ATPランキング試算(2015マドリードマスターズ後)
こんにちは。
日曜日に行われた各大会の決勝について振り返っておきましょう。
まずはエストリル。順調に勝ち上がりツアー初優勝を狙っていたキリオスでしたがガスケに敗戦。このカード、昨年ウィンブルドンで激突した因縁のカードでもありました。
ウィンブルドン2回戦ではキリオスが勝利。のちにナダルに勝って8強に進むこの大会のキーになったのがこの試合でした。
ガスケは9本のマッチポイントを握るなど勝ちゲームに近い試合でしたが落としてしまいフルセット逆転負けで敗戦。悔しいできごとになってしまいましたが今回はしっかりとリベンジに成功。キリオスはラオニッチ以来のほぼ20歳ちょうどでの優勝がかかっていただけに残念でした。
少しここで触れておきたいのですが若い選手のツアー優勝についてです。
最近様々な若手選手、錦織ラオニッチディミトロフの3人ではなく真の意味での「Young Guns」の成長が著しいですがそれでも低い水準なのは間違いありません。
錦織が優勝したときは18歳1か月。いかにスピード記録だったかが分かります。
http://www.tennis28.com/titles/teenager_datesort.html
こちらのサイトですべての10代優勝者がまとめられています。
特徴的なのは08年以降10代優勝はないということ。今シーズン序盤戦にはキリオスにも期待がかかっていましたが不達成。コリッチ、コキナキスといった選手に次の望みが託されています。
現在の世代に置き換えると
1994年世代(20~21)プイユ
1995年世代(19~20)キリオス
1996年世代(18~19)コリッチ、チュン、コキナキス、イメール
1997年世代(17~18)ズベレフ、ルブレフ
こんな感じです。ティエム、ベズリーは93年世代です。
つまりやっと名前が出てきたというだけで事実だけを辿ればまだ不作の時代だということには変わりありません。
ATPが以前サンプラス、アガシに対抗できるニューボールズ(フェデラー、サフィン、ヒューイットの世代)を売り出していたのと同じようにビッグ4に対して打ち勝つ「Young Guns」が売り出されていますが、その真意はそういった新しいスターが出てきてほしいという気持ちであって、深刻な人材不足の時期でもあるのです。
そしてもう一つ奇妙なデータがあります。05年以降の10代優勝者はナダル、マレー、ジョコビッチ、モンフィス、ガスケ、デルポトロ、チリッチ、そして錦織。
この8人のうち5人がGSウィナーです。
…もう言いたいことはわかりますね。錦織が6人目になる可能性は十分にあるということです。
10代優勝とGS優勝にはある程度の相関関係があります。もちろん100%そうではないところがミソですが、早くからツアーで勝ちトップ選手と相対する経験を持っているというのは大舞台において大きなアドバンテージがあるということです。また世代の先頭を進んでいるということなので自然と自信も身に付きます。
ただ最近の選手はかわいそうです。衰えが見えるとはいえBIG4に勝っていかないといけない世代です。加えてスポーツ科学の発展で選手寿命は伸び、30代になってからいきなりツアーで勝ちだすエストレラ=ブルゴスのような例も出てきました。
以前は25歳ピーク説なんていう論調もあったのですが、それを今の定規にあてはめるのは間違いです。
しかしチリッチが10代最後の優勝者というのはテニス界にとっても残念なことです(チリッチがどうとかいうわけではなく、記録更新の観点で)。そろそろ10代優勝者が待たれているのは間違いないでしょう。
イスタンブールではフェデラーがクエバスをストレートで退けましたが、ここのところのフェデラーのよくないポイントであるBP獲得率や平凡なミスも目立ち、微妙な状態でマドリードへ向かいます。
しかし招待選手、大会の目玉選手として優勝以外は許されない状況でのタイトル獲得は見事です。クレーでは250とはいえあの09全仏以来6年ぶりに優勝。弾みがつかないわけはありません。
フェデラーのポイントは序盤戦です。初戦にはあのキリオスとの対戦の可能性もあります。序盤で大きくミスしなければ第1シードのこの大会、一気に頂点もあり得ます。
そしてミュンヘンの決勝は雨に邪魔されてしまいました。
開始時間が相当遅れた後雨が止み、コート整備などをして試合開始したもののわずか5ゲーム、オールキープしたところで再び雨が降り、整地しても日没近くになることから今日に順延となりました。
ちなみに今日も雨交じりの予報ですが…果たしてどうなるのか。
そしてコールシュライバーはマドリード1回戦からの登場となります。しかも勝つとまたマレーです。皮肉もいいところです。
基本的には移動を伴う場合は試合間隔を1日空けることがルールとして決められているようなので、月曜日決勝のコールシュライバーは水曜日スタートになるのですが、コールシュライバーは優勝まで6試合いるので遅くとも火曜日スタートにしないといけない、あれ?
