two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

【ドロー解説】2015インディアンウェルズMSの展望【予選勝者、ミュラー移動追記】

こんにちは。

花粉が猛威を振るっています。目に続いて喉をやられ、もはや家にいようが外に出ようがダメージを与え続けています。

しかも寝違え(?)が治らず首から背中にかけて痛みが。満身創痍でもう勘弁してくれ…

さてデ杯からあっという間にインディアンウェルズのドローが発表されました。結局上位勢の欠場はなく、錦織は第5シードでの出場です。

いろいろありましたがむしろ第4シードじゃなくてよかったのではと思います。ナダル山に入っていたらと思うと戦々恐々ですいやほんとに。

インディアンウェルズマスターズ(以下IW)は96ドローの大会で、マイアミと並んでグランドスラム以外の大会では最大のドロー規模になり、大会期間もグランドスラムに次ぐ11日間(+その前に予選)となっています。

この性質からIW、マイアミは「第5のグランドスラム」と呼ばれる大会でもあります。私は第5のグランドスラムはツアーファイナルズ派ですが。

ドローとしてはシードが32本、この32人が初戦を免除された形です。序盤戦は1ラウンドを2日間で戦うのも特徴です。しかしマスターズなので3セットマッチです。

今大会の特徴としては復帰勢の期待がかかる大会です。

2014年、いや2013年からテニスを見始めた人でもその名前を聞かないM.フィッシュがこの大会から復帰します。おいしそうな名前ですがこの選手は2012年にはトップ10にいた選手です。

そしてケガ明けのチリッチも間に合いました。またデルポトロもダブルスで参戦、マイアミに備えます。

またソックも今年初戦です。力があるだけに注目しています。

それではいつも通り展望です。全選手記載しました。疲れる…

シードの初戦はないので目で補完してください。

ジョコビッチ

[1]ジョコビッチ

バグダディス

ベズリー

トロイツキ

ラモス=ビノラス

[25]ベネトー

[18]イズナー

(Q)ノビコフ

(Q)メルツァー

デルボニス

ラジョビッチ

[16]アンダーソン

[10]チリッチ

ガバシビリ

モナコ

シュトルフ

(WC)コキナキス

[23]ガルシア=ロペス

[32]トミッチ

(Q)コリッチ

ハイダー=マウラー

ドディグ

ソウザ(ポルトガル

[8]フェレール

面白いブロックになったと言っていいでしょう。もちろん大本命は[1]ジョコビッチで揺るぎませんが、注目選手がたくさん入ってきました。

初戦のバグダディスとベズリーはタフです。ノーシードでは厄介な相手で初戦を迎えます。

そして3回戦では[25]ベネトーよりも怖いジョコビッチの盟友トロイツキ。実力は既にシード選手級、厳しい戦いが待っています。

4回戦ではビッグサーバーの[16]アンダーソンか[18]イズナーの勝者が有力でしょう。ここはまだ組みやすいか。

一方次回やる予定の「TSDレーティングシステム」では[8]フェレールは全選手中2位の評価で、今最も勢いのある選手だという判断です。

初戦のソウザとドディグはそこまでの印象。3回戦は[32]トミッチとの対戦が待っています。トミッチはここの所好調ですが、似たようなサーフェスアカプルコフェレールが勝ったばかりです。

4回戦に向けて注目なのは今期初戦となる[10]チリッチです。いろいろと休み中のことについては悪い噂も立っています。ここはコートで結果を出してほしいところです。デ杯で活躍したシュトルフやコキナキスもいて面白いセクションです。

何もなければジョコビッチフェレールのQFが堅いでしょう。

②マレー山

[4]マレー

ククシュキン

ポスピシル

(WC)スミチェク

ベッカー

[26]コールシュライバー

[19]フォニーニ

(Q)ズベレフ

マナリノ

(LL)ヒメノ=トラベル

グロス

[14]ガルビス

[12]ロペス

マトセビッチ

ミュラー→(Q)ロジャー=ベスリン

ニエミネン

(Q)ドゥ・バッカー

[20]クエバス

[28]ベルダスコ

(Q)ダックワース

ティエム

(PR)フィッシュ

(WC)ハリソン

[5]錦織圭

錦織はドロー運がないというのはよく言われています。ファン心理だといろいろ不安な気持ちがよりタフドローにさせてしまうというのはあるでしょうが、実際過去の事例としてこんなことがありました。

