two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

AlwaysFight(2016マイアミ回顧・決勝プレビュー)

#AlwaysFight pic.twitter.com/4sfzso0HZW— Kei Nishikori (@keinishikori) 2016年4月2日

タイトルを決めるのに助かりました。

本人からのメッセージです。

ともに戦いましょう。

さて個人の都合により全然更新していなかったマイアミの状況です。

大会はシードダウンが相次ぎました。

まずはフェデラーが復帰予定だったものの胃腸炎(?)で直前欠場。夢のデルポトロとの対戦はなくなりました。

そしてナダルは暑さの影響か熱中症に近い症状で棄権負け。ナダルはめったに棄権負けをしない選手。意外な幕切れでBIG4二人が初戦で消えました。

さらにワウリンカは全くストロークが安定せずクズネツォフにあっさりと敗戦。

春のワウリンカはいつものことですが、全豪でも稼げずドバイとチェンナイと小さい大会でしかまだ結果が出ていないのは不安材料です。この後はローマ360→全仏2000→ウィンブルドン360という失効地獄が待っており(全体の40%以上)、結果次第ではトップ5陥落も近くなってきます(ただしナダルベルディヒフェレールもよくないのでなんとか持つ?)。

さらに3回戦ではディミトロフがマレーを破ります。

マレーの春先もいつも通りの不調なのですが、去年はしっかりマイアミで合わせてきただけに、苦手IWと続けて得意のマイアミを落としたのはネガティブでしょう。

現在のマレーのレースポイントは1500を超えていますが、全豪の1200pとデ杯決勝の2勝+ボーナスポイントでの獲得がほとんどで、クレーシーズンでおととしより前のような成績だと錦織、ラオニッチに差をつけられる可能性はあります。

そしてフェレールは2回戦でプイユに敗戦。内容も悪く勝ち切れた試合を落とした格好です。

いわゆる「strong 9」が去年今頃の安定した勝ちあがりをしていたのとは一変し、今年は2回戦までに4人、3回戦までに5人が倒れる乱戦模様となっています。

この空いた枠に滑り込んだのがゴフィン。フェデラーフェレールが抜けた第2クォーターを勝ち上がってIWに続いての4強です。

完全なラッキードローではありますが、そのラッキードローを取りこぼさないのも実力。

忘れられがちですが、彼はベルギーチームをデ杯準優勝に導いたエース。デ杯での活躍はその後のキャリアの転換点になる、彼もまたその例に漏れない活躍となっています。

年初から他選手を圧倒的に引き離す強さ、さらにドロー運も相まって順調に勝ち星を伸ばしていたラオニッチも今大会QFまで勝ち上がりました。

しかしQFのキリオス戦ではサーブ球速が落ち、キープするのがやっとの状況。

モンテカルロは出場予定に入っていますが、去年長期離脱を強いられたクレーシーズン。フットワークも多用するこの時期に足回りの不安を抱えているのはかなり不安材料です。

分かりませんが、今年も長期離脱しても何の不思議もないと思っています。

こんな時にしっかり勝ち上がるベルディヒですが4Rにガスケとの対戦があり体力を消耗。そのまま臨んだジョコビッチ戦ではいいプレーも出たものの敗戦し8強。去年4強からまたポイントを失う格好となり、こちらも全仏終了後のトップ10落ちが心配されます。

年初からドーハでSFジョコビッチ(確率1/2)、ロッテルダムを避けたらロッテルダムがラッキードロー、回避した先の大会でキリオスと2回、状態のいいラオニッチ、周りがオープンドローなのにQFジョコビッチとドロー運のなさが響いています。やや心配です。

混戦となったボトムハーフを制するのは誰か。マレー敗戦の地点で残った8人、錦織、ラオニッチ、モンフィス、バウティスタ=アグー、キリオス、ディミトロフ、クズネツォフ、Dzumhurの中で誰が勝ち上がるか。全く分からない状況となりました。

