two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

10年ぶりの「2度目」なるか、バブリンカ再び頂点へ ジョコビッチは激闘

こんにちは。

ジョコビッチ、バブリンカの決勝進出が決まった準決勝でしたが、どちらも見応えのある試合でした。

まずはバブリンカ×ツォンガ。第3セットの途中から見ましたが第1セット誰にも止められない勢いで出たバブリンカ。しかし第2セットはツォンガが踏ん張ってタイブレークでいいプレーをして取り1セットオールになりました。

第3セットはツォンガの猛攻が続きます。第2セットを取り勢いに乗るツォンガは強力なサーブとストロークでバブリンカから何度もブレークチャンスを作ります。

しかしバブリンカがここで力を見せます。1stサーブに苦しむもののセカンドサーブに入ってラリー戦で強力なストロークを展開。ベースラインの後ろからでも一振りで決めることができるバックハンドを軸に土壇場で粘ります。

結局決めきれずタイブレークに突入するとバブリンカが終盤で4ポイント連取して第3セットを取ります。

気落ちしたツォンガから第4セットの冒頭ブレークに成功しこの虎の子のリードを守ったバブリンカがそのままキープを続け3-1で勝利。2014年全豪以来のGS決勝進出を決めました。

ツォンガも大健闘でした。惜しかったのは第3セットでしょう。セカンドサーブのリターンも多かった中BPでのリターンミスが痛かった。どこかで取れていれば結果も違ったでしょう。

さてバブリンカのこの決勝進出は画期的な出来事です。

フェデラー22、ナダル19、ジョコビッチ16、マレー8。05ウィンブルドンからここ10年、40大会でGS決勝に進んだ回数。BIG4は65回です。いかに凄い数字かは明らかですが、残りの選手の登場回数を見ると、ロディック3、ソダーリン2、アガシ1、バグダディス1、ゴンザレス1、ツォンガ1、ベルディヒ1、フェレール1、チリッチ、錦織圭1。

そして今回バブリンカが2になりました。2回以上GS決勝に進めたのはロディック、ソダーリンでロディックは世代が前の選手。現在の現役世代では二人目、そして異なる2大会で決勝以上に進んだのは初めてです。

ソダーリン、ロディックはすべて準優勝なのでバブリンカにはBIG4以外では10年以上さかのぼる、GS2勝がかかっています(これより前は01全米→02ウィンブルドンのヒューイット)。

バブリンカもGSを取った後の成績低迷で「一発屋ではないのか?」といった声もありましたが昨年のファイナル、デ杯決勝で復活。以降の成績はやや不安定ながらも素晴らしい成績です。もう一発屋と呼ぶ人はいないでしょう。

最近のテニス界にはこういった「びっくり玉手箱」的な選手がいなかったのでいいですね。

局所的には数えきれないほど一発があるという選手はいましたが、GSを取れる領域まで行くとなるとサフィン以来かもしれません。まあサフィンとバブリンカは爆発の意味合いが少し違う気はしますが。サフィンは本当にメンタルというか、気が向いたときに爆発する選手だったので。話は変わりますがそんなサフィンが来るIPTLが楽しみです。

一方ジョコビッチとマレーの準決勝は思わぬ大熱戦になりました。

2012年ごろは互角の勝負を演じることが多かった両者ですが、2013ウィンブルドンジョコビッチに勝って以来マレーは7連敗中。今回もナダルを完璧に破ったジョコビッチが有利。試合序盤はその力を見せ、6-3、6-3。主要スタッツでもすべてでジョコビッチがマレーを上回り決勝進出は決まったかに見えました。

ところが第3セット、なかなかブレークできないジョコビッチが少しミスを出し始めます。

といってもほんの少しです。ただこの日のマレーにとってその「少し」は試合を変えるには十分でした。

第3セットで見せていたマレーのプレーははっきり言えば前時代のクレーのプレーです。下がって守りながらミスを待ちつつ、行ける時だけ攻撃に転じる。この公式ハイライト動画が分かりやすいですが、ナダル戦の時と同様にジョコビッチは前で、マレーはナダルと同じように後ろに下がっています。

ではナダル戦と同じようになるのでは?そう言いたいところですが下がって取るクレーのスタイルの真骨頂がここから見えてきます。マレーはコートカバー能力でジョコビッチのウィナー級のボールをすべてつぶし、結果的にアウトプットがジョコビッチのミスになるような確率を上げることに成功しました。

まるでナダルがやっているかのような内容でした。貪欲に2セットダウンからでもボールを拾い続けるマレーにジョコビッチもフラストレーションがたまります。

お互いがミスをするたびに自分に活を入れ吠える展開。見ている方も高ぶるような激しい打ち合い。高いクオリティでの緩急、球速、守備、攻撃…これを実行しながら彼らはほとんどイージーミスを犯しません。10球以上のラリーになることもしばしば。

第3セット、第4セットと勝負どころの第11ゲームで15-40としてブレークに成功したマレーが連取。TSD勝ちの気配すら見える展開でした。

しかし、結果は6-1。マレーは敗れました。

どうしてなのか、その答えを試合を見ていた私は出すことができませんでした。

こんなことはめったにありません。まるでジョコビッチが見えない何かを操っているかのように勝ってしまい理由を探ることができませんでした。

いつものジョコビッチのファイナルセットでの突き放し勝利です。ファイナル錦織戦、全豪マレー戦、マイアミマレー戦…昨年終盤に勝ちっぱなし状態になってから何度も見てきた光景です。

もちろんミスは減ったと思うのですが、そこまで試合を変えるほどだったかというとそうでもないのです。マレーも守備はずっと続いていました(終盤戦はきつそうでしたが)。何が変わったのかわからない。そんな中またしてもジョコビッチはこのマレー相手に6-1をやってしまいました。

マレーは悪かったのか?というとイーブンで戦えなかった第1,2セットを責めるくらいしか思いつきません。ファイナルセットは本当にこんなスコアになる内容ではなかったのに…

バブリンカも強いですが、反対の山なら決勝に行っていてもおかしくないと思いました。今シーズンでも1、2を争うハイレベルな試合でした。BIG4マレー、完全復活を決定づける大会、試合だったと思います。お疲れ様でした。

さて決勝です。マレー戦は第4セット3-3で日没(+雨の予報により)順延となり昨日も試合をしていました。しかもファイナルまで行ったので1時間近く試合をしているのでタイトな3連戦になってしまいました。

ナダル戦も2時間とはいえクオリティの高い試合をしているのでかなり疲れていると思います。やや股関節付近を気にするシーンもあったので疲れもたまってきていると思います。

加えてバブリンカにはなんといっても調子のいい時の期待、ジョコビッチへの相性があります。

17勝3敗とジョコビッチ圧倒的リードのように見えますが、現在GSでは4試合連続フルセット中。GSのバブリンカはここの所好調ですが、ジョコビッチにも勝てる可能性を十分に持っているのです。

やってくれるのではないか。今この状況なら世界の誰よりもジョコビッチに勝てる可能性がある、というのは誇張でしょうか。

バブリンカの攻撃的なスタイルもマレーとは全く別。対応に苦しみ序盤リードされる展開を作られるとジョコビッチとしても嫌でしょう。

どちらが勝っても大きな意味のある決勝は22時開始です。楽しみです。