【ドロー解説】2015カナダMSの展望
こんにちは。
どんどんやることが溜まっていきます。お盆ですよね…
というわけでカナダMSの展望です。
ドローサイズは56、一般的なマスターズのドローです。上位8シードが1回戦免除、16シードまであります。
カナダMSはマスターズで唯一の開催地を隔年で変える仕組みを取っています。
女子のWTAでも同じ大会が開かれており、男子は奇数年にモントリオール、偶数年にトロント、女子はその逆で行います。
2年前のモントリオールでは錦織がトップ10に挑戦。3回戦でガスケと当たるも1セットアップから逆転負け。すでに不振に入っていた錦織はそのあと急速にランキングを落とします。
一方若手勢では地元のラオニッチが波乱に乗じて決勝に進出し一気にトップ10入りを果たしました。錦織ファンにとっては悔しい大会でした。
またナダルが苦手のUSオープンシリーズで17連勝という驚異の成績を挙げる序章の大会にもなっています。
今年のカナダは様々な面で大注目だと思います。後半戦の大きな大会、ジョコビッチ圧倒的優位で続いてきた流れが変わるか?そんな節目の意味合いを持ちます。
①ジョコビッチ山
[1]ジョコビッチ
Bye
ベルッチ
クエバス
ソック
マナリノ
(Q)ドルゴポロフ
[14]ディミトロフ
[12]アンダーソン
ロソル
(Q)ガルビス
ティエム
(Q)クドラ
(Q)ヤング
Bye
[5]ベルディヒ
前人未到の出場したマスターズでの6連勝を狙う[1]ジョコビッチ、もちろん優勝候補筆頭です。
初戦はベルッチかクエバスとクレーコーターですがベルッチは前回手こずった相手。乗ってくると危険な選手です。
そしてワシントンQFでは息切れしたもののガスケに勝った好調ソック、ここは[14]ディミトロフが不調なだけにドルゴポロフも含めていろいろな可能性がありそう。
ドルゴポロフはすでにランキングを落としここから巻き返しです。番狂わせを起こし16強まで行けるか。
一方不思議な三角関係のグループに入っている[5]ベルディヒと[12]アンダーソン。ベルディヒはアンダーソンに12連勝中。ベルディヒは確実にものにしてベスト8まで進みたいところです。
唯一クレーで2連勝のティエムが気になりますが、キッツビュールで木曜まで戦っており疲労もたまった状態でサーフェス変更に対応するのは難しいか。ここは90%ベルディヒだと思います。ただし最近非トップ10内弁慶の効果が切れ始めているので、2014年後半戦同様思わぬ敗戦もあるか。
ガルビスは予選トップシードのマユを撃破しておりついについに復活か。同門対決のティエムとの1回戦は注目です。
ベルディヒはジョコビッチにハードで勝ててない(0勝16敗)ので、ジョコビッチの4強はほぼ堅い気がします。
②ワウリンカ山
[3]ワウリンカ
Bye
ベルダスコ
キリオス
(WC)ポスピシル
(Q)ルー
ベッカー
[16]イズナー
[11]ガスケ
シャルディー
(Q)チュン
マイヤー
カルロビッチ
Bye
[8]ラオニッチ
2013年に起こった大波乱。ボトムハーフが壊滅しラオニッチとポスピシルの地元SFが実現したここモントリオールで今度はその[8]ラオニッチが波乱に見舞われるかもしれません。非常に厳しいブロックです。
ラオニッチはウィンブルドン後大会に出ていないため足の状態は不透明。そんな中初戦は一発のあるカルロビッチかヤノヴィッツ。厳しい戦いを強いられそうです。
またワシントンではソックに敗れたものの2年前に8強に入っている[11]ガスケは虎視眈々とチャンスを狙ってきます。同胞シャルディーとの対戦はトリッキーですが、次戦は組みやすくラオニッチとの対戦はかなり高そう。ラオニッチはガスケにクイーンズで勝っているものの、あの時とは状況が違います。
一方マスターズ以下では早期敗退が続いている[4]ワウリンカは錦織と全米第4シードを争います。
こちらも初戦にベルダスコ×キリオスの勝者という厄介な相手を引きました。特にキリオスは要注意です。
また出場できるかは不透明とはいえ[16]イズナー、さらには2年前に4強に入ったポスピシルと危険な相手はたくさんいます。ワウリンカは地元のクレー大会グスタードをエントリー後欠場しており、状態は不透明です。
大波乱があるとすればこのブロック。混戦を抜け出すのは?
