2度目の8強は次を見据える8強(2016リオ五輪1R~3R)
8/6 現地11:00~(日本時間23:00~)
1R
[4]Kei Nishikori 6-2 6-4 Albert Ramos-Vinolas
8/8 現地21:00~(日本時間翌日9:00~)
2R
[4]Kei Nishikori 7-6(4) 6-4 John Millman
8/11 現地15:00~(日本時間翌日3:00~)
3R
[4]Kei Nishikori 6-2 6-2 Andrej Martin
出るだけではない。
第4シードという立ち位置になって、五輪の目標も明確にメダル獲得になった今大会の錦織ですが、ここまではおおむね順調と言っていいでしょう。
今大会はシード勢も初戦からの登場。優勝には6連勝、メダル獲得には4連勝+1勝が必要という厳しい大会。
さらに拍車をかけるように3回戦の予定日が雨で中止になるなど、五輪を撤退する理由もわかるほど条件はきついです。
しかし別記事に書くように出場したすべての選手が国を背負い、最後まで熱のこもったプレーをしている姿を見ると、4年に1回はこういうのもありなのかな、と思いました。
現状明確に国を背負ったシングルスのトーナメント大会は通常大会には存在せず、五輪のみ。デ杯とは違い、個人と国が融合したような特殊な空間で、見ていて非常に面白いです。
この記事では錦織戦のみを振り返っていきます。
1回戦のラモス=ビノラス戦は、相手のラモス=ビノラスがノーシード最上位の選手ということもあり心配されましたが、錦織が初戦の入り方を間違えませんでした。
この試合、錦織は初戦にしては珍しくフットワークもしっかり使い、一つ一つプレーを確かめるようにしながらもきっちりといいプレーを続けていきました。
ラケットを拾ってポイントにしたプレーもそうですが、高い集中でウィナーを量産。スコア通りの大差がついた試合で初戦を締めました。
2回戦のミルマン戦はタフな試合になりました。
ミルマンについては私の京都チャレンジャー観戦記に書いてあります。
今回の一件ですっかりミルマンのファンになってしまいました。
こういうことよくありますよね。本当に紳士的で素晴らしい選手でした。また京都やほかの大会に来てほしいです。ランクアップしてDAできるようになったら楽天OPでもいいですね。
さすがに私の好きな選手トップ3である錦織、フェデラー、フェレールは揺るぎませんが、当ブログではこれからはミルマンを積極的に応援していこうと思います!!
こう書いたのが約1年半前。いつか錦織と対戦する日も来るのかなあと思っていましたが、注目度の高いこの五輪での初対戦ということで私は頭を抱えていました(笑)
ミルマンはビッグサーブこそ持っていないものの、そつのないストロークと自分を鼓舞していく姿勢で立ち向かっていく選手です。日本の人向きの選手ではないかなと思います。
試合前はビッグサーブがなく、また一撃で決めるようなパワー系の選手でもないことから、大きな番狂わせは起きにくいと思っていましたが、ミルマンはプレーの精度を高めてくることで錦織を追い込みました。
ウィンブルドンでのマレー戦でもそうでしたが、ここのところミルマンは大きな大会で上位相手にいい試合をすることが続いています。その中でもこの日の試合はマレー戦と並んでベストバウトの一つではないかなと思います。
特に効果的だったのがフォアハンド。クロスラリーで角度のきついラリーをしても、先に仕掛けてフォアストレートを打ち、これがポイントに多く繋がっていました。
ただ、このミルマンに少し狂いが出たのが錦織から見て2-5でのミルマンのボレーミスでした。
この時15-30からのミルマンのミスで、決めれば2つのセットポイントという場面を逃し、そのままキープされました。
3-5で迎えたミルマンのサービング・フォー・ザ・セット(SFS)でしたが、つなぐだけのボールにミスが出てしまい、錦織が一発でブレークに成功します。
その後迎えたタイブレークではとんでもないことが起きます。0-4から錦織が7連続ポイント。7連続ポイントの最初のロングラリーを取り切ったところで流れが大きく変わりました。展開して形を作ってポイントを取れたことで錦織のプレーが変わり、加えてミルマンが守りに入ってしまいました。
特に3-4と4-4でのスマッシュを打たなかった選択はもったいなかった。直前の2-5でのハイボレーミスもあって、振り下ろすショットに対して少し不安を覚えていたのかもしれません。
第2セットもプレーが持続するミルマンが先にブレークしますが、SFSで再び錦織がブレークすることは難しいと思われていた中、その一つ手前のゲーム、3-4のミルマンのサービスゲームで錦織がブレーク。ゲームの流れを理解し、適切なタイミングでプレーレベルを上げたことがよかったです。最後はいつものQMK(急にマッチポイントが来た)パターンでリターンでのマッチポイントを決め勝利。難敵でしたがきっちりストレート勝ちで締めました。
