two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

全仏のシード争い過熱!4月4週とランキング予測

こんばんは。

錦織が試合に出ていないから更新できていないというのもあるのですが、週末に外出していたつけを今払っている時間帯です。

今週末は公私ともに忙しくも楽しく、願わくば何度でも繰り返したいくらいに充実していた数日間でした。ちなみにここでの公はブログ内ですので観戦テニスについてのみです。久しぶりに私が好きなプレーのテニスを見ることができたということです。

連休で無理矢理突っ走ってきた生活を見直し、5月からは2014年度と同様のスタイルで更新できたらなあと思います。

さて結果的に休んでいる間にいろいろなことがありました。まずは今週の大会(始まってますが)のプレビューです。今週はATP250のアウトドアクレーの大会が3つあります。

エストリル(ポルトガル

昨年まで行われていたオエイラスに代わる大会。トップ10選手の出場はなし。初戦で第1シードのロペスは敗退しており、第7シードで出ているキリオスが順調に8強。ロペス敗戦によってドローもオープンでツアー初優勝、トップ30入りの期待がかかっています。

ボトムハーフはガスケ、アルマグロ、コリッチ、アンダーソン、ガルシア=ロペスと実力者がそろっており大混戦。ストローカーのコリッチもツアー初優勝を狙います。

イスタンブール(トルコ)

新設のATP250大会にビッグな参戦が決定しています。フェデラーとディミトロフです。

ただその他の参戦者は薄く(翌週がマドリードのため、3大会で最も長距離遠征になり、新設大会のため固定出場選手がいないことが原因)、フェデラーの優勝はほぼ間違いなく、次点でディミトロフとクエバスが並ぶ形。フェデラーは優勝して250pを確実に取りたいところです。3週連続のマドリード、ローマに向けてどう影響するか、そしてモンテカルロでまさかの敗戦を喫しただけにフェデラーのクレーは気になります。

ミュンヘン(ドイツ)

今週の最注目大会と言っていいでしょう。参戦者は上位から順にマレー、バウティスタ=アグト、ゴフィン、コールシュライバー、トミッチ、フォニーニ、下位選手でもF・マイヤー、トロイツキ、エストレラ=ブルゴス、ティプサレビッチ(この3人はトミッチと並んでベスト8までに一人に絞られます)、ベズリー、ティエム、ポスピシルという豪華なメンバーです。

残念なことにモンフィスとクリザンは欠場となりましたがこれでも十分豪華です。

さて何が注目なのか?マレー優勝はそれでも堅いのでは?というところですが、マレーはクレーで未だにタイトルがありません。

この理由にはナダルの存在に加えて若い時代からマスターズに早々と参戦するランキングになったので、こういった週の250や500にほとんど参戦していない、つまり第1シードで迎えるような大会が少なかったからという背景があります。

といってもビッグ4時代全盛期の2012年ですらBIG4で唯一4強に入れていません(フェレールに敗戦)。クレーが比較的苦手なのは間違いありません(キャリア勝率も全サーフェスに比べ10%以上低い)。

ちなみにマレーのクレー勝率は.630(63-37)。錦織のクレー勝率はバルセロナ2つ目のタイトルによって.691に上昇(大会前は.660)。初期の錦織はクレーであまり勝てていなかったのでマレーの勝率はそういうくらいの数字だということです。2勝1敗ペースよりも悪いということですからね。

今シーズン前半戦はややドローにも助けられしっかりと勝ち上がっているマレー。この成績が本物なのか偶然だったのかは一つこのミュンヘンで答えが出ると思います。初タイトルに向けて、そしてシーズン中盤戦の3位確保に向けてマレーが走ります。

・ランキング的な話

現在バルセロナを終了し、ランキングはこのようになっています。

ご覧ください。錦織圭は5位をキープしました。ただのポイント保存ですが、難攻不落のバルセロナで連覇し1ポイントも失わなかったのは数字に見えない大きな偉業です。

そしてこのバルセロナ優勝、思わぬところで大きなチャンスを得ることにつながりましたがそれはこの後で。

さて錦織圭は昨年パリで4強に入りトップ5に到達しました。そこから実は見えない力でも働いているかのようにトップ5をキープしています(全豪やモンテカルロは結構6位後退の可能性があった)。

