two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

いろいろ小ネタ集(2015年8月編)

こんにちは。

なんかどうしても一本の記事にするには足りないけどでも触れておきたい内容みたいなのが溜まっているなあと思ったので、今日は小ネタ集です。最近のテニス界を見ていて思ったことなどもろもろです。

ナダルの「その後」

今シーズン不調が続いているナダル。2014年全仏で優勝して以降は100位以下の選手にも負けることもしばしば。2014ハレ以降約1年間の成績は49勝19敗。マスターズ決勝1回、4強1回のみ。GSに至っては4強以上なし。こんなナダルですが実は対戦した選手のその後、興味深いデータが出ています。

ナダルに勝った選手のその後(2014全仏以降)

2014ハレ2R     ブラウン→QF(3R)でコールシュライバーに敗戦

2014全英4R     キリオス→QF(5R)でラオニッチに敗戦

2014北京QF     クリザン→SFでベルディヒに敗戦

2014上海2R     ロペス→SFでシモンに敗戦

2014バーゼルQF   コリッチ→SFでゴフィンに敗戦

2015ドーハ1R    ベレール→2Rでドディグに敗戦

2015全豪QF     ベルディヒ→SFでマレーに敗戦

2015リオSF     フォニーニ→決勝でフェレールに敗戦

2015IWQF     ラオニッチ→SFでフェデラーに敗戦

2015マイアミ3R   ベルダスコ→4Rでモナコに敗戦

2015モンテカルロSF ジョコビッチ→優勝、その次のローマも優勝

2015バルセロナ3R  フォニーニ→QF(4R)でアンドゥハルに敗戦

2015マドリード決勝  マレー優勝、次大会のローマは勝ち上がるも疲労で棄権

2015ローマQF    ワウリンカ→SFでフェデラーに敗戦

2015全仏QF     ジョコビッチ→決勝でワウリンカに敗戦

2015クイーンズ1R  ドルゴポロフ→2Rでガルシア=ロペスに敗戦

2015全英2R     ブラウン→3Rでトロイツキに敗戦

2015カナダQF    錦織→SFでマレーに敗戦

2015シンシナティ3R ロペス→QF(4R)でフェデラーに敗戦

と、太字で囲った試合はその次の試合で負けています。

この難局を抜けたのはジョコビッチが2回、マレーが1回、ロペスが1回です。

といっても実はジョコビッチが全仏取れなかった理由はこのナダル戦で上げないといけなかったからということが言われており(次のマレー戦も影響しているとは思います)、マレーも勝っているもののローマで連戦の疲れからか(これはあまりナダル関係ないか?)棄権しており、ロペスもSFのシモン戦では手負いの状態になっています。

実はそう考えるとナダルに勝った後順調に勝っているのは2015モンテカルロジョコビッチのみと言えるかもしれません。

やはりナダル、BIG4の一角だけあって簡単には負けない、ということでしょうか…?

全米ではナダルがどのドロー位置に入るか、少し違った意味で注目です。

ベルディヒの不調、ちょっと思い浮かぶ「あること」

ベルディヒが不調です。カナダでは2回戦でヤングに、QFではドルゴポロフに敗れています。

全仏までトップ10以外に無敗。非トップ10内弁慶っぷりを発揮していた今年のベルディヒでしたが、全仏でツォンガに敗れて以降ハレではカルロビッチ、ウィンブルドンではシモンと実に5大会連続トップ10以外に負けて大会を去っています。

2014年もベルディヒはマイアミで胃腸炎にかかってSFを棄権して以降こんな感じでしたが、今年は全仏まで調子を維持し、過去最高のシーズンにできる可能性も十分だっただけに残念な状況になっています。

どうしてこういうことが起きているのか?まずはベルディヒ特有のメンタルプレッシャーから敗れてしまうゲームが続いているということです。全仏ツォンガ戦は終盤で本当に「死んだ魚の目」状態になっていました。こういう時はミスも早く、攻撃的なプレーは鳴りを潜めます。

ただそれではまだ浅い議論なのでもう少し考えてみるとそういえばこんなことがあったのを思い出しました。

Speechless pic.twitter.com/Xi52tOwssy— Tomáš Berdych (@tomasberdych) 2015, 7月 16

実はベルディヒは今年の7月に結婚式を挙げました。長年付き合っていたモデルのサトロバさんです。

すごい下世話ですが、ベルディヒの最近の不調はマリッジブルーでは?という大胆な予想を立ててみました。

ところで気になったので他の選手の結婚前後の成績について調べてみました。

法律的に結婚がいつかわかりにくいので(報道のソース不十分が原因)、結婚式を挙げた日付を起点としました。

フェデラー 2009年4月に結婚式(マイアミ後、モンテカルロ前)

結婚前 年初の全豪を落とし、IW、マイアミでも4強止まり

結婚後 モンテカルロでワウリンカに初めて敗戦。不安視されるも、その後マドリード、全仏、ウィンブルドンを取り1位返り咲き。

ジョコビッチ 2014年7月に結婚式(ウィンブルドン後、カナダ前)

