two-set-down新章

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スポーツナビブログ「とらきちの悠々自適生活」 「two-set-down」に続く3代目のブログ。two-set-downのブログの記事の置き場も兼ねる。

ダブルヘッダーを乗り切る(2019ローマ2R3R)

個人的には非常に厳しいと感じたダブルヘッダーでした。

錦織のシングルスとダブルスのダブルヘッダーは最近でもいくつかありましたが、ATPの規定により、シングルス→ダブルスの順番でやることが明文化されているので、シングルスに集中して、クールダウンがてらダブルス(しかもあまり動かなくていい)ということで、シングルス2試合のダブルヘッダーとは疲労の度合いがかなり違います。

私が確認した記録では、最後にシングルスのダブルヘッダーをやったのは2013年ワシントンのソック→バグダティス以来となります。*1この時は2試合目の天敵バグダティスに敗れました。なので、ダブルヘッダーで2勝したのはもしかしてキャリア史上初めてですかね?あーでもチャレンジャーレベルだとよくありそう。そんな記録を調べる気力はない…

でもおそらくATPツアーでは初めてですね。トップ選手になって屋根付きコートに入ることも多くなったので、今後二度とない可能性すらありますね(あるとすれば、ここかマドリードくらいでしょう)。

 

まあ、条件自体はほとんどの選手が同じなのであんまり文句は言えないのですが、GSでの回復力に対して3セットマッチの方がちょっと劣る傾向にあるのは、これまでの試合傾向から分かっているので、かなり心配でした。

 

その意味で、初戦の快勝が大きかった。まずはフリッツ戦から。

といっても、昨日のフリッツは本当にどうしたのでしょうか。試合に入ってきてから早速表情が暗く、何か集中できていない印象でした。

実際、振られてからのミスが早く、追わないポイントもありました。バルセロナの錦織戦で故障してしまったわけですが、まだその影響があるのかな?と思わせるような内容でした。

試合はそんなフリッツがミスを量産。錦織はノープレッシャーで挑めたのが良かったのか、のびのびとプレーをしてあっという間に5-1とリード。ここで一瞬デリエン戦がよぎりましたが、あっさりとキープして6-2。1stセットを30分で取ります。

2セット目に入っても展開は変わりませんでしたが、ブレークバックされたゲームでフリッツが好打を決めました。オンラインに落ちてしまうなどのアンラッキーもあり、錦織にとっては不運なゲームでした。ここでフリッツが少し勢いをつけます。試合終盤では少し錦織を脅かすようなシーンもありましたが、ここをしのげたのはサーブの力でした。

錦織、試合開始から5ゲーム連続でDFを打つ低調な滑り出しとなりましたが、最後は1stの確率を上げてフリーポイントを量産。返されていたら危ないシーンはいくつかあったため、これが大きなポイントになりました。フリッツを退けて、かかった時間はわずか72分。最高の形で初戦を締めくくりました。

 

2試合目のシュトルフ戦はやはりシュトルフが強かった。今シーズン、カレノ=ブスタ、ラオニッチ、ズベレフ、シャポバロフ、ゴファン、チチパス、ディミトロフ、チリッチに勝利しています。こう並べるととんでもないラインナップですね。充実したシーズンを過ごしています。

1セット目は錦織のDFが痛い場面で出ました。そのゲームをブレークされるとシュトルフのサーブがさく裂します。このセットは錦織の展開途中でのミスに加えて要所でのサービスポイントが多すぎました。クレーコートだとああいうブレークは仕方ない面があり、それ以上にリターンゲームで挽回することが求められますが、それができなかった。そんなセットのように感じました。

 

2セット目はまさかのブレーク合戦。シュトルフは非常に攻撃的で、特にバックハンドに追い込んでの錦織FEというシーンをよく見たように思いました。割と打ち合い自体はそんなに悪くなかったように思うのですが、普通に押し切られて失点する(特にサービスゲーム)シーンが目立ったのは当面の課題かもしれないですね(他の試合でもよく見る)。

ただこのセットが少し違ったのは、今度はシュトルフにDF祭りが来てしまったことです。ここで不利なカウントになり、無理な攻めをしてミス。3度あったリードを全て吐き出して5-5になります。

タイブレークでは久しぶりに鬼が出ました。SPでフレームショット打った以外は完璧でした。セットを取ると錦織の流れ、と行きたかったのですがその後も苦しみました。

ただわずかではありますがシュトルフに陰りが見えたこともあり、3セット目自体としては楽に見れました。

 

ワウリンカ戦でタイブレークを取れていればと語った錦織。この勝利がまさにその描いていた未来そのものではなかったでしょうか。テニスの流れ通りの逆転勝ちとなりました。

 

2,3月はこういうところでテニスの流れ通り負けていたのが、昨日は勝ちになりました。相変わらずプレーはミスも目立つ時間帯もあります。本質的には変わっていませんが、アウトプットが勝ちになっているということは、はっきりと良くなってきているのだと思います。ここのところの課題だった接戦を取り切る力。そういえば2試合ともBPのコンバージョンが良かったですね。やはり数字に出てきます。

 

たった1日の結果ですが、ここまででも十分価値ある1週間になりました。

全豪でもそうだったのですが、やはり錦織のフィジカルはトップ選手のそれです。体型の大きい選手にも打ち負けてないですし、ダブルヘッダーももろともせず勝ち上がりました。

 

次はシュワルツマンです。ズベレフ、モンフィスではないですが、このブロックではその次のランク。ほぼ順当と言っていいでしょう。

今シーズンのシュワルツマンはここまでレース30位と微妙な成績。ハイライトはティームに勝って決勝に進んだブエノスアイレスくらいでしょうか。

ただ今週の勝ち上がりは見事です。試合のインターバル、体力面という観点でもむしろ有利なのは1試合多いシュワルツマン。

そして過去3戦とも錦織が勝利しているとはいえ、楽な試合は1試合もなかったです。油断は禁物と言っていいでしょう。展開としては、今日のシュトルフ戦並のブレーク合戦になりそう。打ち合いよりも重要になってくるのはサーブリターン。シュワルツマン、本当にリターンがいい。昨日の2試合のようにフリーポイントを稼げないとしんどくなってきます。

今日勝つと相当楽になります。いろんなところで言ってますが今のATPは安定感より爆発力。2~3月クレー全敗のフォニーニがレース7位、4月から休みっぱなしのイズナーがレース10位なのが何よりの証拠です。ここでSFに行けば、ロンドン争いでも相当有利になります。

非常に重要な一戦、今日も実況予定です。よろしくお願いいたします。

*1:この時を振り返ると、たしか今夜が山田とか書いてましたね。当時の記録は消えましたが、これを覚えている方はTSDマニアですw