two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

試される日本、デ杯SF/入れ替え戦プレビュー

こんばんは。

今日から3日間にわたってデ杯SF/入れ替え戦が行われます。

日本チームは3月のカナダ戦に惜敗し、大陸予選を勝ち上がった8チームとの16チーム合同での入れ替え戦に回っています。この入れ替え戦に勝利すれば来年もワールドグループ、敗れればアジア/オセアニアゾーン1に転落します。

日本は2011年にインドとの入れ替え戦に勝利して久しぶりのワールドグループへ。1985年以来の昇格に歓喜に包まれてから4年。もはや日本はワールドグループ常連国と言ってもいいでしょう。

その後2012年、2014年、2015年はワールドグループに在籍している日本ですが、今回は最大のピンチと言っていいかもしれません。初戦のカナダはタフだったうえに、今回対戦するコロンビアはアウェーなのも相まって相当タフな印象です。

まずは世界的には本筋、ワールドグループ準決勝のプレビューです。

以下左側がホームです。Rはラバーの略です(第何戦という風に読み替えてもらってOKです)太字はチームの第1シングルスです。

デ杯のルールについては私が過去に書いたこちらの記事をご覧ください。

イギリス×オーストラリア(グラスゴーエミレーツアリーナ、インドアハード)

1R A.マレー×コキナキス

2R エバンズ×トミッチ

3R J.マレー/イングロット×グロス/ヒューイット

4R A.マレー×トミッチ

5R エバンズ×コキナキス

イギリスは1936年、あのフレッド・ペリーがいた頃以来の優勝を狙います。今回もホームの開催となり、地元の大声援が後押しします。

注目は第2シングルス。1回戦でイズナーからフルセット勝利を収めたワードを外し、エバンズを起用してきました。

イギリスにはエドムンド、ベデネと言った選手(ベデネは国籍変更後間もないので出れない?)もいた中でのエバンズ起用。この真意はわかりませんが結果を大きく左右しそうです。

イギリスの勝利のためにはマレー2勝は必須。さらにダブルスは全米男子ダブルス準優勝の兄マレーと全米男子ダブルス4強のイングロットを起用しています。

しかしここにマレーを投入し、兄弟ダブルスの可能性もあります。初日のエバンズ×トミッチはそういう意味でも注目です。1-1になるようであればマレーはどうするのか。

そして一方のオーストラリアはQFを0勝2敗から大逆転勝ち。ベテランのヒューイットとグロスの活躍で感動のSF進出を決めました。今度は若手が頑張る番です。

今回は夏シーズンでの「例の一件」もあってかキリオスは外され、トミッチとコキナキスが参戦となりました。

コキナキスは第1ラバーが勝負です。勝てはしなくともマレーの体力を削り第4ラバーに渡すことは大きな価値があります。

またグロス/ヒューイットのダブルスは絶対に落とせません。デ杯は今大会が最後になり、監督就任の話が出ているヒューイットはQFに続いてその最後の戦いを引き延ばすことができるのか。

ベルギー×アルゼンチン(ブリュッセル、フォレストナショナル、インドアハード)

1R ゴフィン×デルボニス

2R ダルシス×マイヤー

3R ベメルマンス/コペヤンス×ベルロク/シュワルツマン

4R ゴフィン×マイヤー

5R ダルシス×デルボニス

ベルギーはスイス、カナダという強敵…相手だったのですが、スイスはフェデラーとワウリンカが欠場、カナダはラオニッチとポスピシルがけがのため欠場となり、運よく勝ち上がってきました。

しかしゴフィンがいない場面でも若手のゴフィンやコペヤンスが頑張るなど、可能性を感じるチームです。

一方のアルゼンチンは手堅くトップ100選手を4人揃えてきました。

国柄らしくクレーコーターが多く揃っているのがやや不安ですが、それでもアルゼンチン有利は変わらなさそうか。

ここからは日本戦以外の入れ替え戦プレビューです。

インド×チェコニューデリー、ハード)

チェコはベズリーとロソルが登場。一方のインドはデバーマンとバンブリとやや力不足。伝統のダブルスではボパンナ/パエスと最強の布陣を敷けただけに初日で一つ番狂わせを起こし2日目で王手をかけないと厳しいか。