ダブルヘッダーにするのか移動後即試合にするのかわかりませんが、両大会の判断が注目されます。
マドリードを1日ずつ遅らせるわけにもいきません。すでにチケットは買われていますし日曜日決勝のペースで進行していきます。
というかマレーも結構ひどい状況なんですよね。土曜日にトリプルヘッダーされたあげく日曜日は試合開始をじらされて水入り。今日試合をして(まず天候のせいでできるのか?)水曜日にはマドリード初戦です。
ツアー1大会を全部10日制にできないんですかねえ?まあ無理なのは承知なのですが。
というわけで珍しくミュンヘンのポイントは決勝進出まで加算された状態で先ほど今日付けのランキングが発表されました。
ご覧の通り大きな変動はありません。しかし昨年のマドリードはジョコビッチ欠場、フェデラー欠場により優勝ナダル、準優勝錦織となっていて、ポイントにも大きく反映されています。失効後のポイントはこちらです。
ご覧ください。まずはナダルでしょう。優勝の1000pを失って7位後退です。
繰り返しますがナダルが6位以下になると10年ぶりの出来事になります。
そして失効の薄かったラオニッチ、ベルディヒがそれぞれ上がっています。
しかし錦織を除き残りのナダル、ラオニッチ、ベルディヒにはある程度の失効があるのでローマまでの失効=全仏シードで考えると以前紹介したようにほぼ横一線です。
錦織はトップ5キープが27週連続となっており、これが止まるかが一つの焦点です。
「save 1500」プロジェクトでも説明した通りここさえ切り抜ければ全米までの5位以上はほぼ確実です。伸ばせられるかどうかひとつの大きな山場を迎えています。
また昨年4強のバウティスタ=アグトも順位を落とす形です。
トップ10情報の整理です。
1位ジョコビッチ、2位フェデラー、3位マレーはいかなる成績でも順位キープです。マレーは全仏4強の720pが大きく、錦織ベルディヒラオニッチあたりには一気に詰められる可能性があります。気は抜けません。
4~8位は大混戦。ラオニッチ、ベルディヒは初の4位がかかっています。ベルディヒの最高5位は意外ですね。
9位10位は競っています。しばらく大きな失効はないのでトップ10キープは当面続くでしょう。
細かい条件については日を追って追加していきましょう。
ところで前記事のコメントにあったので大手ブックメーカーのマドリード優勝オッズを調べてみました。するとすごい数字が出ました。
参考サイト・http://www.oddschecker.com/tennis/atp-madrid/mutua-madrid-open/winner
ナダル・1.5~2倍
錦織・2.75~4.5倍
フェデラー・4~5倍
マレー・6.5~12倍
フェレール・9~15倍
以下続く…
なんと低いところでは2.75倍、高いところでも4.5倍という高い支持率=優勝予想となっています。ナダルに次いで2番目に勝つ可能性が高いとブックメーカーの平均は予想しています。
優勝予想でこの数字は見たことがありません(錦織のマスターズで)。いかに今大会の期待が高いかが示されています。明確にナダルに対抗できる選手だということです。
でもドロー解説の時に書いたようにいくらお金があっても誰にも賭けたくないですね。それくらい混戦と見ています。
勝負はやってみないとわかりません。今回ほどこの言葉が重い大会もないでしょう。
大会を通して試算もやっていく予定です。それでは。