初GS以降のGSでの序盤の対戦相手

08ウィンブルドン ジケル(ノーシード)

08全米 モナコ(シード)

09全豪 メルツァー(シード)

09全仏 2Rでジョコビッチ(トップ4シードと広げても確率8分の1)

09ウィンブルドン ナダル(言うまでもない)

といった感じでずっとシードばかり。しかもジョコビッチナダルって…

そのほかにも錦織の反対の山ばかりシードがガタ落ちしたり、大会後のドロー運のなさにも定評があります(そう思って全豪を思い返すと、あれ…)。

私も少しずつ感覚がマヒしていますが、誰かが当たるのは必然のこと。危険な候補が3人いて1人しか当たらなかったらその地点で良ドローです。この辺は確率を使って説明してもいいですが長くなるのでやめます。

そういった意味でも今回のドローはかなりいいドローだと思います。

[5]錦織圭の初戦は復帰戦のフィッシュとハリソン。ハリソンが名前負けしなければ今の実力があればさすがに勝ちぬけてくるはずです。

嫌な相手ですが、しかしここは返り討ちに合わせるつもりで初戦を乗り切ってほしいところです。

次戦は[28]ベルダスコでしょうか。少しトンネルに入りつつあるティエムも不気味ですが。この予選勝者が誰になるかはかなり注目だと思います。わずかな確率ですがコリッチ、ワードの可能性もあります。

この3Rは嫌なカードです。ベルダスコは過去2敗しています。こう聞くと嫌な感じがしますが、1敗は11年全豪。まだノーシード時代の錦織が躍進して3回戦に進んだ時のトップ10選手だったベルダスコとのカードです。そしてもう一敗は12年バルセロナ。この棄権負け以降2か月間けがの治療に入る前の最後の試合。つまり両方とも負けてしかるべきですので気にするべきではないです。

むしろ錦織は左利き選手に強いというデータがあります。ナダルに7敗しながら勝率はキャリア勝率とほぼ同じ。ナダルを抜けば勝率は8割近くまで伸びてきます。これは錦織のバックハンドが強いために左利き選手のフォアによるクロスの攻撃(=右利き選手のバックハンドへの打球)をうまくさばけることが一つの要因ではと思っています。

ティエム、予選勝者とも不気味ですし、ここが一つの山ではと思いますが、そこまで厳しい山とは言いにくそうです。

4回戦は本来厳しい戦いが予想されていました。第5シードのデメリットは9~12シードとのこのラウンドでの対戦にあります。しかし[12]ロペスを引きました。これはラッキーでしょう。今シーズンは目立った成績が残っていません。このラウンドでは[9]ベルディヒを引く可能性がありました。ベルディヒはTSDレーティングでも今シーズンツアー7位の評価です。こういう選手との対戦は嫌です。

[20]クエバスもいますが、クレーではないですしまあ当たったとしても大丈夫だと思います。ビッグサーバーのミュラーにもチャンスがあるかもしれません。

ベルディヒならほぼ確実に上がってきていただけに、本当にここが楽になっています。

一方の[4]マレーは比較的下降気味のシード選手のブロックに入ってきました。

初戦が少し不安です。デ杯で目覚ましい活躍を見せたククシュキンとポスピシル。この相手にどう戦うかで今週の行方を占えそうです。

あのスミチェクがWCをもらっての参戦です。しかし勝ち上がりはなかなか難しいとは思います。無難に[26]コールシュライバーでしょう。マレーとコールシュライバーは昨年の全仏で死闘を繰り広げており楽しみなカードです。

4回戦は楽勝ムードか。まさかの敗戦を喫しクレー以外でほとんど勝てない[19]フォニーニか、いまだ年初からトンネルを抜け出せない[14]ガルビス。予選勝者も多く、おそらく厳しくない試合が待っていますが、もしここにコリッチが入ってきたら…いやなんでもないです。

