前、チチパスは楽天ジャパンオープンの「予選」を戦っていた。

親戚に日本人がいる親日家として、日本でのファンを獲得した大会だった。直後に初めてトップ100に入る、まだそんな時期だった。

1年前、チチパスはマスターズで準優勝。21歳以下の大会、ネクストジェネレーションファイナルで優勝した。

そして今年、チチパスは全豪オープンベスト4、トップ10入り、ATPファイナルズ優勝。

目にも止まらぬ速さで指数関数的に飛躍している、そんなここまでのキャリアだ。

こないだまで目の前でプレーを見れた選手が、ツアーを引っ張るスターになった。彼はもうネクストジェネレーションではなく、立派なトップ選手なのだ。

 

 

まず驚かされたのはラウンドロビン終戦ラファエル・ナダル(スペイン)戦だった。押される展開が続いたものの、ブレークポイントで1stサーブを立て続けに決めてピンチを脱した。まるでロジャー・フェデラー(スイス)のようだった。2時間50分を超える死闘の末敗れはしたものの、勝っていても不思議ではなかった。

それから21時間後の準決勝、憧れのフェデラーとの対戦でも勝負強さが光った。立ち上がりのフェデラーのスマッシュミスを逃さずブレークに成功すると、再三のピンチを迎える試合となったが動じなかった。ブレークポイントを12回中11回凌ぐ姿は、どちらがフェデラーなのか分からなくなるほどだった。

これを2日連続で、この大舞台でやり遂げる21歳がいる。BIG4時代の感覚でいると、事態を呑み込めないほどだ。

そのまま決勝でも優勝。ティームの猛攻を受けながら勝ち切った。近年稀に見る好ゲームだったが、ほとんど崩れる時間帯はなかった。キャリアでも最大のプレッシャーがかかりそうな場面だが、この男には関係なかったのかもしれない。

 

 

準決勝でチチパスがフェデラーに勝った試合の直後、あるセレモニーが行われた。今年はトマーシュ・ベルディヒチェコ)やダビド・フェレール(スペイン)ら、BIG4時代を長く戦い、ついにグランドスラムに手が届かなかった名手たちの引退が相次いだ。その選手たちが一堂に集まり、最終戦の舞台で功績を讃える特別なセレモニー。一番近くのベンチで見届けたのは、試合を終えたばかりのチチパスだった。

世代交代という事実を感じさせる、象徴的な時間だった。

 

つい数ヶ月前の男子テニスの話題は、ダニール・メドベデフ(ロシア)のことで持ちきりだった。6大会連続決勝進出、全米OP準優勝、マスターズ2勝という離れ業をやってのけ、一気に世代の先頭に立った。次の全豪オープンはこの人だという声もあったが、4連敗でシーズン終了。そう簡単にはいかなかった。

一方チチパスは今年の夏場に苦しんでいた。公式戦で2ヶ月間勝利から遠ざかった。

ATPファイナルズの結果を受けてチチパスを次世代王者と予想するのは簡単なことだが、数ヶ月前はその世論が違ったように、まだまだ分からない。

世代交代は一人でするものではない。20代前半の前途有望な若者たちが束になって既存勢力にかかっていく様子は、これまでのどの世代よりも世代交代の可能性を感じさせてくれている。

 

毎年のように年末には「来年はBIG4以外の新たなグランドスラム優勝者が出る」と期待が高まるものの、終わってみればBIG4やその世代がグランドスラムを総ナメする年が続いてきた。

相変わらずレジェンドとしての力をいかんなく発揮しているが、以前に比べて隙も多く見えるようになってきた。グランドスラムは特別な環境で、BIG4が跳ね返す可能性もあるが、ついに今年の全米OPではメドベデフが決勝の門を叩いた。こうなると他の選手も一気に殺到してくるだろう。何せ今の若手は成長スピードが速く、まだ伸びしろがある。まばたきしているとあっという間に置いていかれる。

 

BIG4時代という常識外の出来事が続いた魔法は、もう間もなく解ける。その先には何が待っているのか、2020年のテニスシーズンからも目が離せない。

 

 

 

という感じです。これでだいたい私が投稿している平均字数くらいです。

色々解説したいところはあるのですが一点だけ。

「高年齢化が続いていた男子テニス界だが、ここ数年は一気に若返りが進んできた。以前は20歳前後の選手でもトップ10に入ることは当たり前だった。事実、2000年から2009年までは、10年中9年で21歳以下の選手がトップ10でシーズンを終えている。しかし2010年から2016年までの7年間は、1人もトップ10に入らなかった。若手不作の時代と言えるかもしれない。」

はい、このブログを読んでいる方ならもう分かりますね。閑話球題2019に出てきた部分です。こんな感じでさらっと紹介されるデータを掘り下げると、あんなブログ記事ができます。

 

デ杯も終わったんでまた閑話球題も更新していきます。そちらもお楽しみに。