【ドロー解説】2015マドリードマスターズの展望
こんにちは。
みなさんお待ちかねのマドリードマスターズのドローが発表されました。
錦織圭はマイアミに続いて自身二度目の第4シード。今回もその第4シードの恩恵を十分に受けるドローとなりました。
それではいつもの通り全員並べてドロー解説に移りましょう。
今大会はクレー、アウトドアで56ドローの大会です。シードは16人。上位8人のみ初戦免除です。
①フェデラー山
[1]フェデラー
bye
予選勝者
キリオス
シャルディー
予選勝者
マナリノ
[16]イズナー
[12]ツォンガ
ロソル
(WC)アンドゥハル
ソック
カルロビッチ
ガスケ
bye
[6]ベルディヒ
レジェンドがついにマスターズ第1シードで帰ってきました。昨年は夫人の出産立会いのため無念の欠場となった[1]フェデラーがマスターズでは2012パリ以来の(この時はけがでドロー後欠場発表なので出場に限定すると2012上海以来の)第1シードとして出場します。
現在フェデラーはイスタンブールで勝ち上がり中。今日シュワルツマンと準決勝の試合をして決勝ではクエバス×ディミトロフの勝者と対戦する予定です。
初戦のキリオスは勝ち上がってくれば危険です。現在エストリルでツアー初優勝に向けて突撃中。この勢いのまま体力切れとけががなければマドリードでもいい試合をするのではないでしょうか。
[16]イズナーは当たった時にものすごく脅威です。フェデラーが対イズナーで唯一一敗しているのがデ杯クレー。フェデラーもクレーでは最近絶対的とは言えないので要注意のマッチアップです。
ただしイズナーは初戦ですら負ける可能性を秘めているのでここはイズナー次第でしょう。
レースランキング2位、今大会出場選手で今最もロンドンに近い好調[6]ベルディヒですがタフドローとなりました。
初戦のガスケ、カルロビッチは実力者。クレーが特に得意なわけではないのですが初戦から気が抜けません。
そしてベスト8をかけた3回戦。[12]ツォンガはもちろんですがなんと残りの3人はすべてクレータイトル持ち。ロソル、ソック、そしてあのアンドゥハルです。
アンドゥハルはバルセロナで6試合を戦い、ミュンヘンでも1試合勝ちましたが2試合目で力尽き棄権負け。しかしテニスのポテンシャルはものすごく高い位置にあります。もし勝つようなことがあれば激戦必至でしょう。
QFですがベルディヒはBIG4以外の選手の中では比較的フェデラーに対して相性がよく(6勝13敗)、十分に勝てる相手だと思います。というか5~8シードの中では現状少し抜きんでた存在と言えそうなのでここはどうなるかわかりません。
②ナダル山
[3]ナダル
bye
予選勝者
ジョンソン
予選勝者
ボレリ
[15]アンダーソン
[10]ディミトロフ
ヤング
フォニーニ
ヒラルド
予選勝者
bye
[8]バブリンカ
連覇を狙いなんとしても再起したい[3]ナダルは最良のドローです。
ジョンソンはクレーコーターではないですし、トミッチもクレーシーズンに入って普通の選手に戻っています。また対抗シードの[15]アンダーソンはジュニア時代から親交もありナダルが得意な選手。8強までは非常に容易だと思います。
そろそろ巻き返したい[8]バブリンカも比較的いいブロックです。
ヤノヴィッツと予選勝者の初戦は普通に考えればバブリンカ一択ですが、最近の調子を見ると…
一つこの試合が今後を占う試合になりそうな予感です。
イスタンブールで復調気味の[10]ディミトロフは正念場。ローマ4強の360pの失効が迫っています。
フォニーニが一発当たらなければ今の実力なら3回戦までは行けそうです。バブリンカが来なければ8強は堅いかと思います。
モンテカルロではバブリンカがディミトロフに負けていますが、同じラウンドでの対戦。実現すれば注目です。
③錦織山
[7]フェレール
bye
クエバス
ロブレド
ベルダスコ
ガルシア=ロペス
ベズリー
[9]チリッチ
[14]バウティスタ=アグト
(WC)コピル
クエリー
予選勝者