タフなゲームでした。半分以上の時間帯ではミルマンが押していたように感じましたが、結果は錦織のストレート勝ち。ゲームで重要な場面を見つける錦織の嗅覚とプレーが光った勝利でした。
昨日行われた3回戦のマーティン戦でしたが、あまり言及することはありません。
直近のATP250のウマグで決勝に進出はしているものの、そのドローも強敵を次々破ったという感じではなく、チャレンジャーを主戦とする選手で、今回3回戦で当たる選手の中では最低ランクの選手でした。
こうなってしまったのはコールシュライバーが1回戦でペリャを下したあと疲労骨折で棄権して、1回戦を辛くも勝ったマーティンが労せず棄権勝ちで3回戦に進んだからです。
プレーもバックハンドでは攻撃力がほとんどなく、錦織を脅かすようなストロークはフォアハンドで時々出るくらい、という感じで、その実力差がそのまま結果となった感じです。
ただ相手のレベルが落ちたこともあったのか錦織は精彩を欠き、今大会3試合の中で最も内容の悪いゲームとなってしまいました。
しかし勝ちは勝ち。前回ロンドンはフェレールに勝って驚きの8強でしたがデルポトロに完敗。今回は勝ちを拾って着実に8強。まだその上をしっかりと見据えられる勝ち上がりです。
さて気になってくるのは今日の対戦相手ですが、モンフィスが上がってきました。
モンフィスの好調ぶりはもう説明する必要もないでしょうが、今回は五輪であまり普段見ない人の閲覧もあるでしょうから軽く説明します。
・ランキング11位は上位から見たQFの相手としてはランキング最も高い
・レースランキングは8位、初のロンドンが射程圏内
・夏の成績は、ワシントン(ATP500)優勝、カナダMS4強(優勝の可能性もあった地元ラオニッチを下す)
はい。全く楽な相手ではありません。
ドロー解説ではチリッチ、モンフィスどちらが来ても厳しいQFと評していましたが、その通りになりそうです。
チリッチとモンフィスの3回戦も見ましたが、非常にレベルが高かった。正直マーティン戦の錦織ならどちらと対戦していても負けていたと思います。
ただ、マーティン戦の錦織はさすがに対戦相手の状況を考慮して少し省エネのプレーだったとは思います。風も強く、コンディションは難しかったです。
テニスは対戦相手が変わればがらりと内容も変わりますから、今日はしっかり上げていくことを期待したいです。
ではモンフィスに対してどうしていけばいいのか?ということですが、このヒントになるのは過去2回の対戦データです。
過去2回は2014年ハレで6-1、3-6、6-3、2016年マイアミで4-6、6-3、7-6(3)というスコアで錦織の2戦2勝です。
モンフィスはご存じのとおり非常に上限の高い選手で、ハレの第2セット、そしてマイアミの1、3セットは非常にレベルの高いプレーで錦織も全く手が付けられないような時間帯が続きました。
しかし一方でそのプレーは精度、実力こそ高いですが3セットフルに続くことはめったにありません。あのマイアミの死闘ですら2セット目は少し落ちました。
錦織としては、うまく隙のある時間帯でブレークをしてリードを取ることが重要です。
そのためにはモンフィスのサーブに要注意。220km/h出ることもあり、要所でサーブだけで止められると厳しい。重要な場面でのモンフィスの1stサーブの確率と錦織のコンバージョン。ここがカギになってきます。
以前よりもモンフィスはプレーにむらが減り、守備の時間帯でもしびれを切らすことがなくなり、このあたりが今シーズントップ10級の活躍をしている理由だと思います。
錦織にチャンスは少ないです。ミルマン戦で見せた取りに行く時の嗅覚。これを最大限に研ぎ澄ます必要があります。
また戦術面で気にしたいのがコート。リオのコートは全体的にかなり遅い印象を受けます。
チリッチ戦でもチリッチの強打がことごとく減速し、モンフィスのディフェンスを崩すのに効果的でなかったというコメントが海外ファンの中で相次ぎました。
錦織としては、攻めに重点を置きすぎてモンフィスに拾われ、先にUEが出て自滅していくパターンは絶対に避けないといけないです。
マーティン戦の内容だとこれが起きそうなので…これが起きるとあっけなく負けることになります。
今シーズンのモンフィスの内容とチリッチ戦の内容から言って勝率は全くの五分、と見ています。
すでに入賞は決まっていますが、メダル獲得のためには絶対に負けられない一戦です。SFは負けても3位決定戦があるけど、今日はそういうわけにはいきません。
タフマッチですが、何より好ゲームを期待したいです。