しかし現状チェコのどちらかが壊滅的にブレーキしない限りシングルス2勝は厳しそう。チェコ圧倒的有利です。

スイス×オランダ(ジェノバ、インドアハード)

スイスはフェデラーとワウリンカを投入。対するオランダはトップ50以上の選手がいないため、さすがに勝負は目に見えています。

もはや焦点は第3ラバーも本気を出してフェデラー/ワウリンカを投入するのかくらいです。

ロシア×イタリア(イルクーツク、インドアハード)

イルクーツクでの開催ということでゾーン1のスペイン戦同様まずは相手の遠征を強いる会場選定でホームアドバンテージを生かしてきたロシア。

対するイタリアはフルメンバーで臨みますが、注目はロシアのルブレフ。

ルブレフは10代にしてデ杯は複数参戦経験があり、スペイン戦では最終第5ラバーでアンドゥハルに勝利して将来的にデ杯で活躍する可能性が高いです。

今回もルブレフが1勝、いや2勝すれば一気に金星という可能性もあります。

イタリアはランキングでは上のセッピをダブルスに回し、全豪優勝ペアのボレリ/フォニーニをシングルスに回しています。

初日の結果次第では大幅なオーダー変更もありそうです。

今回の入れ替え戦では最注目のカードと言っていいでしょう。

ウズベキスタン×アメリカ(タシケント、クレー)

ウズベキスタンは対アメリカ対策としてクレーを選択してきました。これはアメリカ相手にはよく使われる戦略です。

一方のアメリカはイズナーを外し(クレーのため?ファイナル争いのため?)ヒューストン優勝のソックとジョンソンで挑みます。またダブルスもブライアン兄弟を外しています。

このメンバーで勝てるのか、ランキング通りならアメリカで間違いないですが、中央アジアの国はカザフスタンといい突然番狂わせを起こすことが多いのでここはまさかの展開に期待です。

ドミニカ共和国×ドイツ(サントドミンゴ、ハード)

ドミニカはエースのエストレラ=ブルゴスの力で勝ち上がってきましたが、2番手とダブルスが入れ替え戦を戦うには力不足なのが歴然。ドイツは5-0で勝つ可能性もあります。

ブラジル×クロアチアフロリアノポリス、クレー)

ブラジルはアルゼンチンとの4日にもつれる死闘に敗れ入れ替え戦へ。今度は強敵クロアチアとの対戦です。

クロアチアは全米4強のチリッチは出場せず、コリッチとデリッチの若手がシングルスを担当します。

一方のブラジルはベルッチとソウザとクレーコーターで迎え撃ちます。クレーコートとメロ/スアレスをダブルスに起用できる分だけややブラジル有利か。勝負はお互いのエースがぶつかる第4ラバーになりそうです。

ポーランド×スロバキア(グディニャ、インドアハード)

ポーランドヤノヴィッツスロバキアはクリザンを擁します。

2番手が100位以下の選手なので正直どう転んでもおかしくないです。

クボット/マトコウスキーを登板できるポーランドがやや有利か。ヤノヴィッツが不安定なのでポーランドはそこ次第でしょうか。

さて日本×コロンビアですが、まず日本チームは添田、伊藤がチームから離れることになりました。

特に日本チーム最年長、これまでアジア/オセアニアゾーンからほぼすべての試合に出続けてきた添田がメンバーから外れたことは一つのメッセージと言っていいでしょう。もう日本チームは新しくならないといけない。

そして新しい日本チームはなんと錦織が最年長。25歳の錦織、23歳の内山、22歳のダニエル太郎、そして来週で20歳を迎える19歳の西岡と平均年齢は22歳になり一気に若返りました。

名実ともに日本を支える存在となった錦織は再起をかける出発になります。

以前は全米の活躍を誰もが疑わなかったので出なくてよいのでは?という意見が主流でしたが、こうなってしまうとむしろ出ることに大きな意味があると思います。

というのも2013年、全米で初戦敗退してから2週間後のデ杯入れ替え戦、相手は同じコロンビア。そう、会場以外は全く同じ状況だったあの時錦織は復活しました。現地で私が初めて生で観戦した思い出の試合で錦織はファリャに圧勝。チームを背負って2勝してワールドグループに復帰したという経緯があります。