ガルビス
ゴフィン
bye
[4]錦織圭
あのマドリードの再現を狙う[4]錦織圭はどうか?というところですが、QFまでは比較的いいドローではないかと思います。
初戦になるガルビスとゴフィンはランキング上では高いですが、マイアミで圧倒したゴフィン、絶不調から抜けられないガルビスとあってはどちらが上がってきてもそこまで危険ではない印象です。
ゴフィンは今日ミュンヘンでダブルヘッダーを強いられます。ミュンヘンの事情についてはあとで解説しますが、もし勝ち上がった場合日曜日が決勝となり、最遅でも火曜日に初戦を入れられてしまいます。
疲弊したゴフィンか絶不調のガルビス。テニスはどちらも不調でも好調でも必ず勝者と敗者が生まれます。こういった状況で得をするのは錦織です。シードの恩恵というものです。フレッシュな状態での初戦。けがが問題なければ大丈夫です。
3回戦も唯一クエリーが嫌ですがクレーなのでその危険度は半減。[14]バウティスタ=アグトも現在ミュンヘン参戦中でダブルヘッダーの可能性があります。こちらも初戦を火曜日までに入れられるので厳しいでしょう。
WCのコピルですがバブリンカを相手にビッグサーブを展開しいい試合をしたとこがある若手の選手ですが、クレーでは勝率が落ちているのでそこまで脅威ではないです。
結果的に8強までは致命的に脅威を感じる選手はいません。それこそアンドゥハルの方がよっぽど脅威でした。
あくまで錦織の体調がいいと仮定すれば8強までは問題なく勝ち上がれるのではと思います。
一方[7]フェレールは嫌がらせでも受けたかのようにクレーコーターとの戦いが続きます。
シードの[9]チリッチを除きクエバス、ロブレド、ベルダスコ、ガルシア=ロペス、ベズリーとクレーコーターが揃っています(ベズリーをクレーコーターにするかは議論の余地がありますが)。
このブロックは一つの勝敗予想が困難なくらい競っています。
本来であればクレーコーター同士の試合はフェレールの思うつぼなのですが、バルセロナでのあのアンドゥハル戦での崩れ方を見る限り状態がいいとはいえません。アンドゥハルもいいプレーをしていたのは確かですが、自分でだめにしてしまった試合でもあります。
またスタミナには自信があるとはいえ序盤で2時間越えの試合で削られるのも痛いです。ラリーが続く試合になってしまうのでQFにたどり着くころに疲弊している可能性もあります。
結果的に錦織が4強を狙うには悪くはないドローです。特別いいわけではありませんが、危険な選手はフェレールが順当に勝ち上がってきた時くらいです。
④マレー山
[5]ラオニッチ
bye
(WC)アルマグロ
マイヤー
ベッカー
[11]ロペス
[13]モンフィス
トロイツキ
クリザン
(WC)グラノジェルス
予選勝者
コールシュライバー
[2]マレー
ミュンヘンでダブルヘッダーを強いられる[2]マレーですが、こういった面から見ても勝ち上がりは不透明です。
このブロックの最注目選手はモンテカルロ4強、一発のある[13]モンフィスです。
しかしその後けがで一旦離脱しており復帰戦となっています。ただ当たればフェデラーも倒せる実力。クレーのマレーであれば倒すことは十分に考えられますが今回はどうか。
このブロックにはクリザン、ミュンヘンで残っているコールシュライバーもいて簡単ではないでしょう。
復帰戦の[5]ラオニッチは初戦に警戒。モナコ、アルマグロともに典型的クレーコーター。ここをサーブで押し切れるようならそのあとは順調に勝ち上がれるでしょう。
ラオニッチはマレーと相性がよく、ラオニッチにとってはそのあたりは比較的いいドローと言えそうで、体調が万全であればマレーよりも上がってくる確率が高そうです。
総評
トップ2シードが現在イスタンブール、ミュンヘンで勝ち残り中。移動も考えるとそのあと5連勝するビジョンは見えず本命不在です。
「strong 9」の8人がトップ8シードで6試合になるノーシード、下位シード組はSFくらいまでは波乱は起せてもそこで力尽きる可能性が高く、やはり連戦慣れしている上位8人が優勝候補でしょう。