錦織は2回戦でエルベールと対戦。

最初の4ゲームはエルベールが1stサーブを全く入れられず、少しストロークで振り回すだけで崩れたため難なくブレーク。

そのままの勢いで1stセットを取ります。

しかし第2セットに入ってエルベールの1stサーブに苦しみ、リターンミスしていただけのエルベールがリターンを合わせるとそこまで状態のよくなかった錦織がブレークを許す展開に。

正直落としてもおかしくなかった第2セットでしたが、エルベールがSFSでやや気負ったかプレーが落ち込み、前後に揺さぶるスーパーラリーなどもあって錦織が土壇場でブレーク。

タイブレークではピリッとしなかったものの総合力で上回って初戦を確実に通過しました。

なおエルベールは昨日行われたダブルスでマウーとのおなじみコンビで優勝。

レースランキングでも全豪優勝のマレー/スアレスに肉薄。

全米優勝の失効が消えるまでにダブルスランク1位になる可能性も出てきました。

3回戦のドルゴポロフ戦はスコア以上に盛り上がりました。

ドルゴポロフはペース変化、コース変化のうまい選手です。

この日はコース変化がすごく、いいラリーがたくさん見れましたが驚くべきは緩急を使わず、攻め一辺倒で来たということです。

ドルゴポロフは攻めれるボールでもスピンでつなぐ代わりに、全く予期しないタイミングから強打をしてくるなど定石を分かったうえで外すセンスが光る選手ですが、つなぐよりも真っ向からの打ち合いを狙ったか勝負に出ました。

