two-set-down新章

two-set-down新章

スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

波乱続きのデ杯、日本チームが得た確かな収穫

こんばんは。

年度が変わるということでいろんなところにお呼ばれしています。

ありがたい話ですが、そろそろ体力が…

あと試合見させて。夜に予定がぶつかっているので全然見てる余裕がないです。

そのくせ帰ってきてからイズナー×ワード戦を最後まで見てしまい、睡眠リズムはお察しです。

さてデ杯も残すところあと1日となりました。

各試合で波乱、驚きの結果が続出しています。

ドイツ×フランス 0-3

シモンとシュトルフの一戦はシュトルフがリードする展開に。プレビューで解説した通りシモンは有効ラバーでわずか1勝。シュトルフは74位と完全にシモンよりも下位選手。今回はフランスのエースとして臨むシモンが負けるわけにはいきません。

シュトルフはリターンの調子がよく、特に強力ではないシモンのサーブをいとも簡単に返してしまいます。

第3セットのタイブレークを力なく落としたシモンが1-2とされ絶体絶命のピンチに。

するとここから孤高のフルセッターシモンの本領発揮です。

グランドスラムでも5セット目までもつれる試合を制すことの多いシモンが追いつき、ファイナルセットはお互いキープが続き6-6以降の無間地獄に。

第19ゲームでシモンがブレークに成功。何とか勝利を収めました。

続くモンフィスはコールシュライバーに快勝。この2-0で初日を終えたフランスにはダブルスがあります。スペシャリストのマユとベネトーがしっかりストレートで勝ち、結果的には3-0でフランスがすでに勝利を決めました。

優勝候補の一角に座るフランス、昨年の決勝での悔しさを晴らせるでしょうか。

イギリス×アメリカ 2-1

デ杯男の誕生です。ジェームズ・ワードがまたしても大金星を挙げました。

第1ラバーはマレー。盤石なテニスを展開し、第3セットの反撃以外はヤングを寄せ付けませんでした。これで4位返り咲きにリーチをかけました。

この地点で第4ラバーを回避する方法はイギリスのストレート勝ちしかなくなったので、第3セットでワードが盛り返し、イズナーが今日マレーに勝てるビジョンが見えなくなってからはワードを応援していたのですが、本当に勝ってしまうとは思いませんでした。

ワードはビッグサーバー相手に着実にミスの少ないテニスを展開しました。438ポイントでアンフォースドエラーを29本に抑え、特にバックハンドがいい精度でした。

第3セットで初めてブレークに成功してからは自らはオールキープ。タイブレークでもリターンさえ返せばしっかりポイントにつなげ、最大のピンチを乗り切りました。

イズナーはサーブが入りリターンが甘くなるかミスにならないとポイントにできない状況が続き、無間地獄に入って不利な状況になりました。

唯一一度ブレークポイントを握ったのですが平易なミスで落とし、第28ゲームでワードのパッシングにつかまり万事休す。ワードが大金星、アメリカは絶望的な2敗目を喫しました。

さらにダブルスではブライアン兄弟が2セットアップから追いつかれ、ファイナルセット無間地獄へ。なんとか首の皮一枚つなげたものの、今日はマレーが疲弊しきったイズナーを倒すのはほぼ確実で、万一それがなくともワードがヤングに勝つ確率も高く、非常に厳しいでしょう。

チェコ×オーストラリア 1-2

デ杯有効ラバーデビュー戦のコキナキスがどんな試合を見せるか、でしたが、試合はロソルのワンサイドゲームで2-0、第3セットも5-3でロソルのサービング・フォー・ザ・マッチを迎えます。

ここで試合の流れが変わりました。

私のブログタイトルである「2セットダウン」からの逆転勝ち。私のテニスの試合の中でも好きな試合のスコアラインの一つです。

あと1セット。誰もが逆転は無理だと思う。そこから気が付いたら潮目が変わり、逆転劇が始まります。

仮に第3セットを落としても第4セットは仕切り直しできる。どんなに流れが変わろうともセットが切れることでもう一度同じ位置からスタートし直せる。テニスの恐ろしいところで、セットが切れることでこの逆転のムードが切れてしまうことがあります。2-1でリードしている方が第1ゲームをキープしただけで、試合は落ち着き、そのまま何事もなかったかのように3-1で勝ってしまうこともよくあります。

そんな仕切り直しが第4セット、第5セットの頭で2回あり、逆転する側はそれを乗り越えて逆転してしまいます。

3セットもあればリードしていた側にもどれか1セットはチャンスがあるものです。この攻防が面白いのです。

ロソルは第4セットで5-5、第5セットでは先にブレークしたにもかかわらずそこから4ゲーム落としての敗戦。残念です。

そしてこの熱戦を制したコキナキス、これは来そうです。マスターズにDAできるようになれば非常に面白い存在になると思います。

第2ラバーでは先輩のトミッチがベズリーを圧倒。92年生まれの二人の対戦でしたが実績では上のトミッチが実力を見せました。これでオーストラリアは2勝としてダブルスへバトンタッチ。

さらに先輩のグロスとヒューイットが躍動します。ヒューイットは一人で気を吐いてきた時代からついに若手が出てきて、テニス大国復活ののろしを上げたいところでしたがファイナルセット逆転負け。トミッチとコキナキスに命運は託されました。勝てば06年以来、ヒューイットが出場した1回戦では05年以来の勝利になります。