③錦織山
[7]ナダル
Bye
スタコフスキー
(WC)ペリウォ
トロイツキ
(Q)ユージニー
セッピ
[9]シモン
[13]ゴフィン
ジョンソン
クエリー
クリザン
(WC)ダンセビッチ
Bye
[4]錦織圭
ワシントン優勝、レース6位に戻し一気に行きたい[4]錦織圭。初戦はアンドゥハルとダンセビッチですが、正直ランク200位台のダンセビッチはツアーレベルで戦えていない地元選手。アンドゥハル濃厚ですがそれでもバルセロナとは違い爆発力のないハードコート。正直イージードローというほかありません。上位進出のためには初戦が水曜日と確定したので(もろもろの進行により雨以外で前後しない)、省エネで勝ちたいところ。
次戦はややクエリーが怖いですが、他は基本ストローカーとの対戦。ワシントンとはうって変わりますが錦織はストローカーとの対戦の方がのびのびプレーできるので悪くないでしょう。
[13]ゴフィンは7月シリーズをクレーで戦っていたのでサーフェス移行に不安。クエリー本命かもしれません。
ただいいドローなのは明らかです。対抗シードにはイズナー、モンフィスもありえました。
一方ハンブルグで優勝、復活の気配がある[7]ナダルですが、私はまだ完全復活の判は押したくありません。
厳しい見方かもしれませんがこれまで10年連続トップ5を維持し、その原動力がクレーだったナダルにとって第2シードが21位のロブレドという穴場のクレー500を取ったことはもはや当然に近い結果でしかありません。
だからこそハンブルグで優勝して得た自信を還元するこの夏のハードシーズンで同じように結果が出てこその完全復活だと思うのです。
そう言った意味でも錦織と対戦するQF、さらにはその先に上がれるかというのはナダルにとって最大の試金石です。
ナダルは2年前の当地で優勝していますが、当時とはその環境は大きく違います。今回勝ち上がれるか。実は錦織山を突破するオッズ、優勝するオッズはほとんどのブックメーカーで錦織よりも同じかわずかに低くつけられています。
ナダルのブロックで怖いのはシードの[9]シモンくらいですがここは着実に勝ち上がり、錦織とのQFに勝利し自信をつけたいところ。
この山はナダル×錦織があのマドリード以来実現するか?そこが注目のカギになってきそうです。
④マレー山
[6]チリッチ
Bye
ソウザ
バウティスタ=アグト
(PR)ティプサレビッチ
コリッチ
[10]ツォンガ
[15]モンフィス
フォニーニ
(WC)ベスター
ロペス
ロブレド
Bye
[2]マレー
ワシントンでまさかの初戦敗退となったものの、全くその評価は落ちていない[2]マレー。間違いなくジョコビッチに対抗できる一番手でしょう。
初戦のロブレド×ロペスの勝者は実力者ですが大きく事故が起きなければ抜けられるでしょう。
次の[15]モンフィスは要注意。うまくマレーの戦術的なテニスでかいくぐりたいところ。モンフィス×フォニーニという感情が出やすい選手の対決は好カードでしょう。
一方上位シードが取れるのがおそらくあと3大会になりそうな[6]チリッチは何とか稼ぎたい。テニス自体は錦織戦を見ても復調してきているので8強まで進みたいがここには昨年優勝の[10]ツォンガが入りました。厳しい山です。
初戦のツォンガ×コリッチは1回戦屈指の好カード。ツォンガは初戦敗退は絶対に避けないといけません。
またここにはティプサレビッチが入りました。バウティスタ=アグトの平均的なテニスにどこまで対抗できるか。今後の復活に向けても少し気になる一戦です。
チリッチのところはツォンガやや有利でしょうか。コリッチ戦の内容ではっきりすると思います。
ツォンガは昨年マレーを破っているので波乱の可能性もあります。
・優勝争い
ジョコビッチ最有力です。マレー対抗も間違いないでしょう。
3番手は微妙なところですがワウリンカ山に不安要素がたくさんあることとジョコビッチとSFで当たることを考えると錦織かナダルを推さざるを得ませんが、まだナダルに懐疑的なので錦織になってしまいました…
うーん、本当に3番手か?と思ったらやっぱり同じ考えだったようです。
私がよくお世話になっている各ブックメーカーのオッズ比較表です。
http://www.oddschecker.com/tennis/atp-montreal/mens-rogers-cup/winner
ほとんどのブックメーカーで錦織が3番手か3番手タイのオッズをつけています。
ワウリンカは一発跳ねた時は確実に優勝に持って行ける力があるのでもう少し低めの(優勝確率高めの)オッズをつけてもいいと思っているのですが、ジョコビッチサイドに行ったのとマスターズは2014モンテカルロ以降さっぱりなのが影響していると思われます。
まあしかし今回はややチャンスとはいえそれでもジョコビッチがいますし、マレーだっています。
錦織の優勝は容易ではないですし現実的にこんな予想になりました。
優勝 ジョコビッチ
準優勝 マレー
ベスト4 ガスケ 錦織
見通しは立ってます。錦織はなんとかナダルに勝つものの(割とこの予想は大胆)、その試合の影響と2週連続の疲労でマレーにSFでいいようにやられてしまうという予想です。
ガスケは混乱に乗じて今度こそ行ってしまうのでは。キリオスはガスケに対して今年のウィンブルドンで組みにくいイメージを持ってしまってそう。
錦織としてはシンシナティで4-8-6制に戻る過程でランキングポイントを詰められるので、ワウリンカを離したいところ。できればナダルとの直接対決に勝ち、ジョコビッチはベルディヒを料理してくれることを仮定してレース5位に上がるのが一つの目標でしょう。そのためには4強が強い条件になってきます。
下位選手しかいないからといって勝てるほど甘い世界ではありませんが、フェデラー欠場によってもらったチャンス、大きく生かしてほしい大会になりそうです。