two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

私の思うデ杯改革論

こんばんは。

前のほうの記事にコメントが来ていたのですが、いよいよ花粉症が悪化してきました。

1月の時のと似てるので間違いないのですが、2月は引いていただけについにやってきたかという感じです。

厄介ですね。せき込みもしないし鼻水も出ないのが今年の特徴ですが、のどの不快感が気になってあらゆる生活活動への集中力が落ちてしまっています。

耐え時ですね。といっても2か月も続くわけなんですが…

さて今日は(更新は日付またいでますが3日の記事のつもり)デ杯改革論です。また普段とは違うアプローチになっています。

各種ネットでの反応を見ていると「デ杯いらない」という意見がたくさん見られます。

その気持ちはよくわかります。特に今回の錦織のケースはかなりひどいとも言えます。

ブリスベン、全豪(高速ハード屋外、南半球で暑い)→メンフィス(高速インドアハード、寒い、インフルエンザにかかる)→アカプルコ(低速アウトドアハード、暑い汗出る)→デ杯(高速インドアハード、カナダなので超寒い)→インディアンウェルズ(低速アウトドアハード、普通の気候)

特に本来アカプルコからインディアンウェルズはサーフェスが似ているのでいい調整にできるはずだったのが、間に高速ハードが噛みさらに相手がラオニッチ。これでは調子も狂います。

そこまでしてデ杯に出なければいけないのか?協会が何か言ってあげられないのか?錦織には拒否権はないのか?こういった疑問が出てくることは自然な流れです。

さらにデ杯の形式がこれを加速させます。

デ杯の形式を理解していない、という人は昨年決勝の時に私が書いたルール説明を読んでからこの先を読むことを推奨します。こちらです。もう知っている人のために二度書きはしません。

おそらく今回日本がカナダに勝つためには、ラオニッチ、ポスピシル、ネスターの3人がすべて出てきた場合、第1or第2ラバーでのラオニッチのラバーと、第5ラバーが勝ちにくいことを考えると、錦織が5セットマッチを3日連続で勝たないといけないということになります。

これを実現したのが奇しくも昨年のカナダ戦。あのときはラオニッチポスピシル両名が不在だったためシングルスでの疲労が最小限になりましたが、あの時は第2ラバーで添田が勝っていればダブルスで錦織を温存することができたはずです。

といっても添田も必死に頑張っているわけですから悪いことは言えません。日本チームに求められているのは、錦織が連投してかつ3連勝するか、一般的に勝てないと思われているラバー(特にプレッシャーのない第2ラバー)での1勝か、そもそもこの1回戦を捨ててしまうという選択肢しかないのが現状です。

もちろんデ杯は5セットマッチでありながら「魔物が住む」と言われるように信じられない番狂わせが起こる大会でもあります。

それこそ錦織/内山がネスター/ダンセビッチに勝ったあの試合も世界的に見れば番狂わせです。

他にはイギリスのワード(当時111位)がクエリー(当時43位)に勝ったり、決勝ではフェデラーのけががあったとはいえモンフィスが快勝したりしています。

日本もカナダに勝つチャンスはあると思います。今回はポスピシルの状態がここ数大会を見ると不透明。第5ラバーは特にチャンスがあると思います。

ただ正直勝率は3割もないと思います。そもそも錦織がラオニッチに勝てる保証すらありません。日本が確実に勝てるのは初日の錦織×ポスピシル戦のみでしょう。

このような「錦織頼み」になってしまうのはデ杯のルールのせいです。まず3日間すべてが5セットマッチというのがいけないです。

といっても5セットマッチは昔であれば当たり前のルールでした。当時は大会数や参戦義務ルールなども今とは違いました。しかし時代が変わり、1週間で3セットマッチの大会が増えていき、フィジカルが問われるようになったことで5セットマッチの連投はケガを生みやすい状況に変化していきました。

そして理論上一人で頑張れてしまうというのがこのルールのいけないところです。

仕方ないと言えば仕方ないです。5人以上そろえるのは難しいし、たとえば一人は2試合以下、あるいは1試合しか出れないとかするとたぶんフランスとかスペインとか一定層強い選手がいる国しか優勝できなくなってしまうのは目に見えているからです。

そして毎週のように開かれるATPツアーの間隙を縫った結果、主要大会の後ろなどに入れるしか時間がないということです。

ホーム&アウェー制を敷いている手前、1つの試合が終わった後に場所を確保するために一定期間日付を空けないといけないことが現在のデ杯のルールで決まっています。たとえば11月に4週間にわたって連続開催するようなことは不可能です。

さらに厄介なのはデ杯の管轄はATPではなく、ITF(国際テニス連盟)であるということです。

選手たちの要望は選手会を通して一応ATPに通っているようなのですが、デ杯に関してはITFに通さないといけないのでなかなか改革論につながっていかないのが現状です。

これら様々な大人の事情やルールの観点から、長らくデ杯はその形式を変えずに続き、1900年から戦争の中断を挟んで今年で106回目の開催になります。この106回という数字はグランドスラムに次ぐ歴史と伝統のある大会で、マスターズがやれ義務で歴史の長い大会ばかりだから~と言われますが、それらのほとんどの大会よりも歴史が長く、格のある大会なのです。

しかしもうそれは限界に近づいていると思います。デ杯が真の国別対抗戦の意味を持つなら、すべての上位ランカーが義務などなく参加できるような環境を整えるのが今の時代に合った方法だと思います。

実際ジョコビッチは数年に1回(今年は出ます)、フェデラーはデ杯を取りたいと長らく言っていて、時々欠場しながらも参加しましたが今年は優勝してモチベーションが下がったか不参加、さらにフェデラーがいないときにスイスチームをけん引したバブリンカも不参加、ナダルは最近ほとんど出ませんし、そのほかの選手も軒並み辞退してスペインはワールドグループから転落しました。

ベルディヒもステパネクと2人だけでチェコを優勝に導いてからはあまり出なくなっています。

こんな大会で真の国別世界一決定戦と言っていいのでしょうか?