結婚前 前哨戦のクレーマスターズではローマ優勝、全仏は惜しくも準優勝も、ウィンブルドンを優勝してそのまま結婚式へ

結婚後 カナダでツォンガ、シンシナティでロブレドに敗戦。全米でも錦織に敗戦

マレー 2015年4月に結婚式(モンテカルロ期間中)

結婚前 IWで4強、マイアミでは決勝へ。デ杯でも勝ち上がり好調を維持

結婚後 ミュンヘンからローマまで連勝を続け、全仏も自己最高の4強。自己最高に近いシーズンを送っている

この結果だとフェデラーとマレーはむしろ結婚後いい成績になっていますね。

ジョコビッチは当時マリッジブルーでは?という意見もありました。北京以降はご存じの独走状態ですが、2か月程度成績が悪かったようです。

ベルディヒは昨年は優勝したチリッチに敗れました。今年の全米はどうか?注目です。

・不安視される楽天OPの過疎化

前から嫌な予感がありました。なんと昨年の決勝後のスピーチで東京に戻ってきてくれることを話していたラオニッチが今年は北京を選ぶようです。北京のEarly commitment の名前にラオニッチが入っているようです。これは非常に深刻な問題だと私は捉えています。

決してラオニッチは毎年準優勝ばかりだから嫌気がさしたわけではないと思います。ラオニッチはテニス界の中でもきっての親日家です。若いころから東アジアの大会は日本しか出ていませんでした。いまだに柏フューチャーズで会場に行くために乗ったバスのことを覚えているそうです。

このラオニッチが北京を選ぶに至った理由はいくつかあります。

まず一つに翌週の会場が上海だということです。

東京で決勝を戦ったラオニッチはこの地点で体力が尽きており、どのタイミングでかはわかりませんが上海に会場入りするまでに発熱の症状が出てしまったそうです。

しかしドーピング違反になる成分のある市販の風邪薬が飲めないため回復に時間がかかり、結果上海では棄権負け、モスクワでベランキスに、バーゼルでもゴフィンに敗れました。

奇しくも東京決勝の日日本には台風が迫っていました。中国に行くためのフライトも遅れたと聞いています。

2週連続大会に出ないといけない場合こういうリスクはつきものなのですが、ラオニッチはこの結果パリに入った時ファイナル圏外になりました(結局決勝進出で逆転ファイナルを決めましたが)

そして北京と東京の大会格差です。同じATP500と思われるかもしれませんが賞金は2倍以上違います。

昨年の北京はジョコビッチ、マレー(WC)、ナダルベルディヒ、チリッチ、ディミトロフが参戦していました。

一方の東京はワウリンカ、錦織、フェレール、ラオニッチでした。

ところが、です。すでに北京のEarly commitment にはラオニッチとフェレールの名前があるようです。

ワウリンカ、錦織はすでにEarly commitment に入っていますが北京にはジョコビッチナダル、ラオニッチ、フェレールベルディヒが参戦確定しているらしく、明らかに劣っています。

低確率でチリッチやディミトロフ、ガルビスなど昨年の北京組も流れるでしょうが、正直見劣りがします。

これを覆すにはマレーかフェデラーのWC参戦が必要ですが、どちらを呼ぶにしても今の楽天OPにこういう余裕があるとは思えませんし、マレーは昨シーズンの反省から、フェデラーはそもそも大会を間引く傾向があることから来てくれるのは非現実的です。

ポイントは稼ぎやすいですが、日本テニス界の発展としてはかなり赤信号な事態になっています。

やはり他選手とのレベルの高い試合を日本で行ってこそテニス全体としての発展が始まります。

単に錦織がトップ10以外の選手に勝って500を取るというのは目先の面ではいいかもしれませんが、将来的には絶対にいけない事だと思います。

ATPは最近商業面を推しています。仕方のないことだと思います、こういう世の中なので。

中国人選手がトップ100に一人もいない中、これからの世代を背負っていくスターがいる日本が完全に中国に負けており、商業面としてアジアテニス界の先頭を担えないのは大きな損失です。

2020年には五輪も控えています。観衆も含め、日本テニス界がここで発展しないと将来的に楽天OPの格下げすらあります。

ATPは伝統のあるモンテカルロを500に格下げしようとしたり、現にハンブルグは500になり裏街道シリーズになったことでついに第3シードが20位近辺になるような過疎大会になっています。

ジャパンオープンはアジアのATPツアーで最古の大会ですが、ATPは最近そういうことは完全に無視して大会の新設・廃止・格上げ・格下げを行っています。

手遅れになる前に、早急な対策が必要でしょう。

その楽天OPのエントリー締め切りは昨日、間もなく正式なエントリーリストが発表される予定です。

・キリオスの愚行、絶対に許してはならない

カナダMS2回戦で残念なことが起こりました。以前から審判と争ったり、ボールパーソンにアンスポーツマンシップ行為をしたりと問題行動が絶えなかったキリオスですが、試合中、ボールパーソンからボールを受け取る前後に、対戦相手のワウリンカについて、ワウリンカの彼女であるベキッチとコキナキスが一夜を明かした(非常に緩い表現に変えています、原文が知りたい方は自分で調べてください)と独り言を言っているところを国際映像のカメラが捕らえました。

