2019全豪OPドロー解説&4回戦まで振り返り その1
こんにちは。
珍しく昼の更新です。
12日から14日まで大阪にいて、へばってしまいました。疲れが全く取れず、かといって見る試合も多いまま気が付けば1週間…本当にすいません。11日に書ききれなかった段階でもう消化できる時間がありませんでした。
今日はちまちまと書き溜めていたドロー解説を公開しそびれたので、4回戦までを振り返りながらついでに公開するというものです。したがって、ドロー表と解説と感想とになってものすごく長くなってしまったので、2つに記事分けしました。内容は完全に地続きになっていますので、こっちから読んでください。
昨日及びここまでの錦織戦については、夜に頑張りますが、長くなりすぎて間に合うかは不明…幸いもうQFで試合に張り付く必要性が減ってきたのでじっくり書けるはず…
①ジョコビッチ山
[1]ジョコビッチ
(Q)クルーガー
(WC)ツォンガ
クリザン
(Q)コキナキス
[25]シャポバロフ
[21]ゴファン
ガリン
グラノジェルス
コピル
ベセリ
ハリソン
(Q)Harris
[15]メドベデフ
[12]フォニーニ
ムナー
ジャリー
マイヤー
イバシュカ
ジャズーリ
(Q)バンニ
[23]カレノ=ブスタ
[32]コールシュライバー
(WC)リー
ペリャ
ジョアオ・ソウザ
カルロビッチ
Hurkacz
(Q)マイクシャク
[8]錦織圭
GS3連勝を狙う[1]ジョコビッチは難しいドローになりました。2回戦にはツォンガの可能性。けがでランキングを落としていましたが、ブリスベンではデミノーを破ってベスト4と復調してきています。本来であれば2回戦までに当たらないような相手、ジョコビッチも油断なりません。
さらに3Rは大舞台に強い[25]シャポバロフ。これも嫌な相手です。未対戦というのもシャポバロフには追い風でしょう。
そして4Rには昨シーズン終盤に大きく躍進し、今期もブリスベン準優勝でスタートした[15]メドベデフがいます。[21]ゴファンを倒し、順調に上がってくるようなら危険です。
正直、だれが来ても特に影響ないと言えるほど、今のジョコビッチが信頼できるかが微妙なのがここまでの見立てに表れています。
確かに18年後半は勝ちっぱなしでしたが、カナダでチチパス、NAF決勝でズベレフに負けています。一枚岩ではないと思います。
さらに心配なのがドーハ。アグーに負けただけでなく他2試合でフルセット。ぴりっとしません。
2015年はドーハで敗れた後とんでもないシーズンを過ごしましたが、この時は大当たりのカルロビッチに負けただけなので、今回のような大会通じてよくない状態で、一発というよりは安定感のあるタイプのアグーに負けていることがとても引っ掛かります。
今回の錦織から見たドロー見立てでは「よりにもよってQFで対戦」という声が出ていますが、私はあまりそう思っていません。早期敗退の可能性もあるし、そもそも本当に状態がいいならQFで当たっても決勝で当たってもあまり変わりありません。
それよりは、微妙な状態で勝ち上がってきてなんとかQFで当たる方が、フェデラーや元気な(と仮定した)ナダルよりもやりやすい可能性もあります。
初めて前哨戦を優勝して入ってきた[8]錦織圭に注目が高まっています。
初戦のマイクシャクは未知数です。チャレンジャークラスの選手ですが全く知らないので解説のしようがありません。出たとこ勝負でしょうか。しかし難なく片づけてほしいです。
2回戦ですが、正直ベスト8まではここが最大の山場だと思っています。
カルロビッチは私がブリスベン優勝後の放送枠で、引きたくないノーシード選手として挙げた数少ない選手の一人です。他にはマレー、ワウリンカ、キリオスなどです。
現状錦織の高いプレーレベルがある以上、これを破るには上限の高さが必要で、それができるのは元トップ選手か、ビッグサーバーしかいません。
カルロビッチはプネーで準優勝。かなり匂います。16全米では3セットで退けましたが、今回はどうでしょうか。
3回戦は[32]コールシュライバーか。過去3戦すべて相手を圧倒して勝っており、GSでの2度の対戦経験と、やりやすさを感じます。ソウザ、ペリャの可能性もありそうです。