カザフスタン×イタリア 1-2 → 2-2(速報)

カザフスタンは何かをやってくれる、そんな期待感がいつもありますが今回もやってくれました。

まさかククシュキンがボレリに勝ち、そして先ほどセッピにも勝って2-2にするとは思いませんでした。

初日を終わって1-1になてしまったイタリアは苦渋の選択。フォニーニ/ロレンツィのペアをグランドスラム優勝ペア、フォニーニ/ボレリに変更。ボレリは3連投になります。

正直ククシュキンへの連敗は想定外だったでしょう。3連投のボレリがゴルベフに勝てるか。非常にタイトな一戦になりそうです。

アルゼンチン×ブラジル 1-2

ブラジルのソウザがなんとベルロクに5時間近い長丁場の試合を制しフルセット勝ち。これは読めませんでした。

第3セット90分かかってるんだけど、やりすぎでしょ…

しかも第3セットは1セットで100ポイントくらいやってるんですけど何回デュースになったことか…

マイヤーはベルッチを退けたものの、ダブルスはメロ/スアレスが期待通り勝利し、ブラジルが王手をかけます。

アルゼンチンはシングルスでの1敗を初日で使い切ってしまいました。疲弊したベルロクとベルッチの最終ラバーがカギになりそうです。ソウザはすごかったけどさすがに5時間もやったのでマイヤー相手にはきつそうですね。

セルビア×クロアチア 3-0

ジョコビッチ、トロイツキが登場したセルビアジョコビッチは完勝しましたが、トロイツキ×コリッチはトロイツキが2セットダウンからの逆転勝ちになりました。

といってもこれは2セットダウンの逆転勝ちにありがちなケガ、疲労の類によるもので、コリッチはどうしても守備的なプレーなので走らないといけないですし仕方ないのですが、まだグランドスラムを戦うには体力不足なのかなあと感じる痙攣によるプレーレベルの低下でトロイツキが勝ちを拾った形です。

2セットまで好調トロイツキを圧倒したコリッチ、こちらも3セットマッチの大会ではしばらく台風の目となりそうです。

ダブルスはフルセットを考慮してトロイツキに代えてジョコビッチ。ジモニッチとのダブルスも完勝してセルビアが3連勝。QF進出です。

スイス×ベルギー 1-2

第1ラバーでなんとスイスのラークソネンが2セットダウンからの逆転勝ち。ブックメーカーではセルビア×クロアチアクロアチアよりも低評価を受けたスイスが先制し、波乱の幕開けになります。

第2ラバーではダルシスが勝ち、第3ラバーも取りました。

なんとか2-1にしましたが、最終日に温存しているゴフィンを使うかどうか、ベルギーチームの采配が問われます。

カナダ×日本 2-1

初戦のラオニッチ×伊藤戦は伊藤が自滅気味。ラオニッチも完璧とは言えない状態でしたがサービスキープに苦しむ伊藤を簡単にブレークしたラオニッチが勝ちました。

次戦の錦織×ポスピシルですが、このカードは初対戦。ポスピシルの調子も悪くはない状況でしたが、そんな中欲しいところである程度ブレークが取れた錦織が終始試合を支配し、3-0で勝ちました。

ダブルスは大接戦。正直諦めてましたごめんなさい。

錦織3連投も考えられたところですが、結局予定通り京都チャレンジャー準優勝ペアの添田/内山ペアで行くことに。錦織を温存しました。

錦織もアカプルコからの疲労が抜けていないようで、そういったことも考慮に入っていたのかもしれません。

添田/内山はリターンがよく、しっかりチャンスを作ることができました。やや添田サーブに安定感がなかったのと、追う展開になってしまった結果、最終セットが後サーブになったのがよくなかったです。第4セットの第8ゲームでブレークしてセットを取れていればよかったのかなあという感想です。

日本のダブルスははっきり言ってこれまでウィークポイントでした。錦織/内山が昨年のカナダ戦で勝つまで入れ替え戦以上のグレードで1勝も挙げられませんでした。

そんな中世界レベルのネスター/ポスピシル相手に戦えたことは大きな収穫です。敗戦から学ばなければいけないことはたくさんありますが、確実に今後につながる結果でした。

さて錦織×ラオニッチ、今週のデ杯の中でも最注目カードと言っていい試合ですが、正直ラオニッチ有利は否定できません。

ホームの歓声もあります。カナダMSでラオニッチの成績が特段いいのはご存知の方もいるかもしれませんが、錦織が東京で2勝したように彼もまた地元補正のある選手です。

さらに伊藤戦で堅かったプレーも後半になるとのびのびとしてきており、錦織戦ではいつもサーブの確率や精度を上げてきていますし、勝てばカナダの勝利が決まるという条件になってしまいました、モチベーション的にも正直今の錦織では相当厳しいという見方です。

第5ラバーに関してはやや肩に不安があるポスピシルが3連投になりますが、そこで添田を出すか伊藤を出すかでも運命が分かれそうです。日本チームにとっては苦しい戦いになりますが、次戦もしベルギーが上がってくればチャンスですし、なんとしてもコロンビア戦の時のような大逆転に期待したいところです。