two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

閑話球題2019 ②あの頃のネクストジェネレーションファイナル 後編

さていよいよ後編です。

この記事は前編からそのまま続いているので、まだ読んでない人は前編から読むことを推奨します。

2009年、メンバーがいきなり一変します。 

 

2009

2009   pts year age
5 デルポトロ 6050 1988 21
13 チリッチ 2400 1988 21
52 コロレフ 852 1988 21
92 グルビス 555 1988 21
98 デバッカー 541 1988 21
127 リバ 435 1988 21
136 ドルゴポロフ 419 1988 21
142 マナリノ 391 1988 21
165 (ブラジル)ソウザ 312 1988 21

 

若手トピックス・デルポトロが全米OP優勝、チリッチが250を2勝してトップ20入り

いきなりGS優勝出てきちゃったよ

この年の21歳世代は1988年。デルポトロ、チリッチと、のちのGSウィナーを2人輩出していて、現在のところ最も若いGSタイトル保持者がいる世代です。

そしてこの年はリザーブまで込みですべて21歳世代。89~91世代は何をしているんだ…
なお錦織は故障で離脱。このけががなければ確実に食い込んでいたでしょう。というかこの年にproject45を達成していた?

 

 

2008

2008   pts year age
3 ジョコビッチ 4575 1987 21
4 マレー 3420 1987 21
9 デルポトロ 1875 1988 20
25 チリッチ 1125 1988 20
41 クエリー 855 1987 21
54 グルビス 719 1988 20
65 錦織 643 1989 19
66 M・ズベレフ 624 1987 21
76 フォニーニ 566 1987 21

 

※この年からランキングシステムが違うのでポイントは参考程度に見てください

若手トピックス・ジョコビッチが全豪OP優勝を含む4勝(ツアー全体3位タイ)マレーがMS2勝を含む5勝で躍進(ツアー全体2位)、デルポトロが4大会連続優勝錦織が18歳2ヶ月でツアー初優勝

なにこれ。

ここで前回の記事の2010~14年付近とメンバー、ランキングを比較してみてください。言うまでもないでしょう。
この年は1987年組が21歳世代。ジョコビッチ、マレーが若手の頃です。

とか言いながらジョコビッチとマレーでMS4勝しているうえに、ジョコビッチがGS優勝。BIG4時代の下地ができています。
さらに言うと、この年の年間1位の「あの人」は1つ上の22歳世代です。

この頃までは、21歳までの選手が当たり前のようにGS優勝争い、最終戦メンバーに名を連ねるのが常識でした。

このそうそうたるメンバーの中に19歳になっていない錦織が食い込んできているのだから、期待が集まるのは当然ですね。私も当時はすごさを認識できていなかった…

 

2007

2007   pts year age
2 ナダル 5385 1986 21
3 ジョコビッチ 4470 1987 20
12 マレー 1705 1987 20
13 ガスケ 1680 1986 21
37 モンフィス 747 1986 21
51 デルポトロ 654 1988 19
53 グルビス 648 1988 19
62 クエリー 605 1987 20
74 チリッチ 533 1988 19

 

若手トピックス・ナダルが全仏3連覇を含む6勝ジョコビッチがMS2勝で大躍進、マレーがトップ10入り

もうこの8人とリザーブのチリッチがGSQFのメンバーだよ(フェデラーが欠場として)と言われても何の驚きもないメンバー。 そして21歳世代のナダルはこの時点で全仏3連覇。なんなんだ本当…

注目したいのはやはり世代2番手、3番手付近に位置する選手たちもこの後順調に上がってくること。世代全体としての層の厚さと、この頃のテニス界の雰囲気を感じ取ることができます。なお秋のナルバンディアンが最強
↑知らない人は調べてみてください

 

 

2006

2006   pts year age
2 ナダル 4270 1986 20
10 ベルディヒ 2080 1985 21
12 バグダディス 1896 1985 21
16 ジョコビッチ 1465 1987 19
19 マレー 1310 1987 19
20 ガスケ 1290 1986 20
29 ワウリンカ 958 1985 21
36 アルマグロ 895 1985 21
46 モンフィス 790 1986 20

 

若手トピックス・ナダルが全仏連覇、ジョコビッチ、マレー、バグダディス、ワウリンカ、アルマグロがツアー初優勝

公式が紹介した年。メンバー、そのランキング、若さ、どれをとっても完璧な構成。のちのテニス界を引っ張っていく名手たちです。
この年はまだジョコマレがツアー初優勝というような年です。意外に思われたかもしれませんがそれもそのはず、この年はフェデラー無双。12タイトル、4準優勝とやりたい放題。出れば優勝という感じで、92勝5敗はテニスの歴史に燦然と輝くとんでもない数字です。このフェデラーに対抗できたのはクレーのナダルのみ。モンテカルロ、ローマ、全仏で3度土をつけました。

