two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

強引に全米QFまでを振り返る

こんにちは。

いやーこんなはずではなかったのですが。全米は気合の入った大会だったのですが、結局用事が立て込んでます。まあ敗戦もあったので用事が立て込んでいるというのも事実ですが。

というわけで今日は強引に2本記事を書いてQFまでを一気に振り返りたいと思います。

先に言っておきますがほとんどの試合を見ていません。起こった出来事を中心にまとめていこうと思います。

ジョコビッチ、意外な勝ち上がり

もちろんジョコビッチが勝ち上がるのはもはや当然ですが、思った以上に苦しんでいる印象です。

というのもジョコビッチ、なんとSFまでに対戦する選手すべてに一度も負けたことがないのです。

0-0 ソウザ

1-0 ハイダー=マウラー

10-0 セッピ

2-0 バウティスタ=アグト

5-0 ロペス

13-0 チリッチ

ややいいドローだとは思っていましたが、錦織、ナダルらの敗退によってさらにラッキードローと化しています。

ただその割には結構厳しい試合が続いています。

3回戦まではよかったのですが、4回戦のバウティスタ=アグト戦では2ndセットを失い一気に会場がバウティスタ=アグトの番狂わせを期待する流れに。

ここでジョコビッチはしっかり修正し勝つもののやや今後に不安が残る試合になりました。

さらにQFのロペス戦でも1stセット6-1と取ったものの第2セット冒頭でブレークされるとそのままロペスに押し切られ1-1に。

3rdセットは取るも4thセットもタイブレークへ。タイブレークではジョコビッチが取って4セット勝ちしましたが、ジョコビッチの状態はいいのか悪いのか。

・チリッチ、手堅く4強へ

開幕前チリッチは確実に勝ってくるというプレビューを残しました。

錦織敗退後、おそらくチリッチ4強が最有力と見ていましたがその通りになりました。

他の選手の敗退に助けられたとはいえ、シャルディー、ツォンガを撃破。4強まで進みました。

チリッチがここから爆発できるかどうか。勝ち上がりを見ると限りなくその望みは薄いとは思いますが、ジョコビッチも頂点に向けて難しい試合になっています。決して勝つことは不可能ではないと思います。

・フィッシュ、ヒューイット、ラッセル、それぞれの全米終わる

アメリカの元トップ10選手、フィッシュはこの全米をもって引退となりました。

初戦を勝ちあがり、2回戦はロペスとの対戦。勝てばラオニッチとの対決があった試合は大熱戦となり、フィッシュが2-1とするもそこからロペスが逆転勝ち。シングルスとしてのキャリアはこれで終わりとなりました。

なおおとといフィッシュ引退を記念したエキシビションマッチが現地で行われ、マイケル・チャンも参加して素晴らしいプレイヤーの花道を祝福しました。

ヒューイットも最後の全米です。こちらはプレビューで示した通り初戦、2回戦を勝ち上がって3回戦トミッチとの対戦を実現させました。

試合はトミッチ2セットアップからヒューイットがお得意の挽回。なんとフルセット5-5までもつれます。

しかしこれからの豪州を背負って立つトミッチがここは譲りませんでした。最後2ゲームを取ってフルセットで勝利。試合後は熱い抱擁がありました。

豪州は来週デ杯SFがあり、イギリスと対戦です。この好勝負の勢いをつけて入りたいところです。

また錦織との対戦もかつてあったラッセルも引退を発表。ダブルスでは3回戦まで進み盛り上げました。なおそのラッセルに勝ったジョンソン/クエリーペアについては後ほど。

・「Young Guns」、苦しい全米

そういえばいつからかATPの「Young Guns」という単語を聞かなくなりました。

これは一つの予想ですが、すでにATPは錦織らの世代には注目しなくなっているのかもしれません。

もちろんトップ選手として錦織はその道をひとつ前に進めたから、というのは理由の一つでしょう。フェデラーにいまだに「ニューボールズ」の名前を言う人はいませんよね?それと同じです。

ただ一方で錦織ラオニッチディミトロフらより下の世代、区分的にはトミッチ以下の92年生まれ以降の世代、こちらのほうに若手のプッシュをシフトさせているというのが実感です。

しかしその下の世代も含め、若手世代には今年を象徴するかのような厳しい全米が待っていました。

確かに不運であったのも認めるしかありませんが、シード選手への挑戦となった10代から20代の選手の結果は

キリオス1-3マレー

コキナキス2ret.-3ガスケ

コリッチ1-3ナダル

ズベレフ2-3コールシュライバー

ルブレフ1-3アンダーソン

ティアフォー0-3トロイツキ

と、これらの選手はすべて初戦敗退となりました。

また西岡、チュンは2回戦まで進みましたがこれもベルッチ、ワウリンカに敗戦。なんとベスト16に進んだ中で最年少は錦織と同年生まれのヤング、ペールの26歳となっています。(錦織は25歳だが彼らは誕生日を迎えているため)

厳しい全米となりました。今年を象徴する世代後退(誤字ではない)を示す結果になりました。

・ヤング躍動、初のベスト16

ヤングがベルディヒに勝ったというカナダMSでの事実はもう忘れられているでしょうか?