狙いとしてはよかったのですが、最初1ゲームをブレークした後はミスを連発。

こういうプレースタイルをとる限りは仕方なかったのですが、もったいないミスのほうが多くなりやや攻め偏重すぎたかなあという感じでした。

第2セットでは持ち直しますが、総合力で上回る錦織が確実に勝ち切り、スコア上では大差がつきました。面白いゲームでした。

錦織相手には打ち合わず攻めればいい、とよく言われますしそうする選手が多いですが、失敗するとこういう感じになるという典型的な試合でした。

惜しかったのは第2セット4-1でのリターンゲームを取れなかったことです。

あそこで妙に疲れてしまったのがもったいなかったです。ただ暑かったですし、ギアを入れるタイミングは完璧で間違ってなかったと思います。

こういった勝負勘も冴えわたっていますね。

4回戦のバウティスタ=アグーは要警戒でした。

年初から小さい大会で勝ち続け、さらに全豪ではベルディヒにファイナルセット負けと肉薄。

今週もツォンガに勝ってきていて、十分に錦織を倒せる可能性もあったかと思います。

しかし3回戦で省エネゲームで勝った錦織に対し、2時間を超える死闘を勝ち切ったアグーに攻める気力が残っていなかったようです。

ツォンガ戦で見せたような軽快なフォアハンドが鳴りを潜め、ディフェンスをするのみに。

リズムのある打ち合いができなくなってしまったアグーに勝機はなく、錦織がストローク戦で感覚を掴みます。難なく8強へと駒を進めました。

正直この地点で御の字です。

忘れられがちですが鬼門IWで8強。全豪から合わせると主要大会3大会連続8強です。

くどいですがとにかく主要大会で勝っていればランキングが落ちることは絶対にありえません。

そういった意味でも価値ある8強。

特にQF以降は上位との対戦がほとんどですし、そのせいで負けることもあります。4分の1でジョコビッチです。

自分で何とかできるのは4Rまでです。そこまで負けないことは重要です。

そして迎えたQF。今シーズンを今後語るうえで大きなターニングポイントになるかもしれない試合でした。

モンフィスは攻めてきた。持ち前の身体能力に反して拾っていくディフェンシブなテニスをする選手でしたがこの日は攻めがよかった。

第1セットは錦織も合わせきれずモンフィスの猛攻をしのぎ切れず落とします。

第2セット以降は徐々に慣れてきて、モンフィスのセカンドサーブアタックも外れるなどしてペースを取り戻し、第3セットの4-2まで来ます。

しかし30-30で外から強烈なショットを入れたモンフィスが乗ってしまい、4-5の0-40になります。

最初のMPは1stサーブでサービスポイント。

2本目はセカンドのリターンミス。これが地味に助かりました。

そして3本目もセカンドサーブになりましたがモンフィスがミス。我慢のラリーが実を結びました。

さらにもう一度来たMPではフォアの逆クロスでウィナー。5-5とします。

しかししんどいながらも200km/hのサーブを入れ続けるモンフィスに対して、錦織は1stが入らず、12ゲーム目でもMPを迎えます。

ここで錦織はドロップ。モンフィスの返球も悪くなく終わったかと思いましたが飛びついて返したボールがしっかりコートへ。

5本のMPをしのいでタイブレークに入った両者ですが、それでも錦織の不利は変わりありませんでした。

モンフィスが楽々サーブでキープするのに対し幾度とないデュース合戦を繰り広げた錦織のサービスゲーム

同じだけ本数を打つようになれば、その結果は目に見えています。

ただここで助かったのがモンフィスがやや攻めたことです。これによってミスが出てサーブでポイントを取れるようになりました。

先にネットに出てミニブレークをとった錦織でしたが7ポイント目で追いつかれ4-3でモンフィスのサーブ。

しかしここで錦織はドロップショットを使います。

はっきり言って甘かったですが、しんどい状況での振り回しがきいたのかモンフィスが返球ミス。

そして5-3からは粘り強いラリーでモンフィスが先にミス。最後は苦しんだフォアハンドでウィナーを決めて勝利。

マレー戦がクオリティで今シーズン最高だとしたら、モンフィス戦は試合過程で今シーズン最高でした。

正直ストロークで感覚を崩さなければもっと楽に勝っていたかもしれないし、4-2で勝負に出たモンフィスのフォアストレートがアウトだったらあのまま何もなく終わっていたかもしれません。

しかし勝ちは勝ち。錦織は相手MPからの生還が何度もありますが、5本はそうないです(キャリア初?ちょっと記憶がないです)。

このMPからの生還はまさに2年前のマイアミ、フェレール戦にだぶります。

あの時もタイブレークで終わったと思いましたし、確かフェレールサーブもあった気がします。

そんな中勝ち上がった結果が当時としては大躍進の4強でした。

ただその代償は、4月まで引きずるけがでした。

あの時は3時間マッチの後にフェデラー戦。しかもフルセット。

予兆はフェレール戦あたりから感じていましたし、妥当な結果ではあったと思います。

こういった状況から私は翌日のSFを一旦気にするなとして、デ杯マレー戦から通算して10試合目となるSFを半ば諦めていました。

次はもう諦めの境地なんで個人的にマイアミは終了しました ここまで体削られたのでちょっときついと思います— twosetdown (@twosetdown) 2016年3月31日

