two-set-down新章

two-set-down新章

スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

西岡良仁、IWマスターズベスト16!

やってくれました、西岡良仁、IWマスターズでベスト16進出の快挙です!

2017年にもベスト16に入っていますが、この時はイメール→カルロビッチ→ベルディヒと3タテし、ワウリンカにも肉薄。大会のベストバウトにも挙がるほどの試合を演じました。
この当時の西岡は乗っていました。アカプルコではベスト8、ナダルと対戦。自己最高ランクを更新し、45位に到達できる勢いでした。

今回のIWで2年前の自分を思い出せれば、この後も勝っていけるでしょう。今はツアー優勝もして当時よりも厚みが出てきています。45位に向けての話は最後に。

 

初戦はクドラ。よく練習をする仲でやりづらかったかもしれませんが、試合中盤に打開するとブレークの嵐。最後は試合を支配して勝利。

2回戦はバウティスタ=アグー。全豪ベスト8の強敵でしたが、スコアだけでなくテニスでもしっかり上回りました。堅実なプレーが持ち味のアグーからミスを引き出し、ストレート勝ち。

アグーは少し心配です。ドーハでジョコビッチを破って優勝、さらに全豪でも死闘の連続でベスト8と充実していましたが、ここに来て2月はわずか90p、IWでも初戦負けと失速。レースランキングも後退しています。初のトップ10に向けて、早めの修正が必要。

3回戦の相手は今最も勢いのある若手の一人、オージェ=アリアシムです。
アリアシム、チチパスを破ってきただけのことはある素晴らしい選手でした。
開脚ディフェンスもできるし、一方ではまった時の攻撃力は見事でした。ディフェンスが売りの西岡から53本のウィナーを取りました。フォア28本は圧巻です。

西岡はこのアリアシム相手にやることを徹底しました。
まずは相手のバックハンド深めにボールを集める。フォアハンドのスピンボールを打ち続け、アリアシムに攻撃のチャンスを与えませんでした。
耐えかねてアリアシムも回り込みフォアを打ちますが、やはり無理な攻めになってしまいます。強引に決める時もありましたが、ラリー戦は見ごたえのある戦いになりました。
そして攻めると決めたときはフォアストレートやバックストレートを多用。相手にミスさせつつ、自分もチャンスを逃さない。コートにフィットした西岡のテニスは大爆発していました。

1セット目は互角の戦いでした。タイブレークで上回ったアリアシムがセット先取。
しかし1セット目でBPすら与えなかったアリアシムが上がっていきます。先にブレークし、試合を決めにかかります。
ここから西岡の粘りがさく裂。なんと4ゲーム連続でサービスをブレークし、3セット目序盤まで西岡が試合を支配。セカンドサーブを狙っていき、アリアシムのサービスゲームは崩壊。ファイナルセットも5-1となります。
しかしここで開き直ったアリアシムがスーパープレーを連発。再三のMPをしのぎ、5-5に追いつき、そのままタイブレークに突入します。
このころにはアリアシムのエース率も上昇し、フリーポイントがとりにくい西岡は苦しい立場に追い込まれます。粘りでポイントを取るも、エースを打たれる分の差が付き、4-5、アリアシムサーブ2本となり絶体絶命。
しかし西岡は諦めませんでした。4-5からは全て西岡の粘り勝ち。最後はネットにかかったボールが浮いてアウトになるラッキーがありましたが、重要なポイントで試合中盤までことごとくネットやチャレンジが西岡に味方しなかったことから、我慢した分のお釣りと思っておきましょう。

4回戦はケマノビッチ。ランキング見た目上は大チャンスでしたが、体が追いつきませんでした。腰回りを痛め、最後はサーブもまともに打てない状況となり無念の棄権負け。

しかしこの試合はケマノビッチを褒めたい。仮に西岡が健康でも勝っていたかもしれません。攻守とも力があり、最後無理攻めに出た西岡の猛攻もしのぎ切っていました。LLで上がってきた選手とは思えないパフォーマンスでベスト8へ。最近のATP、本当に怖すぎる…我々の知識が揃っていく前にどんどん選手が出てきます。
ちなみにこのケマノビッチは、錦織のダラスチャレンジャーの時にあと1試合で対戦していたかもしれなかったのです(QFでジュンに敗戦、SFで当たる可能性があった)。豆知識程度に。

 

西岡、最後は残念な結果でしたが、しかし4回戦まで進んだのは収穫です。復帰後としてはCH優勝とほぼ同ポイントとはいえ、最高成績と言っていいでしょう。 

残念なことにマイアミの欠場が決まってしまいましたが、これは仕方ないでしょう。ゆっくり休んで、クレーシーズンで再び暴れてほしいです。


さて気になるのは西岡の今後のランキングです。
9月に深センで優勝している西岡。ポイントは後半戦に固まっており、IW躍進前から私は45位を狙えると思っていました。
参考・全豪ドロー解説で言及 2019全豪OPドロー解説&4回戦まで振り返り その1 - two-set-down新章

最近予選上がりやとんでも優勝の話題が多いですが、それでもなお、ツアー1勝とトップ50がほぼ同じくらいの難易度だと思っています。西岡は優勝したわけですから、このうちにトップ50、そして、修造さんの記録である46位を超えたい。

結論から言えば十分可能だと思っています。
IWを終了した西岡のポイントは809ポイントですが、このうちWBまでに失効するポイントはなんとわずか143ポイント。GSは2大会とも出さえすれば20pですから、実質あと123ポイントです。今の西岡であれば、250ならQF~SF程度がきっちり取れるのですぐに行けると思います。現実的には300ポイントくらいを稼いで、1000ポイントに届きたい。

1000ポイントは、今週のランキングであればちょうど46位です。
私が提唱した、20位以下の選手のランキングは、時期に関わらずほぼ一定の相関であるという理論から、やはりターゲットはこの1000ポイントになってきます。
ちなみに、正直ロスカボスのQF以外はさっぱりなので、深センまでに達成すればというくらいの長いスパンですが、そこまで勝てていないとむしろまずいので、前半戦のうちに決めたいですね。
あと、昨年はけがで復帰する途中で、PRを使って初戦負けというパターンが多かったので、実はそもそも18大会ポイントが埋まっていません。勝てば自動加点状態なので、そんなに厳しい目標ではないです。
トップ50に上っておくことは、11月のデ杯でも大きなアドバンテージになります。ツアー経験がものを言います。今年はこのままツアーで戦い抜いてほしい。