4回戦は[12]フォニーニか[23]カレノ=ブスタでしょう。このブロックはクレーコーターが揃っており、他のノーシード選手が来てもきっちり相手にできそうです。
順当にいけばジョコビッチと錦織のQFは、ジョコビッチにとって楽な試合となるでしょうか。全豪、連敗中、QF。14年全豪のような匂いも少し感じます。(ちなみに、逆山の上位シードがフェデラーとナダルなのも5年前と全く同じです、ひえー)
ダニエルはコキナキスとの初戦。なかなかけがで上がってこれないコキナキスですが、5セットマッチでダニエルの粘り腰が出せるか。
錦織については別記事で。
ジョコビッチの勝ち上がりは普通くらいでしょうか。メドベデフの猛攻やシャポバロフの一発もありましたが4セットに留めています。しかし言い換えればもう2セットも落としているとも言えます。
2015年のような、あのどうにもならない強さではないのではというのが私の見解です。試合1秒も見てないですが。
ただツォンガ→シャポバロフ→メドベデフの3タテは見事です。
ダニエルはラッキーでした。年明けからLLで拾われるなどかなりついています。一方心配なのはコキナキス。サーブの球速もかなり落ち込み、最後は1セットアップからのリタイア。
上位に行ける素質を持つ5セットを勝ち切れる力を10代のころから発揮していたコキナキスですが、ここまでけがが付きまとうと今後厳しいと言わざるを得ません。オーストラリア勢ではキリオス以上に、私はがっかりしています。
ゴファンは相手が悪かったか。再起をかけるシーズンになりますが、大きくまずかったというわけではないと思います。
マイクシャク、今後確実に上がってくると思います。
錦織を負かしたり接戦まで持ち込んだりした若手は軒並み上がってきています。
歴史的に辿ってみても、メドベデフ、シャポバロフ、ズベレフは言うまでもありませんが、接戦だったマクドナルドやフリッツ、チョンも当時より確実に上がってきています。ここに挙げない選手でもたくさんいます。
よく「錦織は相手のレベルも引き上げてしまう」なんて言われますが、そもそも相手についてこれるレベルがなければ勝負になりません。つまりマイクシャクにもポテンシャルがあることは間違いありません。今後チャレンジャーは要チェックです。
カルロビッチはもう復活と言っていいでしょう。もはやカルロビッチの場合、ローズウォールが持っている数々の年長記録への挑戦が期待されます。2回戦はその一端を見たような気がします。
フォニーニは少し心配でしょうか。昨シーズンは静かに活躍し、夏場にも崩れず上位進出ですが、今の入れ替わりの激しいATPでは気を抜くとすぐ落ちます。厳しいです。
②ズベレフ山
[4]ズベレフ
ベデネ
シャルディー
アンベール
(WC)ボルト
(WC)ソック
(Q)フラタンジェロ
[29]シモン
[24]チョン
クラーン
クエリー
エルベール
ワウリンカ
グルビス
キリオス
[16]ラオニッチ
[11]チョリッチ
ダルシス
ラモス=ビノラス
フチョビッチ
ジェレ
ドンスコイ
クライノビッチ
[17]チェッキナート
[28]プイユ
ククシュキン
マーテラー
(Q)Sakharov
(WC)ポプリン
M・ズベレフ
ペール
[7]ティーム
初のGSベスト4以上へ。NAFタイトルを獲得し、もう残すはGSの結果だけとなった[4]ズベレフの今期初陣です。3回戦までは比較的いいドローではないでしょうか。
4Rは注目です。まず昨年全豪でメンタルゲームの末敗れた[24]チョンがいます。
チョンはけがの影響でなかなかポイントを伸ばせず、気が付けば今回早期敗退すると大幅にランキングを落とします(トップ50陥落の見通し)。
そしてこのブロックの注目は[16]ラオニッチです。なんと2回戦までにラオニッチ×キリオス、ワウリンカ×グルビスの勝者との対戦が決まっています。
これらの勝者と対戦する4Rがズベレフの最初のポイントです。ここから2つ勝てば初のベスト4、しかも自分より下位ランクとの選手の対戦だけで達成できるのですが…
