two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

オフシリーズ・閑話球題 ⑧選手紹介その2(中堅選手編)

こんばんは。

師走とはこのことで、まったくブログのこととか考えていられない状況に追いやられていました。

忙しさでいえば6月に先にお休みを宣言したウィンブルドンの時以来のひどさでした。

峠は越えましたので、とりあえず再開します。しばらくは中1日ペースをやめて早めに更新していくのでお楽しみに。

さて今日は中堅選手編です。ビッグ4によって割を食った世代が26~30歳くらいの選手です。

ここ数年間の彼らにとっての全盛期にはビッグ4が立ちはだかり、グランドスラム、トップ10が取れたような選手が不本意な結果に終わり(現在も)プレーを続けている選手が多いです。

なお25歳の選手も含まれます。厳密な分類ではないことに注意してください。2回後にお届けする「Young Guns」に分類されない選手はこっちに入れました。

あと30歳超えの私の大好きな「あの選手」は次回に分けました。内容が次回は薄そうなので。ほんとはこっちに入れたかったんですけども。

スタン・バブリンカ

スイス出身 29歳

4位 最高ランク3位

グランドスラム優勝1回(2014全豪)

2014年の主な成績

グランドスラム 全豪W 全仏1R ウィンブルドンQ 全米Q

バークレイズ・ATPワールドツアーファイナルズ S

マスターズ モンテカルロW シンシナティ

500以下 チェンナイW デ杯W

通称「アイアン・スタン」。よくその風貌から木こりや熊のようだと称されますがとにかくタフで、けがの少ない選手です。4歳年上のフェデラーの陰に隠れ長くスイスの2番手に甘んじてきた経歴を持ちます。

2013年にコーチを全仏準優勝経験のあるマグヌス・ノーマンに代えて以降その才能がついに開花。

全豪ではジョコビッチにファイナルセット10-12までもつれる死闘を演じ、マドリードマスターズで準優勝。全米ではベスト4に入って初めてフェデラーを上回り、ファイナルでは準優勝に進みます。

2014年は開幕のチェンナイで優勝し、全豪ではジョコビッチにリベンジを果たすとそのまま優勝。衝撃的な優勝で2014年のシーズンを象徴する勝利となりました。その後は燃え尽き症候群となってしまったのか、不安定な成績が続き、モンテカルロフェデラーを破って優勝した以外は大きな成績を挙げられませんでした。

ファイナルではラウンドロビンを勝ち上がって2年連続ベスト4。準決勝ではフェデラーを追い詰め、デ杯決勝では単複無敗で優勝に貢献しただけに、来シーズンのスタートダッシュが注目です。

また現在活躍している選手の中では珍しいヨネックスユーザーの選手で、小声で言いますがヨネックスユーザーの私もバブリンカモデルのラケットを使っています。

得意なプレーは200km/hを超えるパワーサーブと片手バックハンドです。

片手バックハンドでは世界一だと思います。前回のファイナル選手紹介でも紹介しましたがこの動画です。

2014全豪決勝 対ナダル

59秒頃からのラリーの最後のバックハンドウィナーです。これはもう芸術品ですね。

トマス・ベルディヒ

チェコ出身 29歳

7位 最高ランク5位

グランドスラム最高…決勝(2010ウィンブルドン

2014年の主な成績

グランドスラム 全豪S 全仏Q ウィンブルドン3R 全米Q

バークレイズ・ATPワールドツアーファイナルズ RR(1勝2敗)

マスターズ マイアミS パリS マドリードQ 上海Q

500以下 ロッテルダムW ストックホルムW 北京F ドバイF

すべてにおいてトップ選手として平均以上の十分な力を持っている選手です。しかし、逆に言えば特徴的なプレーはない選手です。いわゆる「地味強」タイプの選手です。

その結果は成績に表れていて、グランドスラム決勝進出、マスターズ優勝経験のある選手でもありながら、まだツアー10勝(錦織で7勝、同レベルのキャリアがあるフェレールが21勝、同い年で活躍が遅かったツォンガが11勝からも分かります)と物寂しい数字、そう、常に大会で8強、4強付近までは勝ち上がれる選手でありながらビッグ4の壁に阻まれ続けた選手でもあります。

ランキングは2010年から4年以上5~10位と安定、特に年末ランキングはここ5年間で6→7→6→7→7位。しかしこれだけの成績でも一度も4位以上に入れていません。

