two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

ATP race to Tokyo 2021(2月22日付)

こんにちは。

今週(全豪終了後)からいよいよあの企画が帰ってきます。東京五輪の出場権争いについて検討する題して「race to Tokyo 2021」です。
昨年と違う試算をしているのでタイトルも新しくしました(ブログのタグは同じにしています)

え、五輪?ないでしょ?と思われるかもしれません。
現状では難しいと思いますが、中止が発表されるまでは、何が起きるかわかりません。我々個人の感情だけでは決まらないものである以上、ある前提で進めていきます。
ランキング試算でもそうですが、常に起きうるすべてのパターンを想定して動かないといけません。中止延期の正式発表が出るまでは五輪は「行われるもの」です。

2020年版race to Tokyoから約1年経ち、再び2021年7月五輪の当落を決める全仏終了後のランキングのリミットも近づいてきました。※延期後のルールも全仏後最初のランキングが基準です

今回はまず全豪終了時点での試算表をアップします。表のスタイルは最後までこれで行こうと思うので、まず表の読み方をみなさんに覚えてもらうところから始めていこうと思います。

 

2021年はパンデミック対応特別ルールになっているため、ランキングの計算が複雑です。
3ヶ月先のランキングの基礎点の計算をするだけでも複雑なのに、特殊ルールのせいでさらに難しい計算になっています。そのあたりの細かなところが気になる方も当ブログの読者にはたくさんいらっしゃると思いますので、後日別記事で解説します。

なお、同じようなrace to Tokyoの計算を ATP Open Era & Live Rankings (openerarankings.com) もやっていることは把握していますが、おそらく向こうの計算プログラムのアルゴリズムが原因で重大な計算ミスがあることを私は発見しています。なのでOERさんと計算結果、順位が異なっていますが私の計算が正しいと考えています。その理由についても後日解説記事で説明しようと思っています。

 


それでは試算表です。
スマホでも見やすいように4枚の画像に分けました。

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rankはこのrace to Tokyoにおけるランキング(2021年6月7日付け基礎点)です。
moveは先週との動きです(今週は便宜上変動なしとしました)。
そしてactualが五輪のエントリーリストを作った場合の順位です。

五輪エントリーリストから漏れるケースは
・デ杯出場要件を満たさない
・本人が欠場の意思を示した場合
のいずれかです。

昨年であればティームが欠場意思に該当したわけですが、2021年五輪には出場の意向(ありがとう!)とのことでリストに入れています。
また、昨年はイズナー、エバンズも欠場を表明していましたが、五輪延期後の動向が報じられていないため一旦リストに組み入れました。

このリストの意義は当確情報を出すことが最重要事項ですので、欠場とこちらで判断した選手がやっぱり出るとなった時にボーダー付近の選手の当確を取り消すことの罪が重いため、それを避ける目的で不透明な人は全て出場するものとしています。

この後も解説しますが、例えばアンベールはデ杯出場0回ですがリストインしています。現状のランキングからパネル申請が通りそうな気もするし、さすがに0回だとダメそうな気もします。そういった選手も全てリスト化することで間違った当確を出さないようにしています。

また、actualのところにEUが書いてある選手が一人います。これは大陸枠の欧州枠資格選手です。
欧州の大陸枠は、出場権を持たない国のうちで最上位と定義されていますので、今の表であればハンガリーのフチョビッチが該当します。これはボーダー付近のランキングの変動で頻繁に変化します。おそらく最後の1枠が決まるまで確定しないと見られます。

他の大陸枠については後日解説します(ルール自体は2020年版と変わっていません)が、この表には入ってきません。


次にポイント右の記号は国別ランキングです。
五輪のルールではシングルスは1ヶ国最大4人ですので、DAできるランクにいても国別5位以下は出れません。

続いて重要なのが選手の背景色についてです。

青…デ杯3回出場ルールを完璧に満たしており、クリア
緑…デ杯3回ルールを満たしていないが、パネル申請で通りそう
黄…デ杯に一度も出場していないが、パネル申請が通る可能性もある
オレンジ…国別ランキング5位以下
赤…長年国別ランク上位を維持しながらデ杯に一度も出ていないため、パネル申請が通らない