以前からキリオスはポイント間にいろいろ独り言を言っていたのでカメラも寄っていたことで判明したのですが、聞こえる/聞こえない以前に試合中に絶対に言ってはいけない事なのは明らかです。

テニス選手には様々な個性があります。自分を滅するタイプ、自分を鼓舞するタイプ、テニスをエンターテイメントと考える選手、目の前の勝利に、ボールに貪欲になる選手、攻撃/守備、愚直/変則、ビッグサーバー/ストローカー…

そしてその勝利への方法が一つでないからこそテニスという競技は毎試合違うものを私たちに見せてくれ、私たちファンはテニスを見ることに喜びを感じているし、基本テニス選手をリスペクトしています。

そしてテニス選手はお互いのこともリスペクトし、フェアプレーのもとで勝ちを目指すからこそクリーンなスポーツ、紳士淑女のスポーツという前提を維持し続けてきました。

何が言いたいかというと別に一球の判定に結構ぐちぐち文句を言うのとかは別に私は気にしません。そこには「目の前の勝利に向かって必死になっている」という心理があるからです。私も自分でプレーしててセルフジャッジのきわどい判定だと少し相手に聞きたくなる時もあります。

あとラケットを折ることについては賛否あるのですが、私はあまり気にしてません。自分でもラケット折りたくなる時があります。まあ買い替えるお金なんてないし普通はぐっとこらえますけど。

それほどテニスは精神的に追い込まれながらプレーしていることを知っているので、1ポイントに貪欲だからこそ、そんな自分に腹が立っているからこそやり場のない怒りをああいう形にぶつけるのはわからないでもないからです(毎試合やられるとさすがにげんなりしますが)

そしてこれらの行為には「他者を貶める」という部分が一切ないというのが私がこういう思考に至っている原因と考えています。

ユージニーは自分で自分の頭をラケットで叩いて流血してしまったこともありますが、あくまで自分で自分に傷をつけているだけなのでまあ許せるんです。

ところがキリオスの件は聞こえていないとしても絶対に言ってはいけないことです。

ワウリンカにもし聞こえていたらその地点でワウリンカが試合を止めていてもおかしくないほどです。

また仮にそれが事実だとしても、全く関係ないところで名前を出されたベキッチとコキナキスもたまったものではありません。

実際コキナキスはキリオスほどではないにしてもその後の試合でブーイングを受けたり、シンシナティの予選ではそれに関して対戦相手のハリソンと一悶着ありました。(リンク先は海外サイトです)

試合はキリオスの言動とは関係なく(ここ重要、一部報道で棄権負けと失言がごっちゃになっていますが、ワウリンカの棄権は本当に体が悪かっただけです、キリオスの発言はおそらくワウリンカサイドにはリアルタイムでは聞こえていません。ただ試合中に他にもいろいろ審判含めて3人の中でいろいろ言い合う場面もあったので、ワウリンカの心理状態は普通ではなかった可能性はあります)、ワウリンカの棄権負けになっています。

試合後この件がワウリンカサイドに伝わるとワウリンカとコーチのノーマンはこのようにツイートしています。

So disappointing to see a fellow athlete and colleague be so disrespectful in a way I could never even imagine.— Stanislas Wawrinka (@stanwawrinka) 2015, 8月 13

That was really really low Nick Kyrgios. Hope for u that u have people around that will teach u a thing or 2 about life tonight. Very bad👎🏼— Magnus Norman (@normansweden) 2015, 8月 13

ノーマンは自身も世界2位、コーチとしてもソダーリン、ワウリンカを教える権威ある人物です。そのような人がいわゆる「他者を悪く言うための指のサイン」をすることの意味を考えればこれがどれほどショッキングな出来事だったかがわかります。

騒動はしばらく収まりそうにはありません。昨日ATPが公式に発表した内容によると、執行猶予つきの出場停止と罰金の処分のようです。

いつもお世話になっている上の海外サイトを執筆しているテニスジャーナリストのベンさんのツイートです。

ATP releases its decision on Nick Kyrgios, which amounts to probation. Suspended sentence & fine if future misdeeds. pic.twitter.com/vR1KIItCq6— Ben Rothenberg (@BenRothenberg) 2015, 8月 24

キリオスは将来GS獲得やNO.1になれるテニスの力を持っています。

やり玉に挙がったコキナキスも含め5年後のATPツアーは彼らを中心に回る可能性もあります。

速めの対応が重要です。キリオスのチームも含め、「悪童」のイメージはまだ何とか払拭できる時期です。次の違反が執行猶予期間の半年の間に起きないで、そのまま沈静化することを願っていますが、もし次もこのようなことがあれば私は今後彼を応援することはないと思います。またそうなってしまった場合、ATPは厳しい措置を取ることを強く願います。

というわけで小ネタは終わりです。出し切った感あるなあ、明日何書こう(笑)