なお、この時のナダルは全仏で20歳になったばかり。 19歳のうちに全盛期フェデラーを何度も決勝で倒しているのです…

書いてて訳が分からなくなってきました。普通に10代優勝しているジョコマレすごいんですよ。順調に成長してます(それは上の表を見ても明らかでしょう)。ただナダルが異次元なだけです。

 

 

2005

2005   pts year age
2 ナダル 4940 1986 19
16 ガスケ 1530 1986 19
22 アンチッチ 1360 1984 21
31 モンフィス 1029 1986 19
50 ベルディヒ 725 1985 20
55 バグダディス 672 1985 20
58 ワウリンカ 636 1985 20
62 ソダーリン 625 1984 21
67 マレー 587 1987 18

 

若手トピックス・ナダルが全仏初出場で初優勝。19歳0ヶ月。ガスケがMS準優勝、ツアー初優勝

ナダルが際立ちますが、ガスケもすごい。ハンブルグMSで決勝に進み、フェデラーに敗れています。まだ19歳になる前です。ガスケはジュニア時代ナダルより評価高かったというのも頷けます。

この年にマレーとジョコビッチが本格的にツアー参戦。1年であっさりトップ100に入ってきています。まだ17→18のシーズンですからね… これができる今の若手いますかね?

 

  

2004

2004   pts year age
30 アンチッチ 1065 1984 20
34 マイヤー 957 1983 21
35 ベルダスコ 953 1983 21
39 ベルディヒ 898 1985 19
42 ソダーリン 860 1984 20
47 アンドレーエフ 781 1983 21
48 ナダル 775 1986 18
70 ミュラー 580 1983 21
73 モナコ 543 1984 20

 

若手トピックス・ナダルが18歳2ヶ月でツアー初優勝、ベルディヒ、ソダーリンがツアー初優勝

最年長が83年生まれ。ナダルから世代が離れてきて、少しずつニューボールズ世代の匂いがしてきました。

若干世代移行年の傾向があり谷間になっています。

 

  

2003

2003   pts year age
2 ロディック 4235 1982 21
4 コリア 3175 1982 21
9 ナルバンディアン 1995 1982 21
21 ロブレド 1255 1982 21
29 ジネプリ 1100 1982 21
44 ユージニー 875 1982 21
49 ナダル 781 1986 17
61 ソダーリン 586 1984 19
63 アンチッチ 570 1984 19

 

若手トピックス・ロディックが全米OP優勝・世界1位に、コリアがハンブルグMS優勝

New Balls, Please 

ニューボールズ世代の覇権争いの時代に入ってきました。
この年フェデラーが最初のGSを取ります。一方前年1位のヒューイットは一気にランキングを落とし、代わって上がったのが全米OPを優勝したロディック。今のところアメリカ人選手最後の男子シングルス1位です。 アメリカテニスの凋落が始まる寸前の頃ですね…

一応21歳以下で区切るとこんな感じですが、フェデラーがいたりフェレーロがいたりとほとんど似た年齢のメンバーで上位が占められていて、33歳アガシが一人孤独に気を吐いているような構成になっています。

 

ところでこの「ナダル」って人はいつまでいるんですか…5年連続で名前を連ねているのはナダルとズベレフだけです。ズベレフは上の世代が不甲斐ないのもありますが、ナダルはニューボールズ世代に割って入って普通にトップ50にいるんですよね。訳が分からない…

 

 

2002

2002   pts year age
1 ヒューイット 4240 1981 21
8 フェデラー 2170 1981 21
12 ロディック 1925 1982 20
13 ナルバンディアン 1817 1982 20
31 ロブレド 1020 1982 20
34 ユージニー 995 1982 20
36 マシュー 952 1982 20
39 アカスソ 868 1982 20
42 ニエミネン 821 1981 21

 

若手トピックス・ヒューイットがWB優勝、最終戦優勝、世界1位を1年間キープ、フェデラーハンブルグMS優勝

この年は解説が難しく、早熟の天才ヒューイットが1位こそ守ったものの、GSは1勝。ヨハンソン、コスタ、さらに引退大会のサンプラスに全米を取られるなど、まだまだ混迷を極めていた時期です。
ヒューイットは16歳10ヶ月でツアー初優勝(!)すると、この前年に1位に到達。 

当時のランキングを見ると、2600~2100pの間に3~10位がひしめく大混戦。そんな中、要所を取ったヒューイットが一つ抜けている、そんな感じでした。

 

 

