2020デビスカップ予選ラウンドプレビュー
こんばんは。
いよいよ長い2日間、デビスカップ予選ラウンドウィークが開幕です。
制度移行年だった2019年は予選ラウンドの開催のみでしたが、今年からWG1プレーオフとWG2プレーオフも開催され、世界各地で全36試合が行われます。
予選ラウンドを中心に展望していこうと思います。
なお、日本戦の需要が高いため、一部試合についてメンバーがまだ出ていませんが先に公開します。メンバーが発表され次第、追記していきます。
クロアチア
チリッチ
Gojo
Serdarusic
ドディグ
パビッチ
インド
ナガル
ギネスワラン
ラマナサン
ボパンナ
パエス
R1 Gojo×ギネスワラン
R2 チリッチ×ラマナサン
R3 パビッチ/スクゴール×ボパンナ/パエス
R4 チリッチ×ギネスワラン
R5 Gojo×ラマナサン
クロアチアは2019年ファイナルラウンドでは事故的な敗戦。のちにベスト4以上の成績となったスペイン、ロシアと対戦。チリッチを欠いては勝負になりませんでした。
2020年はリスタートの1年。ホームでインドを迎えます。会場は以前ATP250のザグレブ大会が行われていたコートです。この大会ではチリッチが4回の優勝。これは心強いですね。そのチリッチがエースです。
一方、チョリッチは欠場。五輪資格を満たしているのですが、少し欠場理由が心配です。2番手はファイナルでも戦ったGojoですがインド相手に勝利を収められるか。
インドは久しぶりのWGグレードへの進出に挑みます。なんと今大会には今シーズン引退を表明しているパエスが出場。クロアチアの強豪相手にどんなテニスをするか、注目です。
試合はチリッチ以外でクロアチアが1勝できるかが焦点。もしインドがお家芸のダブルスを取るようだと、まさかもあるかもしれません。
ハンガリー
フチョビッチ
バラズス
ピロス
Marozsan
Nagy
ベルギー
コペヤンス
ベメルマンス
デグリーフ
フリーゲン
ジル
R1 バラズス×ベメルマンス
R2 フチョビッチ×コペヤンス
R3 バラズス/フチョビッチ×ジル/フリーゲン
R4 バラズス×コペヤンス
R5 フチョビッチ×ベメルマンス
ハンガリー第二の都市で行われます。
ダルシスが引退したベルギーは、エースのゴファンが欠場。五輪出場回数には足りていて問題はないのですが少し心配。
錦織不在時の日本と同じように、総合力が問われます。
ダブルスはATPカップでも活躍したジル/フリーゲン。コペヤンス、ベメルマンスも代表経験が豊富。十分に勝てるチームです。
しかしハンガリーも黙ってはいない。近年では最も強い代表メンバーになっています。フチョビッチに続いて、バラズスもトップ100に食い込んできました。ホームの力もあり、十分にアップセットを起こせる環境が出来上がっています。
コロンビア×[3]アルゼンチン(ボゴタ、インドアクレー)
コロンビア
ガラン
ヒラルド
ゴンザレス
カバル
ファラー
アルゼンチン
ペリャ
ロンデロ
マイヤー
ゼバジョス
ゴンザレス
R1 ガラン×マイヤー
R2 ヒラルド×ロンデロ
R3 カバル/ファラー×ゴンザレス/ゼバジョス
R4 ガラン×ロンデロ
R5 ヒラルド×マイヤー
南米対決です。どちらもちゃっかりハードがこなせる選手が揃っていますが、コロンビアはクレー選択としました。
カバル/ファラーの強さは言わずもがな。デ杯での勝率の低さが気になりますが、そこ以外の2勝をどうとっていくかというところになりそうです。
アルゼンチンはシュワルツマンが不在。さらにペリャもけがのため既にIWを欠場することが発表されており、緊急登板も難しいか。もちろんデルポトロも不在で、一気に厳しい状況になっています。ここは押し出されたエースとなったロンデロが重要な立場に。何勝かが勝敗の分かれ目。力のある優勝経験チームですが、この難しいタイを乗り切れるか。
そして、南米同士の一戦。デ杯ならではの過激すぎる応援合戦にも注目です。
ウズベキスタン
イストミン
スルタノフ
Fayziev
Nabiev
R1 オペルカ×イストミン
R2 フリッツ×Fayziev
R3 ブライアン/ブライアン×Fayziev/イストミン
R4 フリッツ×イストミン
R5 オペルカ×Fayziev
リゾート気分になれるか。ハワイ開催です。
アメリカのデ杯開催地って癖ありますよね。かつては野球場でやったこともありましたし。
デ杯公式によると、スポンサー契約が決まっていて、予選ラウンドは2022年までハワイで開催されることが決まっているようです。
アメリカは若手メンバーで構成。五輪資格に向けて出場回数の足りていないフリッツ、オペルカ、ポールが代表入り。一方デ杯出場のないサングレンはノミネートせず。そしておそらくキャリア最後のデ杯となるブライアン兄弟が登場します。チーム勝利は濃厚で、その場合次のタイは引退後の11月ですので、最後の試合になると思いますし、そのつもりで臨むでしょう。花道を飾れるか。監督はマーディ・フィッシュです。
