two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

【ドロー解説】2016ツアーファイナルズの展望

こんばんは。

いよいよ日付が変わって今日日曜日から、テニスのお祭り、バークレイズ・ATPワールドツアーファイナルズが開幕します!

詳細な大会フォーマットについては過去の記事を参考にしてください。

2014プレビュー

2015プレビュー

終戦はポイントの稼げる大会ですが、それ以前に「テニスのお祭り」です。

上位8人/チームしか出場できず、毎試合レベルの高い試合が1週間で単複合わせて30試合見れるという大会です。

今シーズンはいろいろと不安視されるところも多いですが、まずは1年間どんな時期も戦い抜いてきた選出選手と、惜しくも敗れてしまった選手に敬意を表してから始めたいと思います。

会場のO2アリーナは今年で8年目。そろそろ他都市への移動も考えられるところですが、今のところそういった動きは見られていません。

収容人数、試合コートは1つ、照明や各種電光掲示板付きととにかく環境が特殊。まずはドロー解説に入る前に09年以降のファイナル(=O2アリーナ)での成績をまとめたいと思います。

1.マレー    8-10 4強×2、RR3位×3、RR途中棄権×1

2.ジョコビッチ 24-6 優勝×4、4強×1、RR3位×2

3.ワウリンカ  6-6 4強×3

4.ラオニッチ  0-2 RR途中棄権

5.錦織圭    3-4 4強、RR3位×1

6.モンフィス  初出場

7.チリッチ   0-3 RR4位×1

8.ティエム   初出場

※RRはラウンドロビン(予選リーグ)のこと

O2になってからのこの7年間、BIG4支配の時代が続いている中、実はファイナルに限ってはジョコビッチ優勝4回、フェデラー優勝2回、ダビデンコ優勝1回となっていて、BIG4別に比較すると

ジョコビッチ→優勝4回(上海時代に優勝+1)

フェデラー→優勝2回準優勝3回(上海時代に優勝+2、準優勝+1、ヒューストン時代に優勝+2)

ナダル→準優勝2回

マレー→決勝進出なし

という成績になっています。

O2アリーナを得意としているのは、インドアが得意なジョコビッチフェデラーの2名。

対して錦織にインドア2敗(全米は途中から屋根つきでインドア相当)したのが象徴的なマレーは、地元大会でありながら決勝進出すらありません。

さらにナダルはシーズン終盤けがで欠場したり調子を落としていることが多く、(本人比で)インドアシーズンは苦手。

ここ4年中3年がジョコビッチ×フェデラーの決勝カードでした。

そのフェデラーが今年はいません。ナダルもいません。

今大会は必ず

・O2アリーナ初勝利(レンドルグループから誰か確実に)

・初の準決勝進出

・初の決勝進出

が出る大会です。

例年の固定メンバーが残念ながら外れてしまったことで、結果が興味深い大会になりそうです。

マッケンローグループ(A組)

[1]マレー

[3]ワウリンカ

[5]錦織圭

[7]チリッチ

すでにメディア等でも死の組という表現が出回っていますが、100人に聞いても100人がそう答える、ドロー上起きる可能性のあった最も最悪の厳しいブロックです。

インドア補正もあり、錦織にはチャンスがあります。

メンフィス4連覇もそうですが、既出の通りこのO2アリーナでマレー勝利と、O2のインドア環境にも慣れていて(3年目)、まだファイナルで敗れたのは先ほどO2大得意としたジョコビッチフェデラーのみです。

この間に錦織はベルディヒフェレール、マレーに勝って通算3勝4敗。

5割切っていると悪い印象を受けますが、ファイナルの仕組み上、2勝1敗RR勝ち抜け→準決勝敗退でも2勝2敗の5割。

つまり決勝付近まで行かないと勝率が5割を超えることはなく、非常に難しい中3勝4敗は健闘しています。

その通算勝率が5割の[3]ワウリンカは読めません。

過去毎年予想を裏切る好成績を挙げています。

ワウリンカの過去3年間のアジアシリーズ以降を見ると

13 (全米SF→)デ杯PO1勝→クアラルンプールSF→北京2R→上海QF→バーゼル1R→パリQF(500p)

14 (全米QF→)デ杯SF1勝→楽天1R→上海2R(初戦負け)→バーゼル1R→パリ3R(170p)

15 (全米SF→)デ杯PO1勝→メズQF棄権→楽天優勝→上海8強→バーゼル1R→パリSF(1090p)

16 (全米優勝→)サンクトペテルブルグ準優勝→楽天欠場→上海3R→バーゼル8強→パリ2R(初戦負け)(340p)

と、15年を除けばおおよそ低迷した成績であることがわかります。

このデータからRR敗退予想にした年もありましたが、13~15年ではすべてRRで2勝1敗。ファイナルにきっちり合わせてきています。

やはり錦織としては初戦のワウリンカ戦が大きな山場になると思われます。

サッカーW杯でも予選リーグは初戦が大事と言われますが、こう考えても初戦はかなり重要です。RRを通過できるかはほぼここで決まるという見通しを立てています。

[1]マレーにとっても厳しいブロックです。今シーズン絶好調の後半戦で敗れたばかりの錦織、チリッチに加えて、通算成績が五分に近い(マレーから見て9勝7敗)ワウリンカとの対戦です。初の年間1位に向けてはおそらく決勝進出が最低条件。ジョコビッチがRR敗退すれば別ですが、その確率が薄いことを考えれば自力で勝ち上がるしかありません。