オレンジ、赤の選手は出れません。特に赤の選手(ディミトロフ、アルボット)は確実にアウトです。信号と同じように色が暖色系に近づけば近づくほど厳しいというイメージで作りました。

配色の都合上、去年の表と赤オレンジの色を逆転させたので注意してください。


緑の選手で分かりやすいのは錦織で、16入れ替え戦、20予選ラウンドに出場。あと1回分足りませんが、これは19年ファイナルなどを公傷扱いでクリアできるのでOKでしょう(というか、たぶんそこから逆算して20予選ラウンドに無理やりエントリーしたはずなのでさすがに大丈夫)。

黄色の選手は名前を見ると分かるようにここ1~2年で出てきた選手で、デ杯に出ていないのはしょうがないところがあります。カラツェフなんかが分かりやすいですね。こういった選手に対してパネルが救済するわけですが、ジャッジした実例を探すことが困難で正確な判断ができません。またそういった選手に五輪出場の意思があるかどうかすらも不明です。そこで一律に全てパネルがクリアと判断するものとしました。


その他、とりあえず表を読むのに最低限必要な事項だけ書いておきます。

・表の順位とポイントは、表を出した時点から6月まで一切の加点がなかった場合の2021年6月7日付ランキングです。

・6月7日付ランキング基礎点は、これからのマスターズ、GS全てに出場し0ポインターがついた最悪のケースを考えています。全仏までの期間に義務大会はマイアミ、マドリード、ローマ、全仏が残っていますので、19-4=15大会のポイントで算出しています*1※ATP公式ルールで決まっていて、今年は特例でbest18ではなくbest19でランキングを計算しています!

・錦織を100位以下の付録で付けました。この辺りのポイントには多数の選手がいるため、正確な順位の計算を諦めました。実際ボーダーとのポイント差だけが見たいと思うので、正確な順位は必要ないと思います。

 

今確実に言えることは、錦織はかなり加点しないと五輪に出れません。
開催国枠は日本の選手が一人もDAしなかった際に最上位の選手に与えられる枠であるため、西岡がDAラインに入っていて使えません。仮に西岡がDAラインから落ちても西岡を上回る必要があります。

ボーダーは欠場によって下がる可能性があるので正確な数字はまだはっきりしませんが、やはり今のボーダーとの差、300ポイントは最低でも稼いでおきたい。
そもそもこのランキングは全仏終了時のランキングを示していて、錦織はここから加点しなければ、あっという間にトップ100陥落もあるという恐ろしいデータを示しています。

ランキングを戻すのが大変なことは2018年のシーズンで痛いほどわかっていると思います(テニスを取り戻した春以降、プレーの実力にランキングが追いつくまでに半年かかりましたね)

時間はありません。これは煽りでもなんでもなく事実です。ランキング2年制の影響であまり気づかれていませんが大変な状況にあります*2

 


他に付録で書いておいてほしい選手がいればコメント欄かTwitterで教えてください。だいたい取り入れるつもりです。


次回week8(シンガポールコルドバモンペリエ)終了時のランキングも表のみの掲載とします(表を作るだけで相当時間がかかり疲れました。休ませて…)

ボーダー争い、新ランキング計算の細かなところについては3月以降具体的に解説していきます。


以上です。
何か質問等ある方もコメントかTwitterで質問ください。
おそらく世界で唯一の正確な五輪ボーダー試算、全仏か再延期/中止が決まるまでお付き合いください。

*1:なお、IWは中止ではなく延期の措置になっていますが、カレンダー上全仏までに入れるとは到底思えなかったので除外して考えています

*2:もっとも、それがなければ今頃はPRをあと何枚使えるかとか、そういう議論になっていたはずでこれでも助かってるほうなんですよね…