あの時と状況は酷似しています。失意の敗戦から立ち直るために「日本」という存在が彼にとって与える影響は計り知れません。

錦織はケガ以外の理由でデ杯を回避したことは基本ありません。そしてデ杯勝率が異常に高い選手でもあります(初デビュー戦とカルロビッチに負けた以外全勝)

そして日本チームの2番手は今回ダニエル太郎が担うことになりました。

前週のチャレンジャーの結果を見ると不安も残りますが、西岡はデ杯経験がないので妥当な選出でしょう。

今回のキーは錦織もさることながらこのダニエルです。

ダニエルは2014年1回戦ではロソル相手に2セットダウンから追いついています。5セットを戦う準備は十分にできていると思いますし、デ杯特有の番狂わせを起こせる素質もあると感じています。

このダニエルが万が一初戦ヒラルドに勝つようなことがあれば、この地点で勝負を決められるでしょう(第3ラバーの錦織温存にもつながる)

さて対戦表です。

コロンビア×日本(ぺレイラ、クレー)

1R ヒラルド×ダニエル太郎

2R ファリャ×錦織圭

3R カバル/ファラー×西岡良仁/内山靖崇

4R ヒラルド×錦織圭

5R ファリャ×ダニエル太郎

日本は原則錦織2勝+どこかでもう1勝という形になってきます。

私は個人的には仮に初日1-1でも錦織をダブルスに起用することは絶対にやめてほしいと思っています。

というのもこのカバル/ファラー、現在ATPチームランキング(ダブルスのレースランキングに相当)11位で、これより上位で同じ国同士で組んでいるのはブライアン兄弟、エルベール/マユ、ボレリ/フォニーニとGS優勝経験ペアのみです。

2013年デ杯入れ替え戦では日本は伊藤/杉田で挑みましたが全く歯が立ちませんでした。

現地観戦で見ていましたが付け焼刃なダブルスでは絶対に勝てないというほどダブルスが「うまい」ペアだという印象でした。

一つ一つはできるかもしれませんが、崩される雰囲気がなく、ダブルスペアらしい強さがありました。

正直あのネスターに勝ったからと言っても錦織を投入しても勝率は5割ないと私は考えています。それほどにこのカバル/ファラーは強いです。むしろ日本チームのやることは言い方は悪くなりますが「捨てダブルス」にして、最終日の二人(ダニエルであるとは言っていません、初日の状態次第では西岡に交代する可能性も含めて)を温存するのが正しい選択ではと考えています。

さて、そう私は考えているので勝敗のカギはダニエルだと思います。万一ダニエルが相当まずかった場合西岡に出番が回る可能性もあります。

この二人をどちらを最終第5ラバーに持ってくるかです。おそらくダブルスで大金星がなければ2-2で最終ラバーに行くことになります。

日本が2011年以降入れ替え戦以上のグレードで最終第5ラバーにもつれた時は、通算1勝3敗。その時の第5ラバーはすべて添田でした。

しかしもうその時代は終わろうとしています。新しい日本の2番手選手が運命を握る戦い、これからの日本チームのデ杯での永遠のテーマにもなります。

今回の第5ラバーは相手がファリャと100位以下かつヒラルドに比べるとそこまでクレーが得意ではない選手です。チャンスは十分にあります。力を出し尽くせばアウェーでも十分に勝てる可能性はあります。

日本チーム、そして錦織にとってリスタートのきっかけになる試合になることを願っています。

日本から応援する方法があります。現地はコロンビアの大歓声に包まれることは間違いありません。コロンビアにとっては4度目のプレーオフ挑戦。過去3度は失敗していますが錦織以外に全勝すれば初昇格ができます。前回負けていることもあり全精力を注いできます。

ツイッターで#GoJapan と打つと応援合戦に参加することができます。

執筆地点(17時30分ごろ)では日本チームが78%とリードしています。なおこの応援合戦の結果は現地の電光掲示板にも表示されるので日本チームの選手の目にもしっかりと届きます。

現地の日本人の応援は日本から距離もあるので非常に少ないことが予想されます。異国の地で孤独に戦う選手たちを海の向こうから応援しましょう!