昨シーズンのweek35(全米準決勝後)に全米決勝進出の1200pが入りトップ10復帰。その後トップ10を現在34週連続キープ。トップ5もweek43(パリ後)からついに26週キープしています。

オフシーズンがあったとはいえ半年という数字はとてつもないです。瞬間的に順位が上がることというのはよくあるのですが、ここまで続くと本物だということが分かりますね。

さて、全仏のシード争いですが、以前紹介したようにマドリード、ローマを残し大接戦です。

現在各選手の失効予定のポイントは

ナダル   マドリード1000 ローマ600

錦織    マドリード 600 ローマ  0

ラオニッチ マドリード  90 ローマ360

ベルディヒ マドリード 180 ローマ 90

となっていて、それぞれのポイントからこの2大会を引くと(全選手4月4週の失効はなし)

ナダル…3790

錦織…4680

ラオニッチ…4620

ベルディヒ…4690

となります。ナダルを除き大接戦です。

しかし舞台はマスターズ。10~1000pまである中でこの数字はナダルのみ逆転可能としました。

一応フェレールも可能性がありますが、540pと意外と失効が多く4位になるためには基礎点3950からの巻き返しが必要で、一つ優勝+αの活躍が必要でしょう。

さらにバブリンカも失効こそないもののフェレールと同程度の条件が必要で非常に厳しいと言えます。

ナダルはこの2大会でブーストできないとかなり順位を落とします。以前にも紹介したように05年全仏前にクレーで勝ちまくって以来ずっと5位以上です(半年離脱もあふれるポイントでカバーし、5位に留まっていました)。10年ぶりに6位以下になるのか、モンテカルロバルセロナでほぼ加点ができなかったナダルは今度こそ「崖っぷち」に立たされていると言っていいでしょう。

しかもこの危機には全仏の成績は一切絡んでいません。全仏は準優勝でも-800p。4強以下なら1000p以上ロストします。そういうことです。これ以上の説明は不要でしょう。

全仏で5~8シードだと他の上位シードにとって怖いという意見を聞きますが、5位以下でナダルが全仏を迎えるということはそれだけこの2大会で負けたということです。マレーはちょっと微妙としても1~4、5~8の決定には何の異論もありませんし、全仏も今のところナダル特別シードの扱いはしないようです。

ウィンブルドンのシードには芝ポイントという特殊ルールがあります。今年から観戦を始めた方は知らないと思うのでまた今度解説しますが、GSはそれぞれの大会が独自に運営するので極論シードを勝手に決めてもOKです。

全仏にもクレー専用シードをつけるべきだという意見が絶えませんが、シード付けがものすごい複雑になりそうなのでなかなか導入には至りませんね。

ジョコビッチ欠場で本命不在のマドリード

なんと、昨日大会公式からジョコビッチ欠場の発表がありました。

Novak Djokovic decide no jugar en Madrid: http://t.co/1JsBujZkFI— Mutua Madrid Open (@MutuaMadridOpen) 2015, 4月 29

スペイン語ですが、decideなどなんとなくわかる単語もありますね。ストレートにジョコビッチ欠場が書かれています(一応翻訳サイトに通して確認しています、さすがにスペイン語はわからない…)。

理由は疲労回復です。IW→マイアミ→モンテカルロと6週間でずっと試合に出ずっぱりでトップ選手を多く含んで17試合。疲れないわけがないです。特にモンテカルロは終盤連戦でしたから、このあとマドリードに出るとまたマドリード+ローマで2週間で10試合近く→全仏で2週間5セット7試合という鬼畜スケジュールが待っています。

ほんとこのスケジュール何とかならないのかという感じですが、ジョコビッチマドリードとローマどちらかを捨てるかというところでマドリードを選択しました。

マドリードは結構選手でも好かれていない大会だと思います。2012年のブルークレーの一件はTENNIS LOVERSさんが詳細にまとめていますのでぜひどうぞ。

ナダルもあまり得意としていません(クレーになってから6年で通算3勝)し、そもそもスケジューリングの関係で上位選手に飛ばされることもよくあります。観客も…ちょっとひいきが過ぎることが多いです。