率直な気持ちです。

連戦の続くマスターズで、しかも前大会からずっと長期で試合が続いていて、忘れてはいけない、あの5時間近いマレーとの死闘から1か月たたずに10試合こなしています。

さすがの錦織も疲れを隠せませんでした。

顔面は紅潮し、最後のほうは表情には疲れが見えました。

30度を超える灼熱のコートで2時間半。

もういいじゃないか。4強取ったんだ。レースポイントは1000を超え、このペースでいけばファイナルだって余裕。力強さと安定感がある。今週は終了した。

しかし忘れていました、この男は、想像を上回る男だと。

キリオス戦での快勝は前記事で。こういうタイトな試合を勝ち抜いた後の錦織は強い。何せ3時間ゲームの翌日にフェデラーに勝つ男でした。

そして私が過小評価していたことがもう一つ。体力的な疲労≠けが ということです。

昔の錦織は一定ゲーム数、一定試合数こなすとけがをする、そんな選手でした。

2014年に入ってもそれはあったと思います。

あの全米の快進撃は直前ののう胞手術なくしてなかったと思っています。誰よりもフレッシュな状態でコートに入り、途中棄権勝ちが1試合あったのですから。

2014年、快進撃を続けた錦織圭は同時に5回のけがを負いました。

デルレイ途中棄権~アカプルコスキップ

マイアミ試合前棄権~デ杯スキップ

マドリード途中棄権~ローマスキップ

のう胞手術でカナダシンシナティスキップ

上海で疲労困憊~バーゼルスキップ

強さの代償がけがでした。

フルスロットルで戦えば誰でも勝てる。それを証明した1年でしたが、それを決勝に持っていくむずかしさ。これを痛感したのがあのマドリード、そして全米でした(4Rから熱戦でなければあるいは…)。

そうです、その時以来の主要大会での決勝を見た目上けがなく迎えました。初のことです。

そしてこれを実現できた理由は、1~4回戦を7分の調整、実力で勝ち切り、QFのモンフィス戦からタイトな試合が始まったからです。体力的には疲れているとはいえ、それでも最小限に抑えられています。

さらにもう一つ。疲労≠けがとしましたが、本来疲労がたまったらけがしやすいとはいえ、一定時間プレーすればけがするなんてあまりにもガラスの体すぎます。

錦織の2014年の快進撃の時は初戦からトップギアでいき、やがて耐え切れず上位ラウンドでけがすることが多かったように思っています。それまでトップ10も遠いような状況の試合ペース、感覚でやっていたものをいきなり54勝もしてしまえば体が壊れるのは当然です。

この2年をかけて、錦織はトレーニングでけがしない体づくりを行いました。

その結果あとマレー戦以降10試合こなしても何の不調も出ていません。

この2点がここ2年の大きな進歩です。この2つなくして今回の決勝進出はなかったでしょう。

そして、壊れてしまったあのマドリードと違い、おそらく試合を最後まで全うできるでしょう。

ついに本当の意味で万全状態でマスターズの決勝に初めて挑戦するのです。

さあここからはジョコビッチ戦の展望です。

ポジティブな側面とネガティブな側面に分けて解説します。

ポジティブな側面

ジョコビッチは4回戦からタイトな試合自体はこなしている

ティエムと戦っている4回戦は個人的にキーゲームです。

というのもジョコビッチがやらかしがちなのは(最終的に勝っているけど)4R、QFあたりです。

4回戦でティエムと当たったジョコビッチはBPを15本与えるなど苦しみました。よくストレートで勝てたなというような内容で、ティエムも十分にチャンスがありました。

そしてこれによってジョコビッチは苦しいゲームを4回戦から戦うようになりました。

さらにQFのベルディヒもいいゲームをして、SFのゴフィン戦はタイブレークのスマッシュミスさえなければセットを落としていたように思います。

そしてこれとだぶる大会があります。そうです、あの2015全仏です。

当時はQFでナダルと戦い圧倒しました。しかしそこでピーキングを持ってきてしまいました。

そしてSFのマレー戦では2セットアップから追いつかれ日没サスペンデッド。3連戦になり疲労がたまり、守備範囲が狭くなったところで超攻撃的なワウリンカにやられました。

