two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

4年前の再現へ!2週目の舞台は整った!!(2016全豪2R、3R)

苦しいゲームでした。

1回戦のコールシュライバー戦を超えて楽観論が出る中の2回戦のクライチェク戦。

試合は録画で見ましたが、クライチェクのストロークミスに助けられるものの錦織も1回戦からプレーレベルを落としてしまいます。

しかし総合的には確実に上回る時間帯を続け、第2セットのSFSを落としてタイブレークにもつれた以外は大きなほころびを作りませんでした。

1つ目の壁は突破されても次で確実に仕留める。被害を最小限に抑えてのストレート勝ちでした。

3回戦のガルシア=ロペス戦は、プレースタイルがコールシュライバーに比較的近く、勝つイメージはできているかと思いましたが相手が違いました。

ガルシア=ロペスはごくまれに上位といい試合をすることがあります。2014年モンテカルロで8強入り。ジョコビッチからセットを取っています。

この日のガルシア=ロペスも総合力で普段のパフォーマンスよりも相当高いものを見せました。

第1セット序盤から飛ばしていくガルシア=ロペスは、序盤のブレークピンチをしのぐと以降はサーブが好調。ビッグサーバーというわけではないのに3連続エースなど錦織はチャンスが作れません。

一方リターンゲームでもバックハンドのコース変更と錦織がネットに出た時の処理が光りました。

錦織のネットダッシュが悪い場合もありましたが、十分に押した状態でネットに出ても錦織にローボレーをさせて簡単に決めさせませんでした。

5-3とブレークしてリードしたものの、SFSでサーブが入らなくなり気負ったかストロークでもミス連発。錦織が土壇場で追いつき、さらに第12ゲームでも落ち込んでしまったガルシア=ロペスのプレーを錦織が見逃さず、7-5で1stセットを取りました。

と、ここでMTOを取ります。

錦織は昨年MTOを5月まで取らなかっただけにちょっと衝撃でした。

いろいろ意見があると思いますが、私は現状錦織の手首は深刻だと考えています。

実質テーピングをしただけではあるのですが、こういうことは去年の序盤はなかったのでかなりよくないと思います。

第2セットに入って錦織はプレーを失います。

いろいろありますが大きなところとしては決め急ぎが目立ったように思います。2015年後半の悪い状態ですが、それだけでなく早く試合を終わらせたいという空気が見えました。

と同時にフットワークが減少します。追わないボールも出ます。

錦織テニスの原動力はフットワークです。取れるボールが取れなくなることで一気にゲームは苦しくなり、ガルシア=ロペスが持ち直したこともあって2-6であっさりと第2セットを落としました。

ただ、冷静に考えるとおかしな話です。錦織がケガ(?)したのは手首です。フットワークが落ちるのは理由になりません。足をけがしたわけでも腰をひねったわけでもありません。

このあたりがこの「謎の落ち込み」を理解するのに大きなポイントだと考えています。

第3セットも調子のいいガルシア=ロペスに攻め込まれ、何度もブレークピンチを迎え、明らかに試合の流れは錦織にありませんでした。

しかし何とかしのぎ切ると少しずつガルシア=ロペスにもミスが出始めます。

IWのベルダスコ戦の時に解説しましたが、ベテラン選手は総じていい時間帯が1試合ずっと続くことはないという傾向があります。

その後はじわりじわりと差をつけ、2セットを連取。なんとか4回戦に駒を進めました。

3回戦進出は6年連続。4回戦進出はなんと5年連続。安定しているグランドスラム、いや、すべてのグレードで考えても最も安定している大会と言っていいでしょう。

2011年以降はすべて自分より下位の選手に勝ち続けています。

さて明日の相手はツォンガです。

明日のジョー

はい、温めていたネタです。10番煎じくらいでしょうか。

ツォンガと錦織ですが、過去の対戦成績は4勝2敗。基本的には錦織は得意にしていると言っていいと思います。

ツォンガのパワープレイには注意ですが、お互いに波がある選手なので過去の対戦を振り返っても終始一方的だった試合はありません。悪い時間帯が来ることは認めないといけません。その時にどうするか、逆に押しているときにしっかりリードを広げられるか。ここがまず一つポイントになってきます。

特にGSでは2試合とも5セットにもつれており、フェレールやラオニッチほどではないですがライバル関係と表現しても差し支えないほど幾多の好勝負を繰り広げています。

ラリーの組み立てとしてはバックハンドに集めるのが定石です。フォアで好きに打たせると一球で決められてしまいます。

もちろんバックハンドばかりに集めていたら回り込みのストレートや逆クロスを打たれるので、バランスよく配球することが必要ですが、3回戦でフォアに不安があっただけにフォアクロスのラリーはあまりしない方が得策です。

それから3回戦で多用したネットプレー。力で押していくツォンガには有効な選択かもしれません。

ただ小技も効く選手なのでとりあえず使ってみて、出方をうかがって確認してからでも多用するかの判断は遅くないのでは。

ここからは私見ですが、初めて錦織の試合を見たのが4年前の全豪4R、ツォンガ戦でした。

あれから4年も経ったのかと思ったけどいろいろなことがありすぎました。やっぱり長かったです。

当時テレビ画面に映っている錦織を見てまるで別人がプレーしているようだと思いました。日本人がプレーしているとは思えないほど、世界のトップと互角に戦う姿が受け入れられなかったからです。

そしてその2日後に初めてのロッド・レーバー・アリーナでマレーに完敗して現実を見てから4年。奇しくもあの時と同じハイセンスアリーナでの試合となりました。

ツォンガは1回戦のバグダディス戦で相手の応援にイラつくシーンもありました。

ハイセンスアリーナは自由席です。ハイセンスで行われた1回戦はまるでホームのような雰囲気でした。

応援は、確実に流れを作ります。

あまり知られていない事実ですが、全豪オープンのロゴの下に書かれている文字をご存知でしょうか?

「The Grand Slam of Asia-Pacific」

アジアと環太平洋のグランドスラム

公式的に認められている事実です、日本の、アジアの錦織圭にとって、ハイセンスアリーナはホームです。

前回はツォンガの地元フランス・パリで苦杯を舐めました。

今度はホームです。日本中が盛り上がって迎え打とうではありませんか。

文章にも気合が入っていますが、それだけ思い入れのある相手、ここで勝つか負けるかは今シーズンの錦織を占ううえでかなり大きいと思っています。

勝率は本当に5分かと思っています。もちろん錦織のけが考慮ですので、万全な体調を仮定すればやや有利でしょうか。それでも6割くらいです。

けがについてですが、結局第2セットはケガの不安から集中を欠いて足を止めてしまっただけだと考えています。

たぶんまだ満足にプレーできる程度ではありますが、100%ではないのも明らかです(そうでなければ、MTOは取ってないはず)。

錦織はケガの入り口と思うと意図的に集中が落ち、プレーが散漫になっているのでは?ということが時々あります。

昔ですと体力不足による「わざとセットを落とす」に近いようなこともしてファイナルセットで勝ったこともあるのですが、そういう癖なのかなあと思います。

ツォンガ戦の間はアドレナリンが出て痛みが消えるといいんですが…

こればかりは試合が始まるまで分かりません。しかし錦織チームは長期離脱をあののう胞手術以降一度もしていませんので信じましょう。やってくれるはずです。