殻を破れるのか。キャリアも晩年に差し掛かってきました。05年にパリで優勝した当時はフェデラーナダルの後を担える選手と言われました。来年に注目です。

マリン・チリッチ

クロアチア出身 26歳 

9位 最高8位

グランドスラム最高…優勝(2014全米)

2014年の主な成績

グランドスラム 全豪2R 全仏3R ウィンブルドンQ 全米W

マスターズ以下 モスクワW デルレイビーチW ザグレブW ロッテルダム

一発屋?いえ、そんなことはありません。

テニスを長く見てきていると「やっと成績が追いついた」という表現が正しい全米優勝です。

ツアー13勝はこの年代以下の選手の中で最多、早くにトップ10入りし、08年ごろに錦織、デルポトロらと同様に将来を期待されていた選手です。

2013年に薬物疑惑で長期離脱を余儀なくされ、そこから2014年にサーブの鬼イワニセビッチをコーチに迎え大躍進を遂げました。

夏前から好成績が続いていた中で全米ではベルディヒフェデラー、錦織を破って全米優勝。世間を驚かせました。

安定したストロークとビッグサーブ。バランスの取れたプレーが持ち味です。はまると誰も手が付けられません。

2015年は真価が問われます。ポイントが残っている全米までに稼ぎトップ選手として定着できるかがカギです。

ジョー・ウィルフリード・ツォンガ

フランス出身 29歳

12位 最高ランク5位

グランドスラム最高…決勝(2008全豪)

2014年の主な成績

グランドスラム すべて4R

マスターズ カナダW モンテカルロ

500以下 デ杯F マルセイユ

豪快なストローカーと言えばこの選手でしょう。テニス大国フランスの「四銃士」(ほかの3人はモンフィス、シモン、ガスケ)の一角です。

パワーサーブにフォアハンドも強く、何より高いレベルでの一発が怖い選手です。

印象的なのは2011年のウィンブルドン。03~09年まで毎年決勝に進んでいたフェデラーを当ブログのタイトル、2セットダウンから逆転勝ち。ピタッとはまった時のプレーは現在も健在で、2014年にはジョコビッチ、マレー、フェデラーに勝ちカナダで衝撃の下位シードからの優勝を達成しました。

ファイナルには3度出場(補欠2回)のトップ選手ですが今期はカナダMSを除けばトップ20以下の成績と不本意な結果に終わりました。ほかのフランス人選手と同様全仏では常に地元優勝を期待される選手です。来シーズンの巻き返しに期待しましょう。

ケビン・アンダーソン

南アフリカ出身 28歳 16位

身長2mを超えた恵まれた体格から(細身ですが)高速サーブを展開できる選手です。

ここのところ好成績が目立ちますが上位勢にあと一歩のところで敗れる試合が続いており、何か殻を破れるきっかけがほしいところです。

ガエル・モンフィス

フランス出身 28歳

18位 最高ランク7位

グランドスラム最高…準決勝(08全仏)

2014年の主な成績

グランドスラム 全豪3R 全仏Q ウィンブルドン2R 全米Q

マスターズ以下 モンペリエW ドーハF

テニスファンでなくても知っている選手かもしれません。スーパープレーと言えばモンフィス、モンフィスと言えばスーパープレーです。

検索していただければいくらでもヒットするのですが、モンフィスのスーパープレー詰め合わせです。

モンフィス詰め合わせ

全部見なくてもいいですが、何ポイントか見ればわかると思いますが、体の柔らかさ、打球反応、脚力、すべての身体能力が並みのそれではありません。あのジョコビッチが「自分がお金を払ってでも見たい唯一の選手」と評するほどです。

特にモンフィス本人もそれをわかっていて、明らかに試合中に魅せにいくポイントを作る時があります。

ただこの天才肌と何でもできてしまうのが災いしてけがに悩ませています。まあこのプレーをしてけがをしないほうに無理がありますが。トップ10入りも果たしていますがなかなか安定して勝つことができない選手です。

ジョン・イズナー

アメリカ出身 29歳 19位

こちらも身長2mを超えるビッグサーバー。実は大学テニスの出身でデビューは遅く、遅咲きの選手と言えるでしょう。2012年に初めてトップ10入り。

2010年にはマユと11時間に及ぶテニス最長試合をウィンブルドンで行ったことでも知られる選手で、とにかくサーブが命。タイブレークの勝率も高く、大会を通じて半数以上がタイブレークになることもあります。ラオニッチにかわされるまでカルロビッチとサーブスタッツ上位を数年間独占していました。

アメリカはロディック、ブレーク以降なかなか強い選手が出てきません。ランキングシステム始まって以来のアメリカ人トップ10不在期間になっています。現在アメリカトップのイズナーにかかる期待は大きいでしょう。