ベルディヒが負けるときは意外と誰にでもコロッと負けることも多かったのですが、最近はトップ10以外に負けるときはしっかり相手がいいテニスをしていた時が多いので、ヤングには期待していました。

ヤングは錦織世代ではジュニア時代から最も期待されていましたがなかなか伸びず、気が付けば錦織に逆転され、ペールといったほかの選手にもかわされるようになりました。

しかしここ最近しっかり勝てるようになり、番狂わせを起こす頻度も上がってきました。

今大会ではシモンからTSD勝ちすると、なんと3回戦のトロイツキ戦でもTSD勝ち。1週目の会場を一番盛り上げたのはこの人かもしれません。

ヤングの今後に期待です。

ナダルの呪い、まだ続く

フォニーニがナダルからTSD勝ちしたのは前回の記事に書きましたが、やはり敗れてしまいました。若干ガス欠もあったとは思いますがロペスに力なくストレート負けです。

やはりナダルに勝つのは難しいのでしょうか。次にナダルが出場するのは北京です。どうなるのでしょうか。

・リタイア続出、酷暑のニューヨーク

リタイアが続出しました。ゴフィン、モンフィス、コキナキス…モンフィスはどちらかというと単純なけがですが、他の選手はほとんど熱中症によるリタイアです。

特にソックの写真は衝撃的でした。

Jack Sock became the 14th player to retire at the #USopen after he fainted. Full story: http://t.co/IKKfovgVjN pic.twitter.com/0hXGmaEXPR— BBC Sport (@BBCSport) 2015, 9月 4

リタイアの瞬間は動画で見ましたがきつくなって足を止めた瞬間一気に来てしまって全く動けない状態になっていました。

結局二人に介抱される形で退場。辛い敗戦となってしまいました。

リタイアに関しては様々な意見が出ています。もう少し環境を良くすべきなのでは?という意見も出ていますが、その環境でプレーするのは平等なのだから頑張るべきという意見もあります。

言い出すと試合間のインターバルとか様々な要素が絡んでくるのでまあこれからもこのルールで続いていくのだと思います。

ちなみに女子にはヒートポリシーがあるらしく、試合中に休憩があるみたいです。

WTAではコーチングもできるので、休憩を利用して作戦変更など、その辺面白そうですね。

・アンダーソン、歓喜の初QF

ケビン・アンダーソン。新規のテニスファンでも知っている方が多いのではないでしょうか。2月のメンフィス、アカプルコで連続して錦織圭と対戦した相手です。

アンダーソンは着実にキャリアハイを更新し続け、このままいけば次のトップ10はアンダーソンになるのではという意見も出ていましたが、いまだにキャリアでGSのQFに進出できていませんでした。

その理由は簡単で、ビッグサーバーでしっかり勝てるもののあと一歩が足りない。他の技術面もそうですが彼の場合メンタルがその原因です。

2014アカプルコ決勝ではディミトロフからファイナルセット2本のMPを握るものの、チャンスボールのストロークをネットにかけるとそこからずるずると崩れ去り初のATP500優勝を逃します。

そのほかにも勝利目前から試合を落とすことが数多くあります。もちろんジョコビッチを褒めるべきですが今年のウィンブルドン4回戦もそれに入るでしょう。

今回の4回戦はマレーとの対戦。正直今までの傾向からアンダーソンは勝つのは厳しく、マレーが難なく8強まで来るという予想でした(プレビュー参照)

しかしマレーはマナリノからTSD勝ちするなど苦戦し、連戦からの疲労かやや悪い状態だったようです。

そんなマレーに対し1stセットはタイブレークで取るとなんと第2セットは5-1。アンダーソンのSFSを迎えました。

ここからが、アンダーソンにとっての長い戦いでした。

第7ゲームをブレークされると、ここでマレーが息を吹き返します。下位選手が上位選手に対してやってはいけない「勝負できる土俵に乗せてしまった」のです。

続くゲームをキープしてマレーは自分のリズムを掴みます。第9ゲームアンダーソンは再びBPを迎えます。

しかしアンダーソンはここで攻めました。おそらく守りに入ってしまうとマレーの思うつぼだったでしょう。あまり1stも入らない中しっかりとストロークで強打を打ち込み、マレーを揺さぶりました。

このゲームをキープして2セットアップ、第3セットに入ります。

ただこのころにはもう試合の流れは五分かマレーに傾きつつありました。次もブレークされるのでは?そんな不安がある中アンダーソンは一貫して攻めのスタイルを貫きました。ブレークされても再度追いつく。こうして第3セット、勝負のタイブレーク

