怖いくらいの完勝、ここからが本番だ!(2015ブリスベンQF)
1/9 現地13:30~(日本時間12:30~)
ATP250 Brisbane International presented by Suncorp
QF
[2]Kei Nishikori 6-0 6-4 Bernard Tomic
強すぎ。
第1セットはウィナー15本、アンフォースドエラー1本という神がかり的内容でトミッチを圧倒しました。
第2セットはトミッチが地元の声援に応えプレーを取り戻します。
6:4で錦織が押し気味でしたが、要所でトミッチの200km/h越えのサーブが隅に決まり続け、なかなかブレークできません。
しかし第9ゲームに通算6回目のブレークポイントを粘り強いラリーで決めるとあとは一気でした。完勝です。
1セット目はできすぎで、トミッチのミスも早かったので分析には値しませんが、第2セットの取り方はまさに上位。何も言うことはありません。
さて荒れに荒れたブリスベンですが、ラオニッチが苦しみながらタイブレークを2本制してビッグサーバーのグロスに勝利。
ディミトロフもクリザンを退けて、ナイトセッションのフェデラー待ちですが、上位4人そろい踏みも見えてきました。
錦織の準決勝はラオニッチです。
グロス戦を見て思ったのは、ここまで勝ってきているのでいいプレーなのは確かですが、まったく止められないレベルではないというのが感想ですし、グロスにブレークされていることからも分かる通り、ややストロークのフィットが欠けているという印象を受けました。
まずはリターンが生命線です。トミッチのサーブにも少し後半は苦しんでいるように見えましたが、しっかりアジャストしてほしいです。
もうダブルスまで見てたらまた日が暮れるので、今日はダブルスは見ないと思います。
一方波乱はまだ終わりません、ドーハでは2日連続のまさかが起きました。
ジョコビッチがカルロビッチに敗戦。こう聞くと驚きですが試合を見ていた人間としては納得の結果でした。
あれはどうしようもないです。
カルロビッチは1stサーブを75%近く決め、中盤のスタッツでジョコビッチがリターンできている確率は30%でした。
ブレークポイントも得られず、ラリーに持ち込めないことでフラストレーションもためていました。
カルロビッチは昨日はストロークも好調(カルロビッチの中では)、トップ10級のラリーではないにしてもジョコビッチに心理的プレッシャーを与えるには十分すぎる内容でした。
ジョコビッチの敗戦については「事故」と言えるのかもしれません、簡単に全豪に合わせてきて優勝する可能性は十分にあります、ナダルの敗戦とは違い、これはたかが1敗で処理されるものだと思います、今のところは。
ところでダブルスでジョコビッチとの対決に勝って決勝に残ったナダルですが、シドニーorオークランドのWC出場の噂が出ています。いくらダブルスで勝っているといっても、シングルスとダブルスは別物。確かにもう少し調子は上げたいところですが、3週連続出場のリスクも付きます。エキシビションを入れると4週連続、移動もタイトです。
そしてカルロビッチの今後の状況が気になるところですが、すでに全豪では17~24シードの枠に入ることが決まっています。ご覧ください。
全豪のシード付けは今週の結果を反映した3日後の月曜日のランキングで決まります。カルロビッチ以下の下位選手の追い越しは既にありえない状態になっており、すでにツォンガが欠場を発表していることから、25位のカルロビッチは24シード以内が確定しています。
ここでグランドスラムのシードついて説明しておきましょう。
公平性を期すために第1シードと第32シードといったような一番上と一番下から順にクロスした人同士が対戦するようなことは避け、ある程度の塊でグループ分けしてその中で抽選を行うようにしています。
具体的には、ベスト32後の3回戦、ベスト16決めでは
1~8VS25~32
9~16VS17~24
のシード帯の選手が対戦するようにくじを引きます。
4回戦のベスト8決めでは
1~4VS13~16
5~8VS9~12
のシード帯の選手が対戦するようにくじを引きます。
そしてQFでは
1~4VS5~8
のシード帯の選手が対戦するようにくじを引きます。
SFでは第1シードと対戦するのは、第3シードの可能性も第4シードの可能性も50-50です。
例えばこんな感じでシードが分けられます。
[1]
[26]
[19]
[14]
[11]
[17]
[30]
[6]
[3]
[25]
[24]
[16]
[9]
[22]
[28]
[7]
トップハーフのみ示しましたが、重要なことは、ベスト8までに最上位シード帯(1~8、以下A)、上位シード帯(9~16、以下B)、下位シード帯(17~24、以下C)、最下位シード帯(25~32、以下D)が1人ずつ入っていて、A×D、B×Cが組まれている点です。
そしてここからが重要な話です。
よくメディアなどを見ると「錦織第4シードのメリットは3強をSFまで避けれるため」という記述が目立ちます。
確かにその通りです、しかしもう一つのメリットがあります。そうです、4回戦が9~12シードと13~16シードでは雲泥の差だということです。
実際に現在のところツォンガ欠場のみを反映すると、9~12シードだとチリッチ、フェレール、ディミトロフ、ガルビスですが、13~16シードだとロペス、アンダーソン、バウティスタ=アグト、ロブレドです。
後者も曲者ぞろいですが9~12シードからすると明らかに見劣りします。
全米の4回戦を覚えているでしょうか。そうです、ラオニッチ戦です。まさにこの5~8シード×9~12シードのつばぜり合いだったわけです。
これを避けれるということはさらなる体力温存を望むことができ、したがってGS優勝が見えてくるということなんです。
正直1、2、3、4シードはQFに当たるまですべての条件が一致しています。今後3になろうが2になろうが実はあまりシードの恩恵は変わりないんです。つまりシードの恩恵をグレードアップする最終段階に入っているということであり、だからこそ第4シードの確保は必須なのです。
バブリンカが今日勝てば上位4人の欠場がない限り錦織の第5シードが確定しますが、そういう側面があるということは頭に入れておきましょう。
さてここで話を戻すと奇妙な事実が浮かび上がります。
3回戦ではA×D、B×CなのでAの選手は3回戦でBと当たることがないのはシードのシステムから言って当たり前なのですが、実はCとも絶対に当たらないのです。
カルロビッチの24シード入りが確定したことで、あの強力なサーブと3回戦で顔を合わせることを避けられました。これは非常にラッキーです。正直これによってDにいる選手で怖い選手はほとんどいなくなりました。
カルロビッチのあのプレーは正直BやCの不調選手よりも格段に良かったので、3回戦で当たればそれこそ事故です。確率1/8とはいえ最悪を避けられたのは錦織だけでなくAの8人全員にとってもラッキーだったでしょう。
というわけで今日はこの辺で。