そうです、束になれば(そうならないと勝てないというのもあれだが)ジョコビッチには勝てるのです。

こう言ってしまうと失礼ですがティエム、ゴフィンがかなりいい仕事をしたと思います。

この間ジョコビッチはどこにピーキングを合わせたらいいかわからないまま決勝に来てしまいました。

・記録のかかった大事なゲーム

この試合、ジョコビッチには2つの記録がかかっています。

①コーチであるベッカーの通算勝利記録更新

ナダルが持つマスターズ優勝回数を上回り歴代1位に

ジョコビッチはどうしても絶対王者という印象が抜けませんが、気持ちのアップダウン自体はあります。

また大事な大会である全仏やシンシナティでは決勝で負けが続いており、実はつけ入る隙は十分とみています。

・BIG4に対し全力を出せるゲームが続いている

ファイナルのフェデラー戦を皮切りに、IWのナダル戦も最初数ゲームとんでもないプレーを見せてくれました。そして時系列逆ですがあのデ杯マレー戦。錦織はかなりいいプレーをできていると思います。

特に今回のジョコビッチとの対戦はあのデ杯マレー戦以降初。全豪の時の過ちを繰り返さない予兆はあります。

・デイセッションの開催

ジョコビッチが苦しんだティエム、ゴフィンの試合はともにデイセッションでした。

錦織も苦しいですしファイナルセットで体力負けがあり得ますが、ナイトセッションでやるよりはジョコビッチの崩れる方向に期待が持てるのはいい風が吹いていると言えるでしょう。

ネガティブな側面

・体の心配

1日休んだとはいえやはり錦織の疲労は心配です。

実はモンフィス戦終盤以降あのキリオス戦も含めてセカンドサーブの球速が極端に落ちています。80mphを切っていて、女子のセカンドサーブレベルです。

スピンでアタッキングを防いでいますが、通常のジョコビッチであれば合わせてきます。

・それでも、ジョコビッチ

どれだけ相手を追い詰めてもセットすら落とさない。

IWのフラタンジェロ戦以降ジョコビッチはセットすら落としていません。

そして今年まともなテニスでジョコビッチに土をつけた選手は誰もいないのです。

この事実だけは覆りません。けがをする前のフェデラー、得意の全豪でのマレー、IWで復活気味のナダルベルディヒなどが当たっていますが結果は周知のとおり。

ジョコビッチの決勝補正

ピーキングこそ合わせていないといったものの、IW決勝でもあった通りジョコビッチが決勝にピーキングを持ってきているという大会はよく見ます。ドーハのナダル戦しかり、全豪のマレー戦しかり…

今週のジョコビッチの平均がこの後見られればかなり勝機はありますが、こういった決勝の時のジョコビッチが出てくればキリオス戦の錦織だとしても勝利は容易ではありません。

さて試合を分ける個別のプレーに関するポイントです。

ジョコビッチのバックハンド

今週ジョコビッチは苦しんでいますが、その一つの理由がバックハンドです。

簡単なミスを結構犯しているのです。

原因はわかりませんが、普段から錦織とジョコビッチのバックハンドのラリーは長く続き、マッチアップ以上にいい試合になることが多い理由がここにあるのですが、これを起点に錦織が攻めることができる可能性があります。

・錦織のサーブ

さっき触れたように、キリオス戦の錦織のサーブもあまりいいとは言えませんでした。

DFをしないことももちろんですが、それ以上にセカンドサーブがどうなるか。そして1stサーブもポイントです。ここでどれだけフリーポイントが作れるか。

ティエムもゴフィンも、接戦の陰にはいいサーブがありました。

しかしそれを錦織に求めるのは難しいです。何ゲームブレークで止められるかは試合のカギです。

・ネットプレーに活路はあるか?

モンフィス戦、キリオス戦と錦織はネットプレーで要所でポイントを取ることができました。

ネットプレーも初期の頃よりは確実性が増してきました。

ジョコビッチストロークに不安を覚えれば、錦織のネットプレーはかなりプレッシャーになります。

また逆にジョコビッチもラリーが不利と思えばそれを嫌ってネットプレーをしてくるかもしれません。

両者のネットプレーとその結果も勝敗を分けそうです。

ジョコビッチの位置

ゴフィン戦の録画を見ていて思いましたが、ジョコビッチが下がるときにものすごく下がっているということに気が付きました。

攻めるときはコートの中に入って打っていますが、かなり下がっている時間帯もありました。

ジョコビッチが下がっているときは守っているとき。そして耐えられていない時間帯もありました。

ゲームがどのように動いていくかはジョコビッチの守備位置でわかるかもしれません。

・押すべきか、引くべきか

各所で議論されていますが、キリオス戦のように攻めればジョコビッチを崩せるかもしれないです。ですがその攻めは2セット続かないことがほとんどです。続けばGSとれちゃうんで…

