要注意!!全米までのややこしいランキングシステムについて
こんばんは。
2本以上一日に書くのってこんなに体力いったっけ…
まあグロス戦無理に起きてリズム崩しながら見てるのが問題なんでしょうね…
さて問題のランキングシステムについてです。
といっても実はこの状況を見越して昨年末の閑話休題シリーズでしっかり説明していました。この記事を覚えていますでしょうか?
オフシリーズ・閑話球題 ②ATPツアー、ランキングの仕組みその2
この記事を読んでいただければ実は説明はすべて書いてあるのですが、かいつまんで説明すると
・上位選手のランキングポイントは基本的には4(GS)-8(MS)-6(その他)制で加算される
・2014年から2015年、芝シーズン増加によりカレンダーが大幅変更
・そのあおりを受けてマスターズの開催週がカナダ以降すべて1週間ずれている
・ランキングポイントはきっちり52週間で失効する(同名大会が開かれるまでではない)ため、マスターズが7大会しか加算されなくなる「空白の1週間」が存在する
・その結果該当の週は4-8-6制から4-7-7制に変わる
ということです。そしてその最初の対象になっているのが今週、week31です。
ここだけ抜き出すと
2014 ワシントン/キッツビュール カナダMS シンシナティMS ウィンストン―セーラム
2015 ハンブルグ/2大会の250 ワシントン/キッツビュール カナダMS シンシナティMS
week30 week31 week32 week33
となっています。つまり今週失効するのはカナダMSで、義務大会が一つ失効するためにカナダMSの代わりに入るのはその他500以下の大会の7番目の大会(MS免除を受けている選手はさらに低いポイント順の大会)になります。
したがって非常にめんどくさいことが起きているのです。
まずは月曜に発表されたweek30後のランキングです。
ここから錦織のワシントンの加算ポイントを計算すると、現在のその他大会の最低=押し出されるポイントは180pなので、ワシントンで準優勝しても120pしか加点できず、一見するとワウリンカに届かないように見えます。
ところが現実的にはweek31が失効した後の基礎点はこうなっています。
ご覧ください。青で示した選手については先週よりもポイントが上がっています。もちろん彼らは何もしていません。
例えば錦織は
カナダ強制0pが失効→500、500、300、250、250、180に次ぐブリスベン90pが入る=先週より90p上昇となります。
カナダで0pが入った選手や500以下の成績がいい選手は軒並み先週比同じかよくなっています。
一方赤字で示した選手、フェデラーとツォンガは昨年の決勝進出選手ですが、彼らは今週大会に出ていないので勝手にポイントが減って今週を終えます。
黄字で示したディミトロフ、ロペスはワシントンに出ていますがカナダ4強360pの失効が痛くマイナスは確定的なスタートです(実際二人とも早期敗退のため相当ランク落とすことが確定)。
このように普通であれば翌年の52週間後に同名の大会が行われるので失効カバーのチャンスができることがほとんどなのですが、今年の終盤戦は全く様相が違います。
錦織もクアラルンプール→楽天の週が地味に厳しいです。クアラルンプールは勝手にロスト、楽天もクアラルンプールに出ないことが濃厚なのでほぼ勝手にロストです。ここは頭に入れておく必要があります。
さて、問題の4位争いについてですが
ワウリンカ=5790-カナダ90+マルセイユ45=5745
が今週の確定点になっています。
一方の錦織は
錦織=5525-カナダ0+ブリスベン90=5615
になります。
ところがワシントンですでに180p加算されており、ブリスベンが再度押し出された形になっており、実際は
錦織=5525-カナダ0+ワシントン???=????
となります。ワシントンの点数が純粋に加算されている、と置き換えられるのです。
そうするとあとは簡単な算数の問題で、現在の錦織のポイントは5705p。次に勝てば300pなので5825pとなり、ワウリンカを抜いて4位になるのです。
シードは基本的には大会の開かれる前の月曜日のランキングなので、これはシンシナティのドローに採用されます。
トロントはフェデラーが連戦を避けるための欠場を発表しており、第4シードを確保し、すでにドローが出ています。
それだけでなく今日のATP500での勝利でシンシナティの第4シードが確保されるのです。
マスターズでの2大会連続第4シードは史上初です。この偉業に向けて、そしてひいてはこの前哨戦でワウリンカを上回り、全米を4位で迎えることが後半戦錦織巻き返しの強い条件になってきます。
そのほかの結果も含めた現在の暫定ランキングはこちらです。
ご覧の通り、すでにワウリンカと錦織はかなり接近しています。次勝つと4位です。
また下の方ではクレー2連勝でティエムが20位を切ってきました。ここからハードへの切り替えが正念場ですが、果たしてうまく乗り切れるでしょうか。
イズナーもトップ10だった2013年前半以来12位へのチャンスがあります。格下同胞のジョンソンを料理できるか。シンシナティ12シードもかかっています。
今日のキッツビュール決勝でコールシュライバーが勝つと29位、トップ30復帰です。
さてこの後ですが、さらに話がややこしくなります。全米シードに向けての基礎点についてですが、これは熾烈な争いが2か所あります。2~3シードと4~5シード、そして8~9シードです。
まずカナダ終了時の基礎点です。カナダを強制0pとして加点し、ここに何点入るかで変わります。
状況としては4-7-7制で、シンシナティのポイントがない状態です。
この週ではワウリンカのシンシナティ180pが失効し、さらに差は開きます。仮に今日錦織が負けても来週ワウリンカと同成績以上で普通に4位返り咲きです。
またラオニッチはいい成績を挙げられないとシモンにかわされ今シーズン初のトップ10交代があるかもしれません。
8シード争いはフェレール有利に見えてフェレール不利です。フェレールはウィンブルドンからのけがが長引き、欠場が発表されています。ナダルチリッチは勝てば勝つだけ追いつきます。
これがシンシナティ終了後、すなわち全米シード確定週になるとこうなります。
なぜこんなことが起きるのか?シンシナティが終わると4-7-7制からもとの4-8-6制に戻ります。
するとワウリンカは7大会目のマルセイユ45pが押し出され、錦織はハレorワシントンの180pが押し出されます。
これによって差は詰まってしまいます。しかしわずか5p錦織がリードしています。
もちろんワシントンで勝っていけばより貯金はできますが、実は北米MS2連戦でワウリンカと同ポイントを稼げば第4シード確定ということが言えます(もちろんベルディヒ大爆発は除く)。
なのでカナダ、シンシナティはワウリンカにも注目です。上限も下限も大きい選手。ふたを開けないとわかりませんが、初のGS第4シードに向けて唯一にして最大のターゲットになります。
また第8シード争いはし烈。フェレールがシンシナティに出れるかで大きく分かれそうですが、チリッチは今日勝つと8シード以内が見えてくる大事なゲームです。
ナダルも2大会でこのポイント差なら普通なら捉えられるポイントです。
そして2~3シードも注目。フェデラーはカナダ欠場ですのでマレーはカナダでどこまで行けるか。2013ウィンブルドン以来のGS第2シードも割と圏内に見えてきています。本来ワシントンで詰めておきたかったところですが…
上位選手のこれらの争いにも注目しながら北米MS2連戦を楽しむと面白そうです。