テニスは保守的な考えの人が多いスポーツです。試合時間短縮の方法としていくつかの新しい革新的ルールは低いレベルの試合では導入されていますし、ダブルスではスーパータイブレークが導入されました。しかしこういった主要大会でのルール変更は5セット→3セットというまだわかりやすいルール変更以外は一切導入の気配がないというのが現状です。

今ではすっかり定着したホークアイの導入時もフェデラーが反対するなど、とにかく変化を嫌うスポーツです(悪いと言っているわけではありません、そういう文化が存在するということです)。ウィンブルドンに屋根をつける時も揉めました。

しかしおそらくデ杯に関しては今のところ誰も得できません。100年以上第4、第5ラバーのシングルスの順序や参加国の増大によるグループ分けの見直し以外は大きなルール変更がなかったデ杯ですが、ついにルールを考え直す時ではないでしょうか。

というわけで私がいろんな試合形式を考えてみました。

1.単純にタイの数を減らす

16か国のワールドグループ制なのがすべての元凶です。どうしても4回の日程を作らないといけないからです。

女子の国別対抗戦フェドカップはワールドグループを2つに分け、8か国で争っています。

男子もこれを取り入れれば日程を減らすことができ、最後のタイはツアーファイナルズの後にすることにすれば、ツアー内に入れるのは2つのタイで済みます。

ただ問題点はワールドグループより下の大陸グループです。各大陸のゾーンの組み分けを見直さないといけなくなるのでいろいろめんどくさいことが起こりそうです。

2.2年で1回の優勝を争う

4つのタイを2年でやればいいのでは?という安直な発想です。2年に1回しか昇格/降格/優勝がなくなりますが日程が緩和されるので、各国とも1戦1戦よりガチになるのではないでしょうか。1つのタイをファイナル後にすれば、シーズン中は1回の負担で済みます。

3.いわゆる「先鋒・次鋒・中堅・副将・大将」方式にする

最終ラバーは大将にすると第4・第5ラバーの順番についての話と同じ論法になるので外すとして、とにかくシングルスは1回しか出れない、もっと厳しくするなら単複ダブル出場も制限する方法です。5セット1回or5セット1回+ダブルスなら許せるでしょう。

4.3セットマッチにする

正直これにしてくれたら一番手っ取り早いです。3連投は出ますがまだ許せます。その代わりファイナルセットはタイブレークなしでいいと思います。ただ5→3に変わると番狂わせだらけなのと、意外にデ杯の5セットマッチは若手選手にとってグランドスラムのいい予行演習になるのでその機会を奪うことになります。

5.五輪と絡める

私がイチオシの案がこれです。五輪には今団体戦がありません。規模が違いすぎますがアジア大会でも団体戦があったくらいですし、五輪に団体戦を取り入れ、これをデ杯の代わりにしてはどうだろうという発想です。

そしてその代わりに3年かけて大陸予選をやります。そうです、サッカーのW杯方式みたいなのにしようということです。

これは完全なルール変更で最も実現しにくいのですが、国別対抗戦という趣を最も維持できる方法だと思います。

もちろん大陸予選もシード国とそうでない国を作ります。トップランカーが出場するような国力のある国は最終予選から出れば負担が軽減します(私のイメージでは、最後の1年(五輪前年)だけで済む計算です)。

まあこれは欠点もいっぱいあります。4年もあれば選手層はどんどん変わっていくので予選のシード国が意味をなさない可能性があるということです。あと本番をどのような形式にするかも問題です。私の案では8か国だけ出場して五輪の2週目に行う予定です。公開競技でもいいと思っています。

五輪の2週目はその代わりツアーカレンダーでは250の週に充てるようにATPと協力します。この時期に残る選手はトップランカーを輩出している国のみなので大きな影響はないですし、もちろんそれ相応のランキングポイントも入るようにします。

まあ言いたかったのはこの最後の案なんですが、みなさんはどう思うでしょうか?

けがなくすべての選手がデ杯を終えられることを願っています。ちなみに3連投が濃厚なのは錦織だけじゃないんですよね。そうです、マレーです。

マレーは相手がアメリカ。自分がシングルスで2勝するだけでは届きません。アメリカも一時よりは国力が落ちたとはいえ、昨年ワードに不覚を取ったようなことがなければ、イズナー、ジョンソン(予想)あたりがイギリス2番手を一蹴し、ブライアン兄弟がダブルスを確実に取って3勝。そのダブルスをマレーが崩しに行こうという算段です。

こういった一人頼みの国は結構厳しい負担を強いられています。デ杯1回戦のプレビューは選手が揃った木曜日夜(あるいは金曜朝になってしまいそう)にまとめたいと思います。