ウズベキスタンは大黒柱のイストミンがランキングを落とし、苦しいチーム状況。アメリカの勝利は盤石か。
[5]オーストラリア×ブラジル(アデレード、ハード)
オーストラリア
ミルマン
トンプソン
ダックワース
ボルト
ピアース
ブラジル
モンテイロ
メネセス
ワイルド
RODRIGUES ALVES
デモリナー
R1 トンプソン×モンテイロ
R2 ミルマン×ワイルド
R3 ダックワース/ピアース×RODRIGUES ALVES/デモリナー
R4 ミルマン×モンテイロ
R5 トンプソン×ワイルド
オーストラリアは一旦ベストメンバーに近い構成を組みました。ダックワースはデ杯初招集。東京五輪代表入りを見越しての招集です。
しかしキリオス、デミノーがけがのため欠場を発表。出場予定のなかったピアースを緊急招集。
ミルマンを中心としたチームとなります。1番手で臨むのは初めてとなるミルマン。全豪以降ドローに恵まれず、復帰戦勝利がない中での重圧に打ち勝てるか。
ブラジルはメネセスがITF枠での出場を見越して召集されました。これで東京五輪シングルスに出場することになると思うので、是非チェックしておきましょう。
そして注目は初代表のワイルド。ダビドビッチを3時間半の激闘で倒し、さらにサンティアゴでツアー初優勝と期待の若手です。今回はハードですが、どんなテニスをするのか。戦前の予想と異なり、かなりブラジルにもチャンスが出てきました。
オーストラリアはホームで地元の声援に応えられるか。今回も闘将ヒューイットが監督です。今シリーズ最大のアップセットを防ぐことができるか。
[6]イタリア×韓国(カリアリ、クレー)
イタリア
フォニーニ
ソネゴ
Mager
トラバグリア
ボレリ
韓国
イ・ダクヒ
ナム
Y・チョン
ソン
H・チョン(あのヒョン・チョンではない)
R1 フォニーニ×イ・ダクヒ
R2 Mager×ナム
R3 ソネゴ/トラバグリア×ナム/ソン
R4 フォニーニ×ナム
R5 Mager×イ・ダクヒ
イタリアでもコロナウイルスが猛威を振るっていて、直前ですが無観客試合が決定しました。
イタリアはベレッティーニをけがで欠くことにはなりましたが、それ以外はメンバーが揃いました。またリオで準優勝のMagerが初代表。トラバグリアも出場となります。
ダブルスには安心のボレリも控えて、盤石の布陣です。
韓国は2008年以来のWGグレードへの挑戦となりますが、アジア勢苦手のクレー+エースのクォンが不在ということで厳しい。ここはホームのイタリアの電車道でしょう。
[7]ドイツ×ベラルーシ(デュッセルドルフ、インドアハード)
ドイツ
シュトルフ
コールシュライバー
コプファー
クラビーツ
ミース
ベラルーシ
ゲラシモフ
イバシュカ
Zgirovsky
Borisiouk
Vasilevski
R1 シュトルフ×イバシュカ
R2 コールシュライバー×ゲラシモフ
R3 クラビーツ/ミース×ゲラシモフ/Vasilevski
R4 シュトルフ×ゲラシモフ
R5 コールシュライバー×イバシュカ
ドイツはズべレフを欠くものの、それでも勝利へは問題なしか。シュトルフ、コールシュライバーがいます。またコプファーは初代表で五輪出場を見越しての招集。
ダブルスにはスペシャリストのクラビーツ/ミースと鉄壁。ATPカップではズべレフの不調で敗退したドイツですが、ここは問題なく勝ち上がるでしょう。
ベラルーシもゲラシモフがプネーで活躍、イバシュカも力があり、何とか一泡吹かせたいところ。初日に1勝できるかがまず最初の分岐点になりそうです。
[8]カザフスタン×オランダ(ヌルスルタン、インドアハード)
カザフスタン
ブブリク
ククシュキン
ポプコ
ネドベジョフ
ゴルベフ
オランダ
ハース
Van De Zandschulp
グリークスプール
クールホフ
ロジェ
R1 ククシュキン×ハース
R2 ブブリク×グリークスプール
R3 ゴルベフ/ネドベジョフ×クールホフ/ロジェ
R4 ブブリク×ハース
R5 ククシュキン×グリークスプール
デ杯巧者というワードがあるかは分かりませんが、シングルスランク以上に力のあるチーム同士の地戦となりました。
カザフスタンのエースはブブリク。「テニスは仕事としてやっている、テニスは嫌い」など、感情を真っ正直にコメントすることから最近話題になっている選手。
しかし、カザフスタンにとってデ杯は重たい存在。これまでも数々のアップセットを起こしてきた、重要かつ普段よりも力を発揮できる大会です。ブブリクもここは仕事と割り切って、先輩に倣って普段以上に集中してプレーできるか。
メンバーは揃っていて、カザフスタンやや優勢ですがオランダも侮れません。