ちなみにマドリードは09年まではバレンシアのあたりのカレンダーに入っていたハードコートのマスターズでした。

以前はモンテカルロ→ローマ→ハンブルグ(昔はマスターズでした)→全仏というのがクラシックな流れだったことは知っておいてもいいでしょう。

とにもかくにもジョコビッチスキップによる影響は大きいです。

まずはこれによって確定したマドリードのシード順を見ましょう。

1.フェデラー

2.マレー

3.ナダル

4.錦織圭

5.ラオニッチ

6.ベルディヒ

7.フェレール

8.バブリンカ

いわゆる「strong 9」がきれいに分かれる形になりますが、特徴的なのはフェデラー第1シードです。

マスターズ、GSでのフェデラー第1シードは2012年パリ(この時はドロー発表後欠場なので定義によっては2012上海)が最後で、約2年半ぶりになります。

そして先述のクレー苦手なマレーが第2シードに入りました。

正直今回のマレーが決勝までいけるイメージが見当たりません。ミュンヘンで勝ち上がれば好調ですがその分連戦(今日から11日間で最大9試合)となり、ミュンヘンで負ける場合はそういう実力ということなので、これは他選手にとってはチャンスです。

加えてフェデラーですがフェデラーも実はブルークレーの2012マドリード以降クレーではタイトルなしです。純粋なクレーでの優勝は09全仏と実に約5年も前にさかのぼります。イスタンブールからの長距離移動も厳しい条件です。

もちろんそうなってくると危険なのはナダルです。モンテカルロバルセロナと敗れてもそれでもナダルナダル。序盤の勝ち上がり次第では一気に優勝候補筆頭になってくる選手です。

ところが、です。ここで最大のラッキーなポイントがあります。

SFでの対戦カードは順当に勝ち上がった場合次の2通りしかありません。

第1シード×第4シード 第2シード×第3シード

第1シード×第3シード 第2シード×第4シード

この共通項はなんでしょうか?そう、第3シードと第4シード、今回の事例に適用すれば錦織圭ナダルは100%決勝まで当たりません。

今大会は本命不在、こういう時に怖いのは上限値が高い選手です。そしてクレーにおいてはその答えは間違いなくナダルです。

そこでバルセロナの優勝が効いてくるのです。バルセロナ展望ではローマでのフェデラー欠場を想定していましたが、まさかこんな形でいきなりチャンスが巡ってくるとは思ってもいませんでした。

「save 1500」プロジェクトの達成ラインはマドリードSF進出。そう、もちろんQFの相手は間違いなく手ごわいとは言えどもフェデラーナダル、マレーを避けて4強に入れるこのドローを手に入れられたことは本当に大きな価値があります。

ただ4強で満足していいのか?というと今回に限り答えはノーです。フェデラー、マレーが優勝ならいいのですが、そうでなかった場合誰かに1000pが入る。

もっと言えばフェデラー、マレーは夏付近で2位を争う可能性もある相手です。

2位ってちょっと待てよと言われそうですが、実は全米前のフェデラーの基礎点は5145。錦織圭の基礎点は4490です。

何せ「save 1500」プロジェクト最大のポイントはローマ、全仏、ウィンブルドン、カナダ、シンシナティの5大会で190pしか守らなくていい錦織のボーナスステージ前にしっかりポイントを守りきるというところにありました。

この時期のフェデラーウィンブルドン準優勝、カナダ準優勝、シンシナティ優勝でした。

大混戦の2015年シーズン、錦織圭のクレーシーズンの活躍にゆだねられていますが最も高い景色には「2位」があります。

数字を出したように決して不可能ではありません。マドリードも入れれば義務大会は6つ。逆転は十分に可能なのです。

つまりここで優勝してフェデラー、マレーと差を詰めておくことで全米前の2位を十分視野に入れることができるのです。

バルセロナというたった1つのATP500の大会がものすごい起点になる可能性だってあるのです。

と煽りに煽ったわけですが勝てなければ一切意味はありません。

これからはベルディヒの失効が少なくなる時期が続きますし、誰かに足元をすくわれる可能性も十分にあります。

見る側としても一戦必勝の気持ちを忘れてはいけません。錦織が優勝できなければこのおいしい1000pは誰かに入ります。9シード以下は7日で6試合ときついので正直優勝は「strong 9」以外無理だと思います。

しかしジョコビッチの選択は一切間違ってないとはいえ、QFフェデラーSFナダルジョコビッチとかいう鬼畜ドローもあり得た中で、一気に開けたドローになりましたね。

マドリードのドローは土曜日発表です。本当に楽しみな2週間が始まりそうです。