[7]チリッチはバーゼルからずっと調子がよく、今大会のダークホースであることは間違いないでしょう。

ただ2年前に、インドア得意だしジョコビッチ以外がベルディヒワウリンカなら勝って4強に行くんじゃないか?と思って予想を立てたらあっさり裏切られ、まさかの0-3(獲得セット0)で敗戦したことも考えると、なかなか難しいのではと思います。

またデ杯決勝も控えており、チリッチにとってファイナルに割ける体力・精神面がどれくらい残っているか。ここに依存すると思います。

正直このグループは読みにくいのですが、おおよそ次の要素に依存します。

・マレーの疲労度

・マレーのO2適性度(ネガティブ面として機能するか否か)

・ワウリンカの疲労度(試合はこなしていないが、全米後から疲れを口にすることが多い)

・ワウリンカのO2適性度(ポジティブ面として機能するか否か)

・錦織の疲労度

・チリッチの疲労度(パリのSFではさすがにフィジカルが落ちていた)

・チリッチのモチベーション

これのどれがどれくらい効くかはやってみないとわかりません。

正直どんな結果になってもおかしくありません。

ここ2年しかテニスを見ていない人は、ファイナルの結果はほぼ上位から順当にという感じになっていてある程度予想可能というイメージがありますが、過去にはダビデンコの優勝や、ナルバンディアンが決勝フェデラーに2セットダウンから逆転勝ち(05年当時決勝は5セットマッチ)、などシーズンの流れからは予想できない波乱も多い大会です。

今回マレーのRR敗退もゼロではないと思います。それほど厳しいです。

レンドルグループ(B組)

[2]ジョコビッチ

[4]ラオニッチ

[6]モンフィス

[8]ティエム

[2]ジョコビッチはこのグループ唯一のWTF勝利経験あり、さらにほかの3人に対して通算全勝。

楽勝でRR通過…と言いたいところですが、今は不安しかありません。

好調とはいえチリッチに、そして上海ではアグーに負けており、全米では2つの棄権というドロー運で決勝へ。

ここのところのジョコビッチは元気がありません。

また2011年には序盤戦快調に飛ばし、全仏SFまで開幕から無敗という記録を作ったものの、終盤はけがに苦しんでWTFでは2敗。年間6敗で終えたジョコビッチでしたが、バーゼルでの錦織への敗戦も含め終盤は散々でした。

私にとって重なるのはこの2011年です。

ジョコビッチ盤石には変わりありませんが、相手を下回ればあっさり負けるのがテニスでありファイナル。3勝0敗も本当に実現できるかは不透明です。

ジョコビッチが3勝0敗だったと仮定すると2位争いは混沌とします。

[4]ラオニッチが有力と見ています。けがからの復帰を心配する声を聞きますが、

・当初の回復予定日数より早くコートに出て練習をしている

・ファイナルの選手関係の仕事はすべてこなしている

・そもそも軽いけががあったとはいえ、マレーとの試合の前日にはツォンガを2セットで圧倒していた

こういった事実からも、ラオニッチ有利と見ます。

しかしあまりにも足が動かなければ話は別です。

[6]モンフィスはレンドルグループの台風の目という予想です。

会場がお祭り騒ぎになり、演出も豪華なファイナルでモンフィスが躍動しないわけがありません。

いつも以上に会場を盛り上げるプレーを見せてくれるものと期待しています。

[8]ティエムは初出場ということもあり、また最近のプレーレベルから考えると厳しそうです。

予想

非常に難しいですが

マッケンローグループ

1.マレー(3-0)

2.錦織(2-1)

3.ワウリンカ(1-2)

4.チリッチ(0-3)

レンドルグループ

1.ジョコビッチ(3-0)

2.ラオニッチ(2-1)

3.モンフィス(1-2)

4.ティエム(0-3)

準決勝

ジョコビッチ、マレーが勝利

マレーが優勝

かなり安パイを切っているのはいつものTSDさんだから。

錦織×ワウリンカがまず最大のカギとなるマッケンローグループ。おそらくここで勝ったほうが2位通過でしょう。

ただもし第2戦で錦織がマレーに勝ち、ワウリンカがチリッチに勝つとなんとその地点で錦織のグループ1位が決まります(なんでそうなるかは説明略、ルールで決まっています)。

錦織陣営としては、まずここを目指したいところです。

というのも年末4位、3位の挑戦にはSF進出だけではなく、SFで勝つことが条件になってきます。

陣営としては、もしファイナルのターゲットを3位もしくは4位獲得にするのであれば、RR3勝してあとはワウリンカラオニッチの結果待ちにするか、2連勝で1位通過を確定させ、3戦目の実質デッドラバーとなるチリッチ戦をやや流してSFに備えるという2パターンを想定するべきです。

いずれにしても2連勝スタートを切ると相当見えてきます。というのもRR1位を確定させた瞬間、高確率でジョコビッチとの対戦を避け、ラオニッチorモンフィスorティエムの2位通過選手との対戦が決まるからです。

マッケンローグループは日程的に不利となり、RR3戦目と準決勝の間にインターバルがないので、RR3戦目をどう捉えるかは非常に重要です。

マレーとジョコビッチの1位争いですが、私はマレーがグループを通過さえすれば問題なく行くと思っています。

そして今のマレーなら、ジョコビッチにテニスでしっかり勝てると信じています。ジョコビッチに準決勝or決勝で勝って、誰もが納得する形で1位を決めてほしいです。もちろんそこでジョコビッチが勝てば高確率でジョコビッチが1位なのでそれでもOK。

とにかく、準決勝以降でぜひこの二人の対戦を見たいです。

大会は日曜からのスタートです。8日間、あっという間です。

レポートは限りなく厳しいことを先に断わっておきますが、見れたら見たいと思いますし書きたいと思います。それでは。