オランダはハースがかなりランキングを落とし、トップ100不在。しかしグリークスプールは昨年11月のデ杯でマレー相手にあと一歩まで追い詰めました。クールホフ/ロジェの鉄壁ダブルスも構えて、勝機は十分にあります。
スロバキア
マーティン
ゴンボス
コバリク
ポラセク
チェコ
ベセリ
ロソル
KOLAR
KOPRIVA
FOREJTEK
R1 コバリク×ベセリ
R2 マーティン×ロソル
R3 ポラセク/Zelenay×Forejtek/Kolar
R4 マーティン×ベセリ
R5 コバリク×ロソル
スロバキアは4人チームながら強いです。マーティン、ゴンボス、コバリクは100位台前半より上の選手ばかり。さらにポラセクはここ1年で2回のGSベスト4。ドディグと組んで最終戦にも出ました。監督は元トップ15、ドミニク・ハーバティ。懐かしい名前です。いいチームですし、勝ち上がれば本戦でも台風の目になる予感。
一方かつて時代を作ったチェコはベルディヒ、ステパネクの引退以降ぱっとしません。
今回もベセリが直前にツアー優勝してなんとか体裁を保っていますが、かつての勢いはまるでなし。ここは地の利も活かしてスロバキアが優勢ではないでしょうか。
[10]オーストリア×ウルグアイ(グラーツ、インドアハード)
オーストリア
ノバク
オフナー
ロディオノフ
メルツァー
マラック
ウルグアイ
P・クエバス
M・クエバス
ロンカデリ
Behar
Llanes
R1 ノバク×M・クエバス
R2 ロディオノフ×P・クエバス
R3 マラック/メルツァー×Behar/P・クエバス
R4 ノバク×P・クエバス
R5 ロディオノフ×M・クエバス
オーストリアはクレーではなくインドアハードを選択。これはクレー巧者が揃うウルグアイの弱体化を狙っての選択でしょう。
絶対的エースのティームは欠場。五輪に出場しないため今回の出場は意味がないことが影響したでしょうか。すでにIWに入っています。
メンバーはきっちり揃っているオーストリアですが、P・クエバスが大当たりすればウルグアイにもチャンスありか。そのクエバス以外の3試合をきっちり取ることが、オーストリアには求められます。
[11]日本×エクアドル(三木、インドアハード)
R1 添田×ゴメス
R2 内山×キロス
R3 マクラクラン/内山×エスコバー/ヒダルゴ
R4 内山×ゴメス
R5 添田×キロス
コロナウイルスの影響で無観客試合となります。2018年9月入れ替え戦以来のホームでしたが、無念の観客なし。地の利を生かせないことは残念です。
ただ環境は日本向きです。アジアCHを戦ってきた内山、添田には慣れ親しんだコート。さらに開催時期はまだ肌寒いことが想定され、ホームアドバンテージは確実に存在します。*1
日本は錦織がエントリーしていますが、これは五輪出場を見据えてのエントリー。現実的にはリプレースも含めて試合に出なさそうです。実質名前だけ貸している状況で、チーム内の空気感が悪くならないかが心配です。
そして更なる暗雲が。西岡が渡航制限のかかる前にアメリカに向かうため、日本滞在を断念。欠場することになりました。
この選択は誰も責められません。西岡はIW、マイアミをDAしていて、政治に振り回されて強制欠場して0ポインターを受け入れるのはやってません。プロとしての決断、支持します。
そして一方、そのIWとマイアミの予選がありながら国内に残って戦う選択をした内山、添田の選択も支持します。ならば残るものは何か。全力応援です。
内山はツアーで戦い、ドバイ予選突破してベスト16。添田も昨年秋から調子を上げていて、絶対に活躍してくれるという期待感があります。
マクラクランもバンブリッジとのダブルスでは着実に結果を残しており、貴重なダブルス専としての強い戦力になります。
サポートメンバーの綿貫に出番があるかは分かりませんが、昨年の神戸CH優勝者。そう、このコートを得意としています。急なピンチに、考えられる限りで最強の助っ人がやってきました。
一方のエクアドルは、意外とハードコートがこなせるメンバー。キトのクレーの印象が強いですが、こてこてのクレーコーターはいません。
しかし力の差は歴然としています。出場メンバー5人の合計でチャレンジャー優勝1回、チャレンジャー準優勝4回。対トップ100成績は6勝41敗。最高でも70位台の選手にしか勝ったことがありません。
デ杯日本チームとの対戦は、ヒダルゴが添田と一度対戦したのみで、その時は添田が勝利。ほぼノーデータで、出てきたものに対して対応していく形になりそうです。
19年中国戦の苦い記憶が新しいですが、あの時はアウェー。今回は地球の反対からの遠征+ハードコートですし、紛れが起きる確率は低くなっているはずです。いやもう政治やらなんやらで紛れは起きすぎてるので、もう本番では起きないと思いたいです。油断は禁物ですが、今の日本チームなら大丈夫だと思います。
しかし!!!!