2001

2001   pts year age
3 ヒューイット 3985 1981 20
5 フェレーロ 2990 1980 21
7 サフィン 2670 1980 21
13 フェデラー 1745 1981 20
16 ロディック 1662 1982 19
32 ロブレド 1090 1982 19
37 マリッセ 992 1980 21
39 コリア 980 1982 19
46 ビンチグエラ 855 1981 20

 

若手トピックス・サフィンが1位を経験、ヒューイットが最終戦優勝、世界1位に、コリア、フェデラー、ロブレドがツアー初優勝、フェデラーがWBでサンプラスを破る

ニューボールズ世代の若いころの実績が並んでいます。もう当たり前のように最終戦に進んでいますね。 

サフィンのこういう成績を見るたびに、本気でやっていたらどうだったのかなと思います(当時「本気を出せば世界一強い」とよく言われていた)

あと、フェデラーの年齢とその成績を見ていくと、決して世代先頭ではなく、どちらかというと遅咲きな感じですよね。そこからGS20回勝つとはこの時誰が思ったのだろうか… ※当時はサンプラスの14勝を超えるのは不可能、不滅の記録とか言われていました

 

 

2000

2000   pts year age
2 サフィン 3530 1980 20
6 ヒューイット 2635 1981 19
13 フェレーロ 1655 1980 20
24 フェデラー 1135 1981 19
56 ビンチグエラ 730 1981 19
60 パスカル 665 1979 21
61 チェラ 647 1979 21
66 ロクス 596 1981 19
75 マスー 536 1979 21

 

若手トピックス・サフィンが全米OP優勝、ツアー最多勝(7勝)、1位経験(2週間)

この頃はランキングも低く、ニューボールズ世代が今のNextgenの立ち位置に近い時期です。

一応78年生まれからがニューボールズ世代っぽいです。

78 ハース、ステパネク(遅咲き)、グロージャン
79 ルビチッチ、ブレーク、チェラ、マスー
80 フェレーロ、サフィン 、ゴンザレス
81 フェデラー、ヒューイット、ダビデンコ(遅咲き)
82 ロディックフェレール(遅咲き)、ナルバンディアン、コリア、ユージニー、ロブレド

書いてて懐かしい…
私がテニスを始めて見たのが03年のウィンブルドンなので、NB世代全盛期なんですよね。いやー懐かしい。

2000年当時は30歳に差し掛かるアガシサンプラスが依然トップを走るも少し陰りが見え、その下のグループも25歳前後のヘンマン、クエルテン、ノーマン、カフェルニコフらがいる感じで世代交代が待たれる構図でした。

まあ今のテニス界は30~35歳に思いっきり牛耳られてますけどね!!!
そういう意味では結構今の構図に似ているのかも。ちょっと年齢差ありすぎるけど。

 

~統計分析~

 

年別最上位ランキングの推移

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いや、2010年が図を見づらくしてる…

2010年を省きました。

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この絵に描いたような谷間感

はい、2010年代前半はトップ10に割って入る若手が不在だったのがよくわかりますね。

 

次は層の厚さを見ていきましょう。ボーダーに相当する8番手選手のランキングです。これを見れば、その年代の選手全体の層の厚さが分かるはずです。

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いやさっきよりはっきりしてるし!ナダルのような天才をファクターに乗せないようにした結果、むしろ偽りようのない世代間の差がくっきり出るという皮肉…

ニューボールズ時代から、ボーダーは40~70位くらいで安定していました。40位まで釣り上がっている年はニューボールズ若手大躍進の時期と、先述のTTV公式が紹介した06年です(BIG4のうち3人そろい踏み)。その後は大きく凹んでいます。

しかしです、グラフの最後まで見るとここ数年のボーダーは飛躍的に回復。2019年はあの2006年以来で最も高いランクがボーダーになりました。ニューボールズ時代の平均水準まで戻ってきているのです。

こうなっている原因は現nextgen世代のタレント性だけではなく上の世代の不甲斐なさによるものもあるとは思いますが、それでも現nextgen世代には今度こそBIG4時代に引導を渡す世代になってくれそうだという期待感が出てきました。

 

ここで紹介した解析はほんの一部の手法です。他にも国籍とか生まれ年ごとの比較とか、たくさんできるのですが、それは読者自身の発想や考えに任せたいと思います。これはいくらでも咀嚼して料理できるいい素材です。このシリーズでは、誤解を与えないように私もいろんな意見やデータの切り取り方を提示しますが、それだけがすべてではないと思っています。

何か思いついたらコメント欄やツイッターで気軽に聞いてください。管理人のやる気があったら解析します(管理人はデータをまとめていたら休日が終わって、もう疲れたらしいです。グラフの図が全然見栄え良くないのもそれでです、そんなことにこだわってる気力がない)

 

いや、Young Guns世代、確かに時代こそ作れなかったけど、最後に一発でかいの上げとこうよ!!!

終わりです。