反対のブロックは上位シード優勢か。
[7]ティームも最近ハードのGSで勝てるようになってきました。昨年サングレンに負けたのは衝撃的でしたが、今年もちょっとトリッキーなドローになっています。初戦がペール、2回戦がサーブ&ボレーヤーのミーシャ、3回戦にも小技の利く[28]プイユや一発のあるククシュキンがいます。
昨シーズンMSベスト8を3回以上と力をつけてきた[11]チョリッチもいいドローです。順当にいけばこの二人でベスト8を争いそうです。
マスターズ優勝に続いてNAF優勝と、もう未来のナンバー1としてくっきりと視界が開けてきているズベレフ。しかし、GSで上位に行けなければナンバー1はあり得ません。機はいよいよ熟したのではないでしょうか。
うーん、やはりというべきかズベレフ4回戦敗退でした。
ラオニッチがずいぶんよかったようですが、世界4位として見せ場のない敗退というのはどうだったのでしょうか。
今回機は熟したと書きました。昨年のディミトロフと違って、ズベレフは若手ながら確固たる地位を築き、上がっていく一方でのあのビッグタイトル獲得。かつてデ杯優勝がその役目を負ったように、昨年のズベレフのNAFタイトルは今後彼のキャリアの転換点になると思っていました。それだけに、結構ショックが大きいです。
あと気になるのがズベレフの敗戦パターン。アーリーラウンドで下位選手に躓きフルセット。そして3R~QFで強い選手に普通に負ける。パターン化されているのが気になります。
昨年ついにトップ50の選手にGSで勝ったとはいえ、今回のラオニッチに象徴されるように、本質は変わっていません。全米でも下位シードのコールシュライバーにやられています。
もう偶然では済まされない領域に入ってきました。このままだと、GSで突き抜ける若手に追い越される可能性もあると思います。
チョンは出直しになりました。けがの影響が大きいので、普通に勝っていけばランキングは戻ると思いますが、ランキング上はアジアのチャレンジャー番長だった時代に逆戻り。同世代は来ています。彼もまた勢いにのまれないことを願います。
注目だったブロックを勝ち上がったラオニッチは充実しています。スタッツを見ても完璧。ワウリンカ戦はかなりレベルの高い試合のように見えました。逆にワウリンカも心配することはないでしょう。2月シーズンどこかで優勝もあるんじゃないでしょうか。
キリオスはちょっと難しいですね。とにかく彼の場合はけがなくムラなくやること。それに尽きます。新デ杯とかきっかけになってくれればいいんですが…助けてヒューイット(ドラえもんを呼ぶ声で)
ショックだったのはティーム。負け方もそうですが、何か病気のような症状でオーストリアに戻ることを検討と書いていました。続報待ちですが、かなり心配です。
そしてこちらも心配なのはチョリッチ。4回戦敗退ではあるものの、ジャーナリストのモルガドさんが「彼のテニスではない、けがが関連していないといい」とコメントするなど、本調子とは程遠そうです。
確かにチョリッチは以前からnextgenの中でけがが多い選手でした。ズベレフが丈夫であるように、かなりタフなプレイヤーも出てきている中、チョリッチの場合はそこが心配な点です。今シーズントップ10狙えると私は思っているので、気がかりです
※もっとも、今シーズンに限って言えばトップ10狙えると思われている若手、中堅はいったい何人いるんでしょうかというくらい多い。相当熾烈な戦いになると思います。
そして壁を越えたプイユを絶賛したいと思います。ご存知の方も多いと思いますが、プイユはMS以上のグレードの成績が最近さっぱり。
全米でナダルを破った印象が強いですが、もはや最近のテニスファンには「年に数回250や500のタイトルに確実に絡んでくるが、MSやGSではそこそこのラウンドで敗退」という認識の方が強いのではないでしょうか。成績のタイプで言うと少し前のコールシュライバーやシモンに近い感じ。
それだけにこの結果は驚きです。QFのラオニッチは過去1セットも取れていない相手ですが、かつての「爆発力のプイユ」炸裂なるか。
後半は夜に仕上げます。