two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

注文の多い復帰戦、何とか次につなげる(2015ワシントン2R)

8/4 現地22:00~(日本時間翌日11:00~)

ATP500 Washington Citi Open

2R

[2]Kei Nishikori 6(6)-7 6-1 6-4 James Duckworth

1か月近い実戦離れ。ボレリ戦の終盤がなんとかゲームマネージメントをするのに必死だったことを考えると、万全の体調で臨んだ試合はハレのヤノヴィッツ戦までさかのぼったと言えるかもしれません。

そんな中でゲーム内容は実戦離れを感じさせる勝負勘の鈍りを露呈してしまった試合となってしまいました。

細かいことを上げてしまうといくらでも出てきますが、正直試合全体としてはダックワースが錦織を大きく脅かすシーンというのは実はわずかしかなかったように思います。

第1セットのスタッツです。

"Duckworth deserves it," says @nicklester. Here are the first set stats @CitiOpen. http://t.co/kRsZ9udpkC #ATP pic.twitter.com/28IGyHvuvJ— TennisTV (@TennisTV) 2015, 8月 5

これを見るとわかりますが、ほとんどのスタッツで錦織がダックワースを上回っています。

どうしてこの内容で1stセットを落としてしまったのか謎です。

テニスはスタッツで上回ることが正義ではないということの逆説的な証明にもなっていますが、この第1セット、私の中では錦織は1stセットを取れる場面を3つ逃してしまったと思っています。

・謎の第5ゲーム

第1ゲームでブレークに成功した後第2ゲームにまだ不安定な中ブレークバック。ここもいけなかったですが、第3ゲームに40-0からブレークに成功し次もキープして3-1。さらに第5ゲームでは複数回のブレークチャンスを握ります。

しかし10分以上かかったこのゲームを取り切れず5ゲームを終わって30分を超える試合時間に。

このゲームで問題だったのはアドサイドの対処です。ここではリターンで効果的な攻めを作ることができず、エースを含めサービスポイントを大量に与え、結果第1セットは2/10という低いBP獲得率になりました。

ダックワースは1stの入りが悪い時間帯もあり攻めやすかったとは思うのですが、ここで精度を欠いてしまい4-1にできず、ダックワースを勢いづかせてしまいます。

・第10ゲームのDF

15-40としてから1本をしっかり止め、もう1本止めれば…というところでDF。

第1セットはお互い3本のDFでしたがこの1本は致命的でした。

タイブレークのDF

オープニングのロングラリーを取りそのあとのサーブ2本も取って3-0。これで今度こそ取れるという場面でタイブレ4-2からDFを犯しこれで4-3とミニブレーク数(相手のサーブを破ったポイント数)で並ばせてしまい、そのあとの劣勢な環境を作ってしまいました。3本中2本が痛い場面で出てしまったことが第1セットの敗因につながっています。

さて勝負どころの場面でのミスもさることながら、錦織が取っていた戦術面にも私は疑問を抱いています。

・クロスラリーの多様

いつかの前の試合でも書いた気がしますが昨日もクロスラリーが多かったです。公式配信映像でもそれを指摘するようなスタッツが出ていたのですが、tennistvのツイッターに上がっていないので画像拝借ができませんでした、残念…(実際錦織よりダックワースの方がストレートに回している確率が高かったのです)

そしてこのクロスラリーで問題だったのは謎の回り込みフォア多様です。

回り込みフォアは当然バックハンドで打つべきところをフォアで打つわけですから、普通よりフォア側に2mくらいスペースを作ります。その切り返しを狙われるパターンがあるので、本来回り込みフォアは自分が強く打ち、相手に満足な返球をさせない、つまり攻めのタイミングで使うべきショットです。

ところが昨日の錦織はただ漫然とラリーを続けるために回り込みフォアを打ち、しかもストレートにDTLを打つわけでもなくループボールをダックワースのバックに配球し続けました。

たまにストレートに打ったかといえばネットにかけることも多く、相手の意識をバック側に釘付けすることの狙いもうまくいっていなかったため、何をしているのかわからない状況になりました。

そしてダックワースにバックハンドで多めに配球してもスライスできっちり粘られるため全く効果がなく、錦織は得点パターンを失った形になりました。

なぜバックハンドでクロスラリーをしなかったのか、もっとほかの展開の仕方を使わなかったのか、疑問でした。

・ローコストという名目の無駄な試合時間消費

昨日の試合は2時間20分もかかってしまいました。今日はお休みとはいえ、このあとは決勝まで4連戦です、もっと言えばカナダ、シンシナティ、全米に向けて体力は残しておいて損なことは一つもありません。

昨日の錦織はすべてに100%ではありませんでした。それでいいと思います。全米の前哨戦のマスターズのそのまた前哨戦の初戦なんですから別に無理をする必要はどこにもありません。BPの時はキレがありましたし時折見せるディフェンス力はトップ10選手のそれでした。

ただ、それならば第1セット第5ゲームしかりその後の第1セットしかりセットを取るために最も必要な選択をせずに結果的に1stセットを落とすことになってしまったのはどうなんでしょうか。

私は常々テニスは6-4ペースでいいと言っています。相手と自分、その間で60%を積み重ねれば決して負けることはないと言っています。

錦織の場合確かに60%にはなっていますが、その確率の「ゆらぎ」みたいなものが大きいためにほころびができやすい状況になっていると思います。

昔からある傾向なのですが、固まって1stサーブが入らなくなるのがその一つです。第10ゲームはまさにそれでした。

1ブレークされて2ブレークしてセットを取るのとオールキープして1ブレークしてセットを取るのなら明らかに後者の方が楽です。疲れません。

もちろんまだ経験段階なのでしょうが、早くこういったゲームマネージメントを身につけてほしいと思います。

課題はたくさんあると思いますが前哨戦です。とにかく決めた目標に向かって進んでくれればいいと思いますし、強制加算大会じゃないし最悪序盤での敗退もいいと思っていたのですが、そうも思えなくなってきました。カナダをやや捨てる覚悟で優勝の500pを狙ってもいいのでは、そんな状況になってきたからです。

マレーが敗れました。相手はガバシビリ、乗ると怖い選手ですがファイナルセットタイブレークで接戦をものにしました。

しかしマレーの評価がこれで落ちるわけではありません。評価を落として騙されたのがロッテルダム、ドバイでのできごとでした。あれでIWマイアミの予想で完全軽視になってしまったのは私としても大反省している事項の一つです。

残っている選手でトップシードなのは錦織です。あと4日間、優勝を前面に期待される状況で大会は進んでいきます。もちろん優勝を狙ってほしいと思います。他にはアンダーソンやカルロビッチ、トロイツキも敗れるなどバルセロナ同様の気配も出てきています。

今日の相手はマイヤー。日本時間の今朝ロラとフルセット。クドラが負けたのも衝撃でしたがロラ相手に苦しいフルセットということでマイヤーもそこまでではという印象ですし、いろいろあってマイヤーは錦織戦までに18時間のインターバルしかありません。

まだ通算6セットで一度も落としてないですし、ここは何とか乗り切ってそこからはボーナスステージと思って進んでほしいところです。