ここもQFの最有力はマレーと錦織ですが、しかしこのブロック、実は最も波乱が起きる可能性が高いとみています。マレーも錦織もこのインディアンンウェルズを大の苦手にしている大会です。

錦織はなんと4回戦進出=ベスト16が一つもなく、これは9つのマスターズの大会でローマとこのインディアンウェルズのみです。ローマはケガで欠場が多く、わずか2回です。それに対してケガを抱えずに出場するインディアンウェルズでここまで勝てていないのは異常とも言えます。

昨年のインディアンウェルズはその象徴でした。もちろんハースは当時のランキングでは上でしたが6-7、2-6というスコアは衝撃でした。インディアンウェルズの跳ねるサ-フェスと乾燥した気候は特有で、ハースのスピンボールを使ったテニスに翻弄される形になりました。

一方のマレーもインディアンウェルズを相対的に苦手にしており、マスターズ番長と呼ばれたマレーがハードコートで優勝できていない大会の1つです(マイアミ2、マドリード1、カナダ2、シンシナティ2、上海2、パリ0)。

特にここ5年はすべてシードキープできず、2011年、2012年と連続初戦敗退しています。クレー寄りのサーフェスが影響しているのかな?よくわかりませんが。

あまりまさかは考えにくい残り選手の配置とはいえ、両選手とも不安は残ります。マレーはやや不調気味、錦織は疲れがたまっています(今日もエキシビションに出たようです)。無難にマレーと錦織のQF予想にしておきますがわからないです。

ナダル

[6]ラオニッチ

ボレリ

ベルッチ

ドルゴポロフ

(Q)ダンセビッチ

[29]ヒラルド

[17]ロブレド

ゴルベフ

ブラウン

キリオス

(WC)クドラ

[11]ディミトロフ

[13]シモン

伊藤竜馬

ジャズーリ

エストレラ=ブルゴス

(Q)ベレール

[22]ガスケ

[31]シャルディー

ヤング

カレノ=ブスタ

セイスリン

(Q)クライノビッチ

[3]ナダル

上位選手にとっては比較的楽な山ではないかと思います。

[3]ナダルは比較的苦手の北米ハードコートシリーズでどこまで結果を残せるか。全仏第4シードのためにも絶対に稼いでおきたい場所です。

初戦は楽、3回戦もなんとか切り抜けられるのではないでしょうか。この辺りで敗退するようだと本気でやばいと思います。

4回戦は調子のいい[13]シモンが有力です。[22]ガスケが上がってくればナダルは対戦成績的にも楽でしょう。伊藤竜馬はジャズーリとの対戦。勝てない相手ではないと思います。ラオニッチ戦のショックからしっかり立ち直れているのか注目です。

エストレラ=ブルゴスはガスケとの対戦を実現させると、躍進のきっかけとなった昨年のボゴタの大会以来の対戦となります。当時そこでガスケに勝ってブレイクしただけに楽しみです。

一方真価が問われる[6]ラオニッチは初戦のボレリが少し嫌です。マルセイユのようなことはそう何度も起きないとはいえ嫌ですね。3回戦は昨年4強のドルゴポロフが上がってくると面白そうです。

4回戦はタフなゲームになりそうです。2014年全豪で敗れている[11]ディミトロフとの「Young Guns」対決が楽しみですが、ここにはあのキリオスがいます。この2回戦の勝者がおそらくラオニッチと当たりますが、どちらが来ても簡単ではないでしょう。