またジョコビッチも守ると決めたら本当にしぶといです。またしぶといだけでなくその返球が深いので攻めを続けられません。

このあたり、ジョコビッチの調子を見て攻めすぎたらすぐに戻さないとあっという間に流れを持って行かれます。

といっても錦織は今大会、重要なポイントでラリー→相手ミスorじっくり左右に展開してウィナーで守備的にポイントを取っています。たとえばモンフィス戦のタイブレーク5-3のラリーであったり、キリオス戦のBPとMPであったり。決してリターンエースを取りに行ったりしていません。そうその姿はまさにBIG4のよう。泰然自若。どっしりと構えラリーをしてしかも無理攻めせず先にミスさせています。

このプレーがジョコビッチ戦でも必要です。BIG4、王者を破るわけですから。

最後に懐かしいところから、2年前の私の気持ちをお借りして終わりにします。

ちなみに次勝つと+400でベルディヒを越します。まさか、まさかね…正直インディアンウェルズでハースに負けて以降、コート上で負けてない上にセットもほとんど落としていないので、私の感覚は完全にマヒしています。

フェレール戦の勝利を見て、ナダルにも勝てるかもしれない、そんな気持ちすらあります。あのクレーキングです。そして母国スペインのクレーマスターズ決勝です。

モチベーションの高さに加え今大会の完璧な勝ち上がり。強大な力の前に屈する可能性は十分にあります。

私はこのブログを立ち上げてから2回ナダル戦を観戦しました。

あの時よりも体の状態は一番悪いです。ナダルのコンディションもいい状態です。

だけどなぜか、今の錦織が3つの中で一番勝てそうな気がするんです。

根拠は?と言われると困るところです。錦織にとって有利な条件は何一つありません。相手ホーム、クレー、勝ち上がり、6勝0敗の対戦成績…ですがあのフェレールに手負いで勝ってしまったこと、今までクレーで当たってきた選手に対して見せた異次元のラリー、今の錦織は本当に覚醒しています。

もう2014全豪付近の錦織とは違う別人です。いや、棄権負けだってあるんですよ。それは分かっています。ですが、この選手がどこまで行くのか…どうせ勝っても負けてもこの大会は今日で終わりです、最後くらい夢を見ようかなと思いまして。それにマイアミのあとから言われています。そろそろ錦織はマスターズのタイトルが欲しい時期だと。行ってもらいましょう。千載一遇のチャンス。

そうです、2年前のマドリード決勝の時の文章です。

あの時はクレー10連勝。マイアミからテニスでは14連勝中でした。

明確にマヒしていました。あの時の興奮は今でも思い出します。

振り返って今日、不思議なことに気が付きました。

緊張してます。でも緊張していません。

そこに錦織圭がいることが、2年間で「当たり前」に変わったからです。

正直今回決勝行けるかどうかはドローが出た地点ではわかりませんでした。

しかし、私が望んでいた「IWもしくはマイアミで決勝か、それに準ずる成績でBIG4に挑戦」という目標を見事達成しました。

勝ったのもランキングが上の選手を2人倒した快進撃の2年前と違い、苦しんだものの下位選手にしか勝たずにここまで来ました。

前回のが覚醒、ミラクルだとすれば、今回は順当、当然です。

当たり前じゃないとはわかっていながらもこの言葉が出ます。

実力が付いたからオープンドローで決勝に来れた。

全く違う決勝の舞台がもう間もなく幕を開けます。