しかしその8人はそれぞれ長所、短所を抱えています。
フェデラー…間違いなく本命の一人だがここのところクレーで勝てない、イスタンブールからの移動
マレー…今シーズンは好調、クレー苦手、ミュンヘンからの移動、今日のダブル(トリプル)ヘッダー
ナダル…ドローは良好、クレーキングながら不調で勝てていない
錦織…テニスは万全、股関節の違和感が心配
ラオニッチ…クレーテニスにはフィットしつつあるが、けがの復帰戦
ベルディヒ…絶好調だが対トップ10以下への内弁慶
フェレール…得意のクレーサーフェスだが厳しいドローと本人の不調
バブリンカ…上限は高いが、下限も低い
正直今回誰か一人に優勝予想を張ってくださいと言われたら泣いてなんとかインチキできないのか聞くと思います。それくらい混戦です。
ただ海外には錦織股関節の違和感という情報はあまり出回ってい感じを受けるので結構な人が今回は錦織にチャンスがあるという趣旨の発言をしているそうです。
前回も書きましたが錦織は「痛みとけがの違いが分かってきた」と昨年話しており、何より一部のメディアでしか報道されなかったうえにこの発言が本人がどこから発したのかというのは「」の表現しかなく明確になっていません。
今は必要以上に過敏になる必要はないと思います。確認しますがバルセロナではMTOなしです。
そしてプールに飛び込んだ時の歩き方の違和感を指摘している人がいますが、錦織の最近の足取りってポイント間とかも結構重くてけがしているように見えますよ。だらーっと歩く選手ですし。
全豪の頃ケガばっかり心配していた私は「こんなに重い歩き方で実は足関係でけがをしているのでは」と思っていた時期がありました。
しかし結果はご存じの通りです。主だったけがはなくここまで来ました。アカプルコあたりからそういうのを疑わなくなりました。
人間「これはけがしている人の歩き方です」と思って見ると不思議とそう見えてしまいます。心理学的に言うとバーナム効果というやつですね。ちょっとここでは意味違いますが。
以上の観点から思い切った予想を張ります。
優勝 錦織圭
準優勝 ナダル
ベスト4 フェデラー ラオニッチ
ええ思い切りました。このような主要大会で優勝予想を張るのは初めてです。
なんでナダルが決勝まで勝てるの?と聞かれそうですがフェデラーとナダルは明確な相性があるので…
ベルディヒが奇跡を起こして決勝というのも考えました。しかしQFで内弁慶を発揮してフェデラーが上がってナダルがフェデラーに勝って息を吹き返す。
一方の錦織はフェレールラオニッチといういつものメンバーに何とか勝って、昨年の決勝再現を希望します。
無理じゃないと思うんです今回。体調万全なら5勝出来ると思います。
ローマは飛ばしてでもここで1000取れればナダルが下に行くことが確定しますし本気で全仏第4シードが狙えます。
さて今週の大会ですが、エストリルは荒れに荒れてキリオスが初優勝に向けて視界が開けてきました。
イスタンブールはフェデラー、ディミトロフ、クエバスが残りました。誰が優勝するでしょうか。
そして金曜のミュンヘンは一日中雨。すべてのQFの試合がキャンセルされました。
こういった場合は確実に日曜日にすべての試合を消化できるようにダブルヘッダーになります。
この結果マレー、バウティスタ=アグト、ゴフィンらが今日QFとSFのダブルヘッダー、さらにマレーはダブルスでも勝ち残っておりトリプルヘッダーになっています。
しかもミュンヘンの土曜日の予報は曇りに修正されたものの、日曜日は依然雨が取れません…
月曜日まで引き延ばすかは大会によるのですが、翌週がマドリードということを考えると両方準優勝扱いで大会を終えるといった可能性もあります。一つこのミュンヘンは天候も含めて注目です。
高まってきました。すべてを追えるかはわかりませんが一つの大きな集大成になる大会になりそうです。
大会の情報は基本的にランキング試算、錦織戦レビューなどを通して毎日更新予定です。GWで助かったありがとう。それでは。