アレクサンドル・ドルコポロフ

ウクライナ出身 26歳 23位

天才肌でおもしろいストロークを展開する選手です。

持ち味は世界最速(モーションが)のクイックサーブと自在な緩急です。このラリーを見てみましょう。

2014インディアンウェルズ 対ナダル

この試合はドルコポロフの今期の最高の勝利、インディアンウェルズでナダルに勝ち4強に入った大会でのものです。

まずはこのクイックサーブです。すごいですね。動画は2ndですが1stも結構球速が出ます。

そのあとのラリーですが攻撃/守備の判断がおもしろいです。結構強いボールを打たれているときでも攻める時もあれば普通のボールでもしっかり回転をかけて繋げていったりとショット選択がおもしろいです。

リシャール・ガスケ

フランス出身 28歳

27位 最高ランク7位

グランドスラム最高…準決勝(07ウィンブルドン、13全米)

2014年の主な成績

グランドスラム 全豪3R 全仏3R ウィンブルドン2R 全米3R

マスターズ以下 モンペリエF イーストボルンF

選手自身よりも「錦織の天敵」として知っている方も多いのではないでしょうか。

対錦織5勝0敗。この成績が示すように強い選手です。

昨年は全米で4強に入り、逆転でファイナルに滑り込みました。トップ10フィニッシュも複数回経験があり、穴のない選手です。

特徴は片手バックハンドで、バブリンカのそれが直線的であるのに対して、ガスケのバックハンドは回転のかかった深く重いボールなのが特徴です。ジュニア時代には同い年のナダルよりも将来を期待されていた選手で、フランス四銃士として全仏優勝を期待されました。

錦織が苦手にしていた理由はわかりません。今やったら勝てそうな気はします。当時はガスケがトップ10だったのに対して錦織はランキングを上げ中という時期での対戦が多かったので意味はないと思います。14年ワシントンはのう胞手術前ですし、これもあまり重い扱いにはしたくないですね。

2014年はけがに悩まされ、不本意なシーズンでした。錦織との対戦はあるのか注目です。

ファン・マルティン・デルポトロ

アルゼンチン出身 26歳 最高ランク4位

グランドスラム最高…優勝(2009全米)

何よりも復帰が待たれる選手です。

破壊的と称される高い打点からの「叩きつけフォアハンド」が特徴です。手首から先が遅れて出てきて、しなりで強烈なフラットショットを打つことができます。このポイントを見てみましょう。

2013インディアンウェルズ 対マレー

見ればわかるという感じですが追い込まれてからのこの強烈なショットです。後半のスロー映像を見るとわかりますが、フラット系のボールがネットすれすれのここしかないという場所を通っています。

この強烈なボールを武器にビッグ4に対抗できる数少ない選手として君臨していましたが、2009年に全米優勝した後に手首のけが、さらに今年ふたたび手首を怪我し、どちらも1年近いシーズンを棒に振っています。まあこういう打ち方だと手首をけがしやすいんだろうな…とは思います。

2015年は現在ブリスベンから復帰予定ですが、また痛みが再発したとの情報もありまだ復帰できるかは半々です。

さてこのシリーズでは20位までの選手はすべて紹介しようと思っています。20人も知ってたらもうテニス通です。

100位くらいまで知っておかなきゃいけないのでは?そう思うかもしれませんが、実は今後このシリーズで話すように正直20位まで追ってたらOKだと思っています。というわけで20位まで+ぜひ知っておきたい選手というチョイスで選んでいます。

おいtwosetdownあの選手を選べよ!などテニス通の方ですと悲しくカットされた選手もいるかもしれないですが、あくまでこのシリーズは導入です。ここまで選手情報覚えるのだって大変ですからね。ほら世界史の人名覚えるの大変だったでしょ?あんな感じです。

ちょっと待てトップ20ならフォニーニいないだろと気づかれたそこのあなた、フォニーニはカットしてます。

いやほんとにクレーがちょっと強くてコートマナーが悪いの2点くらいしか書くことが思いつかなかった…すいません。

次回は30歳を超えたベテラン勢と、日本勢の紹介です。その次の回はテニス界を今後引っ張っていくスーパースターの原石、「Young Guns」の紹介です。それでは。次回は明日の更新を目指します。

追記

閑話球題②でcholosukeさんからコメントをいただいていたのですが、チェックを怠って返し忘れていたので遅まきながら返しました。該当記事にてどうぞ。