ラオニッチの4回戦がやや厳しいですが、他ブロックと比較しても楽だと思います。

ラオニッチ×ナダルが実現するといいですね。フェデラー相手に昨年初勝利を挙げたラオニッチ。今度は未だ未勝利のナダルにも勝ちたいところ。チャンスはあると思います。

ナダルはまずQFまで来ること。来れないとそろそろ本格的にやばいと思います…

フェデラー

[7]バブリンカ

ハース

(Q)ボルト

クリザン

アンドゥハル

[27]ロソル

[21]カルロビッチ

ジョンソン

グラノジェルス

クエリー

スタコフスキー

[9]ベルディヒ

[15]バウティスタ=アグト

イストミン

(WC)クライチェク

ソック

ルー

[24]マイヤー→[33]ミュラー

[30]セッピ

ユージニー

(Q)ハネスク

ヤノヴィッツ

シュワルツマン

[2]フェデラー

今大会の最も厳しいブロックという認識です。

最有力は[2]フェデラー。なんと3回戦で[30]セッピを引いてしまいました。

今シーズン唯一の一敗がこのセッピ。さすがに小指のけがが再発することはないのでまあ大丈夫だとは思いますが…

4回戦は比較的楽です。[15]バウティスタ=アグトはよくフェデラーを引いてますね。復帰戦のソックがどこまで行けるか楽しみです。

一方今大会最も厳しいベスト8ブロック、[7]バブリンカと[9]ベルディヒ、そして[21]カルロビッチの入ったこのブロックは興味深い対戦になりました。

最有力はバブリンカでしょう。ジョコビッチへの1敗と疲れ負けのみという充実ぶり。TSDレーティングでも3位という評価になっています。ベスト16までは比較的楽に勝ち上がれそうです。

問題は4回戦。ベルディヒ、カルロビッチに加えてジョンソン、クエリー、スタコフスキーと実力者揃い。正直誰が来ても驚きません。逆にベルディヒは相当厳しい。これが第9シードです。一つシードが落ちただけでこういう混戦に巻き込まれます。

フェデラーにとっては4回戦が潰しあいになってくれると楽です。この場合バブリンカが上がってきた方がいいかは微妙なところです。まだモンテカルロでしか負けていませんが、ファイナルでは敗戦あと一歩まで行っていますし、正直今最も強い選手の一人。率直に嫌ではあると思います。ベルディヒが来てもフェデラーによく勝っている相手ですし結局フェデラーにとっては相当厳しいQFになることは間違いありません。

総評

96ドロー長い。書くのしんどい。

錦織としてはかなりいいドローだと思います。今シーズンは対非トップ10無敗ですし、序盤の大なり小なりの山は越えてくれるものと信じましょう。

そう考えると中盤の山、ロペス→マレーというのは最良です。マレーも全豪で評価を戻しましたし、ナダルが不調なのであれですが、マスターズのQFで当たることを考えれば楽ドローであるのは間違いないです。

SFのジョコビッチと決勝は誰が来ても強いに決まっているので、総じていいドローです。ベスト4を狙い、状況次第ではその上を狙える気がします。とりあえずの目標設定はベスト4でいいと思います。

なおベスト4に入ればマレーを越せます。4位返り咲きを濃厚にするだけでなく、ナダルの結果次第ではマイアミ後の3位浮上も視野に入れられます。

一応予想です。

優勝 ジョコビッチ

準優勝 フェデラー

ベスト4 錦織 ラオニッチ

ベスト8 フェレール マレー ナダル バブリンカ

無難すぎるって?正直トップ9以下の選手が勝てるビジョンが本当に見えないし、チリッチあたりは別としてもこの予想になってしまいますね…

本当は波乱が多く苦手選手も多い大会なんですけどね。今地点ではこの予想しか立てられません。

今日はもう一本書く予定(体が元気なら)。それでは。

3/12の追記

マイヤーが欠場を発表し、予選通過者が出そろってドローが決定しました。

シード選手が欠場した場合、どこかの1試合目が始まるまでだった場合はシード次点の選手がそこに置き換わるパターンが多いです。今回は次点だったミュラーが動きました。この場合ドロー位置が変更になり、LL選手の位置は予選勝者12枠と抜けたミュラーの分を合わせて13枠で普通に抽選を行います。ですのでLL選手のヒメノ=トラベルはミュラーのもといた位置とは違うところに入っています。錦織にとっては近くにいた要注意選手が抜けたことでさらに楽なドローになりつつあります。

あとコリッチは2回戦がトミッチと面白い位置に入りました。