しかしここはリターンさえ返せばマレーという感じでマレーが7-1でセットを取り、TSD勝ちの流れを作り始めました。

会場もそしてテニス自体も、もうアンダーソンには味方していないのか、ここまでなのか…

しかしそんな中、苦しい中でもアンダーソンはキープを続け、体力がなくなりリターンゲームを捨てがちになる中スコアを悪くしません。

そして第4セットもタイブレーク。ここでアンダーソンが目覚めました。

2-0からのセカンドサーブのリターン、クロスコートに強烈なリターンエース。2ミニブレークアップとなったアンダーソンに、メンタルが心配とはいえこのリードは十分でした。そのまま7-0で勝利。タイブレークに体力を温存して神がかり的なプレーでついにGSで初めてのQF、さらにGSでトップ10に初めて勝利しました。

次戦も相性のいいワウリンカでしたが激戦の代償もあってか精彩を欠きいつものアンダーソンに。3セットで負けウィンストン=セーラムからの連勝が止まりました。

アンダーソンは4回戦でのプレーがもう少し続けばすぐにトップ10だと思います。数字的にも相当近づいてきています。

2015年はまだ新規のトップ10プレイヤーが誕生していません。遅咲きのビッグサーバーが目標にたどり着けるか、注目でしょう。

なおアンダーソン、楽天OPに来ます。これは楽しみですね。

・ガスケ復調、ベルディヒはトンネルを抜けられない

ガスケが好調です。初戦ではコキナキスにフルセットまで持ち込まれるもコキナキスの棄権で勝つと、その後はヒューイットに勝ったトミッチを退けて4回戦へ。ベルディヒとの対戦でした。

1stセットは取られるも2ndセットを取り返すとベルディヒの安定しないストロークに対して自らはバックハンドのウィナーを連発。過去五分の対戦成績だった両者ですが今回はガスケに軍配が上がり3-1としました。

これでガスケはウィンブルドンから2大会連続の8強。ウィンブルドンは4強なので2大会で1080pを獲得して一気にトップ10争いに加わってきました。

一方のベルディヒは全仏での敗戦以降一度しかシードキープできていません。去年も言っていましたが来シーズン後半戦でのトップ10陥落もあり得ます。一つ正念場です。

フェデラー・エクスプレス、快調にSFへ

フェデラーシンシナティで優勝しており、ウィンブルドン決勝で負けて以降いまだ無敗です。

しかも芝シーズンからの成績を入れれば21勝1敗。この間の成績は勝率では1位、ポイントではジョコビッチに次いで2位です。

安定したサービスゲームと新技術「SABR」(以前紹介したセカンドサーブのリターン)でつけ入るすきを与えません。

フェデラーは現在10連勝中、そのうちセットを一つも落とさず、現在25セット連続セットを取っています。

4Rのイズナー戦ではタイブレーク7-0(イズナーがタイブレークを1ポイントも取れず落とすのは史上初)を記録して見事に2セットでビッグサーバー退治、QFのガスケ戦では相性のいい相手に全くいいところを出させず勝利。今優勝に近いのはフェデラーかもしれません。

準決勝はワウリンカ、決勝はおそらくジョコビッチとここからタフな相手が続きます。ウィンブルドンではピーキングに失敗しただけに、この2試合をどう乗り切るかが重要です。

・ダブルスの変、ブライアンズGS獲得ならず

ブライアン兄弟のダブルスと言えばテニスに詳しくなくても知っている人も多いのではないでしょうか。

2003年に1位の座に就くと、そのまま04年、08年を除いて10度の年間王者。GS優勝は16回。ダブルスのレジェンドであるブライアンズが今年は1回戦で敗れました。ジョンソン/クエリー組にフルセット負け。これでブライアンズは05年から続いていた10年連続グランドスラム獲得の記録がストップし、今年は無冠に終わります。

毎年10近いタイトルを取っているブライアンズですが、シングルスの即席ペアが多いGSと一発勝負のファイナルではそこまで勝てていません(逆にそれも勝ててたらキャリア150勝とかしていたのだろうか…)

4つのGSをすべて取れなかったことでランキングも以前より落ち込み、久しぶりの1位陥落や、7年ぶりの年間1位陥落もありえるようになってきました。

ただ近年のダブルスは高齢化しており、ブライアンズも37歳。ネスタ―も40歳を超えるなど新規スターに飢えているのが現状で、今回決勝に進んでいる若手のエルベールには大注目です。

またマレーの兄ジェイミー・マレーとピアースも初GSが見えてきました。そのジョンソン/クエリーをSFで破ってウィンブルドンに続いて2大会連続の決勝進出。マレー/ピアースはそういえばブリスベンの決勝で錦織/ドルゴポロフペアと当たってますね。あそこで優勝してから自己最高のシーズンを過ごしてますね。

どちらが勝っても初優勝のダブルス決勝も楽しみです。

次の記事はSFプレビューと(先にTENNIS LOVERSさんに越されてしまった…)皆さん気になっているランキングの話です。それでは一旦このへんで。