ファンの応援は必要不可欠です。
現地でなくとも、応援は確実に選手たちに届きます。
テレビの前で赤い服を着てみんなで応援しましょう。
幸いWOWOWが無料中継をやってくれるようです。ありがたい。BSアンテナがある方なら誰でも見れます。
また、開催期間中は有志の方の企画で、プロ選手を招いた配信(ビデオ会議ルーム)が行われます。
私もここにいる予定です。
松井俊英選手など、多くの選手ゲストも来るなど、当日は相当賑わうことが予想されます。ぜひ一丸となって、日本チームを応援しましょう!
[12]スウェーデン×チリ(ストックホルム、インドアハード)
スウェーデン
M・イメール
E・イメール
エリクソン
Soderland
リンドステッド
チリ
タビロー
バリオスベラ
Malla
ソト
R1 M・イメール×バリオスベラ
R2 E・イメール×タビロー
R3 エリクソン/リンドステッド×バリオスベラ/タビロー
R4 M・イメール×タビロー
R5 E・イメール×バリオスベラ
スウェーデンはソダーリンが監督就任。難敵チリを迎え入れます。
インドアハードを選択し、南米チリの力を落とす作戦に。
チリのエースガリンは、2月シリーズのMVPと言えそうなほどの素晴らしい活躍。しかし地元チリのサンティアゴの大会でけがのため途中棄権。今回メンバーから外れることになりました。
チリは昨シーズンガリンとジャリーの2枚看板でファイナルまで進みましたが、今年は厳しい状況。かなり厳しい。
また、バリオスベラは五輪ITF枠有資格者。こちらもプレーする可能性があり注目です。
スウェーデンはイメール兄弟がチームの中心。ボルグ、エドバーグらを輩出したかつてのテニス王国が、8年ぶりにデ杯WGグレードに戻ってこれるでしょうか。
その他の国の話題です。
今回からWG1プレーオフ、WG2プレーオフが開かれる開催週になりました。
それぞれ24ヶ国がホームアンドアウェーで対戦し、勝者と敗者を決定します。
詳しい制度については以前説明した記事があるのでそちらをどうぞ。
すべてやってるときりがないので、有力選手の情報を中心にまとめました。
WG1プレーオフ
・ボスニア=ヘルツェゴビナと南アフリカの好カード。しかしアンダーソンがけがで欠場し、これで4年間の出場0となり五輪の可能性がほぼ絶たれる。
・フィンランドの監督にニエミネン!しかも選手兼監督!!!出る気なのか
・スイスはワウリンカが出場せず。五輪へ向けてアピールをしなかったが、五輪には出れるのだろうか…
・ノルウェーはATPカップとほぼ同じ布陣。来年の予選ラウンドに上がってきそうなチーム。チェックしておきたい。
WG2プレーオフ
・ブルガリアではディミトロフがメンバー入りせず。これで五輪は絶望視。ATPカップで活躍したクズマノフらがチームを引っ張る。
・ポーランドはフルカシュをエントリーせず。ジュクがエース。これでも香港には勝てそうだが…
そしてあのヤノヴィッツがデ杯エントリー!!チャレンジャーでも準優勝と調子は上向き。
監督はダブルスの名手フィルステンベルグ!!!
・ギリシャがチチパス、ジョージアがバシラシビリを招集。これで二人ともあと1回足りていなかったデ杯出場をクリアし、五輪出場権を正式に獲得。
さあ、長い2